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第9話 至高の日常

遊戯 Episode:13

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「えぇと、向こうか。
 ――ルーフェイア、行こう」

 シルファが場所を確認して移動し、後輩たちが続いた。

 係員に指定された場所まで行くと、借りたベルトの浮遊石が反応して身体が軽くなる。
 誰かバランスでも崩すのではないかと、ひそかに期待したのだが、それはなかった。

(残念ですねぇ……)

 ルーフェイアあたりが何かしくじると面白いのだが、この子は身体を扱うことに関しては、群を抜いている。

「ほらルーフェイア、お前投げてみろよ」
「え、でも……」

 うながされたこの子がためらう。

「まさか、投げ方が分からないというのではないでしょうね」
「いえ……」

 そうは言うものの、ルーフェイアは不安そうだ。

 キエーグは要するに、玉投げだ。少し離れた場所にある魔法で作った10個ほどの玉を、こちらから別の玉を投げて壊す。

 ――ただし、浮いた状態で。

 元々は玉を転がして、少し先にある的に当てていたらしい。
 だが浮遊石が増産出来るようになった頃から、今のスタイルに変わった。

 単純なルールに加え、投げ方なども自由度が高いのだが、足元が不安定なでコントロールが難しい。
 加えて的のほうも、ふわふわと漂う魔法球が使われるようになり、さらに難しくなっている。

「ったく、んじゃ、俺投げっぞ」

 埒があかないと見たのか、イマドがトップを買って出た。
 本当にこの後輩はそつがない。

 そのままふわりと投球ゾーン――床はない――へ出て、意外なくらいきれいなフォームで、だがどこか無造作に投げた。

「――げ」

 同時に妙な声。

「どうしたの?」
「二つ残った」

 不思議そうにルーフェイアが考え込む。

「よく……分かるね?」
「普通分かるだろ?」
「そうなの?」

 それにしてもここまで知らないとなると、たいしたものだろう。
 ともかく後輩たちがそんなやりとりをしているうちに、ボールが密集していた魔法球に当たり、言った通り2つ残った。

 少女が顔を上げる。

「――イマド、占い師になれるね?」
「やめてくれ……」

 珍しく突っ込んだ少女の言葉に、イマドは心底嫌そうな表情だ。

「えっと、あの、イマドごめん……」
「いいって。っつーか、こないだ妙に姉貴にからかわれただけし。
 ――けど、なんか思い出したらハラ立ってきたな」

 なにやらぶつぶつ言いながら、戻ってきたボールを手にし、また無造作に投げる。
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