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第9話 至高の日常

日常 Episode:16

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「……カード一家なのか」
「いや、その姉貴と下の姉貴と叔母さんと上の姉貴のダンナだけですよ、めちゃくちゃプレイするのは」
「それなら十分一家総出でしょう」
「そですか?」

 みんな住んでる家はばらばらだから、あんまピンとこない。

「イマドもカードするの?」

 隣で話を聞いてたルーフェイアが、不思議そうに尋ねてきた。

 ――ってそういや、こいつの前でプレイしたことなかったな。

「一応やるぜ。ただ俺反則に強ぇから、普段やらねぇけど」
「ふぅん……」

 テキトーな説明に、こいつもシルファ先輩も別段異議は唱えなかった。
 けど、そうじゃなかったのが約一名。

「おやおや、ずいぶんな自信ですね」
「別にそゆんじゃないんですけど」

 俺の場合は妙な能力があるおかげで、周りの考えてることが耳に飛びこんできたりする。
 で、これがカードやってる最中に聞こえた日にゃ――やっぱ反則だろう。

「ねぇイマド……そうしたら今度、やろう?」

 俺がカードやるっと聞いて、嬉しくなったんだろう。ルーフェイアのヤツが無邪気に言ってきた。

「んー、お前じゃ相手になんねぇからなぁ」
「え、でも……」

 カードにはそこそこ自信があるからこいつ、意外そうな表情だ。

「ダメなの……?」
「うーん、なんつーか……おまえ、筒抜けだから」
「――あ」

 この一言で、こいつも俺が渋る理由に気が付く。

 ルーフェイアはこの能力に関しては、持ってないくせにかなり詳しい。
 なんでも親父以外の血縁が、殆ど全部そうだって話だった。

 なのにどゆわけか、こいつは心をガードするってことがない。
 なんか常時ガードかけてるタシュア先輩と違って、ルーフェイアはいつも無邪気に、あけっぴろげたままだ。

 ――たいしたもんだよな。

 「読まれて困ること、ないから」ってのが言い分だったけど、掛け値ナシでマジだったらしい。
 ガキっつやぁガキなんだろうけど、ここまで他人を信じられれば十分立派だ。

「ともかく、フェアじゃねぇだろ?」
「――そうだね、わかった」

 理由が理由なだけに、こいつがまたあっさり納得する。

「どしてもやるってんなら、トレードなしで練習な」
「うん」

 これなら、丁度いいくらいの相手になるはずだ。
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