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第9話 至高の日常
日常 Episode:10
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「すみません……」
「ですから、あなたが謝る事ではないでしょう。
これで何度目だと思いますか?」
「――ごめんなさいっ!」
思わず下を向いて、泣かないように唇を噛んで――でもやっぱり、涙がこぼれた。
ここへしゃがみこんでしまいたくなる。
けどそうやってても、絶対にまた怒られるだけだから……。
「その、まぁ、とりあえず行こう。イマドが待っているぞ?」
「あ、はい……」
シルファ先輩がまた、あたしをうながした。
そのままメインストリートを真っ直ぐ行く。この先は右へ行けば駅、左の坂を下れば公園だ。
不意に潮風が吹きぬけた。
碧い海から駆け上がってきた青い風。
やっぱりあとでイマドに頼んで、海を見ようと思いながら、あたしは突き当たりで右へと折れた。
駅前の広場は暖かいせいなのか、けっこう賑わっている。
だけど駅から出てくる人はいないから、まだ列車は着いていないみたいだった。
「どうにか間に合いましたかね?」
同じことをタシュア先輩も言う。
「あの、そうしたら、ここでいいですから――」
「ルーフェイアっ!」
先輩たちにお礼を言いかけたところで、聞き慣れた声が重なった。
「イマド!」
後ろへと振り向く。
出てくる人に混じって、学院に入学した時からずっと目にしている姿があった。
「悪りぃな、わざわざ迎えに来てくれたのか?
あ、先輩たち、こいつのお守してもらってすいませんでした」
イマドが頭を下げる。
「お守りをしていたわけではありませんね。まぁ、手がかかったのは確かですが」
「ごめんなさい……」
いつも迷惑ばかりかけている自分が情けなくて、また涙がこぼれた。
「ですから、もう何度も言ったはずですが」
「先輩、言うだけ無駄ですって。こいつは言い返す代わりに泣くんですから」
「……なるほど」
隣でやり取りを聞いていたシルファ先輩が、納得したようにうなずいた。
「タシュアの毒舌の代わりに、泣くわけか」
「シルファ、何が言いたいのです」
「あ、いや……」
先輩が口篭もる。
タシュア先輩の言葉には、シルファ先輩も言い返せないみたいだった。
もっともタシュア先輩に平気で言い返せる人がいるとは、ちょっと思えない。
――母さんはやったらしいけど。
ただ母さんの場合は言い返すどうこう以前に常識を無視しているから、迷惑のかけ通しだったんだろう。
「ですから、あなたが謝る事ではないでしょう。
これで何度目だと思いますか?」
「――ごめんなさいっ!」
思わず下を向いて、泣かないように唇を噛んで――でもやっぱり、涙がこぼれた。
ここへしゃがみこんでしまいたくなる。
けどそうやってても、絶対にまた怒られるだけだから……。
「その、まぁ、とりあえず行こう。イマドが待っているぞ?」
「あ、はい……」
シルファ先輩がまた、あたしをうながした。
そのままメインストリートを真っ直ぐ行く。この先は右へ行けば駅、左の坂を下れば公園だ。
不意に潮風が吹きぬけた。
碧い海から駆け上がってきた青い風。
やっぱりあとでイマドに頼んで、海を見ようと思いながら、あたしは突き当たりで右へと折れた。
駅前の広場は暖かいせいなのか、けっこう賑わっている。
だけど駅から出てくる人はいないから、まだ列車は着いていないみたいだった。
「どうにか間に合いましたかね?」
同じことをタシュア先輩も言う。
「あの、そうしたら、ここでいいですから――」
「ルーフェイアっ!」
先輩たちにお礼を言いかけたところで、聞き慣れた声が重なった。
「イマド!」
後ろへと振り向く。
出てくる人に混じって、学院に入学した時からずっと目にしている姿があった。
「悪りぃな、わざわざ迎えに来てくれたのか?
あ、先輩たち、こいつのお守してもらってすいませんでした」
イマドが頭を下げる。
「お守りをしていたわけではありませんね。まぁ、手がかかったのは確かですが」
「ごめんなさい……」
いつも迷惑ばかりかけている自分が情けなくて、また涙がこぼれた。
「ですから、もう何度も言ったはずですが」
「先輩、言うだけ無駄ですって。こいつは言い返す代わりに泣くんですから」
「……なるほど」
隣でやり取りを聞いていたシルファ先輩が、納得したようにうなずいた。
「タシュアの毒舌の代わりに、泣くわけか」
「シルファ、何が言いたいのです」
「あ、いや……」
先輩が口篭もる。
タシュア先輩の言葉には、シルファ先輩も言い返せないみたいだった。
もっともタシュア先輩に平気で言い返せる人がいるとは、ちょっと思えない。
――母さんはやったらしいけど。
ただ母さんの場合は言い返すどうこう以前に常識を無視しているから、迷惑のかけ通しだったんだろう。
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