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第8話 言葉ではなく

戦闘 Episode:11

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 とりあえず牽制に魔法を放っておいて、あたしはざっと頭の中で戦力を計算した。

 シーモアとナティエスの武器は、基本的に飛び道具だ。当然遠距離からが向いている。
 あたしとイマドは近接武器で精霊も使ってるから、これもポジションは決まりだろう。

 ――できれば、もうちょっと人数がほしいんだけど。

 守り切れないことはないけど、この人数差だと手加減ができない。
 ただの防衛戦なら、できる限り死傷者は出したくなかった。

「ルーフェイア!」

 考え事をしていたあたしを心配したんだろう、イマドが叫ぶ。
 でも、戦場で育ったあたしの感覚は、しっかり周囲を捉えていた。

「遥かなる天より裁きの光、我が手に集いていかずちとなれ――」

 振り向きながら呪文を唱える。

「ケラウノス・レイジっ!」

 魔法が決まって、人形が倒れた。

「さっきのとは違うな」
「うん、このほうが後継機で、新しいの」

 もっとも後継機というのは呼び名だけで、中身はまったく違う。
 その辺はロデスティオ軍の傭兵隊にいたとき、たまに部隊に配備されたからよく知っていた。

 長年使われていた旧式の頭でっかちとは違って、これは見かけもスマートだ。

「滅多に回してもらえなかったけど、これがあると戦闘が楽だったの」
「……んなもん、一撃で倒すなよ」
「そう言われても……」

 こんなの相手にモタついていたら、それだけ戦闘が不利になる。

「二人とも、なに和んでんのさ!」
「和んでるわけじゃ、ないけど……」

 まだ戦闘自体が、差し迫った状況になっていない。

「ともかく、この通りはうちらでどうにかしないと――っと、やっと援軍が来たね」

 シーモアの言葉どおり、向こうからガルシィさんやダグさんが来るのが見えた。

 ――どうしよう。

 人数が増えたのは嬉しいけど、ヘタに前線へ出てこられたらかえって危ない。

「ねぇシーモア、みんなの主な武器ってなに?」
「あん? まぁだいたいナイフか銃かな」
「そう……ナティエスは苦無よね?」

 彼女はいつも、猛毒を塗った苦無を得物にしている。
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