382 / 743
第8話 言葉ではなく
証拠 Episode:13
しおりを挟む
「じゃぁ夕べ、ファミリーのボスが一緒にいるって、言ってたのは……」
「マグダール大佐でしょうね」
考えようによってはとんでもない話を、母さんが楽しそうに肯定した。
「でもそうしたら、コーニッシュ大佐が犯罪組織と結託してる、っていう噂は?」
確か昨日、情報通のゼロールさんはそう言ってたはずだ。
それとも、まさかとは思うけど……。
「それこそ、濡れ衣だと思うわ。何よりね、昨日『視た』映像の後ろ姿、リオネルっぽくなかったしね」
速攻で疑ったのは、そういう事情だったらしい。この辺は、直接会ったことのある母さんと、会ったことのないイマドとの差だろう。
「それで、証拠、取れたの?」
「それはまだ。
でも、マルダーグ大佐とやら、出世に邪魔なリオネルを、目の敵にしてるって言うから、ほぼ間違いないんじゃない?」
「そうなんだ……」
確かにそういうことだったら、「ライバルに濡れ衣を着せて」っていうのは常套手段だろう。
「まぁそういうわけで、その大佐とファミリーのボスとが、今回の黒幕ね。
でね、これから屋敷ごとどうかしちゃおうかなって」
「屋敷ごとって……」
それこそ器物損壊、不法侵入じゃないだろうか?
「あらいいじゃない。
だいいちね、ちゃっかり権力の座に座ってるくせに裏でヤバいことに手染めてるなんて、いちばんのクズよ。
悪いことするならするで、肚くくってきっちりやんなきゃ」
――そういう問題だろうか?
なんか違う気がするけど、母さんにそう言っても通じないだろう。
「で、あたしとディアスでとっちめに行こうと思って」
「父さんと二人だけで?!」
いくらなんだって、それはムチャだ。
「他の人は? ほら、クリアゾンの人とか……。
だいいちそれ、警察の仕事でしょう?」
「警察が何もしないから、みんな困ってるんじゃない」
あっさりと母さんが言い放った。
「それにここの人たちだって、そう簡単に手なんて出せないわ。
あたしらはしっかり無国籍だから、どこで何やったってどうってことないけど、あの人たちはここに住んでるのよ?」
――そうだった。
当たり前すぎることを指摘されて、やっと他の人の置かれてる状況に気づく。
「マグダール大佐でしょうね」
考えようによってはとんでもない話を、母さんが楽しそうに肯定した。
「でもそうしたら、コーニッシュ大佐が犯罪組織と結託してる、っていう噂は?」
確か昨日、情報通のゼロールさんはそう言ってたはずだ。
それとも、まさかとは思うけど……。
「それこそ、濡れ衣だと思うわ。何よりね、昨日『視た』映像の後ろ姿、リオネルっぽくなかったしね」
速攻で疑ったのは、そういう事情だったらしい。この辺は、直接会ったことのある母さんと、会ったことのないイマドとの差だろう。
「それで、証拠、取れたの?」
「それはまだ。
でも、マルダーグ大佐とやら、出世に邪魔なリオネルを、目の敵にしてるって言うから、ほぼ間違いないんじゃない?」
「そうなんだ……」
確かにそういうことだったら、「ライバルに濡れ衣を着せて」っていうのは常套手段だろう。
「まぁそういうわけで、その大佐とファミリーのボスとが、今回の黒幕ね。
でね、これから屋敷ごとどうかしちゃおうかなって」
「屋敷ごとって……」
それこそ器物損壊、不法侵入じゃないだろうか?
「あらいいじゃない。
だいいちね、ちゃっかり権力の座に座ってるくせに裏でヤバいことに手染めてるなんて、いちばんのクズよ。
悪いことするならするで、肚くくってきっちりやんなきゃ」
――そういう問題だろうか?
なんか違う気がするけど、母さんにそう言っても通じないだろう。
「で、あたしとディアスでとっちめに行こうと思って」
「父さんと二人だけで?!」
いくらなんだって、それはムチャだ。
「他の人は? ほら、クリアゾンの人とか……。
だいいちそれ、警察の仕事でしょう?」
「警察が何もしないから、みんな困ってるんじゃない」
あっさりと母さんが言い放った。
「それにここの人たちだって、そう簡単に手なんて出せないわ。
あたしらはしっかり無国籍だから、どこで何やったってどうってことないけど、あの人たちはここに住んでるのよ?」
――そうだった。
当たり前すぎることを指摘されて、やっと他の人の置かれてる状況に気づく。
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷
くみたろう
ファンタジー
彼女の名前は東堂翠。
怒りに震えながら、両手に持つ固めの箱を歪ませるくらいに力を入れて歩く翠。
最高の一日が、たった数分で最悪な1日へと変わった。
その要因は手に持つ箱。
ゲーム、Anotherfantasia
体感出来る幻想郷とキャッチフレーズが付いた完全ダイブ型VRゲームが、彼女の幸せを壊したのだ。
「このゲームがなんぼのもんよ!!!」
怒り狂う翠は帰宅後ゲームを睨みつけて、興味なんか無いゲームを険しい表情で起動した。
「どれくらい面白いのか、試してやろうじゃない。」
ゲームを一切やらない翠が、初めての体感出来る幻想郷へと体を委ねた。
それは、翠の想像を上回った。
「これが………ゲーム………?」
現実離れした世界観。
でも、確かに感じるのは現実だった。
初めて続きの翠に、少しづつ増える仲間たち。
楽しさを見出した翠は、気付いたらトップランカーのクランで外せない大事な仲間になっていた。
【Anotherfantasia……今となっては、楽しくないなんて絶対言えないや】
翠は、柔らかく笑うのだった。
帝国の王子は無能だからと追放されたので僕はチートスキル【建築】で勝手に最強の国を作る!
黒猫
ファンタジー
帝国の第二王子として生まれたノルは15才を迎えた時、この世界では必ず『ギフト授与式』を教会で受けなくてはいけない。
ギフトは神からの祝福で様々な能力を与えてくれる。
観衆や皇帝の父、母、兄が見守る中…
ノルは祝福を受けるのだが…手にしたのはハズレと言われているギフト…【建築】だった。
それを見た皇帝は激怒してノルを国外追放処分してしまう。
帝国から南西の最果ての森林地帯をノルは仲間と共に開拓していく…
さぁ〜て今日も一日、街作りの始まりだ!!
みそっかすちびっ子転生王女は死にたくない!
沢野 りお
ファンタジー
【書籍化します!】2022年12月下旬にレジーナブックス様から刊行されることになりました!
定番の転生しました、前世アラサー女子です。
前世の記憶が戻ったのは、7歳のとき。
・・・なんか、病的に痩せていて体力ナシでみすぼらしいんだけど・・・、え?王女なの?これで?
どうやら亡くなった母の身分が低かったため、血の繋がった家族からは存在を無視された、みそっかすの王女が私。
しかも、使用人から虐げられていじめられている?お世話も満足にされずに、衰弱死寸前?
ええーっ!
まだ7歳の体では自立するのも無理だし、ぐぬぬぬ。
しっかーし、奴隷の亜人と手を組んで、こんなクソ王宮や国なんか出て行ってやる!
家出ならぬ、王宮出を企てる間に、なにやら王位継承を巡ってキナ臭い感じが・・・。
えっ?私には関係ないんだから巻き込まないでよ!ちょっと、王族暗殺?継承争い勃発?亜人奴隷解放運動?
そんなの知らなーい!
みそっかすちびっ子転生王女の私が、城出・出国して、安全な地でチート能力を駆使して、ワハハハハな生活を手に入れる、そんな立身出世のお話でぇーす!
え?違う?
とりあえず、家族になった亜人たちと、あっちのトラブル、こっちの騒動に巻き込まれながら、旅をしていきます。
R15は保険です。
更新は不定期です。
「みそっかすちびっ子王女の転生冒険ものがたり」を改訂、再up。
2021/8/21 改めて投稿し直しました。
新約・精霊眼の少女
みつまめ つぼみ
ファンタジー
孤児院で育った14歳の少女ヒルデガルトは、豊穣の神の思惑で『精霊眼』を授けられてしまう。
力を与えられた彼女の人生は、それを転機に運命の歯車が回り始める。
孤児から貴族へ転身し、貴族として強く生きる彼女を『神の試練』が待ち受ける。
可憐で凛々しい少女ヒルデガルトが、自分の運命を乗り越え『可愛いお嫁さん』という夢を叶える為に奮闘する。
頼もしい仲間たちと共に、彼女は国家を救うために動き出す。
これは、運命に導かれながらも自分の道を切り開いていく少女の物語。
----
本作は「精霊眼の少女」を再構成しリライトした作品です。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
前世は最強の宝の持ち腐れ!?二度目の人生は創造神が書き換えた神級スキルで気ままに冒険者します!!
yoshikazu
ファンタジー
主人公クレイは幼い頃に両親を盗賊に殺され物心付いた時には孤児院にいた。このライリー孤児院は子供達に客の依頼仕事をさせ手間賃を稼ぐ商売を生業にしていた。しかしクレイは仕事も遅く何をやっても上手く出来なかった。そしてある日の夜、無実の罪で雪が積もる極寒の夜へと放り出されてしまう。そしてクレイは極寒の中一人寂しく路地裏で生涯を閉じた。
だがクレイの中には創造神アルフェリアが創造した神の称号とスキルが眠っていた。しかし創造神アルフェリアの手違いで神のスキルが使いたくても使えなかったのだ。
創造神アルフェリアはクレイの魂を呼び寄せお詫びに神の称号とスキルを書き換える。それは経験したスキルを自分のものに出来るものであった。
そしてクレイは元居た世界に転生しゼノアとして二度目の人生を始める。ここから前世での惨めな人生を振り払うように神級スキルを引っ提げて冒険者として突き進む少年ゼノアの物語が始まる。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる