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第8話 言葉ではなく

追跡 Episode:11

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◇Caleana

「あら、ルーフェイアったら戻ってたのね」

 あの子のお友達と一緒に例の店へ行ったら、当の本人はしっかりご飯食べてた。

「なに? おいしそうじゃない」
「うん」

 イマドに作ってもらったんだろうけどこの子、嬉しそうにシーフードのスープ食べてる。

「美味しいの。
 イマド、みんなにあげてもいい?」

「断らなくていいって」

 けっこう気の付くこのボウヤが、笑いながらちゃんとみんなにスープ分けた。

 ――いい子よねぇ♪

 そのうえなんだか、料理上手いし。
 今ももらったお皿から、いいにおいがしてる♪

「やだもう! イマドったらあてつけ?」
「あらナティちゃん、どしたの?」

 やっぱりお皿もらったお嬢さんが、素っ頓狂な声でボウヤに抗議。後ろでシーモアちゃんが爆笑してる。

「だっておばさん、あたしがさっきつくったこれ、イマドったら食べて文句言ってたの!」
「なるほど」

 自分より上手に作られたら、そりゃ腹立つわねぇ。

「けどイマド、どうしてわざわざ同じものを?」
「いや、ルーフェイアが気に入ったらしくて、リクエストしたもんですから」
「あらあら」

 ルーフェイアがリクエストなんて珍しい話。
 なにせあの子ときたら、食べられさえすれば文句言わないんだもの。
 前に最前線出てて毎日毎食携行食食べてた時も、毎度毎度「おいしい」って言うくらいだからかなり筋金入り。

 ――ホント、味ってもんがわかってるのかしらね?

 そりゃまぁ、味に文句言わない分生き残る率は高いんだろうけど……。

 けど見てると今は、ほんとに美味しそうに食べてる。
 と、ゆっくり食べてた手を休めてこの子が友達に尋ねた。

「そういえば……シーモアもナティエスも、なんでもなかった?」
「あはは、大丈夫だよ。あんたも心配性だね」
「ウソばっかり。ヤバかったとこ、ルーフェイアのお母さんに助けてもらったんじゃない」
「え……!」

 ナティちゃんがバラしたもんだから、ルーフェイアったらびっくりして立ち上がってる。

「け、怪我は?!」
「ないない」

 苦笑しながらシーモアちゃんが、結局詳細をこの子に教えた。

「――で、結局あんたの親父さんがつきとめてくれたのさ」

「ほんとに?
 ――父さん、尾行なんてできたんだ」

「あんたねぇ」

 ボケ言ってるルーフェイアに思わず突っ込む。

 ――この子ってばほんと、もの覚えがいいんだか悪いんだか。
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