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第8話 言葉ではなく

交渉 Episode:02

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「ナティ、とりあえずその話、あとじゃダメかい?」

 シーモアが仲裁に入る。

「え、あ、ごめん」
「あとでもう一回、教えてやろうか?」
「イマド、あなたねぇ!」
「イマド!」

 面白がって茶々を入れる彼に、あたしとナティエスの言葉が重なった。

「イマド、食べさせてもらったのにそんなこと……言ったらダメだよ……」

 きっとナティエスだって、一生懸命作ったはずだ。

 一瞬イマドと視線が合う。
 もしかして、怒っちゃっただろうか?

「――そうだな。ナティ、悪かった」

 でもあたしの心配をよそに、イマドがあっさり頭を下げた。

「あ、そんな別に、謝ってもらわなくてもいいんだけど……」

 ――よかった。

 二人が仲直りしてほっとする。

 周囲の人たちもほっとしたんだろうか?
 みんななんだか笑っていて、いい雰囲気になっていた。

「やれやれ。
 それでルーフェイア、座りこんでまで何を言いに来たのさ」

「えっ?」

 呆れて入れてくれただけだと思っていたから、この言葉は意外だった。

「聞いて……くれるの?」

 またみんなが笑う。

「ったく、あれだけのことしてくれちゃ、聞かないわけにいかないだろ?」
「ほんと。ルーフェイアがまさか、あんなに強情だなんて思わなかった」
「ごめんなさい、そういうつもりじゃ……」

 またあたし、あと先考えないでみんなに迷惑をかけちゃったみたいだ。
 自分が情けなくて涙が出てくる。

「あ~、違う違う違う!
 ね、泣かないで? ほら、だから何でここへ来たの?」

「えっと……」

 言わなきゃならないことはたくさんあるのに、どれから話せばいいのか分からなかった。

「えっと、だから……小さい子が殺されて……」
「ようはその話、裏があるんじゃねぇかってことなんだ」

 イマドが口添えしてくれて、ようやくまともな言葉になる。

「裏? どこをどうやったらそんな話になるんだい」
「でも……」

 またさっきと同じで信じてもらえないのかと思うと悲しくて、また涙が出てくる。

「うあ! ルーフェイア、泣くんじゃないよ。
 ともかくガルシィ呼んでくるから、ストップストップ」

「あ、あたし行ってくる」

 慌てたシーモアをナティエスが止めて、彼女の姿がが奥に消えた。

 ふっと部屋の中が静まり返る。
 そして……シーモアが口を開いた。

「――ルーフェイア」
「なに……?」

 彼女が一呼吸だけおく。
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