314 / 743
第8話 言葉ではなく
尋ね人 Episode:01
しおりを挟む
◇Caleana
「ど~こ行っちゃったのかしらねぇ?」
久々のスラム。時は夕暮れ過ぎ。
もうそろそろ、その辺の家じゃ夕食の時間かしら?
けどここ……。
迷うって言うほどには変わっちゃないけど、やっぱりどっか馴染まないのよね。
だいいちあたし、ディアスと違ってここの育ちじゃないし。
それになにより独りだと、ちっとも進めないのが困りもの。
「よぉ、何か探しもんかい」
ずっとこの調子なのよねぇ。
ともかく人が声かけてきて、立ち止まってる時間のほうが長いくらい。
「人を探してるのよ。金髪で太刀持った美少女、見なかったかしら?
じゃなきゃバスタードソード持った、淡い金髪の美丈夫でもいいわ」
「どっちも見なかったなぁ。
けどよ、金髪で太刀持った美女なら見たぜ」
――あら。
この男、ちょっとは頭が回る?
「ふぅん、どこで?」
おもしろそうだから乗ってみる。
「そりゃ決まってるだろう。ここでさ」
わかりきった答えだけど、まぁ合格かしら?
さて、次はどう来るかしらねぇ♪
「とりあえず、その辺の店に入らねぇか? 今夜は冷えそうだしな」
「そぉねぇ、どうしようかしら?」
ちょっと迷ったフリして、からかってみたりして。
「いいじゃねぇか。その尋ね人は、うちの連中にでも探させっからさ」
「あら、あなた偉いのね?」
案外、上手いのが引っかかったのかも。
――けど、何者かしら?
なにせあたしはスラムには疎いから、ぱっと見ただけじゃどこの誰だかわかんなくて困るわ。
まぁ「探させる」なんて言うからには、どっかの組織のそこそこ以上なんでしょうけど。
そうは言ってもわかんないから、意識を凝らしてこの男を探ってみる。
実言えばあたし、気合入れれば人の考えてることをある程度――まぁ漠然としたイメージ程度だけど――は読めるくらいの力は、あったりするのよね。
もっともこれって珍しい話じゃなくて、シュマーの家にはあたしを上回る連中がごろごろしてるし、それ以外にも幾つも、この手の血筋はあるし。
って、ちょっと待ちなさいよ……。
「ねぇ、もう一回聞くけど……あなた本当に金髪の美少女、知らないのね?」
「ああ。見たこともねぇなぁ」
なるほど、そう来るわけね。
でも今回は、乗ってなんかあげない。
「ど~こ行っちゃったのかしらねぇ?」
久々のスラム。時は夕暮れ過ぎ。
もうそろそろ、その辺の家じゃ夕食の時間かしら?
けどここ……。
迷うって言うほどには変わっちゃないけど、やっぱりどっか馴染まないのよね。
だいいちあたし、ディアスと違ってここの育ちじゃないし。
それになにより独りだと、ちっとも進めないのが困りもの。
「よぉ、何か探しもんかい」
ずっとこの調子なのよねぇ。
ともかく人が声かけてきて、立ち止まってる時間のほうが長いくらい。
「人を探してるのよ。金髪で太刀持った美少女、見なかったかしら?
じゃなきゃバスタードソード持った、淡い金髪の美丈夫でもいいわ」
「どっちも見なかったなぁ。
けどよ、金髪で太刀持った美女なら見たぜ」
――あら。
この男、ちょっとは頭が回る?
「ふぅん、どこで?」
おもしろそうだから乗ってみる。
「そりゃ決まってるだろう。ここでさ」
わかりきった答えだけど、まぁ合格かしら?
さて、次はどう来るかしらねぇ♪
「とりあえず、その辺の店に入らねぇか? 今夜は冷えそうだしな」
「そぉねぇ、どうしようかしら?」
ちょっと迷ったフリして、からかってみたりして。
「いいじゃねぇか。その尋ね人は、うちの連中にでも探させっからさ」
「あら、あなた偉いのね?」
案外、上手いのが引っかかったのかも。
――けど、何者かしら?
なにせあたしはスラムには疎いから、ぱっと見ただけじゃどこの誰だかわかんなくて困るわ。
まぁ「探させる」なんて言うからには、どっかの組織のそこそこ以上なんでしょうけど。
そうは言ってもわかんないから、意識を凝らしてこの男を探ってみる。
実言えばあたし、気合入れれば人の考えてることをある程度――まぁ漠然としたイメージ程度だけど――は読めるくらいの力は、あったりするのよね。
もっともこれって珍しい話じゃなくて、シュマーの家にはあたしを上回る連中がごろごろしてるし、それ以外にも幾つも、この手の血筋はあるし。
って、ちょっと待ちなさいよ……。
「ねぇ、もう一回聞くけど……あなた本当に金髪の美少女、知らないのね?」
「ああ。見たこともねぇなぁ」
なるほど、そう来るわけね。
でも今回は、乗ってなんかあげない。
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
愛され魔女の治療院
yu-kie
ファンタジー
魔女シャロはある日竜騎士の連れた竜を助けたら…その竜騎士は毎日お仕事(お花)を持ってきます。
長編 不定期ではありましたが物語にお付き合いくださり、ありがとうございました。
悪役令嬢がヒロインからのハラスメントにビンタをぶちかますまで。
倉桐ぱきぽ
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生した私は、ざまぁ回避のため、まじめに生きていた。
でも、ヒロイン(転生者)がひどい!
彼女の嘘を信じた推しから嫌われるし。無実の罪を着せられるし。そのうえ「ちゃんと悪役やりなさい」⁉
シナリオ通りに進めたいヒロインからのハラスメントは、もう、うんざり!
私は私の望むままに生きます!!
本編+番外編3作で、40000文字くらいです。
⚠途中、視点が変わります。サブタイトルをご覧下さい。
⚠『終』の次のページからは、番外&後日談となります。興味がなければブラバしてください。
悪役令嬢?何それ美味しいの? 溺愛公爵令嬢は我が道を行く
ひよこ1号
ファンタジー
過労で倒れて公爵令嬢に転生したものの…
乙女ゲーの悪役令嬢が活躍する原作小説に転生していた。
乙女ゲーの知識?小説の中にある位しか無い!
原作小説?1巻しか読んでない!
暮らしてみたら全然違うし、前世の知識はあてにならない。
だったら我が道を行くしかないじゃない?
両親と5人のイケメン兄達に溺愛される幼女のほのぼの~殺伐ストーリーです。
本人無自覚人誑しですが、至って平凡に真面目に生きていく…予定。
※アルファポリス様で書籍化進行中(第16回ファンタジー小説大賞で、癒し系ほっこり賞受賞しました)
※残虐シーンは控えめの描写です
※カクヨム、小説家になろうでも公開中です
巻き込まれ召喚!? そして私は『神』でした??
まはぷる
ファンタジー
60歳になり、定年退職を迎えた斉木 拓未(さいき たくみ)は、ある日、自宅の居間から異世界の城に召喚される。魔王に脅かされる世界を救うため、同時に召喚された他の3人は、『勇者』『賢者』『聖女』。そしてタクミは『神』でした。しかし、ゲームもラノベもまったく知らないタクミは、訳がわからない。定年して老後の第二の人生を、若返って異世界で紡ぐことになるとは、思いもよらず。そんなお話です。
人の才能が見えるようになりました。~いい才能は幸運な俺が育てる~
犬型大
ファンタジー
突如として変わった世界。
塔やゲートが現れて強いものが偉くてお金も稼げる世の中になった。
弱いことは才能がないことであるとみなされて、弱いことは役立たずであるとののしられる。
けれども違ったのだ。
この世の中、強い奴ほど才能がなかった。
これからの時代は本当に才能があるやつが強くなる。
見抜いて、育てる。
育てて、恩を売って、いい暮らしをする。
誰もが知らない才能を見抜け。
そしてこの世界を生き残れ。
なろう、カクヨムその他サイトでも掲載。
更新不定期
私は聖女ではないですか。じゃあ勝手にするので放っといてください。
アーエル
ファンタジー
旧題:私は『聖女ではない』ですか。そうですか。帰ることも出来ませんか。じゃあ『勝手にする』ので放っといて下さい。
【 聖女?そんなもん知るか。報復?復讐?しますよ。当たり前でしょう?当然の権利です! 】
地震を知らせるアラームがなると同時に知らない世界の床に座り込んでいた。
同じ状況の少女と共に。
そして現れた『オレ様』な青年が、この国の第二王子!?
怯える少女と睨みつける私。
オレ様王子は少女を『聖女』として選び、私の存在を拒否して城から追い出した。
だったら『勝手にする』から放っておいて!
同時公開
☆カクヨム さん
✻アルファポリスさんにて書籍化されました🎉
タイトルは【 私は聖女ではないですか。じゃあ勝手にするので放っといてください 】です。
そして番外編もはじめました。
相変わらず不定期です。
皆さんのおかげです。
本当にありがとうございます🙇💕
これからもよろしくお願いします。
ハズレ職業の料理人で始まった俺のVR冒険記、気づけば最強アタッカーに!ついでに、女の子とVチューバー始めました
カティア
ファンタジー
疲れ切った現実から逃れるため、VRMMORPG「アナザーワールド・オンライン」に没頭する俺。自由度の高いこのゲームで憧れの料理人を選んだものの、気づけばゲーム内でも完全に負け組。戦闘職ではないこの料理人は、ゲームの中で目立つこともなく、ただ地味に日々を過ごしていた。
そんなある日、フレンドの誘いで参加したレベル上げ中に、運悪く出現したネームドモンスター「猛き猪」に遭遇。通常、戦うには3パーティ18人が必要な強敵で、俺たちのパーティはわずか6人。絶望的な状況で、肝心のアタッカーたちは早々に強制ログアウトし、残されたのは熊型獣人のタンク役クマサンとヒーラーのミコトさん、そして料理人の俺だけ。
逃げるよう促されるも、フレンドを見捨てられず、死を覚悟で猛き猪に包丁を振るうことに。すると、驚くべきことに料理スキルが猛き猪に通用し、しかも与えるダメージは並のアタッカーを遥かに超えていた。これを機に、負け組だった俺の新たな冒険が始まる。
猛き猪との戦いを経て、俺はクマサンとミコトさんと共にギルドを結成。さらに、ある出来事をきっかけにクマサンの正体を知り、その秘密に触れる。そして、クマサンとミコトさんと共にVチューバー活動を始めることになり、ゲーム内外で奇跡の連続が繰り広げられる。
リアルでは無職、ゲームでは負け組職業だった俺が、リアルでもゲームでも自らの力で奇跡を起こす――そんな物語がここに始まる。
悪女として処刑されたはずが、処刑前に戻っていたので処刑を回避するために頑張ります!
ゆずこしょう
恋愛
「フランチェスカ。お前を処刑する。精々あの世で悔いるが良い。」
特に何かした記憶は無いのにいつの間にか悪女としてのレッテルを貼られ処刑されたフランチェスカ・アマレッティ侯爵令嬢(18)
最後に見た光景は自分の婚約者であったはずのオルテンシア・パネットーネ王太子(23)と親友だったはずのカルミア・パンナコッタ(19)が寄り添っている姿だった。
そしてカルミアの口が動く。
「サヨナラ。かわいそうなフランチェスカ。」
オルテンシア王太子に見えないように笑った顔はまさしく悪女のようだった。
「生まれ変わるなら、自由気ままな猫になりたいわ。」
この物語は猫になりたいと願ったフランチェスカが本当に猫になって戻ってきてしまった物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる