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第8話 言葉ではなく
遭遇 Episode:02
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「ルーフェイア、どうやったら迎えのヤツと連絡できる?」
「えっと……でも多分、駅で誰か待ってると思う」
ずっと誰か待ってるなんざ、さすがお嬢様だ。
「そか。そんなら考えなくて済むな」
横で、ルーフェイアのヤツがため息をついた。
シーモアたちを連れ帰れなかったことが、やっぱショックだったんだろう。
――これであいつらになんかあったら、マジでヤベぇな。
ともかくこいつは優しすぎる。
イザとなったら力ずくでも、抗争をどうにかするしかねぇだろう。
ルーフェイアの望みってなら、シュマーの連中も動くはずだ。
そんなこと考えながら、、少し歩いた時だった。
「君たち……」
「――はい?」
後ろから声をかけられる。
振り向くと、さっき追い返されてたジャーナリストの人がいた。
「なんか用です?」
「君たち、あそこの子たちと知り合いなのかい?」
俺たちは顔を見合わせた。
「そりゃオイラ、あそこに住んでるけどさ」
「あたしたちも確かに、友達ですけど……」
「でも、きっちり追い返されましたからね」
ウィンとルーフェイアの、言葉の後を引き継ぐ。
ここでこんなやつに、関わり合いになるのはゴメンだ。
けどめんどくさいことに、向こうはそう思ってくれなかったらしい。
「俺はこういうものなんだがね――」
俺らにむけて名刺を差出す。
表には「フリージャーナリスト、ゼロール=アレイ」って書いてあった。
「すまないが、話をさせてくれないか?」
「だから俺らは……え?」
今この人、話を「聞かせて」じゃなくて「させて」って言ったよな?
とっさにこの人を真っ直ぐ見る。
焦りが伝わってきた
――なんかあるな。
原因は……例の祭りだ。
「どんな話なんです?」
「ここじゃまずいな。
スラムの外れに俺の知り合いの店があるから、そこまでいいかい?」
「わかりました」
一瞬どっかヤバい場所かと思ったけど、この人が行こうとしてるのは割合まともな店だ。
――場所がわかんねぇけど。
しょうがないから俺ら三人、ぞろぞろ後ろをくっついてく。
ただ結局その店へは、たどりつかなかった。
「やめとくれ、その子は関係ないだろっ!」
「黙れよ、このアマ。そう言うんだったら出すもん出せってんだ」
言い争う声が聞こえる。
気配を探ると、すぐ先の路地で二人の女性――親子らしい――が、数人の若いヤツに囲まれてるのがわかった。
まぁケンディクじゃともかく、このスラムだったらよくある風景だろう。
「えっと……でも多分、駅で誰か待ってると思う」
ずっと誰か待ってるなんざ、さすがお嬢様だ。
「そか。そんなら考えなくて済むな」
横で、ルーフェイアのヤツがため息をついた。
シーモアたちを連れ帰れなかったことが、やっぱショックだったんだろう。
――これであいつらになんかあったら、マジでヤベぇな。
ともかくこいつは優しすぎる。
イザとなったら力ずくでも、抗争をどうにかするしかねぇだろう。
ルーフェイアの望みってなら、シュマーの連中も動くはずだ。
そんなこと考えながら、、少し歩いた時だった。
「君たち……」
「――はい?」
後ろから声をかけられる。
振り向くと、さっき追い返されてたジャーナリストの人がいた。
「なんか用です?」
「君たち、あそこの子たちと知り合いなのかい?」
俺たちは顔を見合わせた。
「そりゃオイラ、あそこに住んでるけどさ」
「あたしたちも確かに、友達ですけど……」
「でも、きっちり追い返されましたからね」
ウィンとルーフェイアの、言葉の後を引き継ぐ。
ここでこんなやつに、関わり合いになるのはゴメンだ。
けどめんどくさいことに、向こうはそう思ってくれなかったらしい。
「俺はこういうものなんだがね――」
俺らにむけて名刺を差出す。
表には「フリージャーナリスト、ゼロール=アレイ」って書いてあった。
「すまないが、話をさせてくれないか?」
「だから俺らは……え?」
今この人、話を「聞かせて」じゃなくて「させて」って言ったよな?
とっさにこの人を真っ直ぐ見る。
焦りが伝わってきた
――なんかあるな。
原因は……例の祭りだ。
「どんな話なんです?」
「ここじゃまずいな。
スラムの外れに俺の知り合いの店があるから、そこまでいいかい?」
「わかりました」
一瞬どっかヤバい場所かと思ったけど、この人が行こうとしてるのは割合まともな店だ。
――場所がわかんねぇけど。
しょうがないから俺ら三人、ぞろぞろ後ろをくっついてく。
ただ結局その店へは、たどりつかなかった。
「やめとくれ、その子は関係ないだろっ!」
「黙れよ、このアマ。そう言うんだったら出すもん出せってんだ」
言い争う声が聞こえる。
気配を探ると、すぐ先の路地で二人の女性――親子らしい――が、数人の若いヤツに囲まれてるのがわかった。
まぁケンディクじゃともかく、このスラムだったらよくある風景だろう。
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