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第8話 言葉ではなく

古巣 Episode:04

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◇Rufeir

 まだ朝のうちに、列車は終点の駅――ベルデナードに到着した。

「やっと着いたな」
「うん」

 ケンディクを出てから、もう六日目になる。
 構内をぬけて自走階段を登っていくと、整然とした街並みが見えてきた。

 ベルデナード――既知世界最大の都市。

 ただ、都市自体の歴史はさほど長くはなかった。
 そもそもロデスティオという国自体が、出来てからせいぜい150年だ。

 この大陸は古くから、神聖アヴァン帝国が巨大な版図を誇っていた。
 けど千年王国とまで称された帝国も、200年ほど前にはすっかり衰えて、地方の領主が次々と独立を宣言した。

 ロデスティオも、その中のひとつだ。そして独立後、この地にあった小さな街へ遷都、ベルデナードと名前を変えて大規模な開発が行われて今の形になった。

 その後は貿易と農業で、この国は生き延びてきてる。

 ――大戦までは。

 もともと王政だったロデスティオは、30年ほど前に軍を中心とした革命が起こり、軍制が敷かれた。
 そして当初は激しい内戦になると予想されていたけれど、意外にも政府軍は巧妙で、またたく間に国内を制圧してしまった。

 けど、問題はそのあとだ。

 優秀な将軍を擁した政府軍は、そのまま肥沃な土地を擁する隣国マハイスへ侵攻。
 あっという間に併合したのだ。しかも勢いは止まらず、次々と隣国を支配下に収めてしまった。

 当然だけどこれは他国の反感を買って、ロデスティオ打倒の機運が高まり、戦争が始まった。

 でも戦局は、いろいろあったのもの、総じて一進一退だったらしい。
 連合国側が内部で足を引っ張り合って、足並みが揃わなかったことも大きかった。

 加えてロデスティオが、さらに西方の大国エバスと同盟を組んだため、文字通り大陸を二分する大戦に発展。
 出口の見えない状態になってしまった。

 けっきょくこれといった成果がないまま、財政的な面で行き詰まって、ロデスティオ-エバス同盟と連合軍は、停戦条約を結んだ。
 そして今もこの国は、軍が実権を握ったままだ。

 まっすぐ向こうに有名な、凱旋の塔が見える。

 ――征服の証し。

 どれだけの血の上に、あれは建てられたんだろう?
 そう思うと整然とした街並みが、ひどく空虚なものに見えた。

「おい、ルーフェイア」
「なに?」

 イマドが声をかけてくる。
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