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第8話 言葉ではなく

知らせ Episode:06

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 しかもマズいことに、良くも悪くもルーフェイアのヤツは、素直で疑うってこと知らない。
 だから人を信じて、ほいほいついて行きかねない。

 そのうえ自分が、やたら人目引く美少女だってのも、まるっきり自覚してねぇ。

 そんなのがひとりでスラムをウロウロするとか、考えるまでもなくヤバ過ぎだろう。
 肉食竜の前に、肉の塊置くようなもんだ。

 だったらついてって、フォローするほうがまだマシそうだ。

 ベルデナードまでは、かなり距離がある。

 いちばん早いのは、ケンディクから海超えて、大陸東南部の元ワサール国へ。
 そっから列車使って北上、ロデスティオ本国に入るルートだろう。

 船で丸一日、列車で四日の長旅だ。

 通り抜けるワサールは、植民地化されたせいでいまもいろいろキナ臭いけど、町の治安はそれなりだ。
 ちゃんと列車も運行してるし、沿岸部の観光地は今も変わらず賑わってるっていう。

 ロデスティオのほうも軍政敷いてっけど、国内はけっこう自由らしい。首都のベルデナードは、観光でも有名なくらいだ。
 あと、覚えてないし実感ねぇけど、俺の生まれた国だったりする。

 ただ首都のスラムとか言われても、俺は場所さえよく知らなかった。

 まともに物事覚えてる年には、もうこの学院にいたから、俺がちゃんと知ってんのはケンディクと、叔父さんがいるアヴァン方面だけだ。

 ともかく行き当たりばったりで行って、迷ってるヒマはねぇから、下調べしとかないとヤバいだろう。

 ――チビどもにでもきくか。

 多分いちばん現実的な手段に、考えが落ち着く。
 どう聞き出すかって問題があるけど、まぁどうにかなるだろう。

 あとはどんだけ早く、ここを出れるかだ。
 その抗争とやらがいつかは知らねぇけど、シーモアたちが速攻で出てってるから、そんなに余裕ねぇんだろう。

 行って、どうにか出来るとは思わなかった。
 けどルーフェイアのヤツはぜったい引かねぇだろうし、俺もあいつらにはけっこう借りがある。

 だから、やれるだけのことはやってみるつもりだった。
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