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第7話 力の行方

反撃 Episode:11

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「まだおシメも取れてないようなガキが、許さないだと? 面白い冗談じゃないか」
「黙った方がいいんじゃない、ヴィクタース=マヴァウリー=ド=ファレル?」

 この一言で、男の顔色が変わる。

「貴様いったい……!」

「さぁね~♪ あ、そだ。シルファ先輩、思いっきりやっちゃっていいですよ~。
 こいつ、ほんっとクズなんだ。継承権欲しくて、過激派と組んでテロまで起こすんだもん」

「言わせておけば――!」

 けど、あたしのほうが早かった。

「――カーム・フィルド!」

 範囲をかなり絞った無効化魔法を、シルファ先輩、ナティエス、ミルの三人に一気にかけた。
 これだと少しの間、回復魔法も効かないけど、一方で強力な魔法を遠慮なく使える。

 次いで――。

「幾万の過去から連なる深遠より、嘆きの涙汲み上げて凍れる時となせ――フロスティ・エンブランスっ!」

 ホール中に、文字通り冷気の嵐が吹き荒れた。
 冷気系の魔法は建物を破壊しないから、屋内での使い勝手はいい。

 けど、人間はタダじゃすまない。
 術者のあたしや無効化魔法のかかってる先輩たちはともかく、それ以外は大混乱だ。

「ナティエス、ミル、今のうちに脱出するんだ」

 状況を見て取ったシルファ先輩が、的確な指示を出す。

「はいっ!」

 二人が混乱の真っ只中を駆け抜けて、外へと向かった。
 あたしと先輩も、武器を振るいながらすぐに続く。

「じゃぁね、ヴィクタース♪ でも〝今度〟はきっとないんじゃないかな~♪」

 ミルが長銃を乱射しながら、例の男の傍を突破する。
 二人の視線が合ったように見えた。

「……そうか、そういうことか……」

 まるで地獄の亡者のような声で、ミルにヴィクタースと呼ばれた男がうめく。

「貴様ら、親子で……それなら……」

 なにかに取り憑かれたような表情。
 同時に聞こえたぴしりという亀裂音――なぜ聞こえたのだろう――に、とっさに呪文の詠唱を始めた。

 ――間に合うか?

 一瞬よぎった思いを振り払って、魔法に集中する。

「――エターナル・ブレス!」

 最強の防御魔法を、ナティエスとミル、それにシルファ先輩に放つ。

 理由は分からないけど、あたしは昔から、同じ魔法なら複数同時にかけられた。
 それは普通じゃありえない事で、とても怖かったけど、こういう局面でいつも役にたってる。

 ただ、これ以上はムリだ。

 もともと微妙なこの防御魔法は、あたしにまでかける余裕がなかった。
 でも先輩とナティエスとミルは、耐えられるだろう。

 そして、建物が崩れた。
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