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第7話 力の行方

反撃 Episode:09

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「頼むわ。でもムリだけはしないようにね?」
「はい。先輩たちもお気をつけて」

 そう言って二手に分かれた。
 今度は……足枷がないから思いっきりいけるだろう。

 向こうの角から飛び出してきた相手に、あたしは太刀を構えた。
 さほど訓練もしていない不安定な刃をよけて、あっさりと切り伏せる。

「ルーフェイアっ!」

 死角になっている方向から鋭く呼ばれた。シルファ先輩の声だ。
 もうひとり残っていた敵を薙ぎ払ってから、そっちへ視線を移す。

「先輩!」

 視界にシルファ先輩、ナティエス、ミルの姿が入る。
 さっきエレニア先輩とシーモアにも会ったから、これで全員だ。

「無事か?」
「はい。先輩たちのほうこそ、大丈夫でしたか? たぶん――テロがあったと、思うんですけど」

 目の前にいるのだ。大丈夫なのはわかってたけれど、やっぱり心配で尋ねてみる。

「ああ。かなりひどかったが、私たちは全員、無事だ」
「よかった……」

 ほっとする。あの爆発はかなり大きかったから、巻き込まれたら命だって危なかった。

「ともかく行こう。陽動だから、派手にいくぞ?」
「あ、はい」

 返事をしてふっと思いつき、呪文の詠唱を開始した。

「空の彼方に揺らめく力、絶望の底に燃える焔、よみがえりて形を成せ――フラーブルイ・クワッサリーっ!」
「なにっ!」

 炎系でも最上級なのが悪かったのか、シルファ先輩が慌てる。
 でも魔法のほうは思惑通りで、幾つか先の部屋の辺りが瞬時にして燃え上がった。

「ルーフェイア、これじゃ火災に……」
「大丈夫です」

 その辺はぬかりはない。

「幾万の過去から連なる深遠より、嘆きの涙汲み上げて凍れる時となせ――フロスティ・エンブランスっ!」

 上級の冷気呪文を放って、熱くたぎっていたそこを瞬時に凍りつかせる。これで火災の心配は無用だ。

「はっで~♪」

 ミルが歓声をあげる。でも彼女に、言われたくないかもしれない。

「こんどはどっちだ!」

 この騒ぎに、残っていた敵が駆けつけてくる。
 そこへあたしは、無言で突っ込んだ。

 太刀が閃く。

 一閃、二閃。
 あがる絶叫。

 ――呆れるほどに弱い。

「さっすが。じゃぁあたしもかな?」

 声と同時に気配を感じて、あたしはすっとよけた。苦無がわきを通りすぎて、向こうの敵に突き刺さる。
 即効性の毒が塗ってあったんだろう、その敵はたちまち倒れた。

 その間に、もうひとり切り伏せる。
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