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第7話 力の行方

策略 Episode:12

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「彼になにか、あったのですか?」
「いえ、ちょっと名指しで任務に就いているのですよ。先ほど発ちましたから、まぁあと2、3日はかかるでしょうね」
「そうですか……」

 こうなると、学院の諜報部に頼むしかないが……正直、あまり信用は出来なかった。

 もちろん、そのあたりの素人などは足元にも及ばない。
 だが学院の諜報部は、タシュアのような学院生に、翻弄されている有り様だ。

 とはいえ、やむをえないだろう。

「でしたら、学院の……」
「先輩すみません、ちょっと代わっていただけませんか?」

 言いかけたところで、エレニアが割り込んでくる。

 あまりこういうことをするタイプではないから、何かあるのだろう。
 そう思って私は、急いで彼女に代わった。

「学園長、申し訳ありません。エレニアです。先ほどの話ですが、タシュアの代わりにロアに、繋いでいただけないでしょうか?」

 聞かない名前だ。ただ言い方から見るに、彼女がよく知る相手らしい。

「――ええ、そうです。詳細は彼女に直接送りますから」

 どうやらそこで、エレニアの通話相手が切り替わったらしい。

「あ、ロア? うん、そう。でもちょっと、トラブルがあってね……」

 彼女がごく簡潔に、用件を伝える。

「うん、殿下とルーフェイアが、ピクニックに連れてかれたの。あと、会場がちょっとね。花火が打ちあがらなくて」

 言ってることだけ聞いていたら、日常の会話のようだ。

「資料送るから、それ見てあの子たちの行先、特定してくれない? そそ、お願いね」

 そう言ってエレニアは、通話を終えた。

「タシュアの代わりにロアとは……どういう意味だ?」

 さすがに彼女の考えていることが分からず、問いかける。

「タシュアにクラックさせるかわりに、ロアにしてもらおうと思います」

 ずばりとエレニアが言った。

 タシュアと並んでこの年齢で、上級隊に入っただけのことはある。
 私の、たったあれだけの学園長とのやりとりで、なにをしようとしているのか見抜いたらしい。

 ――だが、ロアにタシュアの代わりができるのだろうか。

 思う私の表情から、読み取ったらしい。エレニアが言った。

「先輩、心配にはおよびません。ロアはあれで、タシュアと互角ですから」
「それは……知らなかったな」

 もっとも自分から、そんなことが得意だとと言う者は、いないだろうが。
 どちらにしてもこれだと、当分は情報待ちだろう。

「そうしたら私は、報告してくる。エレニア、情報の方は頼む」

 あまり楽しいことではないが、仕方がない。
 私はその場を後にした。
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