193 / 743
第7話 力の行方
任務 Episode:04
しおりを挟む
「シルファ先輩、どうやら問題なさそうです。余計なものを持ち込んだ人がいましたけど、不足はありません」
「ぶぅ」
まさに絶妙のタイミング。ミルのブーイングに、思わずみんな笑い出す。
「すねるんなら、持ってくるんじゃないよ」
「ひっどぉい、どうせみんな一緒に食べるくせに~。いいもん、あげないから!」
あげないって、いったいいつ食べる気なんだろう?
ともかく、付き合ってるとひたすら話が進まない。
だからあたし、自分で訊きたかったことを切り出した。
「あの、シルファ先輩。この後のスケジュールって、変更……ないんですか?」
「今のところは、そうだな」
「そうですか。そうすると……?」
ざっと頭の中で、覚えているスケジュールを点検する。
クライアントとの顔合わせは無事?終わった。
あとは今夜、先輩たちが警備担当と直接会って詳細を詰めて、明日から本格的な警護だ。
もっとも建国祭までだから、一週間くらいだけど。
当然だけどこの建国祭、アヴァンの年中行事だ。で、そのたびにシエラから傭兵隊が派遣されてる。
ただ今年は革命派?がうるさいらしくて、急遽「開催前も」ということになったらしい。
しかもなんだか子弟の方まで危ないとかで、あたしたちが追加で雇われることになったと、シルファ先輩は言っていた。
――それにしても。
アヴァン政府ってそんなにお金あるんだろうか? 余計なことだけど、ちょっと心配になる。
シエラの傭兵隊は、案外単価が高い。そこらに散ってるシュマーの傭兵連中を適当に雇ったほうが、間違いなく安上がりだろう。
まぁ他所のことだから、考えたってしょうがないんだけど……。
「先輩、間違いなく武器を、学校へ持ちこめるんですよね」
「ああ、大丈夫だ」
シルファ先輩がきっぱりと答えて、シーモアがほっとした表情になる。
「それ聞いて、安心しましたよ」
見れば彼女、もう武器の手入れを始めてた。
わりと新しい型の短銃と、投擲用のナイフが並べられてる。
シーモアはスラム育ちのせいか、小回りの効く武器が好みで、格闘とナイフと短銃とをうまく使い分ける。
ついでに言うと手元にあるものならなんだって武器にしてしまうから、相手にすると予測がつかなくて、けっこう大変だった。
「あ、あたしも~」
なにが「あたしも」かは分からないけれど、ミルもバッグから武器を引っ張り出した。
「それ、ふつうの小銃じゃない……よね?」
「あれ、ルーフェ知らない? これね、かなりの数連射できるヤツなんだ。試作品、ちょっともらってさ~。あ、でもね、いつもの小銃も持ってるよ♪」
「………」
ミルって……本当にわからない。
なんだか頭痛を覚えながら、あたし今度は後ろへ振り向いた。
「ぶぅ」
まさに絶妙のタイミング。ミルのブーイングに、思わずみんな笑い出す。
「すねるんなら、持ってくるんじゃないよ」
「ひっどぉい、どうせみんな一緒に食べるくせに~。いいもん、あげないから!」
あげないって、いったいいつ食べる気なんだろう?
ともかく、付き合ってるとひたすら話が進まない。
だからあたし、自分で訊きたかったことを切り出した。
「あの、シルファ先輩。この後のスケジュールって、変更……ないんですか?」
「今のところは、そうだな」
「そうですか。そうすると……?」
ざっと頭の中で、覚えているスケジュールを点検する。
クライアントとの顔合わせは無事?終わった。
あとは今夜、先輩たちが警備担当と直接会って詳細を詰めて、明日から本格的な警護だ。
もっとも建国祭までだから、一週間くらいだけど。
当然だけどこの建国祭、アヴァンの年中行事だ。で、そのたびにシエラから傭兵隊が派遣されてる。
ただ今年は革命派?がうるさいらしくて、急遽「開催前も」ということになったらしい。
しかもなんだか子弟の方まで危ないとかで、あたしたちが追加で雇われることになったと、シルファ先輩は言っていた。
――それにしても。
アヴァン政府ってそんなにお金あるんだろうか? 余計なことだけど、ちょっと心配になる。
シエラの傭兵隊は、案外単価が高い。そこらに散ってるシュマーの傭兵連中を適当に雇ったほうが、間違いなく安上がりだろう。
まぁ他所のことだから、考えたってしょうがないんだけど……。
「先輩、間違いなく武器を、学校へ持ちこめるんですよね」
「ああ、大丈夫だ」
シルファ先輩がきっぱりと答えて、シーモアがほっとした表情になる。
「それ聞いて、安心しましたよ」
見れば彼女、もう武器の手入れを始めてた。
わりと新しい型の短銃と、投擲用のナイフが並べられてる。
シーモアはスラム育ちのせいか、小回りの効く武器が好みで、格闘とナイフと短銃とをうまく使い分ける。
ついでに言うと手元にあるものならなんだって武器にしてしまうから、相手にすると予測がつかなくて、けっこう大変だった。
「あ、あたしも~」
なにが「あたしも」かは分からないけれど、ミルもバッグから武器を引っ張り出した。
「それ、ふつうの小銃じゃない……よね?」
「あれ、ルーフェ知らない? これね、かなりの数連射できるヤツなんだ。試作品、ちょっともらってさ~。あ、でもね、いつもの小銃も持ってるよ♪」
「………」
ミルって……本当にわからない。
なんだか頭痛を覚えながら、あたし今度は後ろへ振り向いた。
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
私に成り代わって嫁ごうとした妹ですが、即行で婚約者にバレました
あーもんど
恋愛
ずっと腹違いの妹の方を優遇されて、生きてきた公爵令嬢セシリア。
正直不満はあるものの、もうすぐ結婚して家を出るということもあり、耐えていた。
でも、ある日……
「お前の人生を妹に譲ってくれないか?」
と、両親に言われて?
当然セシリアは反発するが、無理やり体を押さえつけられ────妹と中身を入れ替えられてしまった!
この仕打ちには、さすがのセシリアも激怒!
でも、自分の話を信じてくれる者は居らず……何も出来ない。
そして、とうとう……自分に成り代わった妹が結婚準備のため、婚約者の家へ行ってしまった。
────嗚呼、もう終わりだ……。
セシリアは全てに絶望し、希望を失うものの……数日後、婚約者のヴィンセントがこっそり屋敷を訪ねてきて?
「あぁ、やっぱり────君がセシリアなんだね。会いたかったよ」
一瞬で正体を見抜いたヴィンセントに、セシリアは動揺。
でも、凄く嬉しかった。
その後、セシリアは全ての事情を説明し、状況打破の協力を要請。
もちろん、ヴィンセントは快諾。
「僕の全ては君のためにあるんだから、遠慮せず使ってよ」
セシリアのことを誰よりも愛しているヴィンセントは、彼女のため舞台を整える。
────セシリアをこんな目に遭わせた者達は地獄へ落とす、と胸に決めて。
これは姉妹の入れ替わりから始まる、報復と破滅の物語。
■小説家になろう様にて、先行公開中■
■2024/01/30 タイトル変更しました■
→旧タイトル:偽物に騙されないでください。本物は私です
みそっかすちびっ子転生王女は死にたくない!
沢野 りお
ファンタジー
【書籍化します!】2022年12月下旬にレジーナブックス様から刊行されることになりました!
定番の転生しました、前世アラサー女子です。
前世の記憶が戻ったのは、7歳のとき。
・・・なんか、病的に痩せていて体力ナシでみすぼらしいんだけど・・・、え?王女なの?これで?
どうやら亡くなった母の身分が低かったため、血の繋がった家族からは存在を無視された、みそっかすの王女が私。
しかも、使用人から虐げられていじめられている?お世話も満足にされずに、衰弱死寸前?
ええーっ!
まだ7歳の体では自立するのも無理だし、ぐぬぬぬ。
しっかーし、奴隷の亜人と手を組んで、こんなクソ王宮や国なんか出て行ってやる!
家出ならぬ、王宮出を企てる間に、なにやら王位継承を巡ってキナ臭い感じが・・・。
えっ?私には関係ないんだから巻き込まないでよ!ちょっと、王族暗殺?継承争い勃発?亜人奴隷解放運動?
そんなの知らなーい!
みそっかすちびっ子転生王女の私が、城出・出国して、安全な地でチート能力を駆使して、ワハハハハな生活を手に入れる、そんな立身出世のお話でぇーす!
え?違う?
とりあえず、家族になった亜人たちと、あっちのトラブル、こっちの騒動に巻き込まれながら、旅をしていきます。
R15は保険です。
更新は不定期です。
「みそっかすちびっ子王女の転生冒険ものがたり」を改訂、再up。
2021/8/21 改めて投稿し直しました。
剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜
みっちゃん
ファンタジー
俺こと「天城剣介」は22歳の日に交通事故で死んでしまった。
…しかし目を覚ますと、俺は知らない女性に抱っこされていた!
「元気に育ってねぇクロウ」
(…クロウ…ってまさか!?)
そうここは自分がやっていた恋愛RPGゲーム
「ラグナロク•オリジン」と言う学園と世界を舞台にした超大型シナリオゲームだ
そんな世界に転生して真っ先に気がついたのは"クロウ"と言う名前、そう彼こそ主人公の攻略対象の女性を付け狙う、ゲーム史上最も嫌われている悪役貴族、それが
「クロウ•チューリア」だ
ありとあらゆる人々のヘイトを貯める行動をして最後には全てに裏切られてザマァをされ、辺境に捨てられて惨めな日々を送る羽目になる、そう言う運命なのだが、彼は思う
運命を変えて仕舞えば物語は大きく変わる
"バタフライ効果"と言う事を思い出し彼は誓う
「ザマァされた後にのんびりスローライフを送ろう!」と!
その為に彼がまず行うのはこのゲーム唯一の「バグ技」…"剣ぺろ"だ
剣ぺろと言う「バグ技」は
"剣を舐めるとステータスのどれかが1上がるバグ"だ
この物語は
剣ぺろバグを使い優雅なスローライフを目指そうと奮闘する悪役貴族の物語
(自分は学園編のみ登場してそこからは全く登場しない、ならそれ以降はのんびりと暮らせば良いんだ!)
しかしこれがフラグになる事を彼はまだ知らない
レディース異世界満喫禄
日の丸
ファンタジー
〇城県のレディース輝夜の総長篠原連は18才で死んでしまう。
その死に方があまりな死に方だったので運命神の1人に異世界におくられることに。
その世界で出会う仲間と様々な体験をたのしむ!!
バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話
紅赤
ファンタジー
ここは、地球とはまた別の世界――
田舎町の実家で働きもせずニートをしていたタロー。
暢気に暮らしていたタローであったが、ある日両親から家を追い出されてしまう。
仕方なく。本当に仕方なく、当てもなく歩を進めて辿り着いたのは冒険者の集う街<タイタン>
「冒険者って何の仕事だ?」とよくわからないまま、彼はバイトで冒険者を始めることに。
最初は田舎者だと他の冒険者にバカにされるが、気にせずテキトーに依頼を受けるタロー。
しかし、その依頼は難度Aの高ランククエストであることが判明。
ギルドマスターのドラムスは急いで救出チームを編成し、タローを助けに向かおうと――
――する前に、タローは何事もなく帰ってくるのであった。
しかもその姿は、
血まみれ。
右手には討伐したモンスターの首。
左手にはモンスターのドロップアイテム。
そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。
「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」
ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。
タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。
――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――
幼馴染の婚約者聖女が勇者パーティー追放されたから、俺も一緒に離脱する事にした。
古森きり
ファンタジー
幼馴染の聖女セレーナは前世の記憶を持つ転生者。
それを打ち明けられた時、それはもう驚いた。
だが、俺の想いは変わらない。ずっと君の側で君を守る。
そう約束した数年後、神託通りに異世界から勇者が召喚されてきた。
しかし召喚されてきたニホンジン、ユイ殿はとんでもない我が儘娘。
なんと、婚約者のいる俺に言い寄ってきた。
拒むとなぜかセレーナをパーティーから追放すると言い出したので、俺も我慢の限界を迎え、セレーナを追ってパーティーを出て行く事にした。
「結婚前の独身最後の旅行にしようか」
「ヤダー、もうライズったらぁー!」
魔王? 知らん。
※ノベルアップ+さんにえげつない読み直しナッシング書き溜め中。
改稿版は小説家になろう、カクヨム、アルファポリスに掲載予定です。
異世界でスローライフとか無理だから!
まる
ファンタジー
突如青白い光に包まれ目を開ければ、目の前には邪神崇拝者(見た目で勝手に判断)の群れが!
信用できそうもない場所から飛び出していざ行かん見慣れぬ世界へ。
○○○○○○○○○○
※ふんわり設定。誤字脱字、表現の未熟さが目につきます。
閲覧、しおり、お気に入り登録ありがとうございます!
旅行先で目を覚ましたら武田勝頼になっていた私。どうやら自分が当主らしい。そこまでわかって不安に覚える事が1つ。それは今私が居るのは天正何年?
俣彦
ファンタジー
旅行先で目を覚ましたら武田勝頼になった私。
武田家の当主として歴史を覆すべく、父信玄時代の同僚と共に生き残りを図る物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる