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第7話 力の行方

依頼 Episode:05

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◇Sylpha

 どこへ移動しようかと思ったが、結局自分の個室へと向かった。
 そこならば、他の生徒に聞かれる心配はない。

 女子寮二階の一番奥――上級生の資格持ちは低い階が多い――へと向かう。

「あたしこの階……入ったの、初めてです……」

 雰囲気がどこか違うと、ルーフェイアは落着かない様子だった。

 一方で、ついてきたタシュアは平然としたものだ。
 もっとも彼の場合、自分が女子寮にいることさえ気にしていないだろう。

 実を言うと個室を持つくらいになると、この手の事に関しては、けっこう緩やかだ。

 任務で男女関係なく組むことも多いから、いちいち言っていられない。
 だからこの階までは、上級資格を持つなら咎められなかった。

 それにしても、ルーフェイアが任務の同行を承諾してくれて良かった、と思う。
 そのへんの上級隊を上回るのではないかという彼女なら、戦闘能力等に申し分はない。

 正直、これで断られたらやっかいだとは思っていたのだ。
 彼女ほどの戦闘能力を持っていて私が良く知っている女子となると、他に思いつかない。

 ただルーフェイアの場合、一般常識には不安があるが……。

 戦場育ちだという話は聞いているのだが、それにしても疎すぎる。
 普通はもう少し、知っていても良さそうなものだ。

 ――これできちんと、任務がこなせるのだろうか?

 一抹の不安を覚えるが、当人はそれほど気にしていないようだった。

「それで先輩、任務って……どんなのですか?」

 部屋に入り私がドアを閉めたとたん、無邪気な調子で訊いてくる。
 さすがというべきか、これからの任務に対して「怖い」といった感覚は持ち合わせていないようだ。

「いちおう、要人の警護だ。といっても、相手は子供なんだが」
「あ、それであたしが……でもそれじゃ、けっこう大変ですね?」
「そうだな」

 警護というといわゆる警備員を思い浮かべるが、そんな単純な話でわざわざ、シエラの上級傭兵を雇ったりはしない。
 つまりは守られるべき要人に、かなりの危険が予測されるということだ。

 これを二四時間続けて守りきらなければならないのだから、精神的にも肉体的にもかなり厳しい。
 その点を、ルーフェイアも心配したようだった。

「今回はタシュアも居ないから、人数を増やすつもりだ」
「え? タシュア先輩が……?」

 意外、といった表情で少女が訊いてくる。
 まぁ確かに、わたしとタシュアがペア、というのがいつものパターンだが……。
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