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第6話 立ち上がる意思

海竜 Episode:04

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「――おい、ミル! お前なんの弾撃ったんだよ!」
「え、あれ? あ、暗闇の魔法込めた弾だった~♪ 新型弾、試しに入れてたんだっけ」

 前言撤回!
 あのサイズの魔獣が闇雲に暴れまわったら、下手に狙われるより危ねぇ。

「ミル、てめぇなに考えてるんだよっ!」
「だって、撃ったらそうだったんだもん★」

 と、ごつん、と景気のいい音がした。

「あ~、もう、いったいなぁ! せっかく撃ったのにひどい~!!」
「弾確認しないで撃つ方が、どうかしてるんじゃないのかい?」

 いつのまにか傍へ来ていたシーモアが、ミルの頭を殴りつけたらしい。

「いいもん、もうやんないから!」
「二度とやるんじゃないよ!」

 非常時だってのに、まるで漫才だ。
 けど幸い、海竜は暴れるのに必死で、ルーフェイアたちを襲うの忘れてやがる。

 今のうちに足止めしておけば……。

「アーマル、お前いつもの武器、持ってきてっか?」

 後ろへ来ていたダチの一人に、声をかける。

「サブのヤツなら」
「じゃぁ悪りぃ、ちょっと手伝ってくれ。氷矢あるか?」

 俺が使う武器は、どれも射程が短い。こういう状況だとどうしても行動が限られる。
 けどアーマルが使っているクロスボウ系は、かなりのロングレンジだ。

「さすがに氷矢は、持ってきてないな」
「んじゃ空っぽのヤツ」
「ほいよ」

 ダチがひとまとめ、俺に矢を渡す。
 鏃が空の魔力石で出来たやつだ。

 手にとって、魔力を込める。
 何でか知らねぇけど俺は昔っから、魔方陣とかナシでこれが出来た。

 海竜の方は相変わらず、すげぇ勢いで暴れてる。

 ――ったくミルのヤツ、どうしようもねぇな。

 毎度のことながらあいつが絡むとなんだって、こうも事態がややこしくなるんだか。

「おし、これ頼むわ」
「オッケー」

 今までいっしょにやってきたダチだ。何も言わなくても、何をどうするかなんて通じる。
 立て続けに矢が放たれた。

「よっしゃ、全部いったぜ」
「さんきゅ」

 礼言って、俺は集中する。

 ――行け。

 手応えがあった。
 石に込めておいた魔法が、発動する。

 込めておいた魔法は氷系だ。
 だから海竜の身体を中心に、氷が浮かび始める。

 もっとも俺の魔力じゃ、どうやったって全面凍結ってワケにはいかない。
 けど、あいつなら。
 そういう確信が、俺の中にあった。
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