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第6話 立ち上がる意思

海竜 Episode:03

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「ちょっと待ちなよ。ミル、ナティエスとルーフェイアはどうしたんだい!」

 同じことを考えたんだろう、シーモアがミルに詰め寄った。

「えっとね、ルーフェイアはシルファ先輩といっしょだったよ。ナティエスは……あれ? こっち来てないの?」
「来てねぇよ! つか置いてくんなっ!」

 先輩と一緒にいるルーフェイアはともかく、ナティエスが一人となると……。

「あれぇ、途中までいっしょだったんだよ おっかしいなぁ??」
「ミル、このバカッ! あんた――!!」
「シーモア、言うの後だ。俺のツールキットよこせ!」
「あ、あぁ……ほらっ!」

 シーモアの投げたキットが、綺麗に弧を描いて俺の手の中に収まる。

「まって、あたしもー!」

 およそ緊張感とは無縁のような嬌声で、ミルも名乗りをあげた。

「あたしもって、お前が来たって……!」

 迷惑、そう言いかけて俺は言葉を途中で飲みこむ。
 ミルがマジだ。
 いつのまにか、持ちこんでたらしい銃を取り出してる。

「――よし、援護頼むぜ」

 性格はともかく、こいつ腕だけは折り紙付きだ。

「もっちろん!」

 そのまま俺ら、走り出す。 


「最後にナティエス見たの、どこなんだ?」
「あっち~」

 五歳児みたいな調子でミルが答える。指差したのは岩場のほうだ。

 ――あれか!

 確かに突端から少し沖の岩の上、人影が見える。それもどういうわけか二つ。
 片方は間違いなくナティエスだろう。
 けどもう片方はどうみても……。

「ルーフェイア?!」

 泳げないはずのあいつが、どうしてあんな場所にいるんだか?
 でも不思議に思ってるヒマがない。もう海竜がルーフェイアたちの近くまで迫ってる。

 もっともルーフェイアのヤツも、黙っちゃいなかった。
 突然天から雷撃が海竜に降り注ぐ。あいつ得意の上級魔法だ。

 そこへ更に銃声がこだました。

 ――この距離で全弾命中かよ。

 やったのはミルだ。曲がりなりにもAクラスにいるだけはある。
 この連続攻撃で、さすがの海竜も動きが止まった。ルーフェイアたち襲うのやめて、咆哮をあげる。

 けどなんか、海竜の様子がおかしい。
 倒れるとかじゃなくて、めちゃくちゃに暴れてるような……?

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