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第4話 温もり
遠出 Episode:09
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「ルーちゃん気にしちゃダメだよ。ルーちゃんが言ったわけじゃないんから」
「てか、ルーフェイアってさ、怒るとここまでキャラ変わるのか」
「んー、こいつの場合どっちかってと、内弁慶じゃねぇかな」
「なんだソレ」
「ともかく悪いのアイツだし! でもさ、ルーフェって結構やるねぇ~」
みんなが口々に言う。
ただひとりナティエスは、見るべきとこを見てた。
「ねぇ……ルーフェイアの家っていったい、どういうのなの?」
いちばん尋かれたくないことを尋いてくる。
どう答えようか困ってると、意外にもシーモアが助け船を出してくれた。
「やめな、ナティエス。学院にいる連中なんて、みんなワケありさ。あんただってそうだろ?
だから、聞くんじゃないよ」
「――そうだね、わかった」
ナティエスも、あっさりと引き下がる。
こんなにありがたいことはなかった。
「シーモア、ナティエス……」
「気にしなさんなって」
これでいい、そんな笑顔でシーモアが笑った。
また泣きそうになる。
「あぁぁ、ルーフェイア、ほら泣いちゃダメだってば」
「おまえ、何回泣くんだよ……。しゃぁねぇ、もっかいどっか食いに行くか?」
「あ、賛成!」
「あたしも~♪」
「ぼくはルーちゃんが行くところになら、そりゃどこへでも」
イマドの言葉に、みんなが賛成する。
「ちょうどおやつの時間だしね。どこにする?」
「そしたら……あたし、払うから」
「え、ホント?!」
さっきのことがあるからそう言うと、みんなの顔がぱっと輝いた。
「よし、んじゃ高いの食べるぞ~!」
「だよね。あの船とか今のこととか、ルーフェイアってばぜったい、お金持ちなのはキマリだもんね」
「あ……」
しまった、と思う。
そしてまた、何か嫌な予感。
「えっと、あの、あたしも、そんなに持ち合わせ……」
「だ~め! ああいう家なら、どうせ信用決済の記録石持ってんでしょ」
「それにあの調子なら、イザとなれば、誰か来てくれそうだしね」
言うんじゃなかったと少し後悔しながら、あたしはみんなといっしょに、繁華街へと足を向けた。
「てか、ルーフェイアってさ、怒るとここまでキャラ変わるのか」
「んー、こいつの場合どっちかってと、内弁慶じゃねぇかな」
「なんだソレ」
「ともかく悪いのアイツだし! でもさ、ルーフェって結構やるねぇ~」
みんなが口々に言う。
ただひとりナティエスは、見るべきとこを見てた。
「ねぇ……ルーフェイアの家っていったい、どういうのなの?」
いちばん尋かれたくないことを尋いてくる。
どう答えようか困ってると、意外にもシーモアが助け船を出してくれた。
「やめな、ナティエス。学院にいる連中なんて、みんなワケありさ。あんただってそうだろ?
だから、聞くんじゃないよ」
「――そうだね、わかった」
ナティエスも、あっさりと引き下がる。
こんなにありがたいことはなかった。
「シーモア、ナティエス……」
「気にしなさんなって」
これでいい、そんな笑顔でシーモアが笑った。
また泣きそうになる。
「あぁぁ、ルーフェイア、ほら泣いちゃダメだってば」
「おまえ、何回泣くんだよ……。しゃぁねぇ、もっかいどっか食いに行くか?」
「あ、賛成!」
「あたしも~♪」
「ぼくはルーちゃんが行くところになら、そりゃどこへでも」
イマドの言葉に、みんなが賛成する。
「ちょうどおやつの時間だしね。どこにする?」
「そしたら……あたし、払うから」
「え、ホント?!」
さっきのことがあるからそう言うと、みんなの顔がぱっと輝いた。
「よし、んじゃ高いの食べるぞ~!」
「だよね。あの船とか今のこととか、ルーフェイアってばぜったい、お金持ちなのはキマリだもんね」
「あ……」
しまった、と思う。
そしてまた、何か嫌な予感。
「えっと、あの、あたしも、そんなに持ち合わせ……」
「だ~め! ああいう家なら、どうせ信用決済の記録石持ってんでしょ」
「それにあの調子なら、イザとなれば、誰か来てくれそうだしね」
言うんじゃなかったと少し後悔しながら、あたしはみんなといっしょに、繁華街へと足を向けた。
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