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第2話 抱えきれぬ想い

慟哭、そして哀悼 Episode:03

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◇Loa side

 ルーフェイアが緊張した表情で、ひとつひとつ操作をこなしていくのを、ロアは隣で眺めていた。
 まだたどたどしい部分もあるが、初めて間もないことを考えると、上出来と言っていいだろう。
 むしろこの短期間で、よくここまで覚えたと感心する。

「そうそう、そこ気をつけて。ほら、足跡残してるよ」
「え? あ!」

 言われて慌てる後輩が、可愛い。
 だがあるところで、その動きが止まった。

「あの、先輩、これ……」

 どうしよう、という表情で訊いてくる。

「学院長の魔視鏡だね。
 この時間に動いてるなんて、珍しいや」

 学院長は年のせいか、この手のものはあまり使わない。
 だから、夜になってまで動いているのは、稀だった。

「止め忘れかな? 見てみよっか」
「あ、はい……」

 ルーフェイアがちょっとためらってから、開く。
 そのようすに、この子はこういうことに向いていないのかもしれない、とロアは思った。

 なにしろ素直でおとなしい性格だ。
 攻撃的なことにはどうしても、しり込みしてしまうのだろう。
 だがそういったことは、取り返しのつかない事態を招くことがある。

 何か考えてやったほうがいいかもしれない、そんなことを思いながら、ロアはざっと記録の一覧をを斜め読みした。

「ガッコの資料ばっかだなぁ。たいした物ないね」

 もう少し何かあるのではと期待していたが、みごとなくらいに期待はずれだ。

「学院長も大変だね、こんなくだらないことまで訊かれるんだ。
 こんど会ったら、親切にしとこっか」

「ですね……」

 どうでもよさげな雑務から院の方針、そうかと思えば学院生が起こした不祥事の後始末まで、まさしく何でもありだ。
 どちらにしても収穫なしと判断して、ロアは手を止めた。

「どうする? も少しやる?」
「え? あ、いえ、今日はもう……」

 ルーフェイアのほうも初めての経験で、そうとう神経をすり減らしたようだ。
 そろそろ潮時だろう。

「そだね、こういうの最初、すっごい疲れるし。
 ――あ、最後にこれだけ見てこっか」

 何の気なしに、見つけた一覧を開く。
 学院長が外部とやり取りした、記録の一覧だ。
 こういうものは機密情報は期待できないが、ちょっと笑えるようなものがよく混じっている。

「これ……伝言書?」
「そそ。でもこっちも、たいしたもんないね」

 予想に反して、事務的な連絡ばかりだ。
 私的なやり取りは、ここではやらないようだった。

 だが。
 とある行で、ロアは面白そうなものを見つける。

 表題は「本校特別入学の件について」。
 日付などと合わせて考えると、ほぼルーフェイアのことに間違いないだろう。

「なんだろ~」

 興味津々、面白半分で記録を覗く。
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