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第2話 抱えきれぬ想い
慟哭、そして哀悼 Episode:01
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◇Rufeir
「あー食った食った」
「ルーちゃんご馳走さまー」
「あ、こら、てめぇら後片付けしろっ! つか、作ったの俺だっ!」
にぎやかな声が響く。
いまちょうど、みんなで夕食を食べ終わったところだ。
クラス分けのテストが終わったのはだいぶ前だけど、休みがあと二日の今ごろになって、ようやくあたしのクラスが決まった。
聞いた話じゃ、ずいぶんモメたらしい。
飛び級がどうとか、教官が言ってた。
――でも飛び級って、なんだろう?
飛ばされて違うところへ行くのはイヤだから、イマドと同じクラスがいいと、言ったのだけど。
「あ、ちょっとキミ、何やってんの! そのケーキはルーフェイアのなんだから」
「えー、持ってっちゃダメっすか?」
「ダメっ!」
飛び級がイヤならと、あたしはAクラスになった。
思ってたより、いい加減な決め方だ。
けど話を聞いたロア先輩はとても喜んでくれて、しかもなぜか「お祝いをする」ってことになって、それをしてたとこだ。
この学院、クラス分けが決まるとお祝いする習慣があるらしい。
「ルーフェイア、このケーキここにしまうよ」
「あ、はい」
最初は部屋で先輩と二人の予定だったのだけど、気がついたら人数が増えてた。
エレニア先輩が来て、イマドも来て、その友だちもついてきて、ご飯が足りないからってイマドが作ってくれて、先輩も買出しに行って……。
こういうのが「学校」なのかな、と思う。
なんでお祝いになったかは今も分からないけど、みんなで集まって騒いで食べたりは、けっこう楽しい。
「ほらキミたち、そろそろ出てってくれないかな。ボクが怒られるから」
「へいへい」
「ルーちゃん、またねー」
「ロア、私も戻るわね」
急に静かになった。
「大騒ぎだったねー。おいしかったけど」
「はい」
最後に残ったものを二人で片付けて、やっとぜんぶ終わる。
さっきまでの陽気さがいっしょに消えた気がして、ちょっと寂しかった。
「さ、今度はいつものやろうか?」
「……はい!」
急いで自分の魔視鏡の前に行って、準備をする。
毎日少しづつ教わるこれは、とても楽しみだった。
「あー、もしかしなくても、明日で休み終わりだっけね。
そうするとゆっくりやれるの、今晩くらいかな?」
「ですね……」
きちんと授業が始まったら、そうそう夜更かしはできない。
遅刻したら減点されてしまう。
「あー食った食った」
「ルーちゃんご馳走さまー」
「あ、こら、てめぇら後片付けしろっ! つか、作ったの俺だっ!」
にぎやかな声が響く。
いまちょうど、みんなで夕食を食べ終わったところだ。
クラス分けのテストが終わったのはだいぶ前だけど、休みがあと二日の今ごろになって、ようやくあたしのクラスが決まった。
聞いた話じゃ、ずいぶんモメたらしい。
飛び級がどうとか、教官が言ってた。
――でも飛び級って、なんだろう?
飛ばされて違うところへ行くのはイヤだから、イマドと同じクラスがいいと、言ったのだけど。
「あ、ちょっとキミ、何やってんの! そのケーキはルーフェイアのなんだから」
「えー、持ってっちゃダメっすか?」
「ダメっ!」
飛び級がイヤならと、あたしはAクラスになった。
思ってたより、いい加減な決め方だ。
けど話を聞いたロア先輩はとても喜んでくれて、しかもなぜか「お祝いをする」ってことになって、それをしてたとこだ。
この学院、クラス分けが決まるとお祝いする習慣があるらしい。
「ルーフェイア、このケーキここにしまうよ」
「あ、はい」
最初は部屋で先輩と二人の予定だったのだけど、気がついたら人数が増えてた。
エレニア先輩が来て、イマドも来て、その友だちもついてきて、ご飯が足りないからってイマドが作ってくれて、先輩も買出しに行って……。
こういうのが「学校」なのかな、と思う。
なんでお祝いになったかは今も分からないけど、みんなで集まって騒いで食べたりは、けっこう楽しい。
「ほらキミたち、そろそろ出てってくれないかな。ボクが怒られるから」
「へいへい」
「ルーちゃん、またねー」
「ロア、私も戻るわね」
急に静かになった。
「大騒ぎだったねー。おいしかったけど」
「はい」
最後に残ったものを二人で片付けて、やっとぜんぶ終わる。
さっきまでの陽気さがいっしょに消えた気がして、ちょっと寂しかった。
「さ、今度はいつものやろうか?」
「……はい!」
急いで自分の魔視鏡の前に行って、準備をする。
毎日少しづつ教わるこれは、とても楽しみだった。
「あー、もしかしなくても、明日で休み終わりだっけね。
そうするとゆっくりやれるの、今晩くらいかな?」
「ですね……」
きちんと授業が始まったら、そうそう夜更かしはできない。
遅刻したら減点されてしまう。
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