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第2話 抱えきれぬ想い
新入生 Episode:01
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◇Loa said
「ほんと、エレニアありがとね。どうにか間に合いそう」
「よかったわね。新入生がっかりさせたら可哀想だもの。
それで、同室なんでしょ?」
「うん、そーなんだよね」
昼食には早いものの、一仕事終えたロアとエレニアは、食堂でおしゃべりに興じていた。
「まさか、夏休み中に新入生が来るなんて、思わなくてさ。
あーあ、これで独り部屋ともサヨナラかぁ」
「ロアったらよく言うわよ。もともと二人部屋なのに、部屋換えのたびに記録に細工して、うまってるように見せかけてたんじゃない」
「それ、言わないでってば」
新入生の世話は、同室の者の役割だ。
そのため空きは年長者の相部屋から、順に埋まっていく。
だがロアは気楽な独りが好きで、新入生が来る春はいつもこっそり記録を書き換え、誰とも相部屋にならないようにしていたのだ。
とはいえずっと記録がそのままでは、怪しまれてしまう。
そのためシーズンが過ぎると元に戻していたのだが、今回はそれがアダになった。
「それにしたって、珍しいよね。普通は最低でも春までは、分校にいるはずなのに」
「そうよねぇ」
シエラ学院はもともとが特殊なうえ、本校は分校からの選りすぐりが集まっている。
授業の進度も速いし、何よりある程度の訓練がされていなければ、実地で即座に落ちこぼれだ。
だからここへの直接入学はほとんどなく、年に一度、選抜試験を通り抜けた分校生が、春に入ってくるだけだった。
「まぁ、よっぽどデキるんだろうけど」
それしか理由は考え付かない。
「そうだとしても、実技をどこで覚えたかよねぇ」
エレニアの言うとおりだった。
学科のほうはまだ分かる。世の中やたらと勉強が出来る人間は、一定数存在するものだ。
だが実技はそうはいかない。だいいち戦闘技術など、普通は身につける術さえない。
「少年兵上がりとかかなぁ?」
「それも珍しい気がするけど」
実戦で鍛え上げられたなら、実技のデキの説明はつく。
が、それだと今度は学課の説明がつかない。
シエラの本校へ直接入れるほど戦闘慣れしているようでは、正規教育など受けていないはずだ。
「……よく分かんないね。まぁ、会えば分かるか」
ここで考えても仕方ない。
悩むのが苦手なロアは、そう結論付けた。
「それでその子、いつ引き取るの?」
「昼ごろってたかな。でもイザとなったら、連絡あるだろうし」
言いながらロアは、耳飾りに仕立てた通話石をいじる。
学院が生徒に無償で貸し出している通話石は、何かと便利だ。
こういう場合に呼び出してもらえるし、いろいろ制限はあるものの一対一の直接通話も出来る。
そのほかこの石を使ったシステムは、映像の送信などにも応用され、いまや文明の根幹を成す技術になっていた。
「ほんと、エレニアありがとね。どうにか間に合いそう」
「よかったわね。新入生がっかりさせたら可哀想だもの。
それで、同室なんでしょ?」
「うん、そーなんだよね」
昼食には早いものの、一仕事終えたロアとエレニアは、食堂でおしゃべりに興じていた。
「まさか、夏休み中に新入生が来るなんて、思わなくてさ。
あーあ、これで独り部屋ともサヨナラかぁ」
「ロアったらよく言うわよ。もともと二人部屋なのに、部屋換えのたびに記録に細工して、うまってるように見せかけてたんじゃない」
「それ、言わないでってば」
新入生の世話は、同室の者の役割だ。
そのため空きは年長者の相部屋から、順に埋まっていく。
だがロアは気楽な独りが好きで、新入生が来る春はいつもこっそり記録を書き換え、誰とも相部屋にならないようにしていたのだ。
とはいえずっと記録がそのままでは、怪しまれてしまう。
そのためシーズンが過ぎると元に戻していたのだが、今回はそれがアダになった。
「それにしたって、珍しいよね。普通は最低でも春までは、分校にいるはずなのに」
「そうよねぇ」
シエラ学院はもともとが特殊なうえ、本校は分校からの選りすぐりが集まっている。
授業の進度も速いし、何よりある程度の訓練がされていなければ、実地で即座に落ちこぼれだ。
だからここへの直接入学はほとんどなく、年に一度、選抜試験を通り抜けた分校生が、春に入ってくるだけだった。
「まぁ、よっぽどデキるんだろうけど」
それしか理由は考え付かない。
「そうだとしても、実技をどこで覚えたかよねぇ」
エレニアの言うとおりだった。
学科のほうはまだ分かる。世の中やたらと勉強が出来る人間は、一定数存在するものだ。
だが実技はそうはいかない。だいいち戦闘技術など、普通は身につける術さえない。
「少年兵上がりとかかなぁ?」
「それも珍しい気がするけど」
実戦で鍛え上げられたなら、実技のデキの説明はつく。
が、それだと今度は学課の説明がつかない。
シエラの本校へ直接入れるほど戦闘慣れしているようでは、正規教育など受けていないはずだ。
「……よく分かんないね。まぁ、会えば分かるか」
ここで考えても仕方ない。
悩むのが苦手なロアは、そう結論付けた。
「それでその子、いつ引き取るの?」
「昼ごろってたかな。でもイザとなったら、連絡あるだろうし」
言いながらロアは、耳飾りに仕立てた通話石をいじる。
学院が生徒に無償で貸し出している通話石は、何かと便利だ。
こういう場合に呼び出してもらえるし、いろいろ制限はあるものの一対一の直接通話も出来る。
そのほかこの石を使ったシステムは、映像の送信などにも応用され、いまや文明の根幹を成す技術になっていた。
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