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7月

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ー2010年7月1日ー    

「悠ちゃんには悪い事したからお詫びとして可愛い女の子送ってやったんだけど、どう? タイプ?」   
悠ちゃん「知らんわ。顔見てないし」   

「あーーまあ、お前の親は自分の養子にするみたいだから? どストライクでも結婚は無理だけどな」   
悠ちゃん「養子に?  別に良いや。それよりさっさと男の生殖器に戻してくれよ」    

「…………実はな? お前の同い年の男の生殖器官の数が少ないんだよ。やっぱり年頃の女の子に男の生殖器は辛いんだろうな。女性器形成手術とか受けてな。数が減った」   

悠ちゃん「はああああああ!? そんなもん知るか! 元に戻せよ!」   

「そんな事すれば自殺に走るから結局は変わらん。俺もそういう女の子に子宮与えたりで力割かれてるしそんな暇無い。で、そうなると男も不平不満が出るだろ?」   

悠ちゃん「当然だろ!!」   

「だよな。そこで悠ちゃん、お前そのままでいてくれよ」   

悠ちゃん「嫌に決まってんだろ馬鹿かお前」   

「好みどストライクで優秀な女と愛し合える能力と老衰死するまで無病息災。金には困らない能力をやるけど」    

       マジかやったーー!

悠ちゃん「もう一つ。身長は伸ばしてくれ」    
「うーん……悠ちゃんだと175cmが限界だけど良いか?」    
悠ちゃん「よろしくお願いします!」   「Done!」     

心の中で馬鹿から神様に昇格にしてやった馬鹿との長いお告げも終わって目を開けると目覚まし時計が鳴る前だった。   

実に素晴らしい目覚めである。   
もう生殖器に一喜一憂する必要も無くなった。   
それに女には困らず身長は限界値まで伸びるとは愉快である。   

なのに、尊い犠牲としてしまったペニスと精巣には何とも惨い事をしてしまったという気持ちになる。

心の中で弔う事にする。   
2010年7月1日は特別な日となった。   

父「今日も未来ちゃんの御見舞に行くのか?」   母「ええ。由美は?」  
由美「あたしは学校帰りに寄る」   

父「俺は仕事帰りだな。遅くなったら諦めて真っ直ぐ家に帰ってくる」   

皆もう仲が良い事に気付いた。   
俺はあれから見ていない。  

まだ養生が必要という事は聞いていたし家族になる予定は聞いていなかったから見舞う理由も無いと思っていたのだ。   

父「悠。お前も見舞えよ」   
母「そうよ。行ってあげなさい」   

悠ちゃん「ん?良いけど何? 自分の子にでもするの」   

神様聞いた事を確認の為に聞くと、父と母は驚いた顔をした。   

由美「そうなの? あたしは賛成する」  

父「お、おお。母さんと話し合ってな。由美より3ヶ月早く生まれたから長女になるか」   

悠ちゃん「え? 姉ちゃんと同い年だったの? 俺と同い年だと思ってた」   

母「お母さんもそう思ったんだけど、栄養失調とかのせいでそう見えたみたいよ。今は回復して少しはマシに見えるわ」   

悠ちゃん「ふーん。あ、そうそう。俺もう生殖器交代無いから」   

家族の動きが止まった。   

父「……何で?」   

俺は説明した。  
姉は固まったまま。  
父は呆気に取られた顔。   
母はショックを受けた顔になっていた。   

母「……息子は1人くらい欲しかったのに」   
父「こいつ神に男の魂を売り渡しやがった……」   
悠ちゃん「でも特典はでかいしもう悩まなくて良いから楽だよ」   
由美「で…でも悠ちゃん? 子供作る時どうするの?」   

馬鹿「その時は誰かから生殖器借りてくる。ちゃんと機能果たした物だから心配すんな」   

悠ちゃん「神様俺が寝てなくても話せんのか」   
馬鹿「いやいや。涙を呑んで生殖器交代の権利を放棄してくれた者の質問の対応の為に特別にな」    
父「お前……話せるのか?」   

悠ちゃん「生殖器官交代を放棄した奴の質問に対応する為に特別って言ってる。誰かから借りて着けるから心配すんなだって」   

父「なんだ! じゃあ男と言えば男じゃねえか!」  母「ホッとしたわ……」   

家族はホッと胸を撫で下ろした。   

悠ちゃんは学校にも説明すると、やはり担任もえっ?という風な顔をしていた。   

悠ちゃん「で、プール入りたいんですけど」   先生「ちょっと一度パンツだけの姿になって」   
保健室に連れて行かれた。   

もう二度と来たくないとまで思った保健室にこんなに早く訪れるとは思っていなかった。   

カーテンで覆い隠されたベッドに服を脱いだ。   
先生「うーん……膨らんでるね。乳首は?」   
悠ちゃん「普通の男の乳首ですよ」   
ババア「男子には卑猥かも」   

余計な事言うなババア。   

先生「そうかも知れませんね。女の子みたいに胸を隠した水着なら良いんじゃない」   

悠ちゃん「嫌です。交代が無くなったからってブラジャーみたいなの着けたくないです」   

ババア「もう女の子なんだから良いと思うけど」    
交代が無くなっただけで性別は男だ。   
やはり相容れない中年女である。   

先生「嫌なら諦めて。可哀想だけど」   
悠ちゃん「はぁ……」    

プールに入れないのは続行した。   

先生「でも可愛いの履いてるのね君」    

悠ちゃん「母と姉の趣味です……僕が選んだ訳じゃありません」   

やはり保健室は鬼門の様だった。    

男子も女子もそこら中でベタベタと抱き合ったりしていて、男女の挨拶と化している。   

前から後ろからと引っ付かれるのは良いが勃起した物を押し付けるのはマーキングなのかどうかは知らないが止めて欲しい。   

学校が終わると姉からラインが来た。  
未来の御見舞に行こうとの誘いだった。   
了承して鞄を持ったまま最寄り駅に向かう。  

由美「悠ちゃん。未来ちゃんは少し精神も幼いし怖がるかも知れないけど怒らないでね」   

悠ちゃん「怒んないよ。そんな事で」  

病院に着いて部屋に入ると、綺麗になってはいるが点滴と尿道に管を通されてベッドの柵に尿が入った袋がある。  

頬は痩けているが美人な顔立ちなのは見て分かったのだが、火傷の痕もある。   

煙草の火種だろうか。   
俺を見て驚く。    

未来「誰…!?」   

由美「未来ちゃん、弟の悠だよ。貴女の弟にもなるの」   

未来「弟…? 男の子に見えない…」   
悠ちゃん「悠です」   
未来「うぅ…っ」   

少し不安で怖いのか泣きそうな顔になる。   
可哀想でいたたまれない気持ちになった。   

悠ちゃん「姉ちゃん。俺ロビーにいるから良いよ」由美「…悠ちゃん」   

この時の気持ちを何と表現すれば適切か分からないので割愛する。   

20分程で姉もロビーにやってきた。   

由美「帰ろ」   

帰り道も表現出来ない気持ちのままであった。   
由美「あの子も悠ちゃん以外には慣れてるんだけどね」   

悠ちゃん「ふーん。初対面に近いから怖いのか」 由美「そうだと思う。怒った?」   
悠ちゃん「いや、別に?」   

仕方ない事だから怒りはない。   

母「ずっと虐待受けてたみたいだからね。リハビリも必要って言ってたわ。脳萎縮も起きてるみたい」   

父「そうか。あの子の面倒は父さんと母さんがみるからお前達は心配するな」    

父はそう言うが、そういう訳にもいかないだろう。  
馬鹿「何か言いたそうだな?」   

悠ちゃん「うん。神だと言うならあの女の子治してよ」    

馬鹿「…無理だな。そこまで余裕が無い。他の神の干渉を阻止して生殖器交代してうじゃうじゃと湧いて出た悪魔達を消滅させて生殖器交代を放棄した人間への特典」   

悠ちゃん「それでも神ならなんとかしてよ」   

馬鹿「そうは言うけどな、生殖器交代は世界中の人間だぞ。悪魔達も世界中を監視して見つけるしかない。それに、特典。例えばお前には金にも女にも困らない様にするのでさえ運命を再構築しくしてるんだ」    

悠ちゃん「じゃあ、特典を放棄するよ」   
馬鹿「なんの?」    
悠ちゃん「金には困らない運命」   

馬鹿「それなら身体は治せる。でも精神は無理だぞ」   

悠ちゃん「何で?」   

馬鹿「元々は虐待で死ぬ運命にあった子だ。本来なら感じてきた筈の喜怒哀楽や経験が全く無い。これじゃあ無理だな」   

悠ちゃん「今から経験していくんだから、ブーストしてよ」   

馬鹿「成熟を加速するのは可能だよ。ただそれでも年相応になるのに2、3年は掛かる」   

悠ちゃん「それで良いよ」    

馬鹿「あいよ。お前の金に困らない運命はもう無くなったぞ。まだあるか?」   

悠ちゃん「知能は高く出来ないか?」    

馬鹿「知能も知識と経験による物だからな。ブーストして欲しいなら身長を諦めてくれ」   

悠ちゃん「どれくらい?」   

馬鹿「どれぐらいまで成長させるかにもよる。あの子をどの程度の知能までブーストさせる?」   

悠ちゃん「…平均より少し上?」   

馬鹿「人間を平均させると低いぞ? もっと具体的に言えよ」   

悠ちゃん「俺だとどの程度まで上げられんの?」    
馬鹿「お前は限界値の175cmは達成は無理だな。運命通りだと170cmが限界だったから……6年でIQが101程度だな。日本人の平均より低い」   

悠ちゃん「……俺の170cmを下げたら?」  

馬鹿「お前の運命を楽な方向に変えて余裕が出来るからその分ブースト出来るぞ」    

悠ちゃん「俺今166cmだったっけ。今の身長で止めたらどんな感じ?」   

馬鹿「それだと……6年でIQ120だ。平均より上だな」    

悠ちゃん「それだと遅いなあ……」   
馬鹿「今の身長下げて頭に回す事も出来るぞ?」  悠ちゃん「出来んの?!」   

馬鹿「そりゃあ、お前を構成する物質を回収してその分回すだけだからな。で、下げるか?」    

悠ちゃん「163cmにすれば?」   
馬鹿「……6年でIQ139。高い方だな」    
悠ちゃん「んー……」  

今ひとつといった感じだ。    

馬鹿「ちなみに今までの結果はな。あの子があまり努力せずに過ごすと6年掛かるという意味だ。治してもらったという恩を感じるから早いと思うぞ。精神もな」  

悠ちゃん「それを先に言えよ!」   
馬鹿「治してないからそこまでしか分からんわ!」 悠ちゃん「どうしよ……」   

馬鹿「精神の3年と知能の6年は保証出来る時間だ。あの子次第でどこまで早く伸びるか……」    

努力次第なら、誕生日は知らないが遅くても22、23歳でIQ139なら悪くは無いか。    

悠ちゃん「うん。それで良いや」   

馬鹿「起きた日の昼の2時からスタートで良いか? 医者にも告知して検査の準備させなきゃならんし。お前は起きた時には身長縮んでるけど」    

悠ちゃん「良いよ」  
馬鹿「Done!」     

あまり縮んでる気はしないが。    
あの馬鹿は悪魔なんじゃないかと思い始めた。  

家族は嬉し泣きしながら俺を褒め称えたが、俺はコンプレックスを再開した。 
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