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19話 これはイジメですか!?女の闘いですか!?
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バシャンッ!
ミチルダがトイレに行く為に、学校の廊下を歩いていると後ろからいきなり水が降ってきて、ミチルダのスカート一面が濡れた。
「あ~らごめんなさい。手が滑ったわ。」
ヴィアインの取り巻きの一人であるメイナー伯爵の令嬢のライマヤがわざとらしく謝ってくる。
上級生であるライマヤが階が違うのに何故下級生の廊下にいるのかとか、手が滑ったと言うには、バケツをしっかり持っているとか、そんな疑問はさておき、最近はこんなことが日常茶飯事に起きていた。
ミチルダの姿を見てクスクスと笑うライマヤ。
はあ~、またですわ。
私は水をかけられた事よりも、濡れたスカートと説明をどうするか悩んでいた。
ですが、すぐに授業が始まるのでトイレに急がねば!
「私は大丈夫ですわ!ライマヤ様もお気をつけてくださいね。力がないようですので、重い物は持たれない方がよろしくてよ。それでは失礼致します。」
私はトイレに行く為に急ぎその場を離れた。
私が気にした様子もないのを見たライマヤ様は気分を害したようで、
「貴女にはお似合いの格好よ!」
と一言を言って去って行った。
私は無事にトイレを済ませて、流し台で、はしたないですが濡れたスカートを絞って水分を抜いた。だが、かなり濡れていたので椅子に座ったら下着まで濡れてしまう。
「これは着替えるしかないわね·····。」
実はこんなことをされたのは初めてではなかった。
歩いていると足を引っ掛けられたり、背中を押されて転んだこともあった。
服も汚されたことも何度もある。なので最近では予備服を持ってくるようにしていた。
「これを見たらまた、マリアが怒るわね。」
最初はヴィアイン様より注意を受けた翌日から始まった。
どこから広まったのか(大体検討が付きますが)、次の日からはクラスは勿論、会う人会う人にヒソヒソと何かを言われた。
教室に入ったときに「おはようございます」の挨拶をしても返事をしてくれたのはごく一部だった。
そしてサバラリンを筆頭に周りを囲まれ、ヴィアイン様みたいな質問を受けた。私は正直に答えた。
「信じられない!身分をわきまえないなんて!」
サバラリンは怒ったように言った。
それからは話かけても無視をされるようになった。配られたプリントも投げるように渡されたり、私をスルーして次の人に渡したりと·······所謂イジメというやつでしょうか?
幸い、極一部の人は普通に接してくれました。勿論マリアもそうです。
その方々が居なかったら学校には来ずらかったと思います。
そしてある時······
次の授業は移動教室だった。
「ミチルダ行きましょう!」
マリアにそう言われて急いで教科書を用意し立ち上がった時にいきなり
「ちょっと邪魔よ!」
サバラリンにそう言われて背中をドンと押された。
反射神経の悪い私はそのまま机を倒しながら派手に倒れた。
「イタッ!」
その際にぐぎっと左手首を捻ってしまった。幸いけがはそれくらいで済んだのたが····それを見ていたマリアが激怒。
「ちょっと!ぶっ······サバラリン様、いきなり何をなさるの!」
あっ!今、マリアは豚と言いそうになりましたね!?
「だってこの方が邪魔だったのですもの。クスッ!」
派手に転んだ私を見て、クスクスと笑うサバラリン様と取り巻き達。
「邪魔って、ミチルダは自分の席を立っただけではありませんの!」
「それでも邪魔な者は邪魔なのよ!」
サバラリンは私をきつく睨んだ。
「それに周りの方々もミチルダに対して何なの?ダン様との食事なんてどうってことないでしょう!?ダン様が誰と食事しようが、デートしようが関係ないじゃない!」
マリアは教科書をバンっ!と机を叩いた。
サバラリンはすかさずマリアに言い返す。
「関係あるわよ!いくらお友達の妹だと言っても、それこそ二人きりでアンドリエ公爵様と食事をするなんておかしいわ!アンドリエ公爵様は私たちにとっては雲の上の方なのよ!」
雲の上の人·····ダン様は死んでませんけど····。
「はん!そんなことは貴女方が考えていることであって、こちらには関係ないわ!」
マリアはふざけんな!と言うように腕を組ながら言った。
サバラリンはワナワナと震えながら言った。
「それに私もアンドリエ公爵様の婚約者候補なんですもの!関係あるわ!」
え?サバラリン様も婚約者候補?
と、マリアと私が驚いて思っているとガラッと教室のドアが開いた。
私たちには一斉にそちらを振り向く····と、そこには
「皆さん、ごきげんよう。」
ニッコリと笑うフローラの姿があった。
1ヶ月以上ぶりの再会だった。
フローラの美しさは増していた。気品も前より備わっていた。
ただ前も細かったが、それよりもほっそりした感じがした。
「サバラリンさん、聞かせていただきましたわ。」
フローラの言葉に顔色が青くなっていくサバラリン。
「ミチルダは殿下の大切なお友達であり、自国を救った一人でもあるお方の妹。そして何よりも私の大切なお友達ですわ。その大切なお友達に貴女は先ほどなんてお言葉を言われたのかしら?」
サバラリンは可哀想になるくらいに真っ青になっている。勿論周りの者も。
「すみません!フローラ様!私は·····」
「サバラリンさん、謝る相手が違いましてよ。」
謝ろうとするサバラリンの言葉を止めて、フローラは私に謝るように言った。
サバラリンは悔しそうな顔をして私の方に振り向き謝った。
「ミチルダさん····ご、ごめんなさ····い。」
そして走って教室から出て行った。
それからはクラスメイトからのあからさまな嫌がらせは無くなった······フローラとマリアが側に居たらが付くが。
二人が居ない所では小さな嫌がらせはしてくる。
でもフローラの登場で大分周りが大人しくなったので助かりました。
その代わりに上級生にも嫌がらせを受けるようになった。
それでもフローラが側に居たらされない。
フローラの皇太子の婚約者という肩書きは、周りに多大なる影響を及ぼしているようだ。学校の先生の態度も私達に対してとは違う気がする。そりゃそうよね。将来のこの国の王妃になる人なんだから。
勿論、今日みたいにされた時はマリアが凄く怒る。今日はフローラはお休みしている。学校には週に来ても三回ほど。
やはり王城との勉強との併用は大変みたいです。
それよりもこの服を何とかしないとね·····。
マリアに何て言おうとか悩みながら教室へと向かった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
たまに服を汚したり、怪我をしたりして帰っているので、ケージーお兄様にイジメを疑われているようだ。
最初の手首は捻挫をしていた。どうしてそうなったかは、自分で転んだ時に捻ったと言った。
だからケージーお兄様も
「お前はおっちょこちょいだな!」
と笑って頭をポンポンとしただけだった。だがそれからも、怪我が絶えない私に疑問を持つようになったようで、度々
「何かあったのか?」
「大丈夫なのか?」
と心配して聞いてくるようになった。
ついにはマリアに直接聞きに言ったらしい。
マリアとフローラには、今の現状は黙っていて欲しいとお願いしていた。
マリアには言うべきだ!と言われたが、それはこちらの問題なので絶対に言わないで!と言った。
ダン様にもケージーお兄様にも迷惑がかかると思ったから·····。
マリアは私のいつにない剣幕と、フローラに「今は見守るべきね。言うならもっとひどくなってからにしましょう」とこちらの意見に賛成だったので、渋々だが承諾をしてくれた。
フローラ曰く、何とかミチルダを蹴落として、自分がダン様の婚約者になりたいと、無駄な女の闘いをやっている。色々とされたことを書面で残し、破れた服とかは証拠として残して後で、アレをすればいいと······。
アレとは何をするのでしょう?フローラのニヤリと意地の悪そうな顔をしたのが忘れられません!
ところで、これは女の闘いなんですか?
何の女の闘いなんでしょう?
それを二人に聞くと、二人とも頭を抱えて何も応えてくれませんでした!何故ーー!?
ミチルダはダンを巡って争っていると思ってもいなかった。
本人は参戦した記憶もない。当然だ。だってダンの行動が引き起こしたことだから。
あとフローラに聞いたのですが、ダン様には婚約者どころか、婚約者候補も居ないとのこと。ガストン皇太子にわざわざ聞いてくれたらしい。
私もケージーお兄様に確認したら
「ダンに婚約者候補!?聞いたこともないぞ!それはあり得ない!」
とおっしゃっていた。その後に「それが本当なら本人をシバク!」と言ってました。何故シバクくのでしょうか?
その後、ダン様に直接確認したようで、
「やっぱりダンには婚約者も婚約者候補もいないそうだ。安心しろ」
と教えてくれた。
安心しろとはどういう意味でしょうか·····。ですがダン様みたいな方に婚約者どころか候補まで居ないとは·······。
これからは自重をしないといけないと思いつつ、ダン様はプレゼントを相変わらず毎回持ってくる。そして食事にも誘ってくる。
私は
「前回のお食事はとても美味しかったのですが、そのお店はやはり私の身丈に合っていないので·····。それにダン様が私なんかを他の方に見られると大変になられると思うので。」
と断った。勿論プレゼントも。
でも毎回プレゼントを持ってきて、食事に誘う。
しかも
「大丈夫だ。貸し切りにしたから」
と、ニッコリとされ言われた·····。
隣で聞いていたケージーお兄様は「ヒュー」と口笛を鳴らし、「やるなあ!」と感心していた。
あのお店を貸し切り!一体どれくらいのお金がかかるのでしょうか····。
貸し切りまでされたら、断れるはずもなく·····。
今度は、アンドリエ公爵がベラジューレを頻繁に貸し切りをしている!何故か!と周りの好奇心を煽り、
「どうやら女性と行っているらしい」と話題になり、ダン様の隣を狙っている貴族がその相手を躍起になって探しているとマリア情報で知った。
·····とてもヤバい状況なのでは····。私はダン様の恋人でも何でもないのに·····。
そんな話題もあり、フローラ曰くの「女の闘い」に拍車がかかっているのかもしれない。
そしてある日のこと
朝の会の時に担任の先生が顔を紅潮させて興奮気味に言った。
「突然ですが、明後日はマリンベール学園に見学に行くことになりました!」
「「「「「「えーー?」」」」」」
クラス全員が驚きの声を上げる。
先生は私達の反応を見て、嬉しそうに頷いた。
「そうです。今後の貴方たちの進路の参考になったらと思い、特に厳しくてエリートも出しているマリンベール学園にはずっと打診をしていましたが、今回初めて許可が出ました!」
「「「「「「うわぁぁぁ!」」」」」」
歓喜の嵐。拍手もする者もいる。
「今回で最初で最後になるかもしれません。皆さん、お行儀よく、しっかりと先輩の勉強姿を見学しましょう!」
その日は皆の興奮が治まることは無かった。
それをケージーお兄様に報告したら、かなり驚いていた。
だが、
「めったにないことだからしっかり見学するんだぞ!」
と言って、すぐに家を出て行きました。
そして次の日も皆の興奮が治まってなく、返って興奮が増しているような感じだった。
それは学校中がそうで、どうやら貴族のクラスは全学年が行くことになったようだ。
マリア曰く、
「ちょっとしたお祭りね。何かが起こりそうだわ。絶対に何かが起こるわ!」
と不吉なことを言った。
今日は学校に来ていたフローラも頷いて
「そうね!面白いことが起こる予感がするわ!明日は絶対に参加しなくちゃ!」
と拳を握った。フローラの顔には何故かやる気に満ちている。
ともあれ、皆が楽しみにしている日が訪れた。
ミチルダがトイレに行く為に、学校の廊下を歩いていると後ろからいきなり水が降ってきて、ミチルダのスカート一面が濡れた。
「あ~らごめんなさい。手が滑ったわ。」
ヴィアインの取り巻きの一人であるメイナー伯爵の令嬢のライマヤがわざとらしく謝ってくる。
上級生であるライマヤが階が違うのに何故下級生の廊下にいるのかとか、手が滑ったと言うには、バケツをしっかり持っているとか、そんな疑問はさておき、最近はこんなことが日常茶飯事に起きていた。
ミチルダの姿を見てクスクスと笑うライマヤ。
はあ~、またですわ。
私は水をかけられた事よりも、濡れたスカートと説明をどうするか悩んでいた。
ですが、すぐに授業が始まるのでトイレに急がねば!
「私は大丈夫ですわ!ライマヤ様もお気をつけてくださいね。力がないようですので、重い物は持たれない方がよろしくてよ。それでは失礼致します。」
私はトイレに行く為に急ぎその場を離れた。
私が気にした様子もないのを見たライマヤ様は気分を害したようで、
「貴女にはお似合いの格好よ!」
と一言を言って去って行った。
私は無事にトイレを済ませて、流し台で、はしたないですが濡れたスカートを絞って水分を抜いた。だが、かなり濡れていたので椅子に座ったら下着まで濡れてしまう。
「これは着替えるしかないわね·····。」
実はこんなことをされたのは初めてではなかった。
歩いていると足を引っ掛けられたり、背中を押されて転んだこともあった。
服も汚されたことも何度もある。なので最近では予備服を持ってくるようにしていた。
「これを見たらまた、マリアが怒るわね。」
最初はヴィアイン様より注意を受けた翌日から始まった。
どこから広まったのか(大体検討が付きますが)、次の日からはクラスは勿論、会う人会う人にヒソヒソと何かを言われた。
教室に入ったときに「おはようございます」の挨拶をしても返事をしてくれたのはごく一部だった。
そしてサバラリンを筆頭に周りを囲まれ、ヴィアイン様みたいな質問を受けた。私は正直に答えた。
「信じられない!身分をわきまえないなんて!」
サバラリンは怒ったように言った。
それからは話かけても無視をされるようになった。配られたプリントも投げるように渡されたり、私をスルーして次の人に渡したりと·······所謂イジメというやつでしょうか?
幸い、極一部の人は普通に接してくれました。勿論マリアもそうです。
その方々が居なかったら学校には来ずらかったと思います。
そしてある時······
次の授業は移動教室だった。
「ミチルダ行きましょう!」
マリアにそう言われて急いで教科書を用意し立ち上がった時にいきなり
「ちょっと邪魔よ!」
サバラリンにそう言われて背中をドンと押された。
反射神経の悪い私はそのまま机を倒しながら派手に倒れた。
「イタッ!」
その際にぐぎっと左手首を捻ってしまった。幸いけがはそれくらいで済んだのたが····それを見ていたマリアが激怒。
「ちょっと!ぶっ······サバラリン様、いきなり何をなさるの!」
あっ!今、マリアは豚と言いそうになりましたね!?
「だってこの方が邪魔だったのですもの。クスッ!」
派手に転んだ私を見て、クスクスと笑うサバラリン様と取り巻き達。
「邪魔って、ミチルダは自分の席を立っただけではありませんの!」
「それでも邪魔な者は邪魔なのよ!」
サバラリンは私をきつく睨んだ。
「それに周りの方々もミチルダに対して何なの?ダン様との食事なんてどうってことないでしょう!?ダン様が誰と食事しようが、デートしようが関係ないじゃない!」
マリアは教科書をバンっ!と机を叩いた。
サバラリンはすかさずマリアに言い返す。
「関係あるわよ!いくらお友達の妹だと言っても、それこそ二人きりでアンドリエ公爵様と食事をするなんておかしいわ!アンドリエ公爵様は私たちにとっては雲の上の方なのよ!」
雲の上の人·····ダン様は死んでませんけど····。
「はん!そんなことは貴女方が考えていることであって、こちらには関係ないわ!」
マリアはふざけんな!と言うように腕を組ながら言った。
サバラリンはワナワナと震えながら言った。
「それに私もアンドリエ公爵様の婚約者候補なんですもの!関係あるわ!」
え?サバラリン様も婚約者候補?
と、マリアと私が驚いて思っているとガラッと教室のドアが開いた。
私たちには一斉にそちらを振り向く····と、そこには
「皆さん、ごきげんよう。」
ニッコリと笑うフローラの姿があった。
1ヶ月以上ぶりの再会だった。
フローラの美しさは増していた。気品も前より備わっていた。
ただ前も細かったが、それよりもほっそりした感じがした。
「サバラリンさん、聞かせていただきましたわ。」
フローラの言葉に顔色が青くなっていくサバラリン。
「ミチルダは殿下の大切なお友達であり、自国を救った一人でもあるお方の妹。そして何よりも私の大切なお友達ですわ。その大切なお友達に貴女は先ほどなんてお言葉を言われたのかしら?」
サバラリンは可哀想になるくらいに真っ青になっている。勿論周りの者も。
「すみません!フローラ様!私は·····」
「サバラリンさん、謝る相手が違いましてよ。」
謝ろうとするサバラリンの言葉を止めて、フローラは私に謝るように言った。
サバラリンは悔しそうな顔をして私の方に振り向き謝った。
「ミチルダさん····ご、ごめんなさ····い。」
そして走って教室から出て行った。
それからはクラスメイトからのあからさまな嫌がらせは無くなった······フローラとマリアが側に居たらが付くが。
二人が居ない所では小さな嫌がらせはしてくる。
でもフローラの登場で大分周りが大人しくなったので助かりました。
その代わりに上級生にも嫌がらせを受けるようになった。
それでもフローラが側に居たらされない。
フローラの皇太子の婚約者という肩書きは、周りに多大なる影響を及ぼしているようだ。学校の先生の態度も私達に対してとは違う気がする。そりゃそうよね。将来のこの国の王妃になる人なんだから。
勿論、今日みたいにされた時はマリアが凄く怒る。今日はフローラはお休みしている。学校には週に来ても三回ほど。
やはり王城との勉強との併用は大変みたいです。
それよりもこの服を何とかしないとね·····。
マリアに何て言おうとか悩みながら教室へと向かった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
たまに服を汚したり、怪我をしたりして帰っているので、ケージーお兄様にイジメを疑われているようだ。
最初の手首は捻挫をしていた。どうしてそうなったかは、自分で転んだ時に捻ったと言った。
だからケージーお兄様も
「お前はおっちょこちょいだな!」
と笑って頭をポンポンとしただけだった。だがそれからも、怪我が絶えない私に疑問を持つようになったようで、度々
「何かあったのか?」
「大丈夫なのか?」
と心配して聞いてくるようになった。
ついにはマリアに直接聞きに言ったらしい。
マリアとフローラには、今の現状は黙っていて欲しいとお願いしていた。
マリアには言うべきだ!と言われたが、それはこちらの問題なので絶対に言わないで!と言った。
ダン様にもケージーお兄様にも迷惑がかかると思ったから·····。
マリアは私のいつにない剣幕と、フローラに「今は見守るべきね。言うならもっとひどくなってからにしましょう」とこちらの意見に賛成だったので、渋々だが承諾をしてくれた。
フローラ曰く、何とかミチルダを蹴落として、自分がダン様の婚約者になりたいと、無駄な女の闘いをやっている。色々とされたことを書面で残し、破れた服とかは証拠として残して後で、アレをすればいいと······。
アレとは何をするのでしょう?フローラのニヤリと意地の悪そうな顔をしたのが忘れられません!
ところで、これは女の闘いなんですか?
何の女の闘いなんでしょう?
それを二人に聞くと、二人とも頭を抱えて何も応えてくれませんでした!何故ーー!?
ミチルダはダンを巡って争っていると思ってもいなかった。
本人は参戦した記憶もない。当然だ。だってダンの行動が引き起こしたことだから。
あとフローラに聞いたのですが、ダン様には婚約者どころか、婚約者候補も居ないとのこと。ガストン皇太子にわざわざ聞いてくれたらしい。
私もケージーお兄様に確認したら
「ダンに婚約者候補!?聞いたこともないぞ!それはあり得ない!」
とおっしゃっていた。その後に「それが本当なら本人をシバク!」と言ってました。何故シバクくのでしょうか?
その後、ダン様に直接確認したようで、
「やっぱりダンには婚約者も婚約者候補もいないそうだ。安心しろ」
と教えてくれた。
安心しろとはどういう意味でしょうか·····。ですがダン様みたいな方に婚約者どころか候補まで居ないとは·······。
これからは自重をしないといけないと思いつつ、ダン様はプレゼントを相変わらず毎回持ってくる。そして食事にも誘ってくる。
私は
「前回のお食事はとても美味しかったのですが、そのお店はやはり私の身丈に合っていないので·····。それにダン様が私なんかを他の方に見られると大変になられると思うので。」
と断った。勿論プレゼントも。
でも毎回プレゼントを持ってきて、食事に誘う。
しかも
「大丈夫だ。貸し切りにしたから」
と、ニッコリとされ言われた·····。
隣で聞いていたケージーお兄様は「ヒュー」と口笛を鳴らし、「やるなあ!」と感心していた。
あのお店を貸し切り!一体どれくらいのお金がかかるのでしょうか····。
貸し切りまでされたら、断れるはずもなく·····。
今度は、アンドリエ公爵がベラジューレを頻繁に貸し切りをしている!何故か!と周りの好奇心を煽り、
「どうやら女性と行っているらしい」と話題になり、ダン様の隣を狙っている貴族がその相手を躍起になって探しているとマリア情報で知った。
·····とてもヤバい状況なのでは····。私はダン様の恋人でも何でもないのに·····。
そんな話題もあり、フローラ曰くの「女の闘い」に拍車がかかっているのかもしれない。
そしてある日のこと
朝の会の時に担任の先生が顔を紅潮させて興奮気味に言った。
「突然ですが、明後日はマリンベール学園に見学に行くことになりました!」
「「「「「「えーー?」」」」」」
クラス全員が驚きの声を上げる。
先生は私達の反応を見て、嬉しそうに頷いた。
「そうです。今後の貴方たちの進路の参考になったらと思い、特に厳しくてエリートも出しているマリンベール学園にはずっと打診をしていましたが、今回初めて許可が出ました!」
「「「「「「うわぁぁぁ!」」」」」」
歓喜の嵐。拍手もする者もいる。
「今回で最初で最後になるかもしれません。皆さん、お行儀よく、しっかりと先輩の勉強姿を見学しましょう!」
その日は皆の興奮が治まることは無かった。
それをケージーお兄様に報告したら、かなり驚いていた。
だが、
「めったにないことだからしっかり見学するんだぞ!」
と言って、すぐに家を出て行きました。
そして次の日も皆の興奮が治まってなく、返って興奮が増しているような感じだった。
それは学校中がそうで、どうやら貴族のクラスは全学年が行くことになったようだ。
マリア曰く、
「ちょっとしたお祭りね。何かが起こりそうだわ。絶対に何かが起こるわ!」
と不吉なことを言った。
今日は学校に来ていたフローラも頷いて
「そうね!面白いことが起こる予感がするわ!明日は絶対に参加しなくちゃ!」
と拳を握った。フローラの顔には何故かやる気に満ちている。
ともあれ、皆が楽しみにしている日が訪れた。
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