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13話 お礼に花束を!?

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 舞踏会があった日から3日間が経とうとしていた。学校もいつもの日常に戻りつつあった。一つを除いては·······。

「今日もフローラは欠席したわね。」

 午前中の授業が終わり、お昼休憩になった。
 今日は天気がいいのでいつもの中庭のベンチで、マリアと一緒にお弁当を食べていた。

「そうね。どうしたのかしら?」

 マリアは、私が手作りをしたオークの肉を焼いてパンで挟んだ食べ物を、ひょいと取り勢いよく齧かじりついた。

「あ、それ私のよマリア!」

 文句を言うと

「う~ん♪うひゃまい!!」

 と何を言っているか分からないが、笑顔なので「美味しい」と言っているのであろう。
 そして自分のお弁当箱からラビーの肉と野菜を炒めたものを少し分けてくれた。

 マリアはパクパクとオーク肉を挟んだパンを食べ終ると話しの続きを始めた。

「何かあったのかな?こんなに休んだの初めてじゃない?」

 確かにフローラは家の用事以外では、滅多に学校は休んだことはなかった。

 二人で学校が終わったらフローラのお屋敷に行ってみることにした。
 勿論、マリアの馬車に便乗させてもらいます!


 キーンコーン カーンコーンと授業の終わりの合図の鐘の音がなった。

 皆、バタバタと帰る用意を始める。

 私もすぐに帰る準備をして、馬車が待機している場所に向かっていたが、木の影から呼び止められた。

「マリア様、ミチルダ様」

 私たちは声のする方を見ると、フローラ専属のメイドのハーマニーが立っていた。

 手には買い物したのか大きな袋を提げていた。

 マリアが先に反応をした。

「あら、確かフローラのメイドの······」

「はい。ハーマニーでございます。」

 ハーマニーは私達に深々とお辞儀をした。

「フローラは元気?舞踏会の日から見かけないし、学校にも来ないから心配していたところなの。」

 私はハーマニーの所へ小走りで近づいて聞いた。
 ハーマニーは少し暗い顔をしながら教えてくれた。

「フローラお嬢様は身体は元気なのですが······さぎ込んでおります。」

さぎ込んでって、何かありましたの?」

 あの日に何かあったのしから!?

「申し訳ございません。私の口からは······。実はマリア様とミチルダ様に、フローラ様からお手紙を渡すようにと仰せつかりましたので、こちらでお待ちしておりました。」

 ハーマニーはそう言って、私達二人に手紙を差し出す。私達はそれを受け取った。

「では、私はこれにて失礼致します。」

 ハーマニーはまた深々とお辞儀をして去って行った。

 私達は急いで、はしたないですが手で封筒を開け手紙を読んだ。

 内容は二人とも一緒だった。


      助けを求む!!
    明日の午前10時に屋敷に来られたし!


                    フローラ


 何かいつものフローラと違う文面だった。
 これは大変なことが起きているかもしれないと、マリアと顔を見合わせたのだった。






 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 帰りはマリアが送ってくれると言ったが、歩いきたい気分だったので断った。
 明日は9時半にマリアが迎えに来てくれると言うことで、学校の門で別れた。


 のどかな道を歩きながら、フローラ大丈夫かな?助けてってどういうことなんだろうかと考えていたら、いつの間にか家に到着していた。
 そして私は現実に戻り急いで夕飯の支度に取りかかる為、玄関のドアを開けた。

「ミチルダ、お帰り。」

 と声を掛けてくれのはケージーお兄様だった。
 あれ?
 いつもはまだ学校から帰ってない時間なのに·······。

「ケージーお兄様、今日は早いんですね。」

「うーん?そうか?たまにはいいだろう?学校が早く終わったんだ。」

 何か歯切れの悪い返答です。

 ケージーお兄様はそのまま二階へ上がり、自分の部屋へと行ってしまった。

「変なケージーお兄様。それよりも早く夕飯の準備をしなくちゃ!」

 私も着替えをする為に自分の部屋へと向かった。



 ホワイトソースを作り、耐熱皿に野菜小さく切った物とパンをちぎって詰め込む。そして自家製のチーズをのせて·····

「ふぅ!これで窯に入れて焼くだけだわ!」

 4つの皿を窯に入れて薪に魔法で火をつける。

「20分くらいで出来るわね。」

 その間にスープでも作ろうと思い、野菜に手をかけた時に庭師のタマリが入ってきた。

「ミチルダお嬢様。」

「タマリ、どうしたの?」

「ミチルダお嬢様にお客様でございます。」

「お客様?誰かしら?」
こんな時間に?マリアじゃないわよね·····。

「とても綺麗な男性の方です。ミチルダお嬢様をお呼びでございます。門前でお待ちしております。」

 綺麗な男性?誰かしら?

「そう······すぐ行くわ。」

 私は急いで門に向かう。
 するとそこには·····。この田舎に不似合いな立派な馬車が停まっていた。
 そして門の前に立っているのは、これまた田舎は似合わない、周りの空気がキラキラしている美形な男性。

「ダン様!」

 そう、ダン様が立っていた。

「どうかなさったのですか?私ではなくてゲージお兄様に用事ではないのですか?」

「·····いや、君に·····」

「はあ·····私にですか····何でしょう?」

 そう言って、ダン様の手元を見ると豪華で綺麗な大きい花束を持っていた。
 ダン様をチラッと見ると、何か目が泳いでおり何を話すか迷っている感じだった。花束を右手から左手に持ちかけたりと、少し忙しい感じにしている。

 何て綺麗な花なんでしょ!見たことのない花がいくつかある。
 私はとても綺麗な花束だったので、私も欲しくなりどこで買ってきたのか知りたくて聞いた。

「ダン様、その花束はどうされたのですか?」

 ダン様は、ごくりと喉を鳴らした。どうやら緊張しているようだった。
 ダン様は一呼吸をして花束を私に差しだした。

「····この花束は君に持ってきたんだ。」

「え·····?」

 この豪華な花束を私に?何故?

 ·····あっ!もしかしたら、前に学園で会った時にクールミパンを差し上げたお礼?
 きっとそうね!それ以外にこんな豪華な花束なんて貰う理由なんてないもの!

 私はその豪華な花束を大事に受け取った。そして感謝の言葉言うのとダン様の声が重なった。

「ミチルダ、良かったら·····「ダン様ありがとうございます!」」

「え?ああ····」

「この花束は、クールミパンのお礼ですか?」

「は?いや···ちが····」

ダン様は何かボソボソと言っている感じがしたが、お構い無しに嬉しい気持ちを言う。

「気にしなくても良かったですのに!でもクールミパンを気に入って頂けたようで嬉しいですわ。」

「確かにクールミパンは美味しかったが、私が言いたいのは····」

「そう言って頂けだけて嬉しいですわ!わざわざこんなに豪華な花束まで頂けるなんて私は何で幸せ者なんでしょう!」

「いや、だから花束はちが····「ちょっと待っててください!今朝焼いたクールミパンがありますので用意してきますね!」」

あら?またダン様と声が重なったかしら?
でも待たせてはいけないので私は急いできびすを返す。

「ミチルダちょっと待ってくれ!」

 ダンは急いでミチルダの手を掴もうとしたが、ミチルダはそれをスルリと交わした。(本人は無意識)そして屋敷へと向かった。
 ダンの手は虚しいかな····空振りのままの状態で顔は呆然としていた。


 私は急いで家に入った時にケージーお兄様とすれ違った。台所へ行きルンルン気分でクールミパンを袋に包んだ。


 ~◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□

 ケージーはミチルダをすれ違って、そのまま門へと向かった。

 ダンはあまりの展開についていけなかったようで、手が変な状態で止まっている。

 ケージーは事の成り行きを二階の自分の部屋の窓から見ていた。
 実は、ケージーは今日、ダンが来ることを知っていた。
 そしてミチルダを食事に誘うつもりだったことも······。

 ケージーは呆けているダンにポンッと肩を叩き、いい笑顔で言った。

「お前のそんな顔初めて見たわ!ちゃんとはっきり言わないとミチルダは分からんぞ!その手の話しはてんでダメだからな。恋沙汰関係は気づかんぞ!まあ、今回はミチルダが右斜め上に勘違いしたのもあるがな!アーハハハッ!」

 ·····ダンは自分から女性をデートに誘ったことなどなかったのだ。何せ誘われたことしかない。誘われるのは慣れていても誘うことは慣れていないのだ。



 その後、クールミパンを持ってきたミチルダに思いきって食事を誘ったが······

「ごめんなさい·····もう夕飯を作ってますので·····」

 と断られたのは言うまでもない。

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