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5話 初めてじゃないぞ?
しおりを挟むケージーお兄様に門まで送って貰った後は急いで学園へと向かった。その甲斐があって何とか学校の時間に間に合った。
そしてあっという間にお昼休みになった。
「ミチルダ、来るのが遅かったわね?」
「フローラごきげんよう。ええ。用事があって寄り道をしてきたの。思ったより遅くなって焦りましたわ。」
「あまりに来るの遅いから人拐いにでもあったかと思ったわ!」
「ふふふ。私なんて誘拐しても得などございませんわ。マリア。」
「あら、そんなことないわよ。このあどけない顔に、この犯罪くさい大きなおっぱいをしているもの!」
マリアはそう言うといつものように、私のおっぱいを鷲掴みをしてモミモミをし始めた。
「マリア!止めてくだい!」
「ふふふ♪」
私の反応に楽しそうに、私の胸を遠慮なしに揉んでいるのが、マリア・リンス・マージュリー伯爵令嬢。
それを止めずに、やれやれという顔でこちらをみているのが、フローラ・ハナフ・ゴールデン公爵令嬢。
マリアはライトブラウンの髪色で、天然パーマが入っていて髪の毛がふわふわしている。目の色は濃い緑色をしていて、くっきり二重瞼のくりくりした大きな猫目をしていて、とても可愛いらしい感じの女の子だ。
フローラの方は金髪にお尻の下まで伸ばしているストレートの長髪。瞳の色も金色でとても綺麗だ。二重瞼で大きな目をしているが、少し切れ長で、雰囲気も可愛いというより綺麗な感じの女の子だ。
私の大切な親友と言えるお友達。
二人とも、勿論私より爵位は上。本来なら呼び捨てでなんて出来ないのだけれど、
「ここは学校よ。学ぶ所よ。身分なんて関係ないわ。私ことはフローラって呼んでちょうだい。壁があるようで嫌なの。」
「私は親しいお友達には敬称なんて付けて欲しくないわ!」
と、二人の要望により敬称なしの名前だけで呼ぶようになったけれど·····最初はやはり呼べなくて、どうしても「様」を付けてしまっていた。
するとマリアが
「敬称を付けることに胸モミモミの刑よ!」
と言い、それからは私が敬称を付けるごとに胸を揉むというのが繰り返された。
それが気に入ったのか、名前で呼べるようになってもマリアは事あるこどに胸を揉むようになっていた。
「そろそろ止めなさいマリア。ところでミチルダ、どこに寄り道をしていたの?」
私の胸を揉んでいたマリアの手をペチッとフローラが叩き落とした。
マリアは「せっかく堪能してたのに!」と少し頬を膨らませた。
「ケージーお兄様がお弁当を忘れていったのでマリーベル学園に行ってましたの。」
「あら、そうなの?あそこは入るのにもかなり厳しい検査がなかったかしら?」
「そうそう!マリーベルは英雄五人ともに通ってるから、女どもが押し掛けて大変だったみたいで、かなり検査が厳しくなったって聞いてるわ。」
「確かに、身分証明を見せましたしケージーお兄様にも確認をしてましたわ。」
「ええ。あそこは兄弟かご両親しか入れないことになってるから。私は学園に入りたくても、上は御姉様しか居ないから無理だわ。弟が入ったらやっと入れるって感じね。」
フローラは三人姉妹の三番目になる。愛妾の子を入れると姉弟は10人になるそう。弟とはその愛妾の子になる。
「私の方はお兄様は違う学園に行っているから全くマリーベルには入れない·····。」
マリアは二人兄妹だった。マリアのお兄様は残念ながらマリーベル学園を受験して落ちたらしく、マリーベル学園より少しランクが下がるシューベル学園へ通っていた。
「それよりも!クールミパンの匂いがするわ!」
マリア·····相変わらず嗅覚が優れてますわ。
「ええ。ケージーお兄様におやつに····「私たちの分は!?」」
マリア·····最後まで言わせてちょうだい。
「ごめんなさい。ないの。」
「ええー!ミチルダの作ったクールミパン好きなのにぃ~」
おもいっきり嘆いているマリアだった。
本当はフローラ達の分も作っていたのだけれど、ケージーお兄様が「俺も食べたかったクールミパン。」「俺の好きなクールミパン。」「ああ、くそ!ダンの奴、俺の楽しみを奪いやがって!許せん!」とかを、門に着くまで文句をブツブツと言っていたので根負けして渡してしまったのだ。
「本当にごめんなさい。また作って持ってくるので許してね?」
私がもう一度謝ると、マリアは嘆いている顔からニヤリと悪い顔をして
「罰として、おっぱいモミモミの刑よ!」
マリアが両手をワキワキして迫ってくる。
私は、またもやマリアに胸を揉まれることとなった。
□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆
その日の夕方。
「帰ったぞ。」
ケージーお兄様が学園から帰ってきた。
「ケージーお兄様お帰りなさい。もうすぐしたら夕御飯ができますわ。」
本日はラビのお肉を使ったシチューを作った。キャベツサラダを用意して終わりだった。
今日はお父様もお母様も王宮の舞踏会に行っており二人だけの食事となった。
夕御飯の用意もでき、二人で食事をしていたらケージーお兄様が朝の学園での事のお話しを始めた。
「ダンがクールミパン美味しかったと言っていたぞ。」
「それは良かったですわ!」
「······とうとうダンと会ってしまったな。」
ケージーお兄様は食事していた手を止めて、ため息をついた。
「あら、偶然ですわ。」
「分かっているさ。俺がダンにお前を会わせたくなかったんだよ。」
「そんなに私にダン様を会わせたくなかったのですか?」
「違う。ダンにお前を会わせたくなかったんだ。」
どう違うのかしら?
「ダンに会って見てどうだ?」
「噂通りでしたわ!私には格好いいというか、とても綺麗な方だなとの印象でした。偶然とは言えダン様に初めてお会いできて光栄ですわ。」
私がそう答えると、ケージーお兄様は呆れたような顔をした。
「ミチルダ、お前本当に覚えてないんだな。」
「?」
「ダンと会ったのは、今日が初めてじゃないぞ?」
「えっ?えぇぇー!?」
私はあまりにもケージーお兄様の一言に驚き、カコンッと持っていたスプーンを落としてしまった。
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