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27話 真相を聞く

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 嵐の如く、エンジェレ様やお兄様達が去った後も騒然としました。



「ガストン様は、エンジェレ様とダン様のことは何も仰ってなかったわ。」


 フローラは頭を傾げながら言った。


「それに王女様と、片や国一番の英雄だもの、婚約なんてしてたら国中.....ううん、周りの国々にも話題になってるはずよ。」


「そうよね.....。話題にならない方がおかしわよね。」


 マリアもフローラの言葉に直ぐ賛同する。


「とりあえず、城に帰ったらガストン様に確認してみるわ。」


 フローラはなぜか気合いを入れている。


「その方が良いわね!」


 マリアもなぜか、右手に握り拳をつくり大きく頷いた。


 そして後ろから強い視線を感じ振り向いたら沢山の女生徒達が両手に握り拳を作り真剣な顔をしていた。


「「「「宜しくお願いします!!!」」」」


 一斉に頭を下げられお願いされてしまいました。そしてチラッと私の顔を見ます。



「....私もケージーお兄様に聞いてみますわ。」


 私の言葉に皆さんホッとしたうな顔をしました。

 私も皆さんの顔を見てホッとしたとこりに両肩にポンと手を置く親友二人。


「ミチルダ、大丈夫よ。」


 右を向くと、フローラが素敵な笑顔を向けてきました。


「うん!きっと大丈夫よ!」


 今度は左からマリアが......満面な笑みで私を見つめています。


 ......二人共....何が大丈夫なんでしょうか?







 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆





 その日の夜、ケージーお兄様にお話を聞くべく待っておりましたが、夕飯の時も、お風呂から上がって、リビングで待っていてもなかなか帰ってきませんでした。

 かなり疲れていたのか、私は

 そのままでいつの間にかソファーで寝てしまいました。



 朝はベッドで目が覚めました。


 いつの間に.....。


 頭が、ボーとする中、時間を確認すると既に6時を少し回っていた。

 あっ!朝ごはん作らなくては!!


 急いで着替えて下へ降りて、台所に向かうとリビングのソファーに座って、じっと壁を見ているケージーお兄様がいた。


「ケージーお兄様!」


 私はケージーお兄様に駆け寄り顔を見たら、何やらげっそりされてます。


「ケージーお兄様?」


 かなりお疲れのようです。

 これは早くご飯を食べて元気を取り戻して貰わないといけませんね!


「すぐに朝食作りますね。」


 すぐさま朝食作りに取りかかろうとしたらケージーお兄様に呼び止められました。


「ミチルダ、昨日は何もなかったか?」


「??ええ。昨日は楽しく見学させて頂きましたわ。」


 ケージーお兄様はムッとした顔になりました。


「本当に?」


「はい!」


「....なら良い。」


「あっ!ケージーお兄様に昨日のことで聞きたいことがあるのですが....。」


「何が聞きたいが想像がつくが...何だ?」


「えーと、その前にご飯を作りますね!学校に遅刻してしまいますから!食事の時でも聞きますね!」


 私の言葉を聞いたケージーお兄様は呆れたような顔をされました。


「ミチルダ....今日は土曜日だぞ。」


「え?」


「......。相変わらず、どこか抜けてるな」


 ケージーお兄様は苦笑いをしている。でも本日の笑顔?を見れましたわ。


 私はケージお兄様の苦笑に対して笑顔で返した。


 ケージーお兄様は少しため息を吐き、話し出した。


「お前が聞きたいのはエンジェレ様とダンのことだろう。エンジェレ様がおっしゃったことは半分当たっていて、半分は違う。」


「?」


「ガストンが言うには、エンジェレ様は降家してダンと結婚したいと言い出したらしい。可愛い妹にねだられて、ダンに話を持っていったが、最初は断られたらしい。だがガストンは結構強引に婚約を取り付けたらしいんだが.....。」


「無理矢理ということですか??ですがやはりお二人は婚約されてたのでは?」


「その辺はややこしいのだが、ガストンとダンである約束事がいくつか交わされた。まあダンが妥協した感じなのだが、その約束事の一つでエンジェレ様には17歳になる時まで内緒にしておくこと。それまでは仮の婚約ということでダンが了承したらしい。。」


 なんか複雑ですわね.....。

 では何故エンジェレ様は?


「で、ガストンのやつがやらかしたんだと。」


「やらかした...ですか?」


「そうだ。エンジェレ様には打診はしていて、返答待ちだとは言っていたらしいのだが、かなりしつこく「まだなのか」と聞いてきたらしのだが、ガストンがかわし続けたのに堪忍袋が切れたのか、しまいには本人に返事を聞きに行くとまで言ったらしく、思わず「」と言ってしまったんだと。で、エンジェレ様は何故か「」を結婚と勘違いして、婚約できたと思ったみたいなんだよな。」


 エンジェレ様の勘違い....ですか....。

 エンジェレ様は魅力的な方なのに、ダン様にはその気がなかったということなんですね。世間が羨む美男美女のカップルになると思いますが....勿体ない気がしますわ。


「ガストンは取り敢えず妹に甘いんだ。甘やかすから我が儘になる。もし、俺に打診されたら即効断る!!」


 ケージーお兄様は拳を握りしめ力説する。

 ですがケージーお兄様、ダン様は公爵のご身分だから断ることはできるかもしれませんが、我が家の身分は男爵、万が一お話がきたら断れないと思いますが.....。


「まあ早い話がその約束事で、婚約の話はなくなったんだ。それをエンジェレ様に伝えたら、ガストンの話を最後まで聞かず癇癪起こしてダンに真相を聞きに学園まで来た.....というのが昨日の経緯だったらしい。全く人騒がせな!」


 今度は拳をプルプルさせながら怒っている。


「この件に関しては、学園でもお偉いさんかいたから、当たり前だがガストンが何とかするそうだ。俺らにはどうすることもできないし関係ないからほっとくことにする!」


 え?ほっとくのですか?確かに私達では手が余る事ですから、どうすることもできないませんわね。

 取り敢えず真相は解りましたので、フローラとマリアに明後日にでも学校で報告ですわね。あれ?報告しても大丈夫かしら?まあ、フローラもガストン殿下に聞いてると思うので、そちらの先に聞いてからにしましょう。

 などど考えていたら、視線を感じてその方向を見ると、ゲージーお兄様が先ほどと打って変わったように笑顔で私を見ていた。


「ところでミチルダ。朝御飯はまだか?クールミパンをデザートに出してくれ。」

「.......。」


 お兄様、クールミパンはデザートではと思いますわ。


「俺はお腹がすいいたぞ。」


 ケージーお兄様はお腹を撫でながら催促をしてきたので、急いで朝御飯を作り、デザートにクールミパンを3つ用意した。

 クールミパンを食べている最中に、昨日の出来事の続きを話してくれた。


 婚約騒動の真相を聞いたお兄様達は解散をするつもりが、アーサー様の一言で、ダン様とケージーお兄様とで追いかけっこしていたらしいのです。


「あいつは、逃げ足と女性に手を出すのが早いからな!なかなか捕まえなられなかった。先にダンの奴がアーサーを捕まえたんだ!俺が先に捕まえたかったのに!ダンはズルして飛行術で探してたらしい!」


 ダン様は飛行術が使えるのですね!凄いですわ!この世界で飛行術を使えるのは、ほんの一握りと聞いてます!そのお一人なんですね!


 アーサー様との追いかけっこは一時間以上していたそうで、捕まえてからは二人で尋問していて、家に帰ってきたのは私が一階で降りてきたちょっと前だそう。ケージーお兄様が私をベッドまで運んでくれたようで、少しボーとしてた所に私が起きてきたとのことでした。


 尋問って.....アーサー様は何の地雷を踏んだのでしょうか....。


「ミチルダ、もう一度聞くが、昨日は本当に何もなかったんだな?」


 ケージーお兄様は私を伺うように見つめてくる。


 昨日は....何かあったかしら?うーん、そう言えばダン様の恋人(?)の方に呼び止められて、「ダン様と会うな!」とは言われましたが、それは相手の方が勘違いされての事だと思いますから関係ないですわね!

 あとは....エンジェレ様の事が強烈過ぎて思い出せませんわ!


「何もなかったですわ!」


 私が笑顔で答えると、ケージーお兄様は左右に頭を振り諦めたような顔をした。


「わかった。それなら良い。」


 そう言ってそのあとは、クールミパンを美味しそうに食べてました。


 全て食べ終わったあと、ゲージーお兄様は「寝る」と言って立ち上がり、私も皿の片付けをしようと立ち上がった。

 ケージーお兄様は自室に行く前にこちらを向き言った。


「ミチルダ、お前これからは覚悟しておけ。」


「覚悟ですか?」


「そうだ。」


「何の覚悟ですか?」


「これから起こる全てのことにだ。」


「???」


「俺には奴をもう止められない気がする」


 ケージーお兄様はそう言って、私の所まで来て頬を撫でた。


「どんな結果になろうが俺はお前の味方だ。」


「??」


「だだ、やつは意外に執着性があるみたいだから諦めんだろうがな。」


「え.....?何ですの?」


 やつとは誰ですの!?


 ケージーお兄様は何か困ったような、笑顔で私の頭をポンポンとして去って行った。


 私の身に何かが起こるというのですか!?


 ケージーお兄様!ちゃんと説明してくださいませ!!







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