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22話 マリンベール学園③

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 その方は薄いグリーン色をしたストレート長い髪毛、目鼻立ちははっきりしていて、瞳も髪の毛と同じ色の深いグリーン。ちょっとつり目で気が強そうな感じ。



「何でしょう?」


 私は一瞬知らない方に呼び止められて動揺しましたが、なるべく平然としたように答えた。


「貴女、ダン様の何かしら?」


 キッ!とまた睨んでくる。


「何と申されても、わたくしはダン様のお友達の兄の妹ですわ。」


「え?本当に?前の舞踏会でダン様と踊ってたわよね?」


 かなり驚いた顔をしている。

    やはり勘違いをしてらっしゃるのね。


「ええ。お友達の妹ってことで隅いた私をお誘いくださったのだと思いますわ」


 私は踊る気は全くありませんでしたけど。


 女の人は、私の言葉でフンッと鼻を鳴らして傲慢に聞いてきた。


「貴女のお名前は?」


「......。」


 いきなり何なのかしら。

 名乗るべきか悩んでいると、短気なのかすぐ怒ったように言ってきた。


「だから貴女のお名前は?って聞いてるの!」


 この手の方はあまり興奮させるのはダメよね....。

 傲慢な聞き方は身分が上なのだろうと推測できた。


「私の名はミチルダ・ハン・ルカーサと申します。」


 私はスカートの端をちょこんと持ちお辞儀をした。


「ルカーサ?ではケージー様の.....」


 女の人は驚いたようにぶつぶつと小声で言い、少し間を置きニッコリと笑顔になって名乗った。


「名乗って頂いたからこちらも名乗らないとね。」


 無理やり名乗らせたの間違いでは?とは、ツッコまない。


「サラ・バング・ドリューサーよ。」


 勝ち誇ったようにフフンとまたもや鼻を鳴らした。


 ドリューサーと言えば身分は伯爵。確かに私よりは身分は高い。

 医学部の医療科のクラスにおられたからかなり頭は良いのだろう。ついでにプライドも高そうですわ。まあ、貴族はプライドの塊みたいな人が多いですから。

  頭が良いのはちょっと羨ましいです......。私は至って普通ですから.......。



「もう用事は済みましたよね。私はこれで失礼致しますわ。」


 私は気を取り直して、聞きたいことは終わったと思いお辞儀してその場を去ろうとしたが止められた。


「ちょっとお待ちになって!」


 まだ何かあるのかしら.....。早く帰らないとお昼休憩が終わってしまうわ。アーサー様やフローラ達が待っていてくれているはずだし。


 サラは腰に手を当てて私に牽制をしてきた。



「私はダン様のなの。好きになったりしないで!ダン様は最も誰か一人を選ばれないと思うけど!貴女はお友達の妹ですし、いくら見た目はよろしくなくても.....。」


 サラ様は何気に失礼な言葉や気になる言葉を発し、一度言葉を切り私を見る。そしてある部位を凝視した。


「胸大きいわね.....」


 胸にジト目を向けながら言葉を続けた。



「ゴホンッ!ダン様はお優しいから誘われればお慈悲をくださるかもしれないけれど、もしそうなっても一回きりだろうし傷つくのは貴女なの。もしかしたらお友達であるケージー様と仲違いされるかもしれません。そんなの貴女も嫌でしょ?」


 サラは私に問いかけるように言った。


「私は今、ダン様に最もの中でも寵愛されて第一婚約者候補の。だから忠告するわ。ダン様に近づかないでちょうだい。」


 サラは語尾を強調し、ギロっと私に睨んだ。



 私はサラの言葉に疑問を持った。

 確か、ダン様は今はもう女性とは遊んでないとケージーお兄様は言っていたはず。それに婚約者候補云々もヴィアイン様の時にそんな話しはないと聞いと思いますが.....。


 ........どっちが本当何でしょう.....。ケージーお兄様が私に嘘をつくわけないと思いますし。


 そう思い、どう答えるか悩んでいたら、後ろから突然声がした。



「嘘はいけないね。」


 サラ様と私が驚いて後ろを向くと、そこには片唇るを上げてるが目が笑ってないアーサー様と、かなり怒ってるのか黒いオーラを纏い顔が無表情のフローラ(美人が無表情って凄く迫力あります!)、腰に両手を当てて、こちらも怒ってるのか凄い目でサラ様を睨んでいるマリアがいた。



 サラ様は三人に圧倒されたのか一歩後退りした。


「トイレから帰ってくるのが遅いから迎えに来てみれば......こんなのバレたらダンとケージーに半殺しにされる!」


 アーサー様は何故か顔を青くされてます。体調でも悪いのでしょうか。


 ついでにサラ様も顔色が悪いようですが.....。


 サラ様は三人の登場に、特にアーサー様の登場に焦ったように言い訳を始めようとしていた。



「う、嘘では.....「嘘でしょ」」


 その言葉を、アーサー様が遮った。


「ダンには婚約者候補なんていないし。もしそう聞かされてるのなら、親が勝手に言ってるだけだよ。」


    やっぱり婚約者のお話しはケージーお兄様の言う通りだったのね。

 だがそれにサラ様も反論。

  


「そんなことありませんわ!お父様がアンドリエ公爵に縁談を持っていってると!」


「ダンに縁談なんてゴマンと来てるよ。でも全て断ってる。」


「!.....。」


「それにダンの寵愛を受けてるなんて甚だしいね。それは君の妄想では?」


 サラ様は顔を真っ赤にして反論.....?してると思います。

 どうして『思います』かと云うと、サラ様の言葉を聞く前にアーサー様にサッと手で両耳を塞がれてしまって何を言っているのか分からないからです。


「××××××××!」


「×××××××××××××××。」


 アーサー様とサラ様が言い合いをしてたのを、私はボーとその風景を見ているだけだったのですが、アーサー様が急にスッと私の耳を解放してくれました。



「君は勘違いしてるみたいだから忠告。今回のことはダンとケージーには報告しない。だけどあまりオイタをしてるとダンとケージーに睨まれることになるよ。特にダンは敵とみなしたら容赦はしない。」


 アーサー様の言葉にサラ様は顔を真っ青にさせた。そしてコクりと頷き、若干ふらつきながら去っていきました。


 アーサー様は私達に『このことは内緒にしておこう』と言った。

 マリアは『何故ですの!?』と憤慨し言ったが、アーサー様は一言『大事おおごとになる』からと.....。何故大事おおごとになるのかしら?

 マリアも私も?マークでしたが、フローラだけが頷いていた。



  そして集まりの時間になってきたので、四人で集合場所に移動をしていたときに、アーサー様に耳を塞がれていた時のサラ様との会話をフローラに聞くと、私の肩をポンポンと叩いてニッコリ。


  「ミチルダ、世の中には聞かない方が良いこともあるの。」


  「え?どういうことですの?」


  隣のマリアも作ったような笑顔でうんと頷いた。そしてアーサー様を見るとアーサー様は笑顔と言うより憐れみの目で私を見ていた。


  「ミチルダちゃんも大変だね.....。」


  アーサー様はそう言ってスタスタと歩きだした。


  え?え?え?大変って何ですの?


  助けを求めにフローラ、マリアを見るが二人とも作ったような笑顔でアーサー様の後に続く。


  何で二人ともそんな笑顔なんですの?アーサー様の言葉の意味を教えくださいーー!!


  私の心の声は三人に届くことはなかった。




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