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32話 危機一髪!そして別れ...

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誰か助けてー!

無情にもケインさんにキスを奪われてしまいました。

「んっ····」

ケインさんは舌まで入れてこようとしたので、私は必死に歯を食い縛りそれを阻止しました。


そしてケインさんの右手は私のおっぱいへときて····

ケインさん!幼女のおっぱいなんて揉んでも楽しくないですわ!

と、言いたいけど口が塞がれてるので言えません。

ケインさんのアレが徐々に硬くなっていくのが、分かりました!

私はこのまま····

少し涙ぐんできました。

ケインさんは唇から離れ、熱い視線を私に送りながら

「フレアのおっぱいは柔らかくて···」


「あら!ケインじゃない!?」

「「えっ?」」

誰かに声を掛けられ、二人して声が聞こえた方を見たら、女性が立っていてこちらを見ていました。


「やっぱりケインだわ!いつヨークテイルに来たのよ!」

「あ····いや···」


どうやら、ケインさんの知り合いの女性らしいですわ!

「こんなところで何をしてるの?この女の子は誰?」


この人に襲われてました!

とは言えないので

「こっ、こんにちは!ケインさんとはちょっとした知り合いで、ヨークテイルを案内してもらっていたのですわ。」


こんな言い訳、ベンチに押し倒されてる状況で、通用するかと思いましたが。

「そう?」

やはり怪訝そうに見てます。

「まあ、そうなんだ。」

ケインさんの手が緩み、起き上がったので、私はすかさず

「じゃあ、ケインさん!さようなら!」

脱兎の如く走って逃げましたわ!

「あっ!フレアちゃん!待って!」

ケインさんは、私を追いかけようとしましたが、

「ちょっとケイン!どこいくのよ!」

知り合いの女性に制止せれてました。


助かりました!

先ほどの女性の方!神様!ありがとうございます!


私は脇目も振らず、一目散に宿へ帰っていきました。






私は宿へ着き、部屋へ入り鍵をかけて、ベッドへ倒れ込んだ。

いつも身につけていた卵ちゃんは、今日はお留守番してもらってました。

籠に入れて、上にタオルケットを被せていたのを取り、抱っこして布団に入った。


今日は散々な目に合いましたわ。
ケインさんのせいでお母様は見失うし、ケインさんに襲われるし。

心身ともに疲れました···
私はいつの間にか寝てしまってました。


気がついたら日が傾いてました。

「私ったらよっぽど疲れてたのしから···」

お母様は···まだ帰ってないようね。
時計を見たら16時半に針が指してした。

とりあえず顔でも洗ってすっきりしましょう!

私は洗面所へ向かっていたら

コンコン

身体がビクッと反応しました。

まさかケインさんじゃ···。

恐る恐る聞きました。

「誰ですか?」


「あっ!フレアちゃん、セイルだよ!」

セイルさんでした。ちょっとホッとしました。

でも警戒して

「何の御用ですの?」

「ジャンから手紙預かってきたんた。」

手紙?


私はドアを開け、セイルさんを部屋の中へ入れた。もちろん周りを見てケインさんが居ないことを確認しましたわ!

「なんか急に手紙を持った少年が、ジャンに頼まれたって手紙を持ってきてさ。2通あって、1通はフレアちゃんに渡して欲しいって書いてあったから持ってきたんだ。」

セイルさんが手紙を差し出して、理由を言ってくれました。

「そうでしたか···ありがとうございます。」

私はその手紙を受け取り、開けて読みました。

『フレアちゃんへ
ミチルダさんを夕食に誘うことに成功しました。
悪いけど、夕食は一人か、リンダたちと食べてください。
今夜はミチルダさんを帰さないのでよろしく!

          ジャン』


おい!こら!ジャンさん!

それにお母様本当に、夕食までOKしたのですか!?


「ジャンもやる気満々だよー!フレアちゃん!ジャンとミチルダさんがくっついたら認めてやってな!」

セイルさん···

お母様には幸せになって欲しいけど···複雑です。


セイルさんは鼻歌歌いながら帰って行きました。



その後は、ハンカチを縫ったり、本を読んだりしました。
夕食は食堂に行く気はしませんでしたので、今朝買った果物とかを食べました。

お風呂も部屋にあるので入り、ベッドへ入りました。


···眠れません···

昼間に寝たのもあると思いますが、お母様のことが気になって仕方なかった。

お母様は帰ってくるかも···

淡い期待を持ちながらお母様を布団の中で待ちました。




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


チュンチュン


朝になってしまいました···。
とは言っても時計は朝の5時前を針が指してます。

私は寝れず、お母様を待ち続けてました。

お母様は、ジャンさんの言う通りに帰ってきませんでした。

お母様·······。

ちょっと涙目になりかけていたら

ガチャリ

ドアの開く音がしました。

私は寝たふりをしました。

お母様は私の顔を覗き、お風呂場へいきました。

·······。


お母様はお風呂から出で、自分のベッドへ入りました。



三時間くらい寝て、お互いにおはようの挨拶をしました。

「フレア、昨日はごめんなさいね。少し、ジャンさん達とお話してて帰ったのが夜中だったの。ジャンさんが、フレアには先に寝るようにセイルさんに伝言頼んだと言われてたんだけど···」

「····はい。セイルさんから聞きました。」

お母様、また嘘をついたわ。ジャンさん『達』って····

それからはジャンさんと、どうなったかは聞けませんでした。


私たちは、食堂で朝食を食べて部屋に戻り、今日は縫い物でもするのかと思いましたが、出かけると言う。


「お母様、どこに行くのですか?」

「このヨークテイルに知り合いがいるの。そこへ行くのよ。」

その知り合いの方は、少し街から離れてるらしく、馬車で30分ほど行ったところで降りた。

「どなたですの?」

「名前はベネッチェ。昔、実家でメイドをしてて、私の乳母だった人の所よ。私がお嫁に出たと同時に引退して、この町に住んでるの。たまに手紙のやり取りをしているわ。」


へぇー。そうなんですの。そういえば、普通は乳母がいるみたいですが、アンドリエ家には居なかったわ。お母様が自分の手で子育てをしていたからでしょうか。

「ベネッチェの夫であるアーサーは庭師として仕えてくれてたの。」


そして暫く歩いていると、

「ミチルダお嬢様!」

向こうから、白髪混じりの老婦が手を振っていた。

「ベネッチェ!」

お母様は私の手を繋ぎ、急ぎ足でベネッチェの所へ向かった。


「ミチルダお嬢様、ご無沙汰しております。ますます綺麗になられて···」

ベネッチェは涙を浮かべで、お母様の頬を撫でた。

「ベネッチェも元気そうで何よりよ。アーサーは?」

「アーサーは家で待っております。···こちらのお嬢様はミチルダお嬢様の?」

ベネッチェは私を見てニッコリ微笑んだ。


「そうよ。一番下の子なの。フレアって言うのよ。」

「やっぱり!ミチルダお嬢様の小さい頃によく似ておられます。フレア様、初めまして、ベネッチェと申します。」

ベネッチェが挨拶をしてきました。
私も挨拶しないと!

「初めまして、フレアと申します。ベネッチェさんよろしくお願い致します。」

「まあ、さんは要りませんわ。ベネッチェとお呼びください。」

こうして、挨拶が終わり、お家に連れてってくれました。


そこでも渋い老人がいて、アーサーさんとも挨拶をした。

「フレア、ちょっとアーサーとお話があるの。」

お母様に言われて、ベネッチェが

「ではフレアお嬢様、ベネッチェとあちらでお茶でもしながらお話しましよう。」


私は別部屋に案内され、ベネッチェさんからお嬢様の小さい頃のことを話してくれました。

お母様って、ちょっと信じられませんがお転婆だったようです。



楽しい時間が過ぎ、どうやらお母様の話は終わったようでした。


帰りはアーサーさんが馬車で宿まで送ってくれました。

「ではアーサー、ベネッチェ、よろしくね。」

お母様はそう言ってアーサーと握手を交わした。

「アーサーさん、ベネッチェ、今日はありがとう!楽しかったですわ!」

笑顔いっぱいで言いました!

「ワシだけ「さん」付けとは寂しいのう。ワシもアーサーと呼んでくれ。」

アーサーさんは、私の頭を撫でながら言った。
私にもお祖父様が居たらこんな感じかしら。
私は両方にお祖父様が居ない。お婆様は母方の一人のみです。
ちょっとほっこりしました。


宿の部屋に入り、お母様から説明を受けました。

アーサーとベネッチェと一緒にもう少し先に行った村に住むことになった。家を買うのに、先に良い物件を買っておいてもらったらしい。本当は二人で住む予定でしたが、アーサーとベネッチェも一緒に来ると言い張って、さっきはそのことで話合ってたらしい。
最終的にはお母様が折れて、一緒に住むことを承諾したみたいです。こちらの家も残しておくらしく、荷物の整理で、私たちは後一週間は滞在するみたいです。

その間は縫い物したり、足りない物を買ったりすることになりました。




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

次の日。

マリッコ商会の人と、フェニックスの皆さまとはお別れです。

ガンズさんに、昨日お母様と作ったシチューを、お昼ご飯にでも食べて下さいと渡して、お礼を言った。

「マリッコ商会の方々、本当にお世話になりました。マリアにもくれぐれもお礼を言っておいてください。」

私たちはお礼を込めてお辞儀をしました。

フェニックスの皆様は···

「フレアちゃん!寂しいよー!」
私もです!サラさん!

「フレアちゃん、元気でね。」

はい。リンダさん。リンダさんと抱擁を交わす。

そして二人に、手作りのポーチをプレゼントをしました。
二人はとても喜んでくれて

「大事にするね!」

と言ってくれました。

「フレアちゃん!元気でな!」

はい!セイルさん!

男性三人には昨日、夜なべして縫ったハンカチをプレゼントしました。セイルさんに代表で渡しておきました。

「フレアちゃん···」

ケインさん!
私はサッとサラさんの後ろに隠れた。

「フレアちゃん···」

ケインさんは少し涙目になってましたが無視ですわ!

「ジャンさん、色々教えていただきありがとうございました。」

ジャンさんにはちゃんとお礼言わなくちゃ!

「ああ···」

生返事をしたジャンさんの視線はお母様のところへいってました。

お母様とは···くっついた様子はないようです。お母様はジャンさんを見ようせず、ずっとマリッコ商会の方とお話してます。

どうやらはっきり振ったみたいですが···何故あの日は帰って来なかったのでしょう···。

いきなりお母様が振り向きこちらへやってきて、ジャンさんを見て


「さようなら。お元気で。」

とお別れの言葉を口にしました。

ジャンさんも

「さようなら···」

と、悲痛の顔しお別れの言葉を述べた。

「ではそろそろ出発しましょう!」

ガンズさんの言葉に皆さんが動き出す。

リンダさんとサラさんと、もう一度抱擁を交わした。
ケインさんも来たので、サッと避けてお母様のそばへ行く。

ケインさんはがっかりと肩を落とし、とぼとぼと歩きだした。

「皆様!お気をつけて!」


私は、一行が見えなくなるまで手を振り続けました。


そして私たちは、注文があったブラウスは無事に納品が出来、五日後にヨークテイルの街を、アーサーとベネッチェと共に旅だった。




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