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1話 由紀 13歳

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「由紀!早く食べないと遅刻するわよ!」

下からお母さん怒鳴り声が聞こえる。

「わかってるー!すぐ行くよー!」

私は急いでセーラー服のリボンを付ける。

私は13歳になりました。ピチピチの中学一年生!

部活は友達と一緒に弓道部に入部して、基礎の練習ばかりしてるけど、学校生活は楽しく過ごしている。

私はまた、お母さんの雷が落ちる前に食卓に向かった。

「由紀、早く食べないと遅刻するよ。」

兄、悟も高校二年生になった。

身長も182センチと長身だし、顔も目はくっきり二重の切れ長だし。ジャ◯ーズにいたら確実に売れそうなアイドルみたいに格好よく成長しました!
何回か芸能プロダクションからスカウトもされたこともある!

超難航の有名高校に進学した。常にトップいて、わが家の自慢の兄だ。

そして相変わらず優しい。
ずっと兄妹してるけと、私達に怒鳴ったり、怒ったりしたところを見たことがない。

兄は、スポーツも難なくこなす。小さい頃から空手を習っていて、中学からは負け知らず。そして中学からはバスケ部に入り全国大会行くのは当たり前になっている。最近ではキックボクシング部まで入り、バスケ部と兼任して行ってるみたい。
ホントにハイスペックな人です。

もちろんモテモテ!家の前で待ち伏せも度々あり、とっても家族は迷惑したけど、兄が何か言ったらしく来なくなった。でもその時のことを知らない人はたまにくるけどね。

お姉ちゃん曰く、中学校時代も当然人気が凄かったらしい。いつも男女問わず、兄の周りには人がいっぱい囲んでいる。

私もお姉ちゃんも相変わらずお兄ちゃん大好きっ子。
特にお姉ちゃんは凄いブラコン!
家に来ていた女子生徒にまで、学年上でも絡んでいたし。

「お兄ちゃんは誰にも渡さないだから!」

兄の周りにいる人を蹴散らし、牽制している姉を見ると少し引いちゃう。

私も同じ気持ちだけどそういう行動はできないかな。

いつかは彼女が出来て、私たちのことよりも彼女を取る日がくる時までは、私たちだけのお兄ちゃんでいて欲しい····。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「お兄ちゃん!今度の土曜日映画に行こうよ!」

週末はいつも私たちとお出かけや一緒に居てくれる。兄の高校は超進学校なので土日は試合や試合前でない限り部活はない。

と言うことは彼女はいない···なので今はホッとしてる!

「いいよ。何が見たい?」

「いいなー!由紀は!私もお兄ちゃんと行きたーい!」

お姉ちゃんはバドミントン部に入っていて土日も練習やら試合やらがある。
でももう三年生なので、夏休みで引退と言っていた。

「お姉ちゃんは部活頑張ってね!」

因みに弓道部は土日は基本休み!試合とかが有ったら、応援しに行かないといけないけど。


私は兄に見たい映画を言い、家を出る時間とかを決めた。

あー!明日が楽しみ!



土曜日。

私たちは早めに映画館に行って、チケットを購入して、お昼ご飯を食べてから映画を見ることにした。

私たちは朝ご飯を食べて10時頃に家を出た。
兄は16歳になったと同時に、バイクの免許を取った。バイクも自分で買って乗っている。
そんなお金よく持ってたなと思った。


駐輪場にバイクを止めて、映画館へ向かいチケットを購入した。

その後はデパートに行き、ショッピングを楽しんだ。
      ▪▪
兄は本当に私たちに甘く、何でも買ってくれようとする。

今は夜に家庭教師のバイトをしているから、少しはお金を持っているとは思うけど····。

映画のチケットもお昼代も全て兄が払ってくれている。お昼代はお母さんから貰ってるから出すって言ってるんだけど、それは貯めておきなさいって払わせてくれない。
それをラッキー!って思ってる私も私だけどさ。

兄と腕を組んで歩いていると、女性の視線を感じる感じる。でも慣れっこの私。

「あれー!香川君じゃない!」

女の子から声をかけられた。
どうやら同じ学校の人のようだ。

まあ、派手な人二人組だった。
両方少し茶髪にしてて、長い髪の毛を一人はポニーテールして、一人は下ろしている。バッチリ化粧もしていた。
一人は付け睫毛していて、目が凄いことになってるけど、綺麗な人だった。

「なんだ、小阪と、佐藤か。学校よりも濃い化粧してるからパッと見分からないぞ。髪の毛も茶髪にしてるしさ。」

どうやら学校では、黒髪のようね。かなり有名な進学校で、規則も厳しいって言ってたからびっくりしたわ。

「えへへへ。でも可愛いでしょ!」

「まあな。」

兄は笑顔で返答した。

二人とも兄の笑顔に見惚れています。

「香川君、その隣いる子は誰?」

ポニーテールの方が私を睨みながら聞いてきた。

怖っ!

「下の妹だよ。」

兄に妹と聞くと、さっきと打って変わってめちゃ笑顔になり
「えー!妹さんなんだー!可愛いー!」

おい!さっきまで睨んでただろ!
私は思わずプイッとしてしまった。

そしたら二人とも、顔が引きつった。

「ねぇ、香川君たちはこれからどうするの?」

「これからお昼食べて映画に行くんだ。」

「兄妹二人で?」

「そうだよ。」

二人は顔を見合せ、

「良かったら、うちらと一緒に行動しない?」

····何、この人達。図々しい!

私はムッとした。

「うーん。悪いけど止めとくわ。」

お兄ちゃん!断ってくれた!良かった!

でも相手は諦めない。

「でもせっかくの休みなんだからさ!妹の子守りなんて嫌でしょ!それに皆で回った方が楽しいじゃん!」

ポニーテールの子がガンガンに攻めてくる。

子守りって、失礼な!

兄は

「別に子守りをしてる訳じゃないけど。」

ちょっと低い声で答えた。
うん?少し怒ってる?

ポニーテールの子は慌てて謝ってきた。

「ごめん!言葉のあやだよ!」

「そうだよ!そんなつもりじゃないから。なら食事だけでも一緒にしようよ!ねっ?」

髪の毛の下ろしている方がフォローする。

兄は少し考え、

「由紀、時間もあるし、食事だけこいつらと一緒でもいい?」

私に聞いてきた。
二人は私を懇願する目で見てくる。

本当は嫌だけど···嫌だけど!
お兄ちゃんに言われたら、嫌っていえないよー!

私は仕方なく頷く。

「···いいよ···。」

めっちゃ不機嫌そうに言ったけど、

「ありがとう!妹ちゃん!」

彼女たちにはそうには聞こえなかったらしい。
凄いはしゃぎようだ。

それから四人で食事するところを探して、洋食レストランに入った。


「由紀は何する?」

兄はメニューを開いて見せてくれた。
オムライスが美味しそうだったので

「オムライス!」

と元気に答えたら、前に座った二人はクスっと笑った。

何よー!感じ悪いし!

前の二人も決まって、店員さんを呼んで注文をした。

そこで、誰がどの名前か判明した。
ポニーテールの方が佐藤さん、髪の毛を下ろしてる付け睫毛の方が小阪でした。

それからはお兄ちゃんにしゃべり捲る二人。
話は高校のことばかりだから私は話に入っていけない。
面白くない。
なんかわざとそんな話をしてる感じがした。私は料理がくる間が暇になり足をプランプランさせてた。

「由紀、面白くない?」

兄が二人の会話から外れ、話かけてきた。

「うん。だって私、高校のことなんて分からないもん。」

おもいっきり嫌み言ってやった。

「そっかあ。ごめんな。」

兄が謝ってくれた。

お兄ちゃんに謝って貰わなくても良かったのに···。

佐藤さんがさっきの話の続きをしようと話かけてくる。

「香川君!で、さっきの···」

「ごめん。妹が面白くないって言うから高校の話は止めてくれ。」

と、兄がはっきりと言った。

私はびっくりした。そんなこと言うなんて···。

それから兄は二人をほぼ無視をして私と話をした。

お兄ちゃん、大丈夫なの?

と思って二人を見たら、おもいっきり不機嫌そうにこちらを見ていた。

それからすぐに料理が来て、食べながら自分達の食べている料理の品評会をした。
その時は普通に話していた。

そろそろ映画の時間になったので、お店を出ることにした。

そのレストランで二人と別れ、私は映画の前にトイレに行くと言ってデパートのトイレに向かった。

トイレに入って、用を済ませて出たら

「ねぇ、妹ちゃんちょっといい?」

先ほど別れたはずの二人が立っていた。

ちょっとびびったけど
「なんか用ですか?」

「妹ちゃんさあ、お兄ちゃんが可哀想と思わないの?」

ポニーテールの人、佐藤さんが言ってきた。

「どういう意味ですか?」

付け睫毛の小阪さんが、ズイッと前に出てきて

「せっかくの休みなのに妹ちゃんの面倒みてるってさ。普通なら同年代のうちらとかと遊ぶべきだと思うだよね。」

「そうだよ。彼女が居ないのって妹ちゃんのせいじゃないの?凄く香川君モテるのに。男友達が誘っても土日は無理って言ってさ、めっちゃ皆香川君と遊びたがってるのに。」

「·····。」

「もうさあ、中学生でしょ?いい加減兄離れしたら?」

そんなこと言われなくても!

「あなたたちには関係ないじゃん!お兄ちゃんが遊びたいなら私も止めないし!遊ばないのはお兄ちゃんが決めてることだもん!」

二人は顔を真っ赤にして怒った。

「だから、あんたがもう面倒みなくていいって言えっていてんだよ!」

ドンと押されて壁にぶつかった。

「いつまでもお兄ちゃんお兄ちゃんってキモイだよ!」

「香川君が彼女作ろうにもあんたが重荷になってんだよ!さっさとお兄ちゃん離れしてやってよね!」

言うことはだけは言って二人は去った。

···私、お兄ちゃんにとって重荷になってんのかな···

私はフラフラしながら兄の元へ向かった。

兄はそんな私を見て凄く心配してくれた。

私···お兄ちゃんの優しさに漬け込んでるのかな。お兄ちゃんの人生の邪魔してんのかな···

そんなことが頭をぐるぐる回る。

心配してくれている兄に

「大丈夫だよ」

と言って映画を見に行った。

映画の内容は全然頭に入らなかった。


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