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59話 オーディフェンスの人々①
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ここはリンカーヌ王国から遠く遠く離れたオーディフェンス王国。
アリアがちょうどミランバルへ出発した日。
オーディフェンス王国の王城の一室に、この国を代表してもいいというほどの美青年が立っていた。
「父上、お呼びでしょうか?」
「·····ああ。」
この部屋の主である、ダンが返事をする。ダンは忙しそうに書類に目を通してはサインをしている。
この国の英雄であり、宰相であるダンは毎日がこんな感じだ。たまに王が目を通さないといけない書類が混じっている。
補佐が仕分けを間違えている·····訳ではない。王がダンに面倒なりそうな書類を押し付けているのだ。きっとこの書類も補佐にごり押しして渡したに違いない。補佐が王に断ることが出来ないことをいいことに。
その書類を見つけるとダンのこめかみに青筋が浮かび上がった。
後で、説教にせねば!
ダンはそう思い、一旦業務を止めて目の前の美青年····自分の息子であり、公爵家の後継者でもあるシャベールに目を向けた。
「どうやら、例のやつが動き出しそうだ。」
「······それは本当ですか?」
「ああ。フレアの友達の主のご主人の奥方が言っていた。」
「!!!」
どうやってその情報を収集したんだ!とは聞けない。
それよりも父の魔力の膨大差に驚いた。自分もたまに魔石の目を通してあちら側を見ていたがあくまでもそれだけだ。よほど集中しないと声も聞けない。
それを父は簡単にやって除けているのだ。しかもきっと移動している。
「そのフレアの友達の主のご主人である王の奥方がどうやら空飛ぶ賊とやらと結託しているようだ。フレアの······」
「父上!それはアリア殿で良いと思います!ややこしいです!」
シャベールは言い回しが遠い父に助言をする。
「そうか?」
ダンはフレアに前に注意された事を忠実に言っているだけだった·······。
「······まあ、よい。それより決戦は近い。お前も心して奥ように。」
シャベールは父の言葉に緊張が走った。
姿勢を再度正した。
「了解しました。」
「シャベール、明日からで良い。しばらくはこちらの家に泊まりなさい。」
シャベールはまだ家督を継いでいない為、実家とは別の所に住んでいた。
「父上、それはどうしてですか?」
「決戦が近いと言っただろう。必ずあちらは何かを仕掛けてくるはずだ。その時を逃してはならぬ。お前もすぐに対応出来るようにこちら居て欲しいのだ。」
父が言う、決戦が近いのはそうかもしれないが自分がそばに居ても居なくても同じではないだろうか。
ダンはシャベールが考えているのか分かるかのように続けた。
「私は賊を殺さず、こちらへ転移させようと思う。」
「転移!!」
シャベールは驚いた。父の考えもそうだが、転移など早々出来るものでない。
それに転移が出来る者など聞いたことない。シャベールの中ではおとぎ話の中のみの話かと思っていた。
そのおとぎ話でも、長ったらしい呪文と膨大な魔力が必要であった。
······膨大な魔力!?
シャベールはハッとし、父を見る。
ダンはシャベールの反応を見て頷いた。
「シャベール、転移は実際にそういった呪文も実在している。だが、膨大な魔力が必要になる。この国やカンチス王国くらいなら私一人で大丈夫だが、相手は見知らぬ遠い国にいる。しかも違う大陸だ。さすがの私も一人では無理だ。アリア殿を守りながら転移は不可能に近い。」
······父上は転移が出来るのか······。我が父ながら恐ろしい人だ。
父のあまりの魔力の大きさ、強さにシャベールの背中に冷たい汗が流れた。
「それに今もあちらにある人形からアリア殿を守る為に魔法は出せても半分の力しか出ないであろう。」
物を通して魔法を発動するなど、普通の者なら出来ない。普通の人間よりも魔力がある我々だからこそできる。だが自分から出す魔力と、物を通して出す魔力はかなり違う。ましてや相手は他の大陸で未知の所だ。父が出せる魔力が半分なら、私ならせいぜい4分の1くらいだろう。
「どうしても転移するには魔力が足りない。それを補うために、この書類の処理が終わったらケージーの所へ行く。」
「ケージー叔父上の所ですか?」
ケージーとは、母の兄。昔、父と一緒にこの国を救った英雄の一人なのだ。
今は、母の実家であるルカーサー男爵を継いでいる。
「そうだ、ケージーにも協力を要請してくる。他にも数名協力要請するつもりだ。シャベール。」
「はい。」
「今回、あちらに行っているのは間違いなく、カンチス王国のシン・ジュベオール・シュタンであろう。本来はあちらへ居ては行けない人物であり、犯罪者だ。」
「······はい。」
シン・ジュベオール・シュタン、先の戦争を率先して行った一人。そして前カンチス王国の第三王子だった人物だ。第三王子といっても、前カンチス王が街に出て気まぐれに手を出した平民の娘との子の為、王位継承権はない。それで若いながら魔術団の総監督に就任していたのだ。
「その犯罪者を逃してしまい、魔法のない国を混乱させているお前の責任は重いぞ。」
「はい。」
つまり失敗は許されない。
「先もいったい通り、殺すのは簡単だ。だが、奴には罪を背負って罰を受けなければならない。例え死刑でも、他国でそれを実行してはならぬ。」
「はい!」
「分かっているとは思うが一発勝負となる。失敗は許されない。心してかかれ!」
「はい!了解しました!では準備等がありますのでこれで失礼します!」
シャベールはそう言って敬礼し、部屋を出て行こうとしが、あることを思いだし、父に聞いた。
「ところで父上、フレアも勿論実家に帰って来ますよね?」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
アリアが山で賊に襲われて逃げいた。
激しく揺れる馬車の中でアリアは泣いていた。
「ネネ!私の所偽で死者が出てしまうかもしれないわ!」
「アリア様·····。」
アリアはネネに、うっうっと嗚咽を出しながらしがみついてた。
その頃ーーー
オーディフェンス王国は夜だった。
ダンは妻であるミチルダに夜の営みをしようと、息子のダシャンを寝かしつけているのにちょっかいを出していた。
アリアの異変に気付き、ミチルダにちょっかいを出していた手を引っ込める。
ミチルダはいきなり行為を止めたので、どうしたのかとダンを見ると真剣か顔をして思いにふけている感じだった。
「ダン、どうかなさったの。」
「·····ああ、あちら側で何かあったらしい。」
ダンは、楽しみを奪われたからか、かなり不機嫌な顔で部屋から出て行った。
部屋から出たダンはすぐにシャベールを呼んで、二人で応接室に行き、ソファーに座った。
そして意識を人形に集中させる。
ダン人形はどうやらいつものように、アリアのドレスの中にいるようだった。
『まだ外は明るいそうだな。』
ドレスでも薄い布なのか、外の光が中から見える。
少しアリアと、ネネの会話を聞き、賊に襲われて逃げたことが分かった。
その時に失敗したと思った。お守りを作る時に前回と同じで本人に直接危害加えないと発動しない魔力を付与をしてしまったのだ。
多分、本人に直接危害が及ぶ前に逃げれたに違いない。その為発動せず、自分が分からなかったのだ。
妻に触ることに夢中になってしまって気づくのが遅くなったのもある。
ちょっと反省したダンだった。
付与をやり変えれなければ·····。
後で付与設定のやり直しをしようと心に決めた。
ちなみにシャベールはフレアにちょっかいを出して怒られていた。
ダンは意識を集中して、また襲われたら加勢できるようにとシャベールに言って、自分はお人形を使い、アリアの護衛が賊と戦っているところへと飛んだ。
少し強めに魔力を使い転移魔法で一旦場所の外へ出た。
お人形だから軽いので飛べるのだ。フワフワと浮かびながら、また意識を集中させ、争いの声や剣の交わる音を拾った。そしてそこへ急いで向かう。
争っている場所までくると、木陰に隠れて様子を見た。
互いに血まみれで半数は倒れている。
『力は五分五分だな。しかしどうやって助けるべきか·····』
魔法のない国で魔法で助ける·····難しいが、風魔法で気絶させることにした。
『·····強い魔力がもう少しいる。今日はミチルダと···諦めるか。』
こんなときも妻とのにゃんにゃんすることを考えるダンだった。
ダンはいつもの倍、意識を集中させ風魔法で敵だけを狙い突風を出した。
勿論、バレない為にアリアの護衛にもちょっと目を開けていられない程度の風を向けた。
全身黒づくめの奴らは突風に巻き込まれ、突風が治まったと同時に一ヶ所に集められバタバタと倒れていった。
騎士団長のザイールは、一体何があったのか分からない。いきなり強い風が来て、目を開けたら敵が皆倒れている光景に呆然としていた。
『大丈夫そうだな、さて、これからこやつらをどうするかだか。魔物はいると言ってたから血の臭いや死臭で寄ってくるぞ。』
そうダンが思っていた時に、馬の走る音が聞こえた。
「アリア様~!アリア様~!ご無事ですか!?」
と叫んでこちらへ向かってくる青年がいる。
ダンは向こうから見えないくらいな高さまで飛んでその声がする方を見た。
『見たことがない青年だな。』
青年の後ろには大勢いた。
しかも旗が2つあり揺らしながらやってくる。
『一つは確かアリア殿の国の紋章だな、もう一つは·····』
一回だけ見たことがあった。ダンは薄れた記憶を必死に辿った。
『そうだ!フレアがアリア殿からドレスを貰った時に箱に入っていたアリア殿の出身国と言っていた国の紋章に似ている!』
そう、それはリンカーヌからの援軍と、ランクスが率いるサマヌーンからの援軍だった。
アリアがちょうどミランバルへ出発した日。
オーディフェンス王国の王城の一室に、この国を代表してもいいというほどの美青年が立っていた。
「父上、お呼びでしょうか?」
「·····ああ。」
この部屋の主である、ダンが返事をする。ダンは忙しそうに書類に目を通してはサインをしている。
この国の英雄であり、宰相であるダンは毎日がこんな感じだ。たまに王が目を通さないといけない書類が混じっている。
補佐が仕分けを間違えている·····訳ではない。王がダンに面倒なりそうな書類を押し付けているのだ。きっとこの書類も補佐にごり押しして渡したに違いない。補佐が王に断ることが出来ないことをいいことに。
その書類を見つけるとダンのこめかみに青筋が浮かび上がった。
後で、説教にせねば!
ダンはそう思い、一旦業務を止めて目の前の美青年····自分の息子であり、公爵家の後継者でもあるシャベールに目を向けた。
「どうやら、例のやつが動き出しそうだ。」
「······それは本当ですか?」
「ああ。フレアの友達の主のご主人の奥方が言っていた。」
「!!!」
どうやってその情報を収集したんだ!とは聞けない。
それよりも父の魔力の膨大差に驚いた。自分もたまに魔石の目を通してあちら側を見ていたがあくまでもそれだけだ。よほど集中しないと声も聞けない。
それを父は簡単にやって除けているのだ。しかもきっと移動している。
「そのフレアの友達の主のご主人である王の奥方がどうやら空飛ぶ賊とやらと結託しているようだ。フレアの······」
「父上!それはアリア殿で良いと思います!ややこしいです!」
シャベールは言い回しが遠い父に助言をする。
「そうか?」
ダンはフレアに前に注意された事を忠実に言っているだけだった·······。
「······まあ、よい。それより決戦は近い。お前も心して奥ように。」
シャベールは父の言葉に緊張が走った。
姿勢を再度正した。
「了解しました。」
「シャベール、明日からで良い。しばらくはこちらの家に泊まりなさい。」
シャベールはまだ家督を継いでいない為、実家とは別の所に住んでいた。
「父上、それはどうしてですか?」
「決戦が近いと言っただろう。必ずあちらは何かを仕掛けてくるはずだ。その時を逃してはならぬ。お前もすぐに対応出来るようにこちら居て欲しいのだ。」
父が言う、決戦が近いのはそうかもしれないが自分がそばに居ても居なくても同じではないだろうか。
ダンはシャベールが考えているのか分かるかのように続けた。
「私は賊を殺さず、こちらへ転移させようと思う。」
「転移!!」
シャベールは驚いた。父の考えもそうだが、転移など早々出来るものでない。
それに転移が出来る者など聞いたことない。シャベールの中ではおとぎ話の中のみの話かと思っていた。
そのおとぎ話でも、長ったらしい呪文と膨大な魔力が必要であった。
······膨大な魔力!?
シャベールはハッとし、父を見る。
ダンはシャベールの反応を見て頷いた。
「シャベール、転移は実際にそういった呪文も実在している。だが、膨大な魔力が必要になる。この国やカンチス王国くらいなら私一人で大丈夫だが、相手は見知らぬ遠い国にいる。しかも違う大陸だ。さすがの私も一人では無理だ。アリア殿を守りながら転移は不可能に近い。」
······父上は転移が出来るのか······。我が父ながら恐ろしい人だ。
父のあまりの魔力の大きさ、強さにシャベールの背中に冷たい汗が流れた。
「それに今もあちらにある人形からアリア殿を守る為に魔法は出せても半分の力しか出ないであろう。」
物を通して魔法を発動するなど、普通の者なら出来ない。普通の人間よりも魔力がある我々だからこそできる。だが自分から出す魔力と、物を通して出す魔力はかなり違う。ましてや相手は他の大陸で未知の所だ。父が出せる魔力が半分なら、私ならせいぜい4分の1くらいだろう。
「どうしても転移するには魔力が足りない。それを補うために、この書類の処理が終わったらケージーの所へ行く。」
「ケージー叔父上の所ですか?」
ケージーとは、母の兄。昔、父と一緒にこの国を救った英雄の一人なのだ。
今は、母の実家であるルカーサー男爵を継いでいる。
「そうだ、ケージーにも協力を要請してくる。他にも数名協力要請するつもりだ。シャベール。」
「はい。」
「今回、あちらに行っているのは間違いなく、カンチス王国のシン・ジュベオール・シュタンであろう。本来はあちらへ居ては行けない人物であり、犯罪者だ。」
「······はい。」
シン・ジュベオール・シュタン、先の戦争を率先して行った一人。そして前カンチス王国の第三王子だった人物だ。第三王子といっても、前カンチス王が街に出て気まぐれに手を出した平民の娘との子の為、王位継承権はない。それで若いながら魔術団の総監督に就任していたのだ。
「その犯罪者を逃してしまい、魔法のない国を混乱させているお前の責任は重いぞ。」
「はい。」
つまり失敗は許されない。
「先もいったい通り、殺すのは簡単だ。だが、奴には罪を背負って罰を受けなければならない。例え死刑でも、他国でそれを実行してはならぬ。」
「はい!」
「分かっているとは思うが一発勝負となる。失敗は許されない。心してかかれ!」
「はい!了解しました!では準備等がありますのでこれで失礼します!」
シャベールはそう言って敬礼し、部屋を出て行こうとしが、あることを思いだし、父に聞いた。
「ところで父上、フレアも勿論実家に帰って来ますよね?」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
アリアが山で賊に襲われて逃げいた。
激しく揺れる馬車の中でアリアは泣いていた。
「ネネ!私の所偽で死者が出てしまうかもしれないわ!」
「アリア様·····。」
アリアはネネに、うっうっと嗚咽を出しながらしがみついてた。
その頃ーーー
オーディフェンス王国は夜だった。
ダンは妻であるミチルダに夜の営みをしようと、息子のダシャンを寝かしつけているのにちょっかいを出していた。
アリアの異変に気付き、ミチルダにちょっかいを出していた手を引っ込める。
ミチルダはいきなり行為を止めたので、どうしたのかとダンを見ると真剣か顔をして思いにふけている感じだった。
「ダン、どうかなさったの。」
「·····ああ、あちら側で何かあったらしい。」
ダンは、楽しみを奪われたからか、かなり不機嫌な顔で部屋から出て行った。
部屋から出たダンはすぐにシャベールを呼んで、二人で応接室に行き、ソファーに座った。
そして意識を人形に集中させる。
ダン人形はどうやらいつものように、アリアのドレスの中にいるようだった。
『まだ外は明るいそうだな。』
ドレスでも薄い布なのか、外の光が中から見える。
少しアリアと、ネネの会話を聞き、賊に襲われて逃げたことが分かった。
その時に失敗したと思った。お守りを作る時に前回と同じで本人に直接危害加えないと発動しない魔力を付与をしてしまったのだ。
多分、本人に直接危害が及ぶ前に逃げれたに違いない。その為発動せず、自分が分からなかったのだ。
妻に触ることに夢中になってしまって気づくのが遅くなったのもある。
ちょっと反省したダンだった。
付与をやり変えれなければ·····。
後で付与設定のやり直しをしようと心に決めた。
ちなみにシャベールはフレアにちょっかいを出して怒られていた。
ダンは意識を集中して、また襲われたら加勢できるようにとシャベールに言って、自分はお人形を使い、アリアの護衛が賊と戦っているところへと飛んだ。
少し強めに魔力を使い転移魔法で一旦場所の外へ出た。
お人形だから軽いので飛べるのだ。フワフワと浮かびながら、また意識を集中させ、争いの声や剣の交わる音を拾った。そしてそこへ急いで向かう。
争っている場所までくると、木陰に隠れて様子を見た。
互いに血まみれで半数は倒れている。
『力は五分五分だな。しかしどうやって助けるべきか·····』
魔法のない国で魔法で助ける·····難しいが、風魔法で気絶させることにした。
『·····強い魔力がもう少しいる。今日はミチルダと···諦めるか。』
こんなときも妻とのにゃんにゃんすることを考えるダンだった。
ダンはいつもの倍、意識を集中させ風魔法で敵だけを狙い突風を出した。
勿論、バレない為にアリアの護衛にもちょっと目を開けていられない程度の風を向けた。
全身黒づくめの奴らは突風に巻き込まれ、突風が治まったと同時に一ヶ所に集められバタバタと倒れていった。
騎士団長のザイールは、一体何があったのか分からない。いきなり強い風が来て、目を開けたら敵が皆倒れている光景に呆然としていた。
『大丈夫そうだな、さて、これからこやつらをどうするかだか。魔物はいると言ってたから血の臭いや死臭で寄ってくるぞ。』
そうダンが思っていた時に、馬の走る音が聞こえた。
「アリア様~!アリア様~!ご無事ですか!?」
と叫んでこちらへ向かってくる青年がいる。
ダンは向こうから見えないくらいな高さまで飛んでその声がする方を見た。
『見たことがない青年だな。』
青年の後ろには大勢いた。
しかも旗が2つあり揺らしながらやってくる。
『一つは確かアリア殿の国の紋章だな、もう一つは·····』
一回だけ見たことがあった。ダンは薄れた記憶を必死に辿った。
『そうだ!フレアがアリア殿からドレスを貰った時に箱に入っていたアリア殿の出身国と言っていた国の紋章に似ている!』
そう、それはリンカーヌからの援軍と、ランクスが率いるサマヌーンからの援軍だった。
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