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51話 ひとまずはお礼を!
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私は落ち着きを取り戻したら安心し、疲れたのか眠くなったので、周りに警護がいる中、とは言ってもキースとランディだけどベッドに入った。寝ずらかったけれどベッドの上で横になるとすぐに深い眠りに入った。
起きると既に昼頃になっていた。
「アリア様、起きられましたか?」
ネネがずっとそばに居てくれたらしい。ベッドのそばに椅子を置き座って縫い物をしていた。
「ええ。ネネもだけどキースやランディが居てくれたから安心してぐっすり寝れたわ。」
「それは良かったです。」
ネネは安心したようにニッコリと笑い、ランディは照れたように笑い、キースはニヤリと笑った。
キース!何故ニヤリなの!?
それより癒しが欲しいわ!
「ネネ、フレディは?」
「フレディはレイナに見てもらってます。今はピューマと遊んでいると思いますわ。」
「そう·····。」
残念。でもフレディに癒されたい!
そうだ!ピューマにも一緒に癒して貰えばいいのよ!
「キース、今からピューマの所に行くわ!」
私は張り切ってベッドから降りると、ネネに止められた。
「アリア様、今は部屋から出ることは許されてませんわ。」
「何故?」
「何故って····アリア様!夜中に賊に狙われたではありませんか!!まだ捕まっておりませんので、先ほどイース様が来られてまして、キースとランディ殿にアリア様を部屋から一歩も出すなと命令をしておられました。」
「えーー!ピューマのところだよ?大丈夫よ!」
ネネは横に首を振り
「アリア様、ダメですわ。部屋の外でイース様が待機してます。」
監視ね。流石だわ。
これは大人しくしておくしかないわね。
「それよりネネ!私を襲った賊が魔法を使ったのよ!」
「魔法ですか?逃亡の際に空へ飛んで逃げたとは聞いてますが、本当なのですか?」
ちょっと!貴女が疑うの?
「そうよ!空を飛んだのもそうだけど、何か呪文みたいなものを唱えてたら手のひらに火を出したもの!ボッて!!」
私はその時のことを手振りでネネに教えた。
「本当ですか!?」
ネネはやっと実感したのかかなり驚いている。
「そうよ!それに貴女のお友達から貰ったペンダントも凄かったのよ!魔法がピカッと光って、それに凄い風がボワッと!!」
「アリア様······落ち着いてください。よく分かりません。」
何よ!ちゃんと説明してるわよ!
「····まあ、いいわ。とりあえずペンダントが本当に魔法を発動したのよ!賊もびっくりしてたわ。」
「信じられませんね。この国····大陸には魔法の『ま』の字もなかったはずですが。でもやはりフレアちゃんがくれたペンダントは本当に魔法が秘められてたのですね!アリア様の身をちゃんと護ってくれて······フレアちゃんありがとう。」
ネネはポロポロっと涙を流した。
「本当に助かったわ。本当にこのまま死ぬんだと思ってたから。」
思い出すだけで、身の毛もよだつ。背中に冷や汗が流れた。
あの苦しみは二度と味わいたくないわ。
そして首にかけてあるペンダントと見た。綺麗な宝石だったのに、今はその光を失い真っ黒な宝石と変貌していた。
このペンダントを貰う時にネネは言っていた。
『アリア様!フレアちゃんがアリア様の為に新しい魔法のペンダントを贈ってくれましたよ!私の物とは違い、魔法が二段階で出るらしいですわ!これでアリア様の身は安全ですわ!』
貰ったときは半信半疑だったけれど、実際に魔法は発動され私は助けられた。
何かお礼をしないとね。
「そのフレアさんって方には感謝しきれないわ。お礼をしないとね。」
「はい!勿論です!アリア様の命を助けて頂いたのですもの!」
「あと、賊の魔法についても聞いてみてくれないかしら?」
「と、申しますと?」
ネネが首を傾げた。
「この大陸には魔法がないはずなのに使える者がいたということ。フレアさんからはこちらには来れないと言っていたらしいけれど、今は可能になっているのではないかと。」
「アリア様、フレアちゃん達が住んでいるところから賊が来たとお考えなのですか?」
「そうね·····もしくはフレアさん達の大陸ではなく別の大陸でも魔法が使える所があり、そこからやってきた可能性も考えられるわね。それでフレアさんに意見を聞きたいの。」
「分かりました。」
ネネは神妙な顔になっている。
私はとりあえず、意見を聞いて少しでも解決できたらと思っている。
それはさておき、先にお礼はしなくちゃね!
「ネネ、それは置いて後でまた何を贈るか一緒に決めましょう。」
「はい!」
ネネは笑顔で頷いた。
その後は昼食を一人で食べた。ルイス殿下は通常業務プラス私を襲った賊のことでバタバタしているらしく、部屋にはあれからまだ訪れていない。
ルイス殿下の側近のイースも私が素直に部屋にじっとしていることを確認すると、ルイス殿下の元へ戻ると言って去って行った。その際にキースとランディにくれぐれも私を部屋から出さないようにと念押しして······。
仕方ないので、フレアさんに贈るものをネネと選んだ。
何がいいだろうと悩んだけれど、どうやらフレアさんと私の背丈は同じくらいだから体型も同じくらいではないかとネネが言ったので、まだ一度も着ていないシャルの糸で作った淡い黄色のドレスを贈ることにした。装飾品以外は全てムシュムシュのシャルの高質の糸で作ってある。淡い黄色に染めるのにも何度も糸に色を入れ、かなり手がかかっている。仕上がったがったのも先週なのだ。そのドレスが出来るまでに一年ちょっとかかった。
王族でもなかなか手に入らない品物。きっと喜んでくれるに違いない!
後はネネに頼んで贈ってもらうことにした。
ーサマヌーン国ー
アリアが襲われて二週間が経とうとしていた。
「アリア様が襲われた!?アリア様はご無事ですか!?」
ランディが目の前にある机をバンッと叩く。
「まあ、落ち着けランクス。アリアは大丈夫だ。」
ここはサマヌーン国の皇太子であるギルバードの公務室である。
そこにはギルバードに呼ばれやってきた、この国の宰相のランクスがいた。
そしてたった今、リンカーヌ王国より親書が届いたのだ。
「ギルバード殿下!これが落ち着いていられますか!!」
ギルバードは椅子から立ち上がり、まあまあとランクスの肩を軽く叩いた。ランクスにソファーに座るように促す。
「他には何と書かれていたのですか?」
「ああ、もう少し詳しく話そう。手紙には二週間前に、アリアが寝ている所に賊が入ってきて暗殺をされかけたと書かれてある。しかも警備の目を盗んでどうやって侵入をしたかも分からないらしい。」
「それはどういうことですか?賊が侵入したと言うことは警備を怠っていたのでしょう?そうとしか考えられませんが。」
ランクスは怒りの余りか少し声が震えている。
「ランクスの意見は最もだが、その賊は逃亡する際には空を飛んだと言うのだ。」
「空を飛んだ?あり得ないでしょう!」
「うむ。そうなのだ。だが空を飛んで逃げる賊の姿を見た者がアリアの他にも数名いるそうだ。到底信じられない話しだがな。」
空を飛ぶ人間など聞いたことがない。そんなことは物語の中の架空のことだと二人とも認識している。
二人とも考えるが首を傾げるだけだ。
「ギルバード殿下、それでは賊はまだ捕まっていないのですか?」
そんな非現実的なことを考えても仕方がないのでランクスは話しを進めた。
「ああ。まだ捕まってないらしい。」
「しかし、何故そんな大変な出来事を二週間も経って知らせて来たのでしょう!すぐにでもこちらには報告しないといけないはずですが!」
「どうやらアリア本人が報告しないようにと止めていたらしい。」
「アリア様が!?」
「ああ。心配をかけたくないとね。自分はサマヌーン国を出た身だからだと言っていたと。」
「アリア様······。」
ランクスはショックを受けていた。確かにリンカーヌ王国へ嫁がれてこのサマヌーン国を出られた。だがやはりアリア様はサマヌーン国の王族の一員なのだ。
心配もさせてくれないのか·····。
ランクスが頭を落として落ち込んでいるのを見ていたギルバードは話しを続けた。
「だが、やはりそれではいけないと思ったらしくキースがアリアに内緒で報告をしてくれた。そして近隣の国の様子を見て怪しい動きがないかとかの情報が欲しいと。」
「そうですか····キース殿が。」
「ランクス、変なことを考えるなよ。」
ギルバードが真剣な面持ちで言ってくる。
「······変なこととは?」
ランクスは惚けた。
「·····まあ、いい。ひとつだけ言っておく。この国にはお前が必要だ。」
「········。」
「お前のお蔭で、サマヌーン国は目まぐるしく発展し、裕福に成りつつある。もう一度言う。この国にはお前が必要だ。」
「·····身の余るお言葉です。光栄でございます。ギルバード殿下、まだ執務がありますので失礼いたします。」
ランクスはお辞儀をし、ギルバードの公務室から出て行った。
それを見届けたギルバードは大きなため息をつきいた。
「ランクス、本当に変なこと考えるなよ····。この国にはお前の代わりになるような者はいないのだから····。」
ギルバードはそう一言呟き、窓の外に広がる青空を見上げた。
一方ランクスは、ひとつの決意を固めつつあった。そしてその日の執務に没頭したのだった。
起きると既に昼頃になっていた。
「アリア様、起きられましたか?」
ネネがずっとそばに居てくれたらしい。ベッドのそばに椅子を置き座って縫い物をしていた。
「ええ。ネネもだけどキースやランディが居てくれたから安心してぐっすり寝れたわ。」
「それは良かったです。」
ネネは安心したようにニッコリと笑い、ランディは照れたように笑い、キースはニヤリと笑った。
キース!何故ニヤリなの!?
それより癒しが欲しいわ!
「ネネ、フレディは?」
「フレディはレイナに見てもらってます。今はピューマと遊んでいると思いますわ。」
「そう·····。」
残念。でもフレディに癒されたい!
そうだ!ピューマにも一緒に癒して貰えばいいのよ!
「キース、今からピューマの所に行くわ!」
私は張り切ってベッドから降りると、ネネに止められた。
「アリア様、今は部屋から出ることは許されてませんわ。」
「何故?」
「何故って····アリア様!夜中に賊に狙われたではありませんか!!まだ捕まっておりませんので、先ほどイース様が来られてまして、キースとランディ殿にアリア様を部屋から一歩も出すなと命令をしておられました。」
「えーー!ピューマのところだよ?大丈夫よ!」
ネネは横に首を振り
「アリア様、ダメですわ。部屋の外でイース様が待機してます。」
監視ね。流石だわ。
これは大人しくしておくしかないわね。
「それよりネネ!私を襲った賊が魔法を使ったのよ!」
「魔法ですか?逃亡の際に空へ飛んで逃げたとは聞いてますが、本当なのですか?」
ちょっと!貴女が疑うの?
「そうよ!空を飛んだのもそうだけど、何か呪文みたいなものを唱えてたら手のひらに火を出したもの!ボッて!!」
私はその時のことを手振りでネネに教えた。
「本当ですか!?」
ネネはやっと実感したのかかなり驚いている。
「そうよ!それに貴女のお友達から貰ったペンダントも凄かったのよ!魔法がピカッと光って、それに凄い風がボワッと!!」
「アリア様······落ち着いてください。よく分かりません。」
何よ!ちゃんと説明してるわよ!
「····まあ、いいわ。とりあえずペンダントが本当に魔法を発動したのよ!賊もびっくりしてたわ。」
「信じられませんね。この国····大陸には魔法の『ま』の字もなかったはずですが。でもやはりフレアちゃんがくれたペンダントは本当に魔法が秘められてたのですね!アリア様の身をちゃんと護ってくれて······フレアちゃんありがとう。」
ネネはポロポロっと涙を流した。
「本当に助かったわ。本当にこのまま死ぬんだと思ってたから。」
思い出すだけで、身の毛もよだつ。背中に冷や汗が流れた。
あの苦しみは二度と味わいたくないわ。
そして首にかけてあるペンダントと見た。綺麗な宝石だったのに、今はその光を失い真っ黒な宝石と変貌していた。
このペンダントを貰う時にネネは言っていた。
『アリア様!フレアちゃんがアリア様の為に新しい魔法のペンダントを贈ってくれましたよ!私の物とは違い、魔法が二段階で出るらしいですわ!これでアリア様の身は安全ですわ!』
貰ったときは半信半疑だったけれど、実際に魔法は発動され私は助けられた。
何かお礼をしないとね。
「そのフレアさんって方には感謝しきれないわ。お礼をしないとね。」
「はい!勿論です!アリア様の命を助けて頂いたのですもの!」
「あと、賊の魔法についても聞いてみてくれないかしら?」
「と、申しますと?」
ネネが首を傾げた。
「この大陸には魔法がないはずなのに使える者がいたということ。フレアさんからはこちらには来れないと言っていたらしいけれど、今は可能になっているのではないかと。」
「アリア様、フレアちゃん達が住んでいるところから賊が来たとお考えなのですか?」
「そうね·····もしくはフレアさん達の大陸ではなく別の大陸でも魔法が使える所があり、そこからやってきた可能性も考えられるわね。それでフレアさんに意見を聞きたいの。」
「分かりました。」
ネネは神妙な顔になっている。
私はとりあえず、意見を聞いて少しでも解決できたらと思っている。
それはさておき、先にお礼はしなくちゃね!
「ネネ、それは置いて後でまた何を贈るか一緒に決めましょう。」
「はい!」
ネネは笑顔で頷いた。
その後は昼食を一人で食べた。ルイス殿下は通常業務プラス私を襲った賊のことでバタバタしているらしく、部屋にはあれからまだ訪れていない。
ルイス殿下の側近のイースも私が素直に部屋にじっとしていることを確認すると、ルイス殿下の元へ戻ると言って去って行った。その際にキースとランディにくれぐれも私を部屋から出さないようにと念押しして······。
仕方ないので、フレアさんに贈るものをネネと選んだ。
何がいいだろうと悩んだけれど、どうやらフレアさんと私の背丈は同じくらいだから体型も同じくらいではないかとネネが言ったので、まだ一度も着ていないシャルの糸で作った淡い黄色のドレスを贈ることにした。装飾品以外は全てムシュムシュのシャルの高質の糸で作ってある。淡い黄色に染めるのにも何度も糸に色を入れ、かなり手がかかっている。仕上がったがったのも先週なのだ。そのドレスが出来るまでに一年ちょっとかかった。
王族でもなかなか手に入らない品物。きっと喜んでくれるに違いない!
後はネネに頼んで贈ってもらうことにした。
ーサマヌーン国ー
アリアが襲われて二週間が経とうとしていた。
「アリア様が襲われた!?アリア様はご無事ですか!?」
ランディが目の前にある机をバンッと叩く。
「まあ、落ち着けランクス。アリアは大丈夫だ。」
ここはサマヌーン国の皇太子であるギルバードの公務室である。
そこにはギルバードに呼ばれやってきた、この国の宰相のランクスがいた。
そしてたった今、リンカーヌ王国より親書が届いたのだ。
「ギルバード殿下!これが落ち着いていられますか!!」
ギルバードは椅子から立ち上がり、まあまあとランクスの肩を軽く叩いた。ランクスにソファーに座るように促す。
「他には何と書かれていたのですか?」
「ああ、もう少し詳しく話そう。手紙には二週間前に、アリアが寝ている所に賊が入ってきて暗殺をされかけたと書かれてある。しかも警備の目を盗んでどうやって侵入をしたかも分からないらしい。」
「それはどういうことですか?賊が侵入したと言うことは警備を怠っていたのでしょう?そうとしか考えられませんが。」
ランクスは怒りの余りか少し声が震えている。
「ランクスの意見は最もだが、その賊は逃亡する際には空を飛んだと言うのだ。」
「空を飛んだ?あり得ないでしょう!」
「うむ。そうなのだ。だが空を飛んで逃げる賊の姿を見た者がアリアの他にも数名いるそうだ。到底信じられない話しだがな。」
空を飛ぶ人間など聞いたことがない。そんなことは物語の中の架空のことだと二人とも認識している。
二人とも考えるが首を傾げるだけだ。
「ギルバード殿下、それでは賊はまだ捕まっていないのですか?」
そんな非現実的なことを考えても仕方がないのでランクスは話しを進めた。
「ああ。まだ捕まってないらしい。」
「しかし、何故そんな大変な出来事を二週間も経って知らせて来たのでしょう!すぐにでもこちらには報告しないといけないはずですが!」
「どうやらアリア本人が報告しないようにと止めていたらしい。」
「アリア様が!?」
「ああ。心配をかけたくないとね。自分はサマヌーン国を出た身だからだと言っていたと。」
「アリア様······。」
ランクスはショックを受けていた。確かにリンカーヌ王国へ嫁がれてこのサマヌーン国を出られた。だがやはりアリア様はサマヌーン国の王族の一員なのだ。
心配もさせてくれないのか·····。
ランクスが頭を落として落ち込んでいるのを見ていたギルバードは話しを続けた。
「だが、やはりそれではいけないと思ったらしくキースがアリアに内緒で報告をしてくれた。そして近隣の国の様子を見て怪しい動きがないかとかの情報が欲しいと。」
「そうですか····キース殿が。」
「ランクス、変なことを考えるなよ。」
ギルバードが真剣な面持ちで言ってくる。
「······変なこととは?」
ランクスは惚けた。
「·····まあ、いい。ひとつだけ言っておく。この国にはお前が必要だ。」
「········。」
「お前のお蔭で、サマヌーン国は目まぐるしく発展し、裕福に成りつつある。もう一度言う。この国にはお前が必要だ。」
「·····身の余るお言葉です。光栄でございます。ギルバード殿下、まだ執務がありますので失礼いたします。」
ランクスはお辞儀をし、ギルバードの公務室から出て行った。
それを見届けたギルバードは大きなため息をつきいた。
「ランクス、本当に変なこと考えるなよ····。この国にはお前の代わりになるような者はいないのだから····。」
ギルバードはそう一言呟き、窓の外に広がる青空を見上げた。
一方ランクスは、ひとつの決意を固めつつあった。そしてその日の執務に没頭したのだった。
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