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48話 とうとう問題になりました!

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王宮のある部屋。

国王夫妻ならびに、ルイス殿下、宰相や有力な公爵家達など、そうそうたるメンバーが集まっていた。雰囲気はピリピリとしている。

「ルイス、アリアはまだ身ごもりませんか?」

この国の王妃であり、ルイスの母親でもあるレイランが悲痛の面持ちでルイスに話かける。

「······はい。」

レイランはルイスの返答に、そっと目を閉じた。

「ルイス、お主は分かっておろう。」

ヘルデス陛下は、ルイスをさとすように話した。

「·········。」

それに便乗して、宰相のサーイスが言ってくる。

「そうですぞ。このままでしたら、アリア様は皇太子妃の身分を返上し、離縁を······」

「皆まで言うな!」

そんなことは分かっている!
我が国では、正妃が五年以内に子を産むか、又は妊娠しなければ、皇太子妃という身分を剥奪され、離縁されることになっている。
これは後継者を産めないと判断される為であり、その為、皇太子妃には不適切と判断されるからである。
皇太子妃は子供を産んで正式に皇太子妃と認められるのだ。

側妃に子供がいても、皇太子妃が産む子が、次世代の王になるのだ。つまり、側妃達の子は王位継承権はない。

勿論、いろんな不幸なことがあり、王位継承をする者が居なかった場合には側妃達の子から選ぶこともある。

「ルイス殿下には他にお子様達もいらっしゃる。ルイス殿下には問題はないと思われますので、問題があるのはアリア様の方なのか······。」

サーイスが顎髭を触りながら考え込む。

そうなのだ。私はアリアとの婚礼が済むまでは、側妃達との子作りは控えていた。
婚礼が終わると私はアリアを優先し、子作りに励んだ。凄く励んだ。毎回アリアが気絶するほど(そして毎回怒られる)。側妃達とは使命感もあり性欲を満たす行為だが、愛する者とすると、気持ちいいというか何とも言えない気持ちになるんだと知った。

だが側妃達の方は順調に妊娠し出産しているが、肝心のアリアが全く妊娠する気配すらない。

何故だ?
やはりサーイスが言うようにアリアの身体に問題があるのか?
そんなことは考えたくもないが。

「ルイスよ。アリアは皇太子妃としても申し分もない人だ。国務も我々の考えられる範囲を越えるくらいの行動してくれている。」

「ええ。そうよ。私達妃は国王を支える為にいるわ。他の国との友好を築くためにおもてなしをしたり。だけれども、アリアはそれを越えて国民の為に行動までしているわ。とても凄いことだと思うわ。恥ずかしながら、後宮の維持について·····特にお金の使い方なんて考えたこともなかったわ。今まで疑問にすら思わなかった。」

レイランは恥ずかしそうに目を伏せた。

「母上·····」

「今や、国民はアリア様に信頼を寄せております。孤児院の増設などや、平民でも勉強できるように学舎まなびやの新設などで、人気もうなぎ登りです。あとはアリア様がルイス殿下のお子を身籠もってくだされば·····ルイス殿下!お願いしますぞ!」

サーイスに『お願いしますぞ!』
と言われてもな。
最近はアリアも、私が側妃を娶るのには寛容になっている気がする。個人的ではなく、国対国の問題なのだと分かってくれたようだ。

側妃も八人になり、アリアが均等に夜は通うべきだというから、私とそうだなと思いその通りにしていたが······。

何としてでも離縁はしたくはない!

離縁などしたら、アリアは不名誉となり、臣下に下賜かしされるか、修道院に行くことになるだろう。アリア自身が選べるが、きっとアリアは修道院を選ぶだろう·····いや、私とアリアが離縁して喜ぶ者もいるな。

ランクス・グルブルス。

アリアの元婚約者で、現サマヌーン国の宰相。美丈夫で、公爵家の跡取り。今だ結婚せず。一時はアリアの姉と婚約が決まっていたのに婚約破棄をした強者。
たまにこの国に宰相として来るが、その度に私を見るは冷たい。笑っているが目が笑ってないのだ。恨んでいるか·····恨んでいるであろうな。

だが、アリアは私のものだ!誰にも渡さない!

私は考えた事を早速今夜から実行することにした。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


別室でそんなやり取りをしているのを露知らず、私は弧児院を訪れていた。


今日は、上手く弧児院が機能・運営できているか、困ったことはないか、改善点はないかの視察だった。

弧児院に行くだけでも、仰々ぎょうぎょうしい行列だ。
今回はピューマも連れてきた。子供たちに大人気だからだ。

「あっ!ピューマだ!」
「大きい!」
「格好いい!!」

案の定、子供達は大喜びでピューマに寄ってきて、抱きついたり、撫でたりしている。
ピューマも嬉しいそうにされるがままにじっとしている。

「こら!あなた達!アリア皇太子妃様に挨拶もせず、何をしているの!!」

私達の突然の訪問に驚いていたシスターが、我に返り子供達を叱咤する。
そして私の方に向き直り頭を下げた。

「アリア皇太子妃様、子供達が申し訳ございません。」

「いいよ。私の方が突然に訪問しましたから。気になさらないで。」

「そんなことありませんわ。アリア皇太子妃様が弧児院の援助金をアップしてくださったから、子供達もひもじい思いをせずに居れるのです。感謝しかございませんわ。」

なんか照れるわね。

シスターとそんなやり取りをしていると、いつの間にか後ろに子供達が集まってきていた。
そして子供達は大きいな声で挨拶をしてくれた。

「「「「「アリア皇太子妃様!こんにちは!ようこそ、アリーデル弧児院へ来てくださいました!」」」」」





「アリア様、お疲れ様でした。」

私は王城に帰り自分の屋敷にいる。今はネネが、お茶の用意をしてくれていた。

あれから、弧児院の中を見たり、子供達の食事の様子を見たりした。
アリーデル弧児院はアリーデル教会と併設しており、子供達もある程度自由に行き来できるようになっている。私は弧児の子供達にも最低限の勉強をさせたかった。計算や字の読み書きなど。大人になったら巣だっていく。その為には必要なことだと思っているから。
私はアリーデル教会の横に小さな小屋を作り、無料で勉強できるような学校みたいなものを造った。弧児院の子供達だけでなく、平民の子も受け入れている。
その学校は寄付金で成り立っている。最初から上手くいった訳ではない。提案の段階では、いろんな問題が勃発した。それは資金だ。勿論、ルイス殿下に提案し、議題にしてもらったらが、そんことをしても維持が大変なだけだど却下された。かなりルイス殿下も頑張ってくれたのだけれど。私が全て出そうとも思った。ルイス殿下も自分の私金を出してくれるとは言ってはくれたのだけれど、見返りがあることではない。私はいいのだけれど、ルイス殿下に負担してもらうのはどうかと思ったのだ。だからと言って私自身が全て負担するのはかなりキツかった。それを打破してくたのがキースだった。

「アリア様、私の商会から寄付金を出します。」
「だけどキース·····」
「アリア様のされようとしていることは凄いことだと思います。計算や読み書きができれば、我がルーブス商会で働いて貰うことも出来すます。リンカーヌ支部は人手不足です。是非勉強してルーブス商会で活躍して欲しいです!ですからアリア様!ルーブス商会が全面的にバックアップします。」

キース!なんて男前!惚れちゃいそう!

そして、その話を聞いていたランディが、ホーン公爵候やムラサーラ公爵候など周りに掛け合ってくれたのだ。両家ともに賛同してくれ、実現できたのだ。教えてくれる先生もボランティア。現役の先生や、ルーブス商会の人達が交代で子供達に教えてくれている。

今では沢山の子供達が学校で勉強している。

今は無料でしているけど、いつまでもそれができるわけではない。国にそれ用の予算を組んで貰ったら、平民でも出せる料金設定にしていくつもりだ。
今はそれに向けて皆で頑張っている。

ネネがコトッと紅茶のカップを置いた。

「どうでしたか?アリーデル弧児院は上手くいってましたか?」

私はネネに今日あった出来事を話した。ネネもとても喜んでくれた。フレディが五歳になったら、通わせると鼻息を荒くしていた。
そんな楽しいひとときを過ごしているときにドアをノックする音がなった。
ネネがドアを開けるとランディが立っていた。

「どうしたの?」

私が声をかけると、ランディはお辞儀をし、要件だけ言った。

「これからルイス殿下が来られます。」

「え?ルイス殿下が」

夕食のお迎えかしら?でもまだ夕飯には早い時間だし、何だろう。

少ししてからルイス殿下は現れた。

「アリア、今日も可愛いな。」

······ルイス殿下、今朝も食事の時に会いましたが····。相変わらず臭いセリフを言うわね。

「どうかなさったのですか?」

私はルイス殿下の言葉をスルーし問いかけると、ルイス殿下は気にした様子もなく爆弾発言した。

「アリア、夜伽だがアリアが妊娠するまで毎日、私達の寝室に来るように。」

「はい!?」

えっ?幻聴ですか?

「だから、アリアが妊娠するまでは側妃達の元へは通わず、アリアと夜を過ごすことにする。」

えっ!?えーっっっっっ!
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