47 / 65
45話 ネネの回想 ※ネネ視点①
しおりを挟む
先日、私の主であるアリア様が長い旅からリンカーヌ王国へ帰って来られた。
無事で何より!と思っていたのに、最後の訪問先のママイヤ国で大変なことが発覚したのことだった。
私はママイヤ国出身のララベル様のご懐妊のことと思っていましたが、それよりも大変なことでした。
ララベル様のご懐妊はこちらではかなり話題になっていた。何せ初のルイス殿下の御子が出来たから、城内は凄いお祝いモードになっていた。
それによりララベル様の態度が増長したとかしないとか······。
本来なら最初に身ごもるのはアリア様だったでしょう。
ルイス殿下にかなり愛されていますし。
旅の道中もアリア様がよく起きあがれないことがあったとレイナの報告で聞いたわ。
避妊薬がなければきっと······。
この世界には避妊薬はない。たまたま私に異国の友達が出来て避妊薬があると知ったこと。アリア様がサマヌーン国の花嫁修行の勉強であることが分かったことによりそれ活用をすることになったのだ。
それはリンカーヌ王国に来る2ヶ月くらい前の事だった。
~~~回想~~~
「ねえ、ネネ。やっぱりルイス王子の所に嫁がないといけないわよね。」
「アリア様、もう婚約破棄をするのは難しいですわ。残念ですけど。」
アリア様は既に側妃が五人いるルイス殿下のところに嫁ぐのに頭を痛めていた。
「お父様に割りきれと言われてもね·····。割りきれない事ってあるわよね!」
そんなやり取りを何回もした。
だけどある日アリア様が興奮してお勉強から帰ってきた。
バターンッ!
「ネネ!」
アリア様は、ハアハアと息切れをしながら私の名前を呼んだ。
「アリア様!姫たるもの乱暴にドアを開けてダメではないですか!あと廊下を走ってきましたね!ペナルティですよ!」
「ネネ!そんな細かいことは気にしてはダメよ!それより、私、いいこと聞いたわ!」
アリア様はまた乱暴にバタン!とドアを閉めて椅子に座った。
「いいことですか?」
私はとりあえずアリア様の紅茶の用意を始めた。
「そうなの!結婚はしないといけないけれど離縁ならできるかもしれないわ!」
「離縁ですか!?」
私は思わず手を止めてアリア様を見る。
「ええ!ネネ!紅茶を入れる手が止まっているわよ!早くちょうだい!走って帰ってきたから喉が乾いているの!」
私は急いで紅茶を入れて、アリア様の前にティーカップを置いた。
アリア様は紅茶を2、3口飲んで口を開いた。
「ネネ、よく聞いてちょうだい。さっきリンカーヌ王国の勉強をしていて分かったことなんだけど、あまり知られていないリンカーヌの王族の決まりごとがあるの。」
「王族の決まりごとですか?」
アリア様は深く頷き話しを進めた。
「正妃は結婚して五年以内に子を授からないと離縁になるというと!」
「ええー!」
驚いた!
アリア様の話では、それは正妃のみ対象らしく、側妃は関係ないとのこと。正妃は一度結婚したら、はい離縁とはいかない。その点側妃は変えることができるからだ。
簡単に言うと、正妃は国の顔なのでそうそうに変えることは出来ないが、側妃は代わりはいくらでもいるということ。
先ほども申しましたが、正妃は国の顔。正妃は政治は勿論、次世代の国を治める御子を産むのも仕事なのだ。五年で御子を授からなければ、皇太子妃には不適合と判断され離縁という流れになる。
そして皇太子は次の正妃を他から新たに娶るか、側妃から選ぶことになる。
「婚約破棄は無理なら、離縁ならできるかもしれない!だから色々やってみるつもり。」
「例えば何をやるおつもりですか?」
「国王夫妻に嫌われるとか·····」
「それをしたらサマヌーン国に被害がでるかもしれませんね。」
「······まあ、思い付くものをやってみるけれど、効果的なのはルイス王子の御子を作らないことよ!」
でも実際は無理だと思った。閨を断り続けるなんてことできないと思うし。貴方の赤ちゃん欲しくないってはっきり言えないだろうし。そんなこと言ったら大変なことになるわね····赤ちゃんを作らない場合は男性の協力なしでは無理。
それを言うとアリア様はかなり落ち込んだ。落ち込んでその日の夕食も食べなかった。
私は異国の友達にそのことを相談したら、意外に早く解決した。異国の国には避妊薬というのがあって、ほぼその薬を飲んだら妊娠はしないということだった。友達はすぐにその薬を贈ってくれた。
そこから離縁計画が発動したのだ。
~~~~~~
そして現在に至る。
今は効果覿面みたいでアリア様は妊娠した様子はない。
このまま上手くいけば離縁ができる確率が高くなる。
離縁後は部下に譲られるか修道院行きになるのが普通だそうだ。だけど皇太子妃の要望があればそれが優先されるらしい。
アリア様には離縁後のことを聞いたら、それは離縁できてから考えるわと言われた。
どんな結果であれ、私はアリア様にどこにでもついて行くと心に決めている。
私はお腹の撫でながらお腹の中の赤ちゃんに言い聞かせた。
「勿論あなたも一緒だからね!」
無事で何より!と思っていたのに、最後の訪問先のママイヤ国で大変なことが発覚したのことだった。
私はママイヤ国出身のララベル様のご懐妊のことと思っていましたが、それよりも大変なことでした。
ララベル様のご懐妊はこちらではかなり話題になっていた。何せ初のルイス殿下の御子が出来たから、城内は凄いお祝いモードになっていた。
それによりララベル様の態度が増長したとかしないとか······。
本来なら最初に身ごもるのはアリア様だったでしょう。
ルイス殿下にかなり愛されていますし。
旅の道中もアリア様がよく起きあがれないことがあったとレイナの報告で聞いたわ。
避妊薬がなければきっと······。
この世界には避妊薬はない。たまたま私に異国の友達が出来て避妊薬があると知ったこと。アリア様がサマヌーン国の花嫁修行の勉強であることが分かったことによりそれ活用をすることになったのだ。
それはリンカーヌ王国に来る2ヶ月くらい前の事だった。
~~~回想~~~
「ねえ、ネネ。やっぱりルイス王子の所に嫁がないといけないわよね。」
「アリア様、もう婚約破棄をするのは難しいですわ。残念ですけど。」
アリア様は既に側妃が五人いるルイス殿下のところに嫁ぐのに頭を痛めていた。
「お父様に割りきれと言われてもね·····。割りきれない事ってあるわよね!」
そんなやり取りを何回もした。
だけどある日アリア様が興奮してお勉強から帰ってきた。
バターンッ!
「ネネ!」
アリア様は、ハアハアと息切れをしながら私の名前を呼んだ。
「アリア様!姫たるもの乱暴にドアを開けてダメではないですか!あと廊下を走ってきましたね!ペナルティですよ!」
「ネネ!そんな細かいことは気にしてはダメよ!それより、私、いいこと聞いたわ!」
アリア様はまた乱暴にバタン!とドアを閉めて椅子に座った。
「いいことですか?」
私はとりあえずアリア様の紅茶の用意を始めた。
「そうなの!結婚はしないといけないけれど離縁ならできるかもしれないわ!」
「離縁ですか!?」
私は思わず手を止めてアリア様を見る。
「ええ!ネネ!紅茶を入れる手が止まっているわよ!早くちょうだい!走って帰ってきたから喉が乾いているの!」
私は急いで紅茶を入れて、アリア様の前にティーカップを置いた。
アリア様は紅茶を2、3口飲んで口を開いた。
「ネネ、よく聞いてちょうだい。さっきリンカーヌ王国の勉強をしていて分かったことなんだけど、あまり知られていないリンカーヌの王族の決まりごとがあるの。」
「王族の決まりごとですか?」
アリア様は深く頷き話しを進めた。
「正妃は結婚して五年以内に子を授からないと離縁になるというと!」
「ええー!」
驚いた!
アリア様の話では、それは正妃のみ対象らしく、側妃は関係ないとのこと。正妃は一度結婚したら、はい離縁とはいかない。その点側妃は変えることができるからだ。
簡単に言うと、正妃は国の顔なのでそうそうに変えることは出来ないが、側妃は代わりはいくらでもいるということ。
先ほども申しましたが、正妃は国の顔。正妃は政治は勿論、次世代の国を治める御子を産むのも仕事なのだ。五年で御子を授からなければ、皇太子妃には不適合と判断され離縁という流れになる。
そして皇太子は次の正妃を他から新たに娶るか、側妃から選ぶことになる。
「婚約破棄は無理なら、離縁ならできるかもしれない!だから色々やってみるつもり。」
「例えば何をやるおつもりですか?」
「国王夫妻に嫌われるとか·····」
「それをしたらサマヌーン国に被害がでるかもしれませんね。」
「······まあ、思い付くものをやってみるけれど、効果的なのはルイス王子の御子を作らないことよ!」
でも実際は無理だと思った。閨を断り続けるなんてことできないと思うし。貴方の赤ちゃん欲しくないってはっきり言えないだろうし。そんなこと言ったら大変なことになるわね····赤ちゃんを作らない場合は男性の協力なしでは無理。
それを言うとアリア様はかなり落ち込んだ。落ち込んでその日の夕食も食べなかった。
私は異国の友達にそのことを相談したら、意外に早く解決した。異国の国には避妊薬というのがあって、ほぼその薬を飲んだら妊娠はしないということだった。友達はすぐにその薬を贈ってくれた。
そこから離縁計画が発動したのだ。
~~~~~~
そして現在に至る。
今は効果覿面みたいでアリア様は妊娠した様子はない。
このまま上手くいけば離縁ができる確率が高くなる。
離縁後は部下に譲られるか修道院行きになるのが普通だそうだ。だけど皇太子妃の要望があればそれが優先されるらしい。
アリア様には離縁後のことを聞いたら、それは離縁できてから考えるわと言われた。
どんな結果であれ、私はアリア様にどこにでもついて行くと心に決めている。
私はお腹の撫でながらお腹の中の赤ちゃんに言い聞かせた。
「勿論あなたも一緒だからね!」
0
お気に入りに追加
1,651
あなたにおすすめの小説
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
身代わりの公爵家の花嫁は翌日から溺愛される。~初日を挽回し、溺愛させてくれ!~
湯川仁美
恋愛
姉の身代わりに公爵夫人になった。
「貴様と寝食を共にする気はない!俺に呼ばれるまでは、俺の前に姿を見せるな。声を聞かせるな」
夫と初対面の日、家族から男癖の悪い醜悪女と流され。
公爵である夫とから啖呵を切られたが。
翌日には誤解だと気づいた公爵は花嫁に好意を持ち、挽回活動を開始。
地獄の番人こと閻魔大王(善悪を判断する審判)と異名をもつ公爵は、影でプレゼントを贈り。話しかけるが、謝れない。
「愛しの妻。大切な妻。可愛い妻」とは言えない。
一度、言った言葉を撤回するのは難しい。
そして妻は普通の令嬢とは違い、媚びず、ビクビク怯えもせず普通に接してくれる。
徐々に距離を詰めていきましょう。
全力で真摯に接し、謝罪を行い、ラブラブに到着するコメディ。
第二章から口説きまくり。
第四章で完結です。
第五章に番外編を追加しました。
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
【コミカライズ決定】地味令嬢は冤罪で処刑されて逆行転生したので、華麗な悪女を目指します!~目隠れ美形の天才王子に溺愛されまして~
胡蝶乃夢
恋愛
婚約者である王太子の望む通り『理想の淑女』として尽くしてきたにも関わらず、婚約破棄された挙句に冤罪で処刑されてしまった公爵令嬢ガーネット。
時間が遡り目覚めたガーネットは、二度と自分を犠牲にして尽くしたりしないと怒り、今度は自分勝手に生きる『華麗な悪女』になると決意する。
王太子の弟であるルベリウス王子にガーネットは留学をやめて傍にいて欲しいと願う。
処刑された時、留学中でいなかった彼がガーネットの傍にいることで運命は大きく変わっていく。
これは、不憫な地味令嬢が華麗な悪女へと変貌して周囲を魅了し、幼馴染の天才王子にも溺愛され、ざまぁして幸せになる物語です。
「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。
あおくん
恋愛
憧れの人であった旦那様は初夜が終わったあと私にこう告げた。
「君の為の時間は取れない」と。
それでも私は幸せだった。だから、旦那様を支えられるような妻になりたいと願った。
そして騎士団長でもある旦那様は次の日から家を空け、旦那様と入れ違いにやって来たのは旦那様の母親と見知らぬ女性。
旦那様の告げた「君の為の時間は取れない」という言葉はお二人には別の意味で伝わったようだ。
あなたは愛されていない。愛してもらうためには必要なことだと過度な労働を強いた結果、過労で倒れた私は記憶喪失になる。
そして帰ってきた旦那様は、全てを忘れていた私に困惑する。
※35〜37話くらいで終わります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる