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41話 ネネおめでとう!

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私達はリンカーヌ王国を出発してから順調に旅をしていた。
やはりルイス殿下と私がいるので大所帯での移動となっていた。
馬車は勿論、小さな国旗を掲げとルイス殿下の家紋が入った、明らかに目立つ馬車に乗っている。

基本はルイス殿下とは別々の馬車に乗っている。向こうはイーサと一緒に乗って色々と会議をしているらしい。
私は侍女達と一緒に乗っている。大体はお裁縫したり、次に行く国のお勉強をしている。

私の馬車のすぐそばにはランディが付いてくれていた。反対側にはピューマがいる。
安心安心♪

部隊はルイス殿下、私の近衛隊とプラスして騎士団の二部隊が護衛として付いてきてくれている。
あと、長旅になるので私達の身の回りの世話をする為に侍女も二名いる。
だがその中にはネネとキースの姿はない。


それは旅に出る一週間前の事だった。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「ピューマはルイス殿下がお話を通してくれているので連れていけるけどシャルはどうするかなあ。」


シャムシャムは繊細な生き物。環境が変わるとストレスで死ぬことも多い。幸い今回は無事に生きているけれど。

これでまた長旅に出て、側妃達の故郷四カ国は行く予定らしいから絶対にシャルに負担がかかることは目に見えている。しかも、慣れた人からしか餌は食べないし。

今回もネネは私と同行する予定だし。前回はまだサマヌーンにいたからどうにでもなったけれど。

それを言うとネネが笑顔になり

「アリア様!大丈夫です!そう思って従姉妹のレイナに仕込みましたから!」

仕込みましたって······。

ネネが言うには、長旅の事を聞いた後にすぐにレイナをシャルの世話係にしたそう。勿論シャルがレイナに慣れるまではネネと二人で世話をしていたとのこと。

「今は慣れてちゃんとレイナから餌を食べてます!」

ネネったらいつの間に!でも助かったわ!ネネを置いて行くことも考えなくちゃいけなかったから!

レイナはネネが後から侍女として呼び寄せた従姉妹になる。勿論ルイス殿下の許可を貰って。

物凄く抜けているところもあり·····つまりおっちょこちょいね。よくネネに注意されているけど、頑張って仕えてくれている。

まあ、とりあえず一安心と思っていたら····出発する3日前になんと、ネネに妊娠が発覚したのだ。

確かにネネは最近身体がだるい、熱っぽいと言っていた。休んでもいいって言ってるのにガンとして休まず仕事をしていた。その無理が祟ったのかある日倒れたのだ。

医師に見て貰うと妊娠三ヶ月と判明したのだ。
凄くめでたいわ!キースも凄く喜んでいた。これで実家にいい報告ができると。
妊娠中のネネに旅を一緒に行こうだなんて言えない。赤ちゃんの為に残れと言ったのだけど、

「絶対にアリア様に付いていきますよ!お腹の子は私とキースの子です!旅なんてへっちゃらです!」

そんな訳あるかっ!

医師は妊娠初期が一番危ないと言っていた。

ネネとキースが待ちに待ってやっと出来た赤ちゃんなんだから、お願いだから大事を取って残って欲しいとお願いをした。

「ですが!」

「ネネ、私は赤ちゃんを産まないかもしれない。ルイス殿下と離縁できても修道院に行くかもしれないから。我が子を抱けないかもしれない。それならせめてネネの子をこの手で抱っこしたいわ。」

私がしんみりした面持ちで言うとネネは観念したように渋々と頷いた。

キースにも残るように言った。
またネネがそれに反対してきたが、シャムは珍しい虫なので狙われるかもしれない。だからシャムの護衛として残すのだと説明した。
そこにはネネも納得をして、その場が何とか治まった。
実際はキースはネネが無理をしないようにと監視する為に残すことにしたんだけどね!


と、言うわけでネネの代わりに同行している侍女は私側はレイナと、ルイス殿下側はプリン。何か美味しそうな名前·····。

両方ともに17才で恋人は居ないらしい。チラチラと騎士団の人や近衛隊を見ているのが気になるけど、仕事には支障をきたしてないのでほっといている。

ただ······

「あの鎧の下の筋肉を見たい····きっと凄いんだろうな·····じゅるっ」

レイナがうっとりとした目で騎士団の人達を見て涎をたらしている。

さすがにネネの従姉妹ね!やっぱり筋肉が一番らしい。
でもレイナ、涎はいただけないわ!

こんな感じで無事に旅をしている。

訪問はマターナルヤ国→ドゴランド王国→ザンビア国と既にした。

どの国も歓迎してくれて、舞踏会やお茶会などを主催してくれた。

疲れた······。何故か旅をしている方が楽だと思ってしまうほど。顔がひきつるわ。きっと頬の筋肉を使いすぎね。

また私の白銀色の髪の毛は目立ってしょうがなかった。

各国の教会本部の司祭も一目私を見ようと舞踏会などに祝辞を述べに来ていた。
私はいつものように値踏みするような目で見られていた。
それはとても嫌だったけれど、必ずそばにルイス殿下が居てくれたので無駄なお誘いはなかったから良かったけれど。

夜の営みは·····勿論自重してもらったわ!しかも他国でそんなことするの恥ずかしいし!でも毎回は断れなかったので一回で終わるならと言って承諾をしていた。

ネネからバッチリ避妊薬を2瓶貰ってきたから大丈夫!毎日決まった時間に飲みようにしている。ルイス殿下には

「何の薬?」

と聞かれたので私専用の栄養薬と答えておいた。それをルイス殿下がすんなり信じていたのには驚いたわ。

次は最後の訪問先ママイヤ国。ここの皇太子はちょっと嫌。舞踏会の時に私を無視してララベルのことをルイス殿下にごり押ししていたから。見た感じでは自己中心的ね。ルイス殿下の不機嫌オーラにも気づかず、あまりにララベルのことを言うので隣にいた宰相に止められていたわ。あれが次期ママイヤ国王なんてママイヤ国の人達が可哀想·····。
将来のママイヤ国を案じた。

そうこうしている内にママイヤ国がすぐそこに見えていた。
そのママイヤ国で吉報を聞き、そして私に魔の手が伸びくるなんて誰が予測できるだろう·····。
予期できないことが起こるなんて思いもしない私は馬車の中で呑気にケーキを食べていた。
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