39 / 65
37話 舞踏会の後に....
しおりを挟む
ああしんどかった······。
舞踏会は滞りなく進み終わった。自分が!だけれど。
来賓客の相手は大変だった····とは言え、ほとんど相手をしていたのはルイス殿下だったけどね。
でも笑顔を絶やさずに保つのはかなりの労力を要したわ!
しかも側妃達の故郷である各国の兄、親戚達が来たものだからちょっと嫌だったわ·····。
ルイス殿下も色々と嫌みを言われていたけれど。(まあ、当然ですわね。)
私の方は値踏みするかのように見られて嫌だった。
第二側妃ナタリアの故郷マターナルヤ国から来たのは兄である皇太子。ナタリアが私のことをどう言っているのか分からないけれど、私を見る目付きが怖かったわ。
まあ、私がいなければナタリアは正妃になっていた可能性が一番高かっただろうから、邪魔と思っているのかもね。
後でルイス殿下に聞いた話しだけど、ナタリアとの結婚をめぐってひと悶着を起こしたのがこの皇太子だったらしい。
そして、第三側妃マリーベルの故郷ドゴランド王国からもマリーベルの兄の皇太子がお祝いにきてくれていた。こちらは舐めるような目付きで見てきていたわ。
「とてもお綺麗な皇太子妃様だ。私もこんな妃がいたらどんなにいいか·····」
と、言ってルイス殿下のご機嫌を少し損ねてたわね。
第四側妃のアナラーナの故郷はザンビア国。こちらは現国王の王弟が来られていた。40代くらいで、物腰は柔らかったけれどルイス殿下や私と話をしている時には常に笑顔だったけれど目が笑っていなくて怖かった。
第五側妃のララベルの故郷、ママイヤ国からも皇太子。今の寵愛はララベルだからそのことを私の目の前で話題にしていたわ。正直腹が立ったけれど笑顔で対応したわ。私って大人?
あとは貴族で祝辞を述べるというよりは媚びを売ってるって感じがした。
その時は身体より精神的に辛かったわ。
ちなみにローゼンリタの父親であるマイヤー公爵候は窶れていて前回に会った時とは全く違って低姿勢だった。ローゼンリタのせいでマイヤー公爵候の地位がかなり下がったようだ。
祝辞三昧が終わると、疲れているからと私は途中退場をした。蜜月だから成せる行為。勿論ルイス殿下はその場に残り対応しているはず。
私は少しベッドで横になって休んでいたけれど、ネネからピューマが寂しがってました。と聞いてピューマの所へ行くことにした。
歩くのもしんどい状態だったけれど、休憩をはさみつつ頑張って歩いた。
裏庭に着くと外は既に暗くなっていた。ピューマは私に気付き嬉しそうに私の元へやってきて頭をスリスリしてきた。
「ごめんね。ピューマ。」
私はピューマの頭を撫でて、お鼻にキスをした。
私は椅子に座り櫛でピューマをブラッシングをした。
「ピューマの散歩は?」
私が聞くとネネがすぐに答えてくれた。
「昨日はキースが連れて行きました。今日は····アリア様は無理そうなのでまたキースが連れて行くと思います。」
「そうね····ちょっとピューマの散歩は無理ね。キースお願いね。」
「はい。お任せください。」
キースは快く引き受けてくれた。それを聞いたピューマは「キュウ~」と鳴いてがっかりした表情を見せた。
「ごめんね。明日は行こうね。」
私はピューマを宥めた。
今日の閨は何とか、しないようにルイス殿下を説得しないとね!
そういえばピューマの散歩にも付いて来ると言っていたわね······。
私がピューマを甘やかして撫でたりしていると、ある人物がこちらに向かっているのが見えた。
·····誰?
だんだんと近づいて来た人物を見て驚いた。
「ランクス!」
「アリア様。」
ランクスは笑顔でこちらにやってきた。
どうしてランクスが!?ここは皇太子妃の離宮よ。普通は入れないはず。
そのことを聞くとキースがルイス殿下にお願いして許可をもらったということだった。よく許可を出したわね····。
許可が貰えた理由はキースがルイス殿下に一週間もアリア様にあまり会えないならピューマが暴走するかもしれない。それを止めるのは自分一人では無理だ、ランクスと一緒なら何とかなるだろうからと言って許可をもらったらしい。
確かにキースとランクスはピューマを拾ったときから一緒にいて、ランクスが私の近衛をしている時には常に散歩にもついて来ていた。キースとランクス、ネネの言うことなら聞くでしょうね。
実は昨日もピューマの散歩にランクスも一緒に行ったとのこと。
なるほどね。ピューマが暴走したら大変なことになるわ。私との蜜月を死守するために許可をしたのね。
「アリア様、隣に座っても宜しいでしょうか?」
「いいわよ。どうぞ。」
ランクスは私の隣に座りピューマを撫でる。
「これからは『アリア様』ではなく『アリア皇太子妃』と呼ばないといけないですね。」
ランクスは苦笑しながら言ってきた。
「あら、いいのよ。いつも通りに呼んでちょうだい。許可するわ。」
私はそう言うと、ふたりで顔を見合せぷっと笑い出した。
「そういえば、舞踏会はどうしたの?」
「途中で抜けて来ました。舞踏会にはギルバート様が居れば大丈夫ですから。私が居なくても何とでもなります。」
ランクス·····ギルバートお兄様を犠牲にして抜けてきましたね····。
「アリア様。」
今度はネネに呼ばれる。
「アリア様、キースと私はピューマの散歩に行って参りますわ。舞踏会がまだ終わりそうにないですし、今日は早めに行って参ります。」
そうね。きっと舞踏会が終わるのを待っていたら散歩に行くのは夜中になってしまうわね。
「お願いするわ。ピューマ行っていらっしゃい。」
ピューマのお鼻にチュッとキスをした。
キースはピューマにリードを着けて、裏門の方へと向かっていった。
「あら、ランクスは行かないの?」
「ええ。せっかくアリア様と会えたので。ピューマも昨日はイライラしていたようでしたが、今はそんな感じを受けませんでした。アリア様に会えたので落ち着いたのでしょう」
「そうなの?ならいいけれど。」
ランディは私から見えない位置で警備をしているようだ。
なので今は二人きり。
「アリア様····この一年で本当にますます綺麗なられましたね。」
「あら!ありがとう!」
身内からの誉め言葉は素直に受け取れるわね。
私は両手を顔に当てていやんいやんと頭を振った。
「早まりました。」
ランクスはいきなりそんな言葉を言うので、どうしたんだろうと思った。
「アリア様がサマヌーン国の為にその身を犠牲にして····私も何とかしなければと思い、強くて豊かな国にしたくて宰相になることを決め、手っ取り早いと思いバーバラ様と愛のない婚約をしました。」
あら、さらっバーバラ御姉様に愛がないって言ってるわ。
「自分でも驚きの早さで宰相になりました。まだ後五、六年はかかると思ってました。これもガライ様のおかげです。キツかったですがガライ様から色々と学ばして貰いました。今思うに、宰相になったらそこそこの地位ので、結婚とかそんなことは黙らせることもできる。一生涯独身でもいいという選択肢もあったと思います。」
「そんな!貴方みたいな有望な人が結婚しないだなんてダメよ!いくら宰相になったからと言っても周りが放って置かないわ!」
ランクスが結婚せず子孫を残さないなんてサマヌーン国にとっては大打撃だわ!そんなのダメよ!ダメ!
熱弁する私にランクスは一瞬苦笑し、真顔になりいきなり顔を近づけてくる。
「え!?」
そしてランクスの唇が私の唇に触れた。
えっ?!えっ?!えぇぇぇー!!
ランクスが私にキスしてるっ!!
私は驚き大きく目を開けて、間近にあるランクスの顔を見つめていたのだった。
舞踏会は滞りなく進み終わった。自分が!だけれど。
来賓客の相手は大変だった····とは言え、ほとんど相手をしていたのはルイス殿下だったけどね。
でも笑顔を絶やさずに保つのはかなりの労力を要したわ!
しかも側妃達の故郷である各国の兄、親戚達が来たものだからちょっと嫌だったわ·····。
ルイス殿下も色々と嫌みを言われていたけれど。(まあ、当然ですわね。)
私の方は値踏みするかのように見られて嫌だった。
第二側妃ナタリアの故郷マターナルヤ国から来たのは兄である皇太子。ナタリアが私のことをどう言っているのか分からないけれど、私を見る目付きが怖かったわ。
まあ、私がいなければナタリアは正妃になっていた可能性が一番高かっただろうから、邪魔と思っているのかもね。
後でルイス殿下に聞いた話しだけど、ナタリアとの結婚をめぐってひと悶着を起こしたのがこの皇太子だったらしい。
そして、第三側妃マリーベルの故郷ドゴランド王国からもマリーベルの兄の皇太子がお祝いにきてくれていた。こちらは舐めるような目付きで見てきていたわ。
「とてもお綺麗な皇太子妃様だ。私もこんな妃がいたらどんなにいいか·····」
と、言ってルイス殿下のご機嫌を少し損ねてたわね。
第四側妃のアナラーナの故郷はザンビア国。こちらは現国王の王弟が来られていた。40代くらいで、物腰は柔らかったけれどルイス殿下や私と話をしている時には常に笑顔だったけれど目が笑っていなくて怖かった。
第五側妃のララベルの故郷、ママイヤ国からも皇太子。今の寵愛はララベルだからそのことを私の目の前で話題にしていたわ。正直腹が立ったけれど笑顔で対応したわ。私って大人?
あとは貴族で祝辞を述べるというよりは媚びを売ってるって感じがした。
その時は身体より精神的に辛かったわ。
ちなみにローゼンリタの父親であるマイヤー公爵候は窶れていて前回に会った時とは全く違って低姿勢だった。ローゼンリタのせいでマイヤー公爵候の地位がかなり下がったようだ。
祝辞三昧が終わると、疲れているからと私は途中退場をした。蜜月だから成せる行為。勿論ルイス殿下はその場に残り対応しているはず。
私は少しベッドで横になって休んでいたけれど、ネネからピューマが寂しがってました。と聞いてピューマの所へ行くことにした。
歩くのもしんどい状態だったけれど、休憩をはさみつつ頑張って歩いた。
裏庭に着くと外は既に暗くなっていた。ピューマは私に気付き嬉しそうに私の元へやってきて頭をスリスリしてきた。
「ごめんね。ピューマ。」
私はピューマの頭を撫でて、お鼻にキスをした。
私は椅子に座り櫛でピューマをブラッシングをした。
「ピューマの散歩は?」
私が聞くとネネがすぐに答えてくれた。
「昨日はキースが連れて行きました。今日は····アリア様は無理そうなのでまたキースが連れて行くと思います。」
「そうね····ちょっとピューマの散歩は無理ね。キースお願いね。」
「はい。お任せください。」
キースは快く引き受けてくれた。それを聞いたピューマは「キュウ~」と鳴いてがっかりした表情を見せた。
「ごめんね。明日は行こうね。」
私はピューマを宥めた。
今日の閨は何とか、しないようにルイス殿下を説得しないとね!
そういえばピューマの散歩にも付いて来ると言っていたわね······。
私がピューマを甘やかして撫でたりしていると、ある人物がこちらに向かっているのが見えた。
·····誰?
だんだんと近づいて来た人物を見て驚いた。
「ランクス!」
「アリア様。」
ランクスは笑顔でこちらにやってきた。
どうしてランクスが!?ここは皇太子妃の離宮よ。普通は入れないはず。
そのことを聞くとキースがルイス殿下にお願いして許可をもらったということだった。よく許可を出したわね····。
許可が貰えた理由はキースがルイス殿下に一週間もアリア様にあまり会えないならピューマが暴走するかもしれない。それを止めるのは自分一人では無理だ、ランクスと一緒なら何とかなるだろうからと言って許可をもらったらしい。
確かにキースとランクスはピューマを拾ったときから一緒にいて、ランクスが私の近衛をしている時には常に散歩にもついて来ていた。キースとランクス、ネネの言うことなら聞くでしょうね。
実は昨日もピューマの散歩にランクスも一緒に行ったとのこと。
なるほどね。ピューマが暴走したら大変なことになるわ。私との蜜月を死守するために許可をしたのね。
「アリア様、隣に座っても宜しいでしょうか?」
「いいわよ。どうぞ。」
ランクスは私の隣に座りピューマを撫でる。
「これからは『アリア様』ではなく『アリア皇太子妃』と呼ばないといけないですね。」
ランクスは苦笑しながら言ってきた。
「あら、いいのよ。いつも通りに呼んでちょうだい。許可するわ。」
私はそう言うと、ふたりで顔を見合せぷっと笑い出した。
「そういえば、舞踏会はどうしたの?」
「途中で抜けて来ました。舞踏会にはギルバート様が居れば大丈夫ですから。私が居なくても何とでもなります。」
ランクス·····ギルバートお兄様を犠牲にして抜けてきましたね····。
「アリア様。」
今度はネネに呼ばれる。
「アリア様、キースと私はピューマの散歩に行って参りますわ。舞踏会がまだ終わりそうにないですし、今日は早めに行って参ります。」
そうね。きっと舞踏会が終わるのを待っていたら散歩に行くのは夜中になってしまうわね。
「お願いするわ。ピューマ行っていらっしゃい。」
ピューマのお鼻にチュッとキスをした。
キースはピューマにリードを着けて、裏門の方へと向かっていった。
「あら、ランクスは行かないの?」
「ええ。せっかくアリア様と会えたので。ピューマも昨日はイライラしていたようでしたが、今はそんな感じを受けませんでした。アリア様に会えたので落ち着いたのでしょう」
「そうなの?ならいいけれど。」
ランディは私から見えない位置で警備をしているようだ。
なので今は二人きり。
「アリア様····この一年で本当にますます綺麗なられましたね。」
「あら!ありがとう!」
身内からの誉め言葉は素直に受け取れるわね。
私は両手を顔に当てていやんいやんと頭を振った。
「早まりました。」
ランクスはいきなりそんな言葉を言うので、どうしたんだろうと思った。
「アリア様がサマヌーン国の為にその身を犠牲にして····私も何とかしなければと思い、強くて豊かな国にしたくて宰相になることを決め、手っ取り早いと思いバーバラ様と愛のない婚約をしました。」
あら、さらっバーバラ御姉様に愛がないって言ってるわ。
「自分でも驚きの早さで宰相になりました。まだ後五、六年はかかると思ってました。これもガライ様のおかげです。キツかったですがガライ様から色々と学ばして貰いました。今思うに、宰相になったらそこそこの地位ので、結婚とかそんなことは黙らせることもできる。一生涯独身でもいいという選択肢もあったと思います。」
「そんな!貴方みたいな有望な人が結婚しないだなんてダメよ!いくら宰相になったからと言っても周りが放って置かないわ!」
ランクスが結婚せず子孫を残さないなんてサマヌーン国にとっては大打撃だわ!そんなのダメよ!ダメ!
熱弁する私にランクスは一瞬苦笑し、真顔になりいきなり顔を近づけてくる。
「え!?」
そしてランクスの唇が私の唇に触れた。
えっ?!えっ?!えぇぇぇー!!
ランクスが私にキスしてるっ!!
私は驚き大きく目を開けて、間近にあるランクスの顔を見つめていたのだった。
0
お気に入りに追加
1,651
あなたにおすすめの小説
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
後宮の棘
香月みまり
キャラ文芸
蔑ろにされ婚期をのがした25歳皇女がついに輿入り!相手は敵国の禁軍将軍。冷めた姫vs堅物男のチグハグな夫婦は帝国内の騒乱に巻き込まれていく。
☆完結しました☆
スピンオフ「孤児が皇后陛下と呼ばれるまで」の進捗と合わせて番外編を不定期に公開していきます。
第13回ファンタジー大賞特別賞受賞!
ありがとうございました!!
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
軽い気持ちで超絶美少年(ヤンデレ)に告白したら
夕立悠理
恋愛
容姿平凡、頭脳平凡、なリノアにはひとつだけ、普通とちがうところがある。
それは極度の面食いということ。
そんなリノアは冷徹と名高い公爵子息(イケメン)に嫁ぐことに。
「初夜放置? ぜーんぜん、問題ないわ!
だって旦那さまってば顔がいいもの!!!」
朝食をたまに一緒にとるだけで、満足だ。寝室別でも、他の女の香水の香りがしてもぜーんぜん平気。……なーんて、思っていたら、旦那さまの様子がおかしい?
「他の誰でもない君が! 僕がいいっていったんだ。……そうでしょ?」
あれ、旦那さまってば、どうして手錠をお持ちなのでしょうか?
それをわたしにつける??
じょ、冗談ですよね──!?!?
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
傲慢令嬢は、猫かぶりをやめてみた。お好きなように呼んでくださいませ。愛しいひとが私のことをわかってくださるなら、それで十分ですもの。
石河 翠
恋愛
高飛車で傲慢な令嬢として有名だった侯爵令嬢のダイアナは、婚約者から婚約を破棄される直前、階段から落ちて頭を打ち、記憶喪失になった上、体が不自由になってしまう。
そのまま修道院に身を寄せることになったダイアナだが、彼女はその暮らしを嬉々として受け入れる。妾の子であり、貴族暮らしに馴染めなかったダイアナには、修道院での暮らしこそ理想だったのだ。
新しい婚約者とうまくいかない元婚約者がダイアナに接触してくるが、彼女は突き放す。身勝手な言い分の元婚約者に対し、彼女は怒りを露にし……。
初恋のひとのために貴族教育を頑張っていたヒロインと、健気なヒロインを見守ってきたヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、別サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる