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2、『黒山羊 ガク』零視点
19、SIDE:ガク/『映画やドラマじゃあるまいしっ!?』
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それにしても、『メイくん』は本当に可愛い。
配信でもたまに、メイくんが配信中でこっちの配信を見る余裕がないのを確認した上で、コミュニティ限定配信の視聴者相手に相談してるくらい、言動が可愛いんだ。
19、SIDE:ガク/『映画やドラマじゃあるまいしっ!?』
「俺のキャラをストーカーだって……あんな楽しそうに笑って」
「俺と遊べて嬉しいって……」
「呼び捨て嬉しいって……」
酒を片手にくだを巻く俺に、視聴者の『お姉さま方』が応援してくれるコメントが毎回あたたかい。
『ガク、年上の余裕をみせるのよー』
お姉さま! 俺、中の人的には同じ年齢なんだ……でも、頑張るよ。
『ガク、こっちからも好意を伝えるのよ!』
お姉さま! 俺、恥ずかしいな……でも、やってみるよ。
『ガク、オフ会デート、GO!』
俺の視聴者は歳上のお姉さま方が多いみたいで、アドバイスがすげえ頼もしいんだ……。
「よし、デートするわ……」
視聴者に励まされ、俺はデートを申し込んだのだった。
絶妙に『へたれ』感を出した俺はこの時デートじゃなくて『打ち合わせ』って言っちゃったんだけど。
相方となった俺とメイくんが初めてオフで会う日。
なんとも偶然というか、メイくんはリアルの名前が『かえで』というらしい。それがまた俺を緊張させるのだ。
――そんな、偶然、幼馴染と再会なんて――映画やドラマじゃあるまいしっ!?
――でもでも、万が一……。
俺は死にそうなくらい緊張して、待ち合わせの店に行った。チャットアプリでは、『黒の上に白』とか書いてある。
(それだと、白X黒……メイXガクみたいだな。お、俺は逆がいいっ……)
チャットアプリにさりげなく攻め希望の旨を書いて、待ち合わせ相手を探し――目を見開く。
「か……かえで……」
そこには、『幼馴染のかえでが成長したらこんな感じ』と想像していた通りの大学生がいた。
(えっ、ほ、ほんとうに? 本物? えっ、ガチ? えっ、これ現実?)
現実を疑いつつ、席に近づいて声をかける。
「こんにちは、いつもお世話になって……」
声は間違いなく『メイくん』だ。
リアルメイくんだ! そして、かえで……?
(『いつもお世話になって』だって。かえでは、俺を忘れてる……? ほ、本人という確証も、ないっ……)
「初めまして」
慌てて挨拶を返せば、すっかり『俺の幼馴染に君がすごく似てて』というキッカケが失われてしまった……。
それにしても、これは現実なんだろうか。
なんか、運命みたいなものを感じてしまうのだが――。
配信でもたまに、メイくんが配信中でこっちの配信を見る余裕がないのを確認した上で、コミュニティ限定配信の視聴者相手に相談してるくらい、言動が可愛いんだ。
19、SIDE:ガク/『映画やドラマじゃあるまいしっ!?』
「俺のキャラをストーカーだって……あんな楽しそうに笑って」
「俺と遊べて嬉しいって……」
「呼び捨て嬉しいって……」
酒を片手にくだを巻く俺に、視聴者の『お姉さま方』が応援してくれるコメントが毎回あたたかい。
『ガク、年上の余裕をみせるのよー』
お姉さま! 俺、中の人的には同じ年齢なんだ……でも、頑張るよ。
『ガク、こっちからも好意を伝えるのよ!』
お姉さま! 俺、恥ずかしいな……でも、やってみるよ。
『ガク、オフ会デート、GO!』
俺の視聴者は歳上のお姉さま方が多いみたいで、アドバイスがすげえ頼もしいんだ……。
「よし、デートするわ……」
視聴者に励まされ、俺はデートを申し込んだのだった。
絶妙に『へたれ』感を出した俺はこの時デートじゃなくて『打ち合わせ』って言っちゃったんだけど。
相方となった俺とメイくんが初めてオフで会う日。
なんとも偶然というか、メイくんはリアルの名前が『かえで』というらしい。それがまた俺を緊張させるのだ。
――そんな、偶然、幼馴染と再会なんて――映画やドラマじゃあるまいしっ!?
――でもでも、万が一……。
俺は死にそうなくらい緊張して、待ち合わせの店に行った。チャットアプリでは、『黒の上に白』とか書いてある。
(それだと、白X黒……メイXガクみたいだな。お、俺は逆がいいっ……)
チャットアプリにさりげなく攻め希望の旨を書いて、待ち合わせ相手を探し――目を見開く。
「か……かえで……」
そこには、『幼馴染のかえでが成長したらこんな感じ』と想像していた通りの大学生がいた。
(えっ、ほ、ほんとうに? 本物? えっ、ガチ? えっ、これ現実?)
現実を疑いつつ、席に近づいて声をかける。
「こんにちは、いつもお世話になって……」
声は間違いなく『メイくん』だ。
リアルメイくんだ! そして、かえで……?
(『いつもお世話になって』だって。かえでは、俺を忘れてる……? ほ、本人という確証も、ないっ……)
「初めまして」
慌てて挨拶を返せば、すっかり『俺の幼馴染に君がすごく似てて』というキッカケが失われてしまった……。
それにしても、これは現実なんだろうか。
なんか、運命みたいなものを感じてしまうのだが――。
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