14 / 46
1章、楽師、南海に囀りて
13、人魚の海域、妖精のご挨拶、歌交わし
しおりを挟む
遥か彼方で空と海がまじわる、無限につづくような世界を船が往く。
海風と陽光を受ける帆を張って、柔らかな白波と戯れて。
――帆風と波を全身で感じながら一行が辿り着いたのは、妖精の集落があるという海域だった。
13、人魚の海域、妖精のご挨拶、歌交わし
アイザールの船団は、その後数日かけて逃げたイカに警戒しつつ、幽霊船が出没する海域に辿り着いた。
「私は妖精に挨拶してみますね。混沌騎士団もいるかもしれませんし」
アレクセイが船首から声を響かせる。紡ぐ言葉は東方言葉であった。その金糸を紡いだような髪が、曇りがちな陽射しに淑やかに艶めいて、きらきらしている。
「揺らめく波と泡沫の貴婦人、奔放なる人魚の皆様に森の妖精、純血のアレクセイがご挨拶申し上げます。私は東の森、サリオン様の枝葉にて、混沌騎士団に預けられし身。海の血に初めてお目にかかりたいのですが……」
気弱で真面目そうな青年の声にこたえるように海がゆらりと不自然な波の揺らぎを見せたので、見守っていた船団の皆が好奇の視線を集中させた。
薄らと空に立ち込める暗い色の雲の隙間から、細く太陽の光の筋が差し込んでいる。
揺らぐ波間と妖精青年の髪にそれが反射して煌めく視界は、どこか御伽噺めいて、幻想的だった。
長い黒髪、編み髪を背に遊ばせて、少ししめやかな空気の中でサミルはこの船旅の冒険譚をいつか自分の言葉で世界に伝え、後世まで語り継がせんとこころに思う。
(それはもう、美しく、多少大げさに盛ってやろう。俺自身は、傍観者の配役で!)
アレクセイが海面の揺らぎに手応えを感じたように懐から黄金の果実を取り出し、海に差し出している。
青年の手が目に見えて緊張だか何だかで震えていて、見守るサミルは謎の庇護欲みたいなものを覚えた。
この妖精青年は、何をするにしてもなんだか経験の浅い感じがして、頼りない――、
アレクセイの声が響いている。
どこか神々しい雰囲気を纏って。
「森の恵みを、私から――我らは神々に自由なる奇跡を許されし民にて、そのこころは遊びて計らず、二つ心は良しとせず、この友好の意思は純水に似て濁らず、と申し上げます」
曇り空の下で優しい色合いに艶を見せる金色の髪を振り、ハルディアがじれったそうにサミルに耳を寄せ、囁いた。
「俺、何言ってるかわからん。わかる?」
「わかる必要もなし」
サミルは薄らと微笑んだ。
騒めきが大きくなる。海面に複数の人影めいたものが現れて、ざぱりと海棲の妖精が姿を現したからだ。
人魚は、つるりとして水に濡れた繊細な肌、上半身はひとの女に似た容姿にて、肩や腕を大胆に露出している。体付きは総じて神々の造りし人形めいて美しく魅力的で、胸元は貝殻の胸飾りで覆い隠していた。
妖精の感覚でも、そこは隠すものなのだな――と、サミルなどはしみじみ思ったものだ。
ちなみにへその下は魚のような下半身になっていて、鱗の一枚一枚がしっとりと濡れた輝きを放ち、陽射しを浴びて可憐な花びらのように柔らかで繊細な色を魅せていた。
濡れた髪は艶やかに水面に広がり、微笑みの形に端があがる唇はふっくらしていて、やさしく温かな印象。
けれど、その囀る歌声は男を誘い、海に引き摺り込んで帰らぬ人にしてしまうこともある――そんな美しくも恐ろしいところのある妖精だ。
そんな人魚の集落が近くにあり、群れが実際に現れたのだから、妖精種と不仲のアイザール勢は一気に緊張感を高めていた。
「人魚だ!」
「船が囲まれてるぞ、大丈夫か?」
アイザール兵が血相を変えて声を上げている。
「武器を――」
「武器は取るな」
自身も得物に伸びそうな利き手を逆の手で抑えつつ、グリエルモが飄々とした声を響かせた。
「先に敵対の気配を見せてはいかんぞ、君たちぃ~、俺は友人にそれを常々怒られているッ」
グリエルモの友人ネクシとは、アイザールの高官だ。奴隷だった彼を助けて傭兵になる手伝いをしてくれて、功績を重ねるのを支援してくれたのだという。彼らはとても仲が良く、互いの髪に揃いのリボンを結えて親友と呼び合っているらしい――。
「また落ちるかな?」
ハルディアがすぐ隣で何か言っている。おそらく独り言だろう――、
「落ちてもいいように縛っとく?」
青年の声がそんな事を言って縄などを掴んでいる。
「ん? 命綱?」
「そうそう、そのへんの柱にでも括って」
「いらん」
サミルはリュートを爪弾いた。
「海の貴婦人らに一曲捧げよう! 即興曲、タイトルは『海に落ちる英雄』これだなっ」
軽い調子で楽しく奏でた始まりの音がまあまあ気に入ったので、サミルはその後を適当に続けた。
「それって自分の事?」
ミハイ皇子が冷静なツッコミをしてから、アレクセイに優しく声をかけている。
「アレクセイ、大丈夫そう?」
アレクセイは船の近くに寄ってきた人魚に黄金の果実を落とし、じっと瞳を覗いた。
人魚が聞き取れない言葉で海のせせらぎみたいに喉を震わせ、何かを歌っている。
意味のわからない不思議な発音の言葉は、耳に気持ちよい。
未知の妖精世界を感じさせ、心に異国情緒みたいな新鮮な感覚を呼び起こすのだ。
柔らかに紡がれた声が何人分も重なる中、アレクセイは振り返った。
「音楽は楽しい、と言ってます」
青年の薄荷緑の瞳が宝石のようにきらきらして、内心の高揚を伝えている。
この気弱な青年がそんな顔をみせると、年上の冒険者たちは不思議と「よかったな」と言いたくなるのだった。
「やはり、音楽とは種や言葉を越えて友好の架け橋となるものよな――俺はわかってた!」
サミルはしたり顔でリュートを奏でて適当な歌を歌い始めた。それはもう、適当に。
「♪英雄さん 海に落ちたァ~
♪鎧を脱いでぱしゃりと落ちたぁ
♪ついでに船が傾いて
♪最後はみんながどんぶらこ~」
人魚たちが喜んで尾鰭をぱしゃぱしゃさせている。
喜んでくれている――サミルはニコニコした。
「歌詞がひどい」
ミハイ皇子がけらけらと笑っている。
「でも、ウけてる! いいぞ!」
グリエルモはそんなミハイ皇子を肩に抱え上げて揺らし、「それミハイ、傾いたぞ~」と緊張感なくふざけ始めた。グリエルモの配下兵、ジャクレンは戸惑いがちな真面目な顔で、心配そうにしているが。
「人魚は襲ってこないようですね……?」
どうやら、人魚は船を襲う気がない様子で、綺麗に歌声を響かせている。
「おーいみんなぁー、なんか歌っとけー」
「おじさんは適当だなぁ」
アイザールの主従がのほほんとした声を響かせる中、冒険者たちは思い思いに適当な歌を歌い始めた。
「これは良いや。祭りだ、祭り」
ハルディアが楽しそうに足を慣らしてリズムを刻んでいる。
「っていうか、混沌騎士団の連中は? あいつら海に沈められてたりして?」
何やら個人的に混沌騎士団が気になるらしい青年剣士マヌエルが手すりにつかまり、人魚たちや海を戸惑いがちに見ている。
褐色の指先がぎゅっと強く震えるように手すりを掴んで、肩が震えている。
「うぅ……っ、気に入らん奴らだったが、いざ死んだかもしれないと思うとちょっと複雑……」
複雑そうな声がそんな事を呟いていた。
「妖精の群れとは、これまた……」
マヌエルの近くにいる冒険者のチームが顔を見合わせている。
「歌わないのかい、マクミラン?」
帆柱に手をかけて今にも登っていきそうな気配のニールが人懐こく笑っている。
「俺は音痴なんだ。人魚が機嫌悪くしても知らねえぞ」
「ふーん」
するすると仔猿のようにニールが帆柱を登っていく。
「莫迦となんとかは高いところが好きっていうが、あいつはそれかね」
呆れたように言って、マクミランが肩を竦めた。
ローブ姿の術者、メルシムはそんな二人から少し距離を取るようにして、ひそやかな空気感で佇んでいた。
「メルシム殿はどう思う」
マクミランが愛想よく笑顔を向ける。
メルシムは応えず、沈黙を返した。
「寝てんじゃねえの」
ニールが上から茶々を入れている。
「こら、ニール」
マクミランは弟をしかる兄みたいな顔で、帆柱の上のニールを睨んだ。
しばらくそんな暢気な時間を過ごすうちに、人魚たちは海の中に引き上げていった。
「この船は、沈めないでくれるようです」
アレクセイはそう言って皆を安心させたのだった。
海風と陽光を受ける帆を張って、柔らかな白波と戯れて。
――帆風と波を全身で感じながら一行が辿り着いたのは、妖精の集落があるという海域だった。
13、人魚の海域、妖精のご挨拶、歌交わし
アイザールの船団は、その後数日かけて逃げたイカに警戒しつつ、幽霊船が出没する海域に辿り着いた。
「私は妖精に挨拶してみますね。混沌騎士団もいるかもしれませんし」
アレクセイが船首から声を響かせる。紡ぐ言葉は東方言葉であった。その金糸を紡いだような髪が、曇りがちな陽射しに淑やかに艶めいて、きらきらしている。
「揺らめく波と泡沫の貴婦人、奔放なる人魚の皆様に森の妖精、純血のアレクセイがご挨拶申し上げます。私は東の森、サリオン様の枝葉にて、混沌騎士団に預けられし身。海の血に初めてお目にかかりたいのですが……」
気弱で真面目そうな青年の声にこたえるように海がゆらりと不自然な波の揺らぎを見せたので、見守っていた船団の皆が好奇の視線を集中させた。
薄らと空に立ち込める暗い色の雲の隙間から、細く太陽の光の筋が差し込んでいる。
揺らぐ波間と妖精青年の髪にそれが反射して煌めく視界は、どこか御伽噺めいて、幻想的だった。
長い黒髪、編み髪を背に遊ばせて、少ししめやかな空気の中でサミルはこの船旅の冒険譚をいつか自分の言葉で世界に伝え、後世まで語り継がせんとこころに思う。
(それはもう、美しく、多少大げさに盛ってやろう。俺自身は、傍観者の配役で!)
アレクセイが海面の揺らぎに手応えを感じたように懐から黄金の果実を取り出し、海に差し出している。
青年の手が目に見えて緊張だか何だかで震えていて、見守るサミルは謎の庇護欲みたいなものを覚えた。
この妖精青年は、何をするにしてもなんだか経験の浅い感じがして、頼りない――、
アレクセイの声が響いている。
どこか神々しい雰囲気を纏って。
「森の恵みを、私から――我らは神々に自由なる奇跡を許されし民にて、そのこころは遊びて計らず、二つ心は良しとせず、この友好の意思は純水に似て濁らず、と申し上げます」
曇り空の下で優しい色合いに艶を見せる金色の髪を振り、ハルディアがじれったそうにサミルに耳を寄せ、囁いた。
「俺、何言ってるかわからん。わかる?」
「わかる必要もなし」
サミルは薄らと微笑んだ。
騒めきが大きくなる。海面に複数の人影めいたものが現れて、ざぱりと海棲の妖精が姿を現したからだ。
人魚は、つるりとして水に濡れた繊細な肌、上半身はひとの女に似た容姿にて、肩や腕を大胆に露出している。体付きは総じて神々の造りし人形めいて美しく魅力的で、胸元は貝殻の胸飾りで覆い隠していた。
妖精の感覚でも、そこは隠すものなのだな――と、サミルなどはしみじみ思ったものだ。
ちなみにへその下は魚のような下半身になっていて、鱗の一枚一枚がしっとりと濡れた輝きを放ち、陽射しを浴びて可憐な花びらのように柔らかで繊細な色を魅せていた。
濡れた髪は艶やかに水面に広がり、微笑みの形に端があがる唇はふっくらしていて、やさしく温かな印象。
けれど、その囀る歌声は男を誘い、海に引き摺り込んで帰らぬ人にしてしまうこともある――そんな美しくも恐ろしいところのある妖精だ。
そんな人魚の集落が近くにあり、群れが実際に現れたのだから、妖精種と不仲のアイザール勢は一気に緊張感を高めていた。
「人魚だ!」
「船が囲まれてるぞ、大丈夫か?」
アイザール兵が血相を変えて声を上げている。
「武器を――」
「武器は取るな」
自身も得物に伸びそうな利き手を逆の手で抑えつつ、グリエルモが飄々とした声を響かせた。
「先に敵対の気配を見せてはいかんぞ、君たちぃ~、俺は友人にそれを常々怒られているッ」
グリエルモの友人ネクシとは、アイザールの高官だ。奴隷だった彼を助けて傭兵になる手伝いをしてくれて、功績を重ねるのを支援してくれたのだという。彼らはとても仲が良く、互いの髪に揃いのリボンを結えて親友と呼び合っているらしい――。
「また落ちるかな?」
ハルディアがすぐ隣で何か言っている。おそらく独り言だろう――、
「落ちてもいいように縛っとく?」
青年の声がそんな事を言って縄などを掴んでいる。
「ん? 命綱?」
「そうそう、そのへんの柱にでも括って」
「いらん」
サミルはリュートを爪弾いた。
「海の貴婦人らに一曲捧げよう! 即興曲、タイトルは『海に落ちる英雄』これだなっ」
軽い調子で楽しく奏でた始まりの音がまあまあ気に入ったので、サミルはその後を適当に続けた。
「それって自分の事?」
ミハイ皇子が冷静なツッコミをしてから、アレクセイに優しく声をかけている。
「アレクセイ、大丈夫そう?」
アレクセイは船の近くに寄ってきた人魚に黄金の果実を落とし、じっと瞳を覗いた。
人魚が聞き取れない言葉で海のせせらぎみたいに喉を震わせ、何かを歌っている。
意味のわからない不思議な発音の言葉は、耳に気持ちよい。
未知の妖精世界を感じさせ、心に異国情緒みたいな新鮮な感覚を呼び起こすのだ。
柔らかに紡がれた声が何人分も重なる中、アレクセイは振り返った。
「音楽は楽しい、と言ってます」
青年の薄荷緑の瞳が宝石のようにきらきらして、内心の高揚を伝えている。
この気弱な青年がそんな顔をみせると、年上の冒険者たちは不思議と「よかったな」と言いたくなるのだった。
「やはり、音楽とは種や言葉を越えて友好の架け橋となるものよな――俺はわかってた!」
サミルはしたり顔でリュートを奏でて適当な歌を歌い始めた。それはもう、適当に。
「♪英雄さん 海に落ちたァ~
♪鎧を脱いでぱしゃりと落ちたぁ
♪ついでに船が傾いて
♪最後はみんながどんぶらこ~」
人魚たちが喜んで尾鰭をぱしゃぱしゃさせている。
喜んでくれている――サミルはニコニコした。
「歌詞がひどい」
ミハイ皇子がけらけらと笑っている。
「でも、ウけてる! いいぞ!」
グリエルモはそんなミハイ皇子を肩に抱え上げて揺らし、「それミハイ、傾いたぞ~」と緊張感なくふざけ始めた。グリエルモの配下兵、ジャクレンは戸惑いがちな真面目な顔で、心配そうにしているが。
「人魚は襲ってこないようですね……?」
どうやら、人魚は船を襲う気がない様子で、綺麗に歌声を響かせている。
「おーいみんなぁー、なんか歌っとけー」
「おじさんは適当だなぁ」
アイザールの主従がのほほんとした声を響かせる中、冒険者たちは思い思いに適当な歌を歌い始めた。
「これは良いや。祭りだ、祭り」
ハルディアが楽しそうに足を慣らしてリズムを刻んでいる。
「っていうか、混沌騎士団の連中は? あいつら海に沈められてたりして?」
何やら個人的に混沌騎士団が気になるらしい青年剣士マヌエルが手すりにつかまり、人魚たちや海を戸惑いがちに見ている。
褐色の指先がぎゅっと強く震えるように手すりを掴んで、肩が震えている。
「うぅ……っ、気に入らん奴らだったが、いざ死んだかもしれないと思うとちょっと複雑……」
複雑そうな声がそんな事を呟いていた。
「妖精の群れとは、これまた……」
マヌエルの近くにいる冒険者のチームが顔を見合わせている。
「歌わないのかい、マクミラン?」
帆柱に手をかけて今にも登っていきそうな気配のニールが人懐こく笑っている。
「俺は音痴なんだ。人魚が機嫌悪くしても知らねえぞ」
「ふーん」
するすると仔猿のようにニールが帆柱を登っていく。
「莫迦となんとかは高いところが好きっていうが、あいつはそれかね」
呆れたように言って、マクミランが肩を竦めた。
ローブ姿の術者、メルシムはそんな二人から少し距離を取るようにして、ひそやかな空気感で佇んでいた。
「メルシム殿はどう思う」
マクミランが愛想よく笑顔を向ける。
メルシムは応えず、沈黙を返した。
「寝てんじゃねえの」
ニールが上から茶々を入れている。
「こら、ニール」
マクミランは弟をしかる兄みたいな顔で、帆柱の上のニールを睨んだ。
しばらくそんな暢気な時間を過ごすうちに、人魚たちは海の中に引き上げていった。
「この船は、沈めないでくれるようです」
アレクセイはそう言って皆を安心させたのだった。
0
お気に入りに追加
82
あなたにおすすめの小説
闘乱世界ユルヴィクス -最弱と最強神のまったり世直し旅!?-
mao
BL
力と才能が絶対的な存在である世界ユルヴィクスに生まれながら、何の力も持たずに生まれた無能者リーヴェ。
無能であるが故に散々な人生を送ってきたリーヴェだったが、ある日、将来を誓い合った婚約者ティラに事故を装い殺されかけてしまう。崖下に落ちたところを不思議な男に拾われたが、その男は「神」を名乗るちょっとヤバそうな男で……?
天才、秀才、凡人、そして無能。
強者が弱者を力でねじ伏せ支配するユルヴィクス。周りをチート化させつつ、世界の在り方を変えるための世直し旅が、今始まる……!?
※一応はバディモノですがBL寄りなので苦手な方はご注意ください。果たして愛は芽生えるのか。
のんびりまったり更新です。カクヨム、なろうでも連載してます。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
敵国軍人に惚れられたんだけど、女装がばれたらやばい。
水瀬かずか
BL
ルカは、革命軍を支援していた父親が軍に捕まったせいで、軍から逃亡・潜伏中だった。
どうやって潜伏するかって? 女装である。
そしたら女装が美人過ぎて、イケオジの大佐にめちゃくちゃ口説かれるはめになった。
これってさぁ……、女装がバレたら、ヤバくない……?
ムーンライトノベルズさまにて公開中の物の加筆修正版(ただし性行為抜き)です。
表紙にR18表記がされていますが、作品はR15です。
illustration 吉杜玖美さま
白い部屋で愛を囁いて
氷魚彰人
BL
幼馴染でありお腹の子の父親であるαの雪路に「赤ちゃんができた」と告げるが、不機嫌に「誰の子だ」と問われ、ショックのあまりもう一人の幼馴染の名前を出し嘘を吐いた葵だったが……。
シリアスな内容です。Hはないのでお求めの方、すみません。
※某BL小説投稿サイトのオメガバースコンテストにて入賞した作品です。
淫愛家族
箕田 悠
BL
婿養子として篠山家で生活している睦紀は、結婚一年目にして妻との不仲を悩んでいた。
事あるごとに身の丈に合わない結婚かもしれないと考える睦紀だったが、以前から親交があった義父の俊政と義兄の春馬とは良好な関係を築いていた。
二人から向けられる優しさは心地よく、迷惑をかけたくないという思いから、睦紀は妻と向き合うことを決意する。
だが、同僚から渡された風俗店のカードを返し忘れてしまったことで、正しい三人の関係性が次第に壊れていく――
家を追い出されたのでツバメをやろうとしたら強面の乳兄弟に反対されて困っている
香歌奈
BL
ある日、突然、セレンは生まれ育った伯爵家を追い出された。
異母兄の婚約者に乱暴を働こうとした罪らしいが、全く身に覚えがない。なのに伯爵家当主となっている異母兄は家から締め出したばかりか、ヴァーレン伯爵家の籍まで抹消したと言う。
途方に暮れたセレンは、年の離れた乳兄弟ギーズを頼ることにした。ギーズは顔に大きな傷跡が残る強面の騎士。悪人からは恐れられ、女子供からは怯えられているという。でもセレンにとっては子守をしてくれた優しいお兄さん。ギーズの家に置いてもらう日々は昔のようで居心地がいい。とはいえ、いつまでも養ってもらうわけにはいかない。しかしお坊ちゃん育ちで手に職があるわけでもなく……。
「僕は女性ウケがいい。この顔を生かしてツバメをしようかな」「おい、待て。ツバメの意味がわかっているのか!」美貌の天然青年に振り回される強面騎士は、ついに実力行使に出る?!
イタリアマフィアは殺しはできても恋愛不器用
タタミ
BL
「す、き……好きです!バートさんの、ことがっ」
ファミリーの殺しを担うマフィア・バートは、ある日下っ端のフィルから告白を受ける。
しかし、殺しにかまけて血塗られた人生を送ってきたバートには、恋愛感情を理解する情緒がなかった。
好きだの、愛だのわからないしくだらない。
今までがそうだったのだから、これからもそうだ。
フィルなんかに心動かされることなどない、と思っていたバートだったが──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる