清らかに致すだけ~下剋上後の主従が「その一線を越えてこい」ってするだけだけどそれが本人たちには意外と難しいって話

浅草ゆうひ

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1章、その一線がわからない

12、『俺は』、『俺から』この弱者を守らねばならぬ

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 親兄弟に囲まれたユンク家の食卓で、いつかのオスカーが自慢している。
 親が「公爵家に取り入れ」と言ったので、「俺はうまいこと取り入っているぞ」と報告しているのだ。
「俺が帰ろうとすると寂しがられて、今日は一緒に寝てほしいとおねだりをなさる。それで俺は仕方なく馬車を帰して、風呂にもお供して……」
「それはさすがに嘘だ」
「まあ、それはそれとして……」
 オスカーの割と盛りがちな話ぶりは普段からなので、慣れた家族たちは皆半信半疑で愉しんで「適当ばかり」と笑うのだった。
 

   12、『俺は』、『俺から』この弱者を守らねばならぬ


 夢だ。

 夢をみている。


 カリスマを感じさせるキラキラとした声で周囲と楽しげに騒ぐ第二王子エリック――主であり友人である王子のグループから距離をとり、けれど同じ空間にはいたいのだというように隅で取り巻きたちに囲まれて静かにソファに座っている小さなクレイがいる。

 取り巻きたちは皆、程々の距離をあけて、むやみやたらと話しかけるようなことはしなかった。

 その高貴で特殊な身の上と、第二王子に冷たくされているという事実と、本人の気質によってか、遠巻きにするような取り巻きグループを形成しつつも、なかなか誰も距離を詰めない、不思議な空間ができている。

 現国王アーサー王の甥であり、アーサー王の忠臣コルトリッセン公爵の令息である少年は、第二王子とは真逆で、弱々しく静かで、いつもしょんぼりとしていて覇気がない。

 それは、オスカーにとってはがっかりするような現実だった。高貴さにともなう威厳というか、「この方はすごいのだ、お仕えしたい!」みたいな感覚が……劇に出てくる王子様やお姫様みたいな感じが、いまのところ薄い。

「ぼく、どうして無視されるのかしら」

 そんなかんじでチラチラと第二王子や婚約者をみて、怒るでもなく、他の友人をつくろうとするでもなく、しょんぼり、ひっそり、クレイは影に消えていきそうなのだ……。

 
 ――けれど、この方にはラーシャの劇に出てきた黒竜アスライトがついているのだろう?

 皆が踏み越えにくそうにしている線を堂々とためらわず越えて、オスカー・ユンクが声を張る。
「オスカーが参りましたぞ、オスカーでございますぞクレイ様! オスカー・ユンクでございますッ」
 
 視線が集まるのを感じつつソファの前に膝をつけば、少し見開かれた少年の目がラーシャ姫譲りと噂の美しい紫色で、長い睫毛が落とす影があやしげな独特の雰囲気を魅せている。
 弟のエイミルより歳上なのに歳下と言っても信じてしまいそうな幼い風情の少年は、周りにもっと大人を侍らせて守らせるべきなのではと思ってしまうほど、か弱い雰囲気がある。

 ――何から守るかというと、今現在は無遠慮に接近して取り入ろうとしている自分オスカーからだろうか。

 少し怯えたようなびっくりしたような、けれど少しは慣れた様子も見せるクレイに、オスカーはニコニコと飴を差し出した。
 この少年は、甘いものを好むのだ。
(特に赤い色をした綺麗な飴など! お好きですね!?)

 好みの飴につられて手が伸びる。
 ひんやりとした指先が飴をつまんで、包み紙をもたもたと不器用にひらいて――しょんぼりしていた顔が少し嬉しそうに、その赤い色を光にかざして鑑賞しているではないか。

(おお、クレイ様。俺は貴方様がなぜその色を好むのかまでわかっておりますぞ! 黒竜の眼が赤いからです、そうですな……?)
 オスカーはそれを思ってワクワクした。
 
 この少年はいつ竜を見せてくれるだろう!
 なにか危険なことが起きれば、見れるだろうか!
 俺は劇に出てきた竜を生で見れるかも知れないんだ……!

「やあやあクレイ様! 俺の名をそろそろ覚えてくださいましたかなクレイ様!」
 飴を見ていた瞳が自分に向く。
 夜明けに出会った星みたいに、ラーシャ姫譲りの紫の瞳が瞬いた。
「……」
 おっとりとした気配で首が傾く。
 さらさらと前髪が、傾いた方に揺れる。
 明るい日差しの中で優しい色を見せる大地を思わせる髪がたいそう繊細で、ラーシャ姫や王族の凍てる白銀の髪と異なるその色がまた柔らかで温かみがあり、よいではないか。

(あ、相変わらずこの一拍も二拍も待つトロいペースが……。これがお公家大貴族の雅ってやつなのかね)
 笑顔で待っていると、のんびり、ゆったり言葉が返される。劇のセリフを言うように。

「ありがとう、オスカー」
「おお! 俺の名前を覚えてくださった! 素晴らしい! これは歴史的瞬間といえましょうッ、本日は俺の中で『クレイ様が俺の名前を呼んでくださった記念日』になりましたぞ!」

 取り巻きたちの刺すような視線をそこかしこから感じつつ、オスカーはアイザール語の絵本をかばんから取り出し、差し出した。

「ちなみに、こちらは中央の竜について他国のものがロマンたっぷり描いた創作話の絵本でございます!」
 明るいカラーで描かれた癒し系の絵本を渡せば、クレイは興味を抱いたようだった。
「これは、アイザールのことばで書いてあるね」
 
 ――ほうら、食いついた!
 他国の言葉を熱心に学ばれているので、気にいると思ったのだ。

「ぼくは、これを読める」
 ちょっと得意げに仰るのがなんとも微笑ましいではないか。
「そうでしょうそうでしょう! さすがでございますなクレイ様! わからぬ部分があれば俺がその場でお教えしますからな!」
「うん、うん」
 さりげなく隣に座って一緒にページを覗き込むと、周囲の視線がより殺気立って全身に刺さるようだった。

(ふん。見てるだけの奴はせいぜい俺が気に入られるのを悔しがってろ!)
 ケイオスレッグオスカーの子分が飲み物を運んでくる。
 離れた場所では相変わらず第二王子がカリスマ性を感じさせる声で取り巻きたちを魅了していたが、隣に座るクレイはもうそんな環境を忘れたみたいな顔をして、絵本に没頭しているのだった。
(このお坊ちゃんが危ない目にあえば、黒竜が出てくるかな。しかし、危ない目に合わせて良いような生き物にも思えぬが……)
 絵本を読むうちにすやすやと眠ってしまった寝顔は無防備で、やはり実の弟エイミルより幼く、たよりない。
 危ない目にあわせてみたい、と思う一方で、これは守られるべき存在であり、そんな考えはもってのほかなのだと――心のどこかで、そんな想いが根ざすのだ。

「――ぼくは寮に泊まるという行為に興味がある」
 やがて、現実味のないセリフをクレイがこぼすと、親兄弟の「クレイ様は寮に泊まったりなさらぬだろう!」と決めつける声が脳裏に甦る。

 姿を隠してついていた呪術師の護衛もオスカーに言われるがまま帰してしまって、周囲をびっくりさせている。
 
 ――ちょろい!
 このお坊ちゃん、俺の無礼に怒らぬ!
 俺の言いなりになさる!
 距離を詰めれば、詰められていく――たいそう、ちょろいっ!
 
 それはたいそう気分が良いが、一方で「そんなんで大丈夫なのか」という思いも生まれるのだった。

「俺たちは青春を謳歌しようではありませんか、つまり夜更かしして遊ぶのです! 最初はカード、次は肝試し、そして浴場で騒いで泳いで沈んでのぼせ、最後に健やかに恋バナと洒落込み、照れ隠しに枕でも投げて寝ると」

 共に泊まり込むらしき取り巻きらをぐるりと見渡して言えば、中央系の子弟は露骨に嫌そうな顔をしている。
 けれど、クレイ本人は素直にウンウンと頷いているのだ。
 クレイは自分の味方なのだ――それが、気持ち良い。

 カードに興じればひとりで負けて、肝試しに外に連れ出せば暗がりに怯えているようでもあり、楽しそうでもある子供っぽい気配を濃くして、のんびりゆっくり、ほてほてとひとりで肝試しコースを進もうとするのだ――呪術師も帰してしまったのだろうに!

「おひとりで歩かれるのは危ないのですぞ、 何人かで行くのですッ、そうすると恐怖体験で友人同士の友情も深まるというもので」

 慌ててついていけば、他の取り巻きもぞろぞろついてくる――こんな集団で肝試しができるか! しかし、意外と夜歩きに慣れぬ貴族の子弟らは怖がって何もない木陰に何か見つけたと騒いだり、風が木の葉を揺らす音に大袈裟にビビったりするのだった。

「クレイ様は、俺と手を繋いで参りましょうね」
 さりげなく手を握ってみれば、思った通り、振り解かれたり無礼と言われることはない。
 少し考えるような目が軽く首を傾げて見上げてくる――

(この目はなんだ。俺ならわかるはず……わかれ、俺)
 誰かの怯えた叫び声を背景に頭を悩ませていると、あどけない声が耳に届く。

「疲れた」
 ――なんとこのお坊ちゃん、歩き疲れたと仰る!
「抱っこしましょう……」
「うん、うん」
 背中に突き刺さる視線が痛いようであり、心地よくもある。
 お前ら、うらやましいか――ここには本当は大人が同伴するべきだったのではあるまいか――?

「よし、わかりました。身の回りのお世話は俺が致しますからね! 俺が! 他の誰でもないこの俺がッ」
 他の取り巻きを押しのけるようにして面倒をみてみれば、このお坊ちゃんときたら人に何から何まで世話されるのが当たり前な風情で、シャツのボタンひとつ自分で外そうともしない。
「お世話は、まだかなぁ……?」といった顔で待っているのだ。

(おお、『黒竜の王子様』。おお、『ラーシャの御子様』。このお方――俺が世話しないとシャツも脱げぬ……)

 ちなみに、あまりにラーシャ姫と言った風情の可愛らしくいたいけな容貌なのでまさかとは思っていたが、浴場に入れるときに確かめれば――ちゃんと男子だった。

 友人のカルロに入り口で入場制限をさせて、周りをケイオスレッグオスカーの子分で固めて広い浴場を占拠すれば、オスカーに洗われながらクレイが言うのだ。

「広いのだから、皆で入れば良いのではない? ぼくは、この広い浴場の中でたくさんの貴族の子弟が猿みたいに裸で群れるのを見てみたい」
「なかなか良いご趣味でいらっしゃる! さすれば貴方様はお猿さんのリーダーというわけですな!」

 浴場が人で埋まると、湯舟に浸かったクレイは目をキラキラさせて「こうしていると、家柄も何もなく皆ひとしき動物なのだと思えるね」などとのたまっている。

「あと、とても、うるさい」
「反響しますからね」

 うんうんと頷いていれば、隣にいたその姿が「泳いだり沈んだりはせぬの?」と問いかけて、期待の眼差しを向けてくる。
「俺の子分が騒ぎましょう! カルロものぼせてくれるやも」
「俺を勝手に引き込むな」

 湯を跳ねて子分らが騒げば、貴族の子弟らは「野蛮」だの「マナーが悪い」だの眉を寄せていたが、クレイはニコニコと見守って「平和だね」とコメントをしてくれた。

 広い部屋に枕を集めて集団で健やかに恋バナと枕投げを始めれば、オスカーが語る若干盛り気味な武勇伝や恋の思い出話に好奇心をのぼらせた瞳を見せて、寝転がった姿勢で子猫のようにくつろいでいる。
 そうして、他の連中が「それは嘘だろ」と言った話にも「その後はどうなったの」と信じてくれる声の調子でつづきをうながしてくれるのだ。
 
 第二王子のエリックであればこのあたりで「俺の白竜をみんなに見せるよ!」となるだろうか。
 しかし、クレイはそんな気配をまったく見せず、すやすやと寝息を立てて眠るのだった。

 そんな風に身近で世話して観察する日々が続けば、なんとなく思うのだ。
 ――見せぬのではなく、見せたくても見せられないのだろう、と。

 噂もあったことだし――それは、周囲にいる取り巻きなら誰もが思い至る事だった。

(そう、俺はこの頃からうすうす気付いていた――あの何もできない子供が『本当に何もできなくて』、紛れもない弱者であると)
 音楽室から落とすかを迷った時、それがはっきりと自覚できたのだ。
 この子供を落としても、黒竜は助けないのだろう。
 そのまま落ちて死んでしまうのだろう――、


 ――落とそうとする俺の手が震えてる。

 ――止まらないといけない、守らなくてはならない。


 あの弱者を、『俺が』『俺から』守らないといけない。
 ……泡沫めいた想いが弾けて、思い出が巡る。

『――お父さま』
 顔を隠して無言を貫く俺の事を父と呼び、何か喋ってもらおうと健気に会話を振ってくる。
『今日は、友達の誕生日――』
 ――名前は? その友達の名前は?
『オスカー』
 大切な思い出のように語り、涙を流すのだ。
『僕は、好きだった』

 
 夕焼け空の帝都だった背景が、海景色に変わる。
 黒煙と炎をあげて海が燃えあがり、鎮まって、アイザールを支援する『騎士王』をおどすようにしてから――クレイが小さな杯をくれるのだ。
『お飲み』
 促されて飲んだ水は冷たくて、身の内が清められるようだった。
『君はもう、以前とは違うけど』
 耳を震わせる声は、寂しそうだった。
『君、僕が危篤だって噂を流しても、死に目に会いにこなかった……、だから、僕は君が死んだってことにしたんだ』

 その疑いようもない好意が胸を掴むのだ。
『僕はお前が好き……』
 声がリフレインする。
『好き……』

 この声のなんと心地よい事だろう。
 はっきり、まっすぐ、好意と執着を伝えてくるではないか。

『好き……!』

(ああ、クレイ様! そんなにまっすぐに仰られると、ちょっと照れてしま……)

 きらきらと憧憬に輝く瞳が違う方向を向いている。
 あっ、これは――
『僕は、フィニックスが、好きっ!!』
「オチがそれっっ!?」

 
 夢から飛び起きて、現実世界で声をあげて身を起こしたニュクスフォスに、びっくりしたような声がかけられる。
「お、……おはよう……?」

 夢より少し成長……したようなしてないような、そんな寝着をまとったクレイが、寝台で起き上がった自分の足元の辺りで目を丸くしていた。

「これは失礼いたした。若干、夢の中のクレイ様が俺の情緒においたをなさったものですから」
 最後をのぞけば良い夢だったのだ。
 なぜ最後であのような……、ニュクスフォスは切々とため息をついた。

「それは、悪い事をした……」
 申し訳なさそうに眉を下げて足元からこちらを見る姿勢で上にまたがるクレイは、かけ布を持ち上げるなにかを『なでなで』するように手を動かしている。
 その刺激がゆるゆるとして、気持ち良いが――
「……」
 視線を移せば、そこには朝勃ちを布ごしに撫でられている、という現実のショッキングな光景があった。

「ク、クレイ様――、……それを撫でてはならぬ……」

 なんだと思って撫でているのだろう――
 まず抱いたのは、そんな感想だった。

「なぜ」
 ああ、おっとりと尋ねる声の、なんと無邪気な事だろう!
 ニュクスフォスは困惑を深めつつ、姿勢を変えて手から逃れた。

(なぜと問われても困るのだが?)
「な、なぜ。なぜ……なっ、なぜ……? なぜと?」

 起き抜けの珍妙な問いに、青年はしばし頭を悩ませたのだった。
「……よ、よろしいですかな、クレイ様。まずその撫でていたものは俺が生理現象で勃たせていた性器なわけですが」
「うん、うん」
 
 俺はなぜそんな説明を朝からせにゃならんのだ。
 ニュクスフォスは歪んだ公爵家の教育を恨んだ。
 
「性器は他者のプライベートゾーンなわけで、みだりに他者がみたり触れたりはせぬ……特別な恋人や伴侶などが許されたときにのみ触れると……」
「僕、それくらいわかるよ。それにしても公子は性に奔放だと思っていたけれど、ユンク家は意外と倫理観をしっかり刷り込んでいるのだね」
「当然――」

 言葉がふと途切れるのは、なつかしい呼び方がされたからだ。
 
「……うちは割と良い教育を施してくれたと思っていますよ。家族も仲が良かったですし」
「そのようだね」
 のそのそと回り込むようにして顔を近づけるクレイが、猫のように鼻を寄せる。

「それでお前は、僕に触れるのを許さぬとさえずるの」 
 
 このおずおずとして体温を寄せて、おっとりと上から降る声が、なんて蠱惑こわく的なことだろう。
 夢の後味もぬぐい去られるというものだ。
 
「僕は、『清らかに奉仕をいたす』と申している……」
 ――線を引くように言って、クレイが甘えてくるではないか!

 なんて危ういのだろう。
 なんて無防備なのだろう。

 まるで、暗がりにひとりで行こうとしたり、音楽室で眠りこけていたときのよう、塔の上から「落とせ」と言われたときのよう。毒杯だとわかった上でよろこんで口をつけた時の嬉しそうな顔が蘇る――
 
 ざわりと危機感が湧きあがる。
  
 ――ああ、『俺は』、『俺から』この弱者を守らねばならぬ……!
 
 取り巻きたちの『距離をおいて静かに見守る線』を越えるときは、あれほど気安く越えたというのに、この線ときたら!
 すさまじく危険で、守るのがたいそう難しくて、線の向こうの弱者が危うく思えて仕方ないのだった。
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