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1章、その一線がわからない
4、騎士王と高嶺の花(軽☆)
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エインヘリアの皇帝がリーン砦にいたファーリズの王甥を招聘し離宮に留まらせ続けた理由は、諸説あった。
ファーリズの王都に幻想馬車を通わせる理由をつくった説。
王甥を篭絡し、その血統や政治的影響力をファーリズから引き離して封じようとした説。
その説から発展したものが、ファーリズの玉座を奪わせ、傀儡にして中央を手中にせんとした説であった。
もっとも、彼がアーサー王を助けた褒美に王甥との婚約を願ったことにより、それらの説はひとつの有力な説の台頭により消えることになるのだが。
すなわち、本人が否定する『少年趣味』――、
4、騎士王と高嶺の花
SIDE ニュクスフォス
可憐で香しい花と過ごす日々とは佳いものだ。
それも、とっておきの高嶺の花――、
(只一輪の貴種、黒竜の王子でありラーシャの御子、我が主、そして恋人で婚約者ときたものだ!)
中央の国ファーリズは少し前まで王族を守る『竜』という強い力を持つ生き物により守られていた。
そして、クレイは黒竜の加護を持ち、竜を呼びつけて奇跡のような力を行使させることができる王妹ラーシャ姫の御子なのだ。
その可愛い花がまた弱弱しく庇護欲をそそる風情で、かと思えば毒性が高くて、迂闊に扱うと世界が滅ぶような危険な代物なのだ。
(そしてなにより、俺の事がたいそうお気に入りで、大好きで。玉座より俺が好いと、王様になるより俺と一緒にいたいと仰ってくださったのだ)
実際は『玉座より俺が好い』のあたりは微妙にニュアンスが違うのだが、ニュクスフォスには脳内変換されてそう記憶されていた。
(俺は本気で自分が世界一の果報者だと自負しているぞ!)
ああ、なんて幸せなのだろう。
上機嫌の皇帝――『騎士王』ニュクスフォスは白と薄紅の花弁が愛らしく華やかな花束を手に、いつものようにクレイの部屋を訪れて膝をつく。
古妖精フェアグリンがひらひらと肩にとまる。
御付きの呪術師レネンが机の上を片付けているのを見るに、何かを書いていたらしい。
課題か、それとも手紙か――クレイは手紙を書くのが好きらしい。以前もよく書いていた。ニュクスフォスが嫌っている『鮮血』とも、それはもう頻繁に手紙を交わしている。未だに。
「本日のお花は、安らぎの花と申します。花言葉は『心のやすらぎ』、この白い花弁には特に『初々しく淡い恋心』とあり、薄紅の花弁には『自然な心』とございます」
「ありがとう、ニュクス。薄くて柔らかな花弁がとても佳麗だね――僕はこの花に対する初見の印象では、夜会などで身を飾り立てる貴婦人めいて空間を華やがせる存在感があると思ったのだ。彼女らが想い人のために身を飾る心を思うと、華麗なお姿を観る目もより微笑ましいものに変わりそうだね。すなわち飾るも自然……これは含蓄が深い」
相槌を返しつつ、ニュクスフォスが思い至るのはクレイが『お年頃』という点だった。
先日などは、軽い好奇心で試した『恋薬香』で思っていた以上の反応を魅せていた。
喜ばしい報せだからと喜び勇んで呪術師にも報告したところ、逆鱗に触れてうっかり暗殺されかけたし、はしゃぎすぎてクレイ本人にも若干嫌がられてしまったが。
(あれはよくなかった。俺は反省しているぞ――しかしクレイ様も日々健やかにご成長なされ、俺も育て甲斐があるというもの……)
ニュクスフォスの胸中には謎の後方保護者めいた目線があった。
これが自分にもなかなか謎で、実際のところ別段クレイは幼児ではないし、ニュクスフォスが育てたわけではないし、実年齢も四つしか離れていない。
初対面のクレイは12歳で、その時のニュクスフォス、当時の名でいうオスカーは16歳だった。
『俺が育てた』というなら、せめてもっと幼い時から面倒を見ていないと説得力もないだろう、というのは、親心みたいな変な感情を浮かべたニュクスフォスが自分に自分でツッコミを入れたくなるポイントである。
しかも、その時の自分がクレイに接する理由は『親に親しくするよう言われたから』という理由でしかなかったし、『世話をした』というよりはほとんど一方的に寄って行って付き纏っていたのだ。
全然『育てた』といえる要素はなかった。
単なる他人だ。
出会って数年後には世界情勢や自分の身分に変化が生じて、微妙な立場のクレイを正体を隠して保護したし、クレイ本人に『お父さま』と呼ばれたりもした。
たぶんそれが原因のひとつで、そのあたりからニュクスフォスには『俺が保護者』みたいな気持ちが生まれたのである。
だからといって『俺が育てた』となるわけがないのは頭の隅の冷静なところでは重々承知しているのだが。
しかし、なぜかクレイを保護して世話をするうちに、その心中には自分でも説明のつかない複雑な想いが少しずつ生まれては変化し、生まれては変化しを繰り返していくようなのだった。
――それにしても、ご成長はよいが、この貴種中の貴種といえる血統書付きの花をいかんせん。
その身に流れるたいそうな血を後世に繋ぐため、俺が良縁を手配して子を作らせるべきなのか。
いや待て、この血統書付きの花は俺の后になるのが決まっているのだ――すっかり浮かれていたが、冷静になってみれば、ここに恐ろしい現実があった。
(考えてみれば、これは確かに紅薔薇の爺どもが嘆くわけだ)
貴きラーシャ姫の血、黒竜の加護を賜りし王族の血が途絶えてしまうではないか。
(だからと言って……他の者と同衾してよいと申すにも抵抗がある。とてもある。……俺は、以前ならともかく今となっては、もうこの花を他の者に触れさせたくない! これは、俺の花なのだ!)
ぐるぐると思考を巡らせていれば、 クレイが軽く首を傾ける。
「どうしたの」
「あ、いえ……」
クレイの柔らかな色合いの髪がさらりと毛先を揺らして、ニュクスフォスはつい目を奪われる。
その色にかつて夕映えに視た涙を思い出すと、不思議な緊張が胸を浸した。
自分が『騎士王』になった後の『オスカー』の誕生日の夕焼けの美しいバルコニーで、クレイは正体を隠して『お父様』と呼ばれて保護者みたいになっていた自分に『今日は死んだ友人の誕生日』と語ったのだ。
『僕は好きだった』と言って、涙を流してくれたのだ。
そして、『貴方がくれるなら毒も甘いね』なんて言って、自分が盛った毒を飲んでくれた。
――このクレイは、思いもよらぬ心を揺らす言葉をよく零すのだ。
クレイが近づいて、華奢なからだが体温を寄せる。
「……」
ほっそりとした指先がニュクスフォスの顎をするりと撫でて、猫にでもなったような錯覚を覚えてしまう。
少女めいて中性的な顔立ちが自然に近づき、綺麗に上品にほんの一瞬の泡沫めいた口付けをして、すぐに離れた。
恋人の深く絡むそれとは別種の、不思議な神聖さのようなものの伴う高揚がニュクスフォスの胸を浸した。
「今日は、陛下に先日のお礼をしてあげます」
クレイの声が皇帝扱いするように微妙な距離感で言って、テーブルに誘った。
ニュクスフォスとこのクレイの関係性が迷子になりやすいのは、こんなところにも原因がある。
元々の身分は下だった。
騎士の誓いを述べ、忠誠を誓った。
しかし、今の自分は皇帝であり、保護者であり、恋人で――婚約者である。
結果、互いにその時の気分みたいなもので敬語になったり敬称をつけたり、なにやら不安定なのだ。互いにそれを承知して、何も言わないでいる。
「ほう、ほう。なんでしょうかね」
ふんわりとした香りが鼻腔を擽る。クレイはティーポットに茶葉を入れ、湯を注ぐ――茶を淹れてくれるというわけだ。
小瓶みたいなものをついでみたいに取り出して、淡い花色をした粉末をティースプーンで掬ってティーカップに盛っているのがたいそう気になる。とても気になる。
「その粉は……なんですかな? ――俺の見立てだとそれは、『恋薬』ではありますまいか……?」
笑顔を貼りつかせて問えば、恐ろしいことに肯定が返ってきた。
「いかにも」
クレイは当然のような顔で語るのだ――、
「陛下は、僕にこれを盛った。ゆえに僕は、同じく盛るのである」
「なるほど、やられたらやり返す。たまに仰っている『ざまぁ』の精神なのですね」
「それだ」
クレイはウンウンと頷いた。
「これくらいでよいだろうか。ちょっと多めがよいかな」
「ぜひ少な目に――というか、申し訳ないが俺はそれを拒否したい。せっかくのクレイ様の『ざまぁ』の機会に恐縮だが、俺は申さねばならぬ――なりませぬ、と」
ニュクスフォスは全力で拒絶した。
割と必死だった。
「よろしいですかクレイ様」
真剣な目がひたりとクレイを見つめた。
「まず確認致しますが、そのお薬を俺に盛ると、俺がどうなると思っていらっしゃるのですか」
クレイはちょっと不思議そうな目をした。
「えっ。それは、先日の僕みたいに火照ったり気持ち良くなるのでは? そういうお薬じゃないか」
――火照ったり気持ち良くなられていたとご本人の口から仰られるとなにやら高まるものがあるな。
「お、俺の手で気持ち良くなられたと……いや、そのお話は結構」
ついつい言葉を噛み締めつつ、ニュクスフォスは話を続けた。
「クレイ様はわかっておられぬ。今の貴方様はまるで『チェックと申し上げる』と仰いながらグリエルモの剣の間合いに悠々と飛び込むようなもので」
「それは僕の黒歴史なので、二度と口にせぬように」
クレイは明らかに機嫌を損ねて冷ややかな目をした。
ただいま話したのは、クレイが他国の将軍グリエルモと対峙して『僕の勝ちだ! どやぁ』と勝ち誇りながら間合いに近づき、『俺の間合いにようこそ』と返り討ちにあったという、過去に実際あったうっかりやらかした自滅エピソードだったのだが、地雷だったらしい。
「こほん。つまり、貴方様はお薬でふわふわ火照るぐらいでしたが、……はっきりと申すが――俺は普通に、襲いたくなってストレートに貴方を襲いますッ」
――はっきり申さねばわからぬのだ!
この坊ちゃんときたら。
このお姫さまときたら……、
ちょっと赤くなっているのが可愛いではないか……。
(なんて危ないんだ。襲ってよいならまあ遠慮なく頂くが、むしろこれ幸いと襲ってしまうが――大切にお育てした俺の子が、俺の主が、俺に汚されてしまう……危険な俺から俺の花を守らねば……汚させてはならぬ……あれ?)
色々おかしい……。親心や忠義心みたいなものと下心が真っ向から対立している――ニュクスフォスは若干どころではなく混乱した。
「大丈夫だ。僕は呪具でお前を縛る」
――しかも、そんな混乱のなかでクレイ様がとんでもない事を仰る!
「なんと? 今、なんと?」
ニュクスフォスは目を見張った。
クレイはなんとなく得意げであった。
ああ、これは自分のお気に入りの従者、呪術師を誇る時の顔――、
「レネンがつくってくれたのだ。『鮮血』を絡め取ろうとした設置罠の改良版みたいな、陛下を縛る呪具を」
(あ、あんの呪術師!!)
「そんな呪具、捨てておしまいなさい! とんでもないッ」
思わず言えば、クレイはますます機嫌を悪くした。
「レネンが一生懸命つくった芸術品を捨てろだって? なんて暴言を! 言っておくけど、レネンは僕が睡眠薬を盛って飲めと命じたらちゃんと飲んだよ!!」
「な……っ」
(そ、そこで忠誠心を比べるか!?)
結局、問答の末にニュクスフォスは『恋薬香』入りの紅茶を有難く頂戴したのであった。
しゅるりしゅるりと光の蔦がからだを絡め取り、寝台に固定する。じわりじわりと体が熱を帯びていく。妖精のフェアグリンが問いかけるような眼差しを向けていた。
(ふむ。フェアグリンに助けて貰えるか……しかし、俺は今忠誠心をレネンと比べられているのだ)
回避すれば、レネンに劣ると判断されるのでは。
(ならば、甘受するべきか……)
――何事もやはり楽しまねば。
ニュクスフォスは淡く呼吸を繰り返し、自分に言い聞かせるのだった。
(動物に発情を促すため、同種の動物が交尾する幻影を見せる方法があるらしい。すなわちこれは――俺が痴態を演じてこの身をもってクレイ様の発育を促進するという貴い性教育と言えまいか)
言い聞かせつつ、すでに雄の証が肉体の興奮をあらわして勃っている。
寝転がっているだけなのに熱が高まり、放出欲が湧いてつらいが、体の自由は効かず、慰められぬ――これはどうしたものか。
ニュクスフォスは焦がされるような熱を持て余しながら困り果てた。
(俺ともなればちょっと恋人を題材に不埒な想像をすれば案外いけるかもしれん)
試してみるか――、ちょうど本人が傍にいるのが背徳感を募らせるというか、盛り上がるものがある。そもそも股間は既に盛り上がっている。
「……気持ちよい?」
――そこで本人が声をかけてくるから、困るんだ……。
「あー、……まあ、まあです。ちょっとほっといて頂けると、今から勝手に盛り上がって昂る俺が楽しめるかもしれません」
正直今の時点では『気持ちよい』ではないのだが。
「ふうん」
クレイは物珍しそうにそれを見て、興味本位で下衣を寛がせて勃起している肉棒を露出させるではないか。
「おお……」
そんな声を零して、まじまじと見つめるではないか!
「ちょっ……、俺にも、恥じらいというものがありますよ」
「うん、うん」
クレイは頷きつつ、手を肉棒につけた。衝撃的過ぎる現実にびくりとニュクスフォスの体が跳ねる。
「でも、お前もこの前僕のこれをさすって出させた。僕は同じことをするだけなのだ」
剣も握ったことがないような両手がやわやわと慣れない手つきで、感触を楽しむように陰茎を刺激する――息が上がっていく。
「ふ、っ、……、」
声を押し殺して唇を噛めば、心配そうな視線がそろそろと寄せられるのが面映ゆい。
「だ、……だいじょうぶ?」
「は……、」
(これはご褒美なんじゃないだろうか? これは現実じゃないのでは? そうか、これが俺の想像か――なんてリアルな想像だ。凄まじいな俺、こんな想像を致してしまったか――この手付きの初々しさ、まさに本物ならこんな感じだろうな! わかる!)
脳内が謎のハイテンションで祭り状態となっていた。
(俺の想像力は触感もリアルに感じさせるのだな。これがクレイの手……これリアルだな、まるで本物に触られているようだ! 俺って奴は、俺って奴は……ピュアな主君でそんな想像をしてしまうのか。クレイがこんなことをするわけがないだろう、でもこんな感じなんだな。興奮する! いや背徳感がすごいぞ)
何を考えているのかもはや自分でもよくわからない大混乱ぶりだが、とにかく盛り上がっているのは確かだ。
不慣れな手で致される拙い刺激そのものよりも、『クレイが致している』というイメージが何倍も破壊力を得て快楽の感を高めていた。
「あ……、く、クレイ様。あまり近付かない方が。危険ですから」
現実の状況はわからないが、なんだかとても昂っていて、射精感が強かった。
これはもういける、想像だけで俺はいける男であった――そう手ごたえを感じつつ、ニュクスフォスは傍にいるようないないような現実だか想像だかのクレイに忠告をした。
「本物なら。本物がお近くにいらっしゃるなら」
もうよくわからない。
とりあえず言っておこう精神である。
「ん。縛ってるから、危なくないだろう?」
返事が返ってくる。
とても本人っぽい返事だ!
「汚しますから、近くにいるなら離れてほしいと、そういう……」
「ふ、ふむぅ……、出るの?」
「だ、だめと仰る? まさか?」
「いや。僕は、確認をしただけ」
ああ、おっとりした声のなんて気の抜けることだろう。
「構わぬから、お出し」
リアルな存在感がそっと促して、摩るではないか。
「く……っ!!」
(こんな現実があろうか。俺のクレイは『お出し』など――、……言う……あれは言う……!!)
実は摩られたのよりも言葉に興奮したのではないかと思うほどの高揚と共に、ニュクスフォスは達したのであった。
「わあ」
白濁を放つそれを初々しく見守って、クレイは断続的に汁を零すそれを『なでなで』した。
「良い子だね、ニュクス」
「くっ……」
青年の情緒が大きく乱され、現実がわからなくなる。
(こんな現実があろうか。俺のクレイは――、……なでなで……するのか……)
「く、クレイ様。俺は申さねばならぬ……」
もう現実だか想像だかわからぬが、言う事は言わねばならぬ。ニュクスフォスはぜえはあと呼吸を繰り返して言葉を紡いだ。
「なあに」
ご機嫌のよさそうな声がする――機嫌が直ってよかったと思っていれば、なんとクレイは放った後の肉棒をハンカチで拭って清めてくれている。
(く、クレイ様のハンカチが俺ので汚れて――)
「クレイ様、俺は本当に本気で申すが、これを他者になさってはなりませぬぞ……絶対ですぞ……」
現実だか想像だかわからぬが、言う事は言った。
「その考えは、僕にはなかった」
クレイは驚いたような新鮮なような声をあげている。
「お前はいつも、僕にはない考えを提供してくれるね」
ニュクスフォスはくらくらと眩暈を覚えつつ、「戯れはここまで」と打ち切ってフェアグリンに助けて貰ったのだった。
ファーリズの王都に幻想馬車を通わせる理由をつくった説。
王甥を篭絡し、その血統や政治的影響力をファーリズから引き離して封じようとした説。
その説から発展したものが、ファーリズの玉座を奪わせ、傀儡にして中央を手中にせんとした説であった。
もっとも、彼がアーサー王を助けた褒美に王甥との婚約を願ったことにより、それらの説はひとつの有力な説の台頭により消えることになるのだが。
すなわち、本人が否定する『少年趣味』――、
4、騎士王と高嶺の花
SIDE ニュクスフォス
可憐で香しい花と過ごす日々とは佳いものだ。
それも、とっておきの高嶺の花――、
(只一輪の貴種、黒竜の王子でありラーシャの御子、我が主、そして恋人で婚約者ときたものだ!)
中央の国ファーリズは少し前まで王族を守る『竜』という強い力を持つ生き物により守られていた。
そして、クレイは黒竜の加護を持ち、竜を呼びつけて奇跡のような力を行使させることができる王妹ラーシャ姫の御子なのだ。
その可愛い花がまた弱弱しく庇護欲をそそる風情で、かと思えば毒性が高くて、迂闊に扱うと世界が滅ぶような危険な代物なのだ。
(そしてなにより、俺の事がたいそうお気に入りで、大好きで。玉座より俺が好いと、王様になるより俺と一緒にいたいと仰ってくださったのだ)
実際は『玉座より俺が好い』のあたりは微妙にニュアンスが違うのだが、ニュクスフォスには脳内変換されてそう記憶されていた。
(俺は本気で自分が世界一の果報者だと自負しているぞ!)
ああ、なんて幸せなのだろう。
上機嫌の皇帝――『騎士王』ニュクスフォスは白と薄紅の花弁が愛らしく華やかな花束を手に、いつものようにクレイの部屋を訪れて膝をつく。
古妖精フェアグリンがひらひらと肩にとまる。
御付きの呪術師レネンが机の上を片付けているのを見るに、何かを書いていたらしい。
課題か、それとも手紙か――クレイは手紙を書くのが好きらしい。以前もよく書いていた。ニュクスフォスが嫌っている『鮮血』とも、それはもう頻繁に手紙を交わしている。未だに。
「本日のお花は、安らぎの花と申します。花言葉は『心のやすらぎ』、この白い花弁には特に『初々しく淡い恋心』とあり、薄紅の花弁には『自然な心』とございます」
「ありがとう、ニュクス。薄くて柔らかな花弁がとても佳麗だね――僕はこの花に対する初見の印象では、夜会などで身を飾り立てる貴婦人めいて空間を華やがせる存在感があると思ったのだ。彼女らが想い人のために身を飾る心を思うと、華麗なお姿を観る目もより微笑ましいものに変わりそうだね。すなわち飾るも自然……これは含蓄が深い」
相槌を返しつつ、ニュクスフォスが思い至るのはクレイが『お年頃』という点だった。
先日などは、軽い好奇心で試した『恋薬香』で思っていた以上の反応を魅せていた。
喜ばしい報せだからと喜び勇んで呪術師にも報告したところ、逆鱗に触れてうっかり暗殺されかけたし、はしゃぎすぎてクレイ本人にも若干嫌がられてしまったが。
(あれはよくなかった。俺は反省しているぞ――しかしクレイ様も日々健やかにご成長なされ、俺も育て甲斐があるというもの……)
ニュクスフォスの胸中には謎の後方保護者めいた目線があった。
これが自分にもなかなか謎で、実際のところ別段クレイは幼児ではないし、ニュクスフォスが育てたわけではないし、実年齢も四つしか離れていない。
初対面のクレイは12歳で、その時のニュクスフォス、当時の名でいうオスカーは16歳だった。
『俺が育てた』というなら、せめてもっと幼い時から面倒を見ていないと説得力もないだろう、というのは、親心みたいな変な感情を浮かべたニュクスフォスが自分に自分でツッコミを入れたくなるポイントである。
しかも、その時の自分がクレイに接する理由は『親に親しくするよう言われたから』という理由でしかなかったし、『世話をした』というよりはほとんど一方的に寄って行って付き纏っていたのだ。
全然『育てた』といえる要素はなかった。
単なる他人だ。
出会って数年後には世界情勢や自分の身分に変化が生じて、微妙な立場のクレイを正体を隠して保護したし、クレイ本人に『お父さま』と呼ばれたりもした。
たぶんそれが原因のひとつで、そのあたりからニュクスフォスには『俺が保護者』みたいな気持ちが生まれたのである。
だからといって『俺が育てた』となるわけがないのは頭の隅の冷静なところでは重々承知しているのだが。
しかし、なぜかクレイを保護して世話をするうちに、その心中には自分でも説明のつかない複雑な想いが少しずつ生まれては変化し、生まれては変化しを繰り返していくようなのだった。
――それにしても、ご成長はよいが、この貴種中の貴種といえる血統書付きの花をいかんせん。
その身に流れるたいそうな血を後世に繋ぐため、俺が良縁を手配して子を作らせるべきなのか。
いや待て、この血統書付きの花は俺の后になるのが決まっているのだ――すっかり浮かれていたが、冷静になってみれば、ここに恐ろしい現実があった。
(考えてみれば、これは確かに紅薔薇の爺どもが嘆くわけだ)
貴きラーシャ姫の血、黒竜の加護を賜りし王族の血が途絶えてしまうではないか。
(だからと言って……他の者と同衾してよいと申すにも抵抗がある。とてもある。……俺は、以前ならともかく今となっては、もうこの花を他の者に触れさせたくない! これは、俺の花なのだ!)
ぐるぐると思考を巡らせていれば、 クレイが軽く首を傾ける。
「どうしたの」
「あ、いえ……」
クレイの柔らかな色合いの髪がさらりと毛先を揺らして、ニュクスフォスはつい目を奪われる。
その色にかつて夕映えに視た涙を思い出すと、不思議な緊張が胸を浸した。
自分が『騎士王』になった後の『オスカー』の誕生日の夕焼けの美しいバルコニーで、クレイは正体を隠して『お父様』と呼ばれて保護者みたいになっていた自分に『今日は死んだ友人の誕生日』と語ったのだ。
『僕は好きだった』と言って、涙を流してくれたのだ。
そして、『貴方がくれるなら毒も甘いね』なんて言って、自分が盛った毒を飲んでくれた。
――このクレイは、思いもよらぬ心を揺らす言葉をよく零すのだ。
クレイが近づいて、華奢なからだが体温を寄せる。
「……」
ほっそりとした指先がニュクスフォスの顎をするりと撫でて、猫にでもなったような錯覚を覚えてしまう。
少女めいて中性的な顔立ちが自然に近づき、綺麗に上品にほんの一瞬の泡沫めいた口付けをして、すぐに離れた。
恋人の深く絡むそれとは別種の、不思議な神聖さのようなものの伴う高揚がニュクスフォスの胸を浸した。
「今日は、陛下に先日のお礼をしてあげます」
クレイの声が皇帝扱いするように微妙な距離感で言って、テーブルに誘った。
ニュクスフォスとこのクレイの関係性が迷子になりやすいのは、こんなところにも原因がある。
元々の身分は下だった。
騎士の誓いを述べ、忠誠を誓った。
しかし、今の自分は皇帝であり、保護者であり、恋人で――婚約者である。
結果、互いにその時の気分みたいなもので敬語になったり敬称をつけたり、なにやら不安定なのだ。互いにそれを承知して、何も言わないでいる。
「ほう、ほう。なんでしょうかね」
ふんわりとした香りが鼻腔を擽る。クレイはティーポットに茶葉を入れ、湯を注ぐ――茶を淹れてくれるというわけだ。
小瓶みたいなものをついでみたいに取り出して、淡い花色をした粉末をティースプーンで掬ってティーカップに盛っているのがたいそう気になる。とても気になる。
「その粉は……なんですかな? ――俺の見立てだとそれは、『恋薬』ではありますまいか……?」
笑顔を貼りつかせて問えば、恐ろしいことに肯定が返ってきた。
「いかにも」
クレイは当然のような顔で語るのだ――、
「陛下は、僕にこれを盛った。ゆえに僕は、同じく盛るのである」
「なるほど、やられたらやり返す。たまに仰っている『ざまぁ』の精神なのですね」
「それだ」
クレイはウンウンと頷いた。
「これくらいでよいだろうか。ちょっと多めがよいかな」
「ぜひ少な目に――というか、申し訳ないが俺はそれを拒否したい。せっかくのクレイ様の『ざまぁ』の機会に恐縮だが、俺は申さねばならぬ――なりませぬ、と」
ニュクスフォスは全力で拒絶した。
割と必死だった。
「よろしいですかクレイ様」
真剣な目がひたりとクレイを見つめた。
「まず確認致しますが、そのお薬を俺に盛ると、俺がどうなると思っていらっしゃるのですか」
クレイはちょっと不思議そうな目をした。
「えっ。それは、先日の僕みたいに火照ったり気持ち良くなるのでは? そういうお薬じゃないか」
――火照ったり気持ち良くなられていたとご本人の口から仰られるとなにやら高まるものがあるな。
「お、俺の手で気持ち良くなられたと……いや、そのお話は結構」
ついつい言葉を噛み締めつつ、ニュクスフォスは話を続けた。
「クレイ様はわかっておられぬ。今の貴方様はまるで『チェックと申し上げる』と仰いながらグリエルモの剣の間合いに悠々と飛び込むようなもので」
「それは僕の黒歴史なので、二度と口にせぬように」
クレイは明らかに機嫌を損ねて冷ややかな目をした。
ただいま話したのは、クレイが他国の将軍グリエルモと対峙して『僕の勝ちだ! どやぁ』と勝ち誇りながら間合いに近づき、『俺の間合いにようこそ』と返り討ちにあったという、過去に実際あったうっかりやらかした自滅エピソードだったのだが、地雷だったらしい。
「こほん。つまり、貴方様はお薬でふわふわ火照るぐらいでしたが、……はっきりと申すが――俺は普通に、襲いたくなってストレートに貴方を襲いますッ」
――はっきり申さねばわからぬのだ!
この坊ちゃんときたら。
このお姫さまときたら……、
ちょっと赤くなっているのが可愛いではないか……。
(なんて危ないんだ。襲ってよいならまあ遠慮なく頂くが、むしろこれ幸いと襲ってしまうが――大切にお育てした俺の子が、俺の主が、俺に汚されてしまう……危険な俺から俺の花を守らねば……汚させてはならぬ……あれ?)
色々おかしい……。親心や忠義心みたいなものと下心が真っ向から対立している――ニュクスフォスは若干どころではなく混乱した。
「大丈夫だ。僕は呪具でお前を縛る」
――しかも、そんな混乱のなかでクレイ様がとんでもない事を仰る!
「なんと? 今、なんと?」
ニュクスフォスは目を見張った。
クレイはなんとなく得意げであった。
ああ、これは自分のお気に入りの従者、呪術師を誇る時の顔――、
「レネンがつくってくれたのだ。『鮮血』を絡め取ろうとした設置罠の改良版みたいな、陛下を縛る呪具を」
(あ、あんの呪術師!!)
「そんな呪具、捨てておしまいなさい! とんでもないッ」
思わず言えば、クレイはますます機嫌を悪くした。
「レネンが一生懸命つくった芸術品を捨てろだって? なんて暴言を! 言っておくけど、レネンは僕が睡眠薬を盛って飲めと命じたらちゃんと飲んだよ!!」
「な……っ」
(そ、そこで忠誠心を比べるか!?)
結局、問答の末にニュクスフォスは『恋薬香』入りの紅茶を有難く頂戴したのであった。
しゅるりしゅるりと光の蔦がからだを絡め取り、寝台に固定する。じわりじわりと体が熱を帯びていく。妖精のフェアグリンが問いかけるような眼差しを向けていた。
(ふむ。フェアグリンに助けて貰えるか……しかし、俺は今忠誠心をレネンと比べられているのだ)
回避すれば、レネンに劣ると判断されるのでは。
(ならば、甘受するべきか……)
――何事もやはり楽しまねば。
ニュクスフォスは淡く呼吸を繰り返し、自分に言い聞かせるのだった。
(動物に発情を促すため、同種の動物が交尾する幻影を見せる方法があるらしい。すなわちこれは――俺が痴態を演じてこの身をもってクレイ様の発育を促進するという貴い性教育と言えまいか)
言い聞かせつつ、すでに雄の証が肉体の興奮をあらわして勃っている。
寝転がっているだけなのに熱が高まり、放出欲が湧いてつらいが、体の自由は効かず、慰められぬ――これはどうしたものか。
ニュクスフォスは焦がされるような熱を持て余しながら困り果てた。
(俺ともなればちょっと恋人を題材に不埒な想像をすれば案外いけるかもしれん)
試してみるか――、ちょうど本人が傍にいるのが背徳感を募らせるというか、盛り上がるものがある。そもそも股間は既に盛り上がっている。
「……気持ちよい?」
――そこで本人が声をかけてくるから、困るんだ……。
「あー、……まあ、まあです。ちょっとほっといて頂けると、今から勝手に盛り上がって昂る俺が楽しめるかもしれません」
正直今の時点では『気持ちよい』ではないのだが。
「ふうん」
クレイは物珍しそうにそれを見て、興味本位で下衣を寛がせて勃起している肉棒を露出させるではないか。
「おお……」
そんな声を零して、まじまじと見つめるではないか!
「ちょっ……、俺にも、恥じらいというものがありますよ」
「うん、うん」
クレイは頷きつつ、手を肉棒につけた。衝撃的過ぎる現実にびくりとニュクスフォスの体が跳ねる。
「でも、お前もこの前僕のこれをさすって出させた。僕は同じことをするだけなのだ」
剣も握ったことがないような両手がやわやわと慣れない手つきで、感触を楽しむように陰茎を刺激する――息が上がっていく。
「ふ、っ、……、」
声を押し殺して唇を噛めば、心配そうな視線がそろそろと寄せられるのが面映ゆい。
「だ、……だいじょうぶ?」
「は……、」
(これはご褒美なんじゃないだろうか? これは現実じゃないのでは? そうか、これが俺の想像か――なんてリアルな想像だ。凄まじいな俺、こんな想像を致してしまったか――この手付きの初々しさ、まさに本物ならこんな感じだろうな! わかる!)
脳内が謎のハイテンションで祭り状態となっていた。
(俺の想像力は触感もリアルに感じさせるのだな。これがクレイの手……これリアルだな、まるで本物に触られているようだ! 俺って奴は、俺って奴は……ピュアな主君でそんな想像をしてしまうのか。クレイがこんなことをするわけがないだろう、でもこんな感じなんだな。興奮する! いや背徳感がすごいぞ)
何を考えているのかもはや自分でもよくわからない大混乱ぶりだが、とにかく盛り上がっているのは確かだ。
不慣れな手で致される拙い刺激そのものよりも、『クレイが致している』というイメージが何倍も破壊力を得て快楽の感を高めていた。
「あ……、く、クレイ様。あまり近付かない方が。危険ですから」
現実の状況はわからないが、なんだかとても昂っていて、射精感が強かった。
これはもういける、想像だけで俺はいける男であった――そう手ごたえを感じつつ、ニュクスフォスは傍にいるようないないような現実だか想像だかのクレイに忠告をした。
「本物なら。本物がお近くにいらっしゃるなら」
もうよくわからない。
とりあえず言っておこう精神である。
「ん。縛ってるから、危なくないだろう?」
返事が返ってくる。
とても本人っぽい返事だ!
「汚しますから、近くにいるなら離れてほしいと、そういう……」
「ふ、ふむぅ……、出るの?」
「だ、だめと仰る? まさか?」
「いや。僕は、確認をしただけ」
ああ、おっとりした声のなんて気の抜けることだろう。
「構わぬから、お出し」
リアルな存在感がそっと促して、摩るではないか。
「く……っ!!」
(こんな現実があろうか。俺のクレイは『お出し』など――、……言う……あれは言う……!!)
実は摩られたのよりも言葉に興奮したのではないかと思うほどの高揚と共に、ニュクスフォスは達したのであった。
「わあ」
白濁を放つそれを初々しく見守って、クレイは断続的に汁を零すそれを『なでなで』した。
「良い子だね、ニュクス」
「くっ……」
青年の情緒が大きく乱され、現実がわからなくなる。
(こんな現実があろうか。俺のクレイは――、……なでなで……するのか……)
「く、クレイ様。俺は申さねばならぬ……」
もう現実だか想像だかわからぬが、言う事は言わねばならぬ。ニュクスフォスはぜえはあと呼吸を繰り返して言葉を紡いだ。
「なあに」
ご機嫌のよさそうな声がする――機嫌が直ってよかったと思っていれば、なんとクレイは放った後の肉棒をハンカチで拭って清めてくれている。
(く、クレイ様のハンカチが俺ので汚れて――)
「クレイ様、俺は本当に本気で申すが、これを他者になさってはなりませぬぞ……絶対ですぞ……」
現実だか想像だかわからぬが、言う事は言った。
「その考えは、僕にはなかった」
クレイは驚いたような新鮮なような声をあげている。
「お前はいつも、僕にはない考えを提供してくれるね」
ニュクスフォスはくらくらと眩暈を覚えつつ、「戯れはここまで」と打ち切ってフェアグリンに助けて貰ったのだった。
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