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終章、御伽噺な恋をして
157、エンディング(☆)
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大陸に長く存在する人間たちの王国には、名前がある。
歴史に残る名前は細かく時代ごとに変わっていて、それは王家の交代を告げることが多い。
たまたまこの時代、王家と呼ばれる家柄に生まれただけの青年は、太陽でもないのに太陽と呼ばれる自分に慣れていた。
青空の下で大衆の視線を一身に集めて、それを当たり前と思う感性を培っていた。
堂々とした気配をのぼらせて見渡す彼の王国は、過去に三回、滅んでいる。
自分を王と讃えた民が絶望し涙する光景を。
歓びの笑顔を哀しみに変えた親子の涙を。
国のために戦い、息絶えた兵士の血を。
失われる愛しい体温と生命の息吹を。
緑豊かな大地が洪水に飲まれて、青空が狂乱の妖精に覆われて、空から槍が降り注ぎ、家々は破壊され、世界が終わる。
そんな光景を、三回見た青年は、現在の美しい王国をじっと見つめた。
現在の歴史には、暴君の肩書を負った父王はいなかった。
そこにはもう狂気に歪んだ元勇者はいなかった。
自分を三回にわたって支えてくれた弟王子もいなかった。
自分に望まぬ性交を迫る不遜な魔術師も、いなかった。
青空の中を、絵師が楽しく筆を遊ばせて描いたような白い雲が風と戯れ、流れていく。
地上には人の香りが充ちていて、花びらがヒラヒラと舞っていた。
人々が舞わせる花は、めでたい時間を演出するために用意されたのだ。
大勢の視線が熱心に注がれる先には、彼らの王様がいるのだ――ノウファムが、王様なのだ。過去と同様に、今またその肩書を背負うのだ。
「王国の太陽に栄光あれ!」
「我らが英雄、ノウファム様……!」
清潔な青年によく似合う青いマントはゆったりと翻り、時の流れを穏やかに魅せた。
長躯が膝を折る姿は絵物語の一幕のように美しく、じゃっかんそそっかしい祭司が黄金の王冠を被せようとして手を滑らせれば褐色の手がまるでそんな未来を知っていたように鷹揚に手を支えた。
端正な顔立ちに浮かぶ闊達な笑みは初々しい青年のようでもあり、老獪な暴君のようでもある。
最初の世界から続く勇者の呪いは、解けたのかどうかがよくわからないままだ。
黒絹の髪は地上の何者にも染められぬ確固とした強い色を艶めかせていて、綺麗だった。
王冠を戴いた彼が立ち上がる。
民衆を見渡す隻眼は、気負うことなく日常の延長にいるような青い色を浮かべていた。
ずっとずっとこうだったのだ。こんな時間に慣れているのだ。そんな色は、割れるような歓声の中をじっくりと巡る。
隻眼の王は、そのとき少しだけ初々しい気配を強くした。
いつか死んだ顔がいくつも笑顔を咲かせていたからだろうか。
あるいは、いつかそこで笑っていた顔がいくつか欠けていたからだろうか。
それとも、観衆の中に灰色のローブをしっかりと纏った実の弟がいることに気付いたからだろうか。
理由はわからないが、人間の王はそのとき晴れやかに優しく微笑んで、片手をあげたのだった。
青年らしいキビキビとした仕草で振られた手に、歓声が大きくなる。
何かに応えるように、何かに別れを告げるように手を振るノウファムは、このとき過去と同じ「陛下」と呼ばれる身分に戻ったのだった。
「おいで」
手招きされて、僕はたったひとりの陛下の傍に寄る。
以前の人生で手に入れられなかった特別な近さは甘美な幸福感で僕をいっぱいにしてくれる。
「ご即位、おめでとうございます……僕の陛下」
僕は初めてそう呼ばれるべき彼に、懐かしく愛しく声を捧げたのだった。
◇◇◇
太陽が君臨する時間が過ぎると、星々の輝く時間が交代でやってくる。
地上の熱を冷まして落ち着かせ疲労を癒してくれる静かな夜は、とても優しい時間だ。
分厚い布で窓を覆った室内で、四回目の人生で再び「陛下」と呼ばれる身の上になったノウファムが僕の手を取り、指輪を撫でる。
子供のときみたいにお揃いで、子供のときとは違う輝きの硬質な指輪の輝きは、僕の心をふわふわとした高揚感で満たしてくれた。
褐色の大きな手が僕を抱っこして寝台に座り、お腹のあたりを撫でている。
控えめにさわさわと撫でられる感覚が、気持ちがいい。
「体調は良さそうだが、あまり無理はさせられないから……」
「ん……?」
清廉な気配をふわふわ纏った声が、いかにも好青年といった柔らかで温厚なことを言う。
「大切な身体だから」
「?」
「今日は疲れただろう。兄さんと休もうか」
「ん?」
ごくごく自然に、家族的な温度感で「おやすみ」と微笑まれて、清潔なベッドに寝かされる。
抱き枕のように抱きかかえられて、僕はじーっと目の前の身体を見つめた。
あったかい。
どくどく心臓の音が聞こえる。ちょっと速い。
「……眠るんです?」
「ああ」
当たり前じゃないか、といった雰囲気の声が返される。
間近に僕に微笑む青年の顔は、疚しいことの何もないお兄さんな顔だ。悪い魔術師が媚薬を盛ってもロザニイルを襲わない、そんな清廉潔白な王様だ。
僕が呆れ果てるくらい襲わなかったな……僕は脚のあたりを気にしながら、いかにも清かな青年の顔に半眼を注いだ。
清楚で上品を心がける僕としては、ここは「はい、お兄様。おやすみなさい」と答えてニコッと良い子で目を閉じるべきだろう。
――でも、脚のあたりに当たっているものが気になるんだよなぁ……。当たってるんだよなぁ。
「……」
「……え、エーテル」
肩や背中を抱きしめていたノウファムの腕をすりぬけ、もそもそと全身を下にずらして潜り込むようにしていくと、僕の奇行が何を目的としているのかを察した様子のノウファムがぎくりとする。
――お甘いのです、陛下。僕は残念ながら、そんなに清楚でも上品でもないわけで……。
「ン……」
欲望を教えてくれる膨らみに手を添えて、「言い逃れできませんよ」と微笑んで脱がせると、むわりとした雄の気配が感じられる。
慌てる気配を微笑ましく思いながら手で竿を撫でてからチロりと舌を這わせれば、びくりと相手の身体が反応を返してくるのが、楽しい。
「ふふっ、陛下。かわい……」
陰嚢をゆるゆると手で愛でながら初めての口淫に熱中すれば、僕の心の中には「大好きなひとを気持ちよくさせている」という歓びが溢れてくる。
「エ、エーテル。エーテル! そのようなこと、せずともよい……っ」
裏筋を確かめるように舌で辿って、指先でくびれた部分をくすぐると先端から透明な蜜が溢れてくるのが、可愛らしい。
これ、僕が育ててる。ほら、大きくなった。
僕が気持ちよくさせている。もっともっと、悦くしてあげるんだ……。
「ん、ふ……っ」
思い切って大きく口を開けて咥えこむと、腰が揺れる。興奮する。
自分と相手とが一緒に揺れて、上あごに亀頭がこすれると驚くほど不思議な快感がぶわっと湧いた。気持ちいい。
「ん、ん――」
口の中で、質量が増す。
雄の匂いがいっぱいになって、僕しか知らない味がする。
――これ、僕の。
僕だけの、特別。誰にもあげないんだ……。
「ふ、……ふ……」
口全体を使って扱くように上下に刺激をおくり、舌で唾液を攪拌する。
はしたない水音を立てて育てるうち、呼吸が苦しくなってくる。
単純に口いっぱいに頬張っている苦しさと、興奮で乱れた呼吸の苦しさと。
それは、幸せな苦しさだ。
僕ははふはふと熱い息を詰めた。
「ふ……、ふ……っ」
自分の中がじゅわっと熱を孕む。
お腹の中に、懐かしい感覚をおぼえる。
――聖杯器官の感覚だ。
また薬を飲んで、一生懸命育てている器官だ。
欲しい、欲しいと泣いている。それが、懐かしい。
「ぷはぁ」
口を放して息を紡ぎ、酸素を貪りながら目の前の雄を見つめると、後ろがうずうずと疼いて――以前のように欲しがる衝動が強くなる。
「んん……」
「エーテル……そ、そなた――」
もぞもぞと起き上がると、僕に襲われた姿勢の王様が真っ赤になっていた。
僕はまた破廉恥なことをしでかしてしまった。
でも、もはや後悔はすまい。
「あなた、僕が強がらなくていいようにって仰いましたけど」
僕はちょっと意地悪な気分で囁いた。
「あなただって、よく強がっていらっしゃるじゃないですか。僕に分からないと思うのですか」
――僕は振り返らないぞ。前だけ見つめて進んでやるぞ。
そんな意思を籠めて、僕はノウファムに挑発的な笑みをみせた。
たぶん朴訥とした最初の世界のノウファムにトラウマを植え付けたであろう、悪い魔術師の笑顔だ。
ノウファムは僕の顔に釘付けになって目を瞬かせている。人生三回分がどこかにいったみたいな、年相応の青年の顔だ。可愛い。
「へ、い、か……」
僕、悪い魔術師だ。
そんな自覚をしながら、僕はノウファムの顎に指を滑らせた。
ぴくりと反応を返す青年の身体にニコニコして、誘うように夜着の首元を寛げる自分が悪女みたいで、楽しい。
「僕を、抱いてくださいますね」
甘えるように呟けば、僕の陛下は喉を鳴らして頷いた。そして、暴君めいて乱暴に僕をひっくり返して、獣みたいに喉元にはむっと食いついて甘噛みをした。熱い。気持ちいい。気持ちいい――ぞくぞくと背筋に快感が奔って、僕は嬉しくなってはしゃいだ声で笑った。
「ふふっ、もっとして……! 好きにして……!」
嬉しい。
楽しい。
愛しい――、
くしゃりと黒髪を乱すようにして彼の頭を抱き寄せると、興奮の吐息と共に腰が押し付けられる。
自分の抱えている渇望と衝動を教えるみたいに硬い熱さが擦りつけられると、僕の中がキュンキュンとした。
「俺の聖杯……」
泣きそうな声が囁いて、余裕のない指先が僕の後ろを探る。
初めてそこに予感を覚えたとき、僕はとても反発を覚えて、怖がったのを思い出す。
お尻は嫌だと、僕は男だからと泣いたのだった。
だけど、今は。
「っ、ふふ……僕、そんなに壊れ物でも、ヤワでもないですから」
そこが未成熟なりに渇望に応えられる潤みをしっとりと湛えているから、僕は誇らしい気持ちになった。
「僕のお兄様、僕の陛下、……」
愛しい指が僕の内側にさざ波を立てる。
誰に強制されるわけでもなく、誰に反対されることもなく、二人で望んで行為をする。
それが、できる自分たちになったのだ。
「僕のノウファム様――……、大好き!」
ぶわりと懐かしく好ましい匂いが感じられて、腰が甘く痺れて蕩けそうになる。
ああ、この匂い。
また感じることができるんだ――、
「エーテル。エーテル……俺の……」
「うん。僕、あなたのです」
現実を確かめるようにお兄さんが笑っていて、ひとつだけの青の瞳がキラキラしていた。
熱を帯びたそこに指を滑らせると、濡れた感触に僕の心がいっぱいになる。
「僕のなんだ」
「俺のなんだ」
声が重なって、楽しくなる。
きっとノウファムも楽しい気持ちでいるだろう。
ドキドキと重なる鼓動が嬉しくて、僕は必死に肌を擦り合わせた。隙間をなくすみたいに、もっともっと幸せになれるように。
手探りに互いを撫でていた手が合わさると、内側に歓びの花が生まれるようだった。
指を絡ませて唇を合わせると、舌を出し惜しみするみたいに初々しい吐息が唇の間に流れて、離れてから、いち、にの、さんで、また淋しがってちゅっとくっつく。
甘えるように唇をもぎゅもぎゅさせると、白い歯の間から赤い舌がおずおずと訪れて挨拶をしてくれた。ぬるっとして、柔らかで、優しい。愛しい。
ちゅく、ちゅくと音を立てて、まるで初めてそうするみたいに甘酸っぱい挨拶を絡めたあとは、角度を変えて思い出したように深めていく。
「ん、ん――ふ、ぅ……」
落ち着きをなくした呼吸の合間に、軽く腰をもちあげて下に枕をいれられる。僕の勃ちあがった雄の証がぷるんと震えて、ちょっと情けない気持ちになる。
「ぬ、え、てぅ」
濡れてるから――そのまま、すぐに。
口付けの合間に僕がもごもごと伝えれば、わかったと頷きながら指がぐちゅぐちゅと中をほぐすのを止めてくれない。
中から迎える愛液を懐かしむように指先で絡めとり、内壁に擦りこむみたいに指を動かされると、じんじんと中が痺れた熱を高めていって僕はふるふると腰を震わせた。
……全然、わかってくれてないじゃないですかっ。
「ん、……んふ、……んン~~っ!」
涙目でびくびくと震えていれば、ちゅぽんっと指が抜かれて持ち上がった下腹をすりすりと宥めるように撫でられる。
撫でられた皮膚の下、お腹の中がびくびくと過剰に反応を返してしまって、僕は必死にノウファムに縋りついた。
「……ふやぁ、ゃ、く」
――はやく。
「ん……」
性急な弟をあやすようにウンウンと頷いて、ノウファムが楽しそうに微笑んだ。余裕な気配が戻ってしまっている。
さっきまで僕に襲われて真っ赤になってたのに。余裕を奪ってやったと思ったのに。
僕はちょっと悔しい気持ちになりながら、褐色の肩を抱き寄せるようにしてあんぐりと口を開いて噛みついた。
「っ……!」
「んきゅっ」
やり返すみたいに腰が揺らされて、後ろに当てられるのを感じた瞬間に入り口の窄まりがきゅっと震えた。
ついでに、キューイになったみたいな変な声まで飛び出てしまった。
「……俺の聖杯は、やんちゃだな」
王様の声がそう言って、大きく硬くなった欲望の頭を僕の後孔に潜り込ませる。柔らかい部分を押されると、きゅう、と内側がひくついた。
「ん、あっ……」
「エーテルは、元気がいい」
ぬるり、ずぷりと挿入を感じて、僕の内部がぶわぶわと喜ぶ。
これが欲しかったのだと淋しがっていた部分が叫んで絡みつくみたいに内壁が震えて締まって、出迎えてもっと奥に誘うみたいに蜜が溢れた。
「んんっ、おく……おくに……っ」
「奥に俺を誘ってくれるのか」
「ん、ん……っ」
「そなたの好きなところだな」
「~~っ!」
いつかの僕を「生意気だ」と言ったときとそう変わらない声色で笑いながら、ノウファムが僕を開拓して、支配していく。
下半身がその感覚に染まり、全身が彼を受け入れるためだけに存在するみたいになって、僕は悦びに喘いだ。
導かれるままに進んで最奥が穿たれると、爪先から脳天までブワワッと快感が突き抜ける。気持ちいい。気持ちいい……!
「あ、そこ……っ」
泣きじゃくるように善がる僕の耳に吐息が触れる。熱い。溶かされてしまいそうだ。
「俺も、ここが好きだ」
「ふあ」
聖杯器官が王様の訪れに歓喜して、僕の中で震えている。
好きなのだと訴えて、感情を塗り込むように奥がぐりぐりとノックされると、全身がびくびくと活き魚みたいに跳ねた。
「あぁっ……、あっ、……あ――……」
「……元気でいてくれ、いつも。俺は、それだけでいい」
現在の僕を慈しむように甘ったるく囁かれて、柔らかく抱きしめられる。
「――……お、おたがいに」
それは絶対なのだ、と僕が必死に言い返せば、ノウファムは嬉しそうに頷いてくれた。
ゆっくりと堪能するように腰が揺らされると、快楽の波が二人いっしょに優しく包み込んで幸せの海に揺らしてくれるみたいだった。
「ふあ、あ、あっ、あ、ああっ、……ああ――」
境界がわからなくなるように深くつながると、幸せで胸がいっぱいに満たされる。
愛しさで胸がいっぱいになりながら、僕はたったひとりの王様と番ったのだった。
「エーテル、エーテル……」
僕の名を呼ぶ声は優しくて、あたたかで、四回分の人生を生きてぐちゃぐちゃになった四人の王様の自我が、全員分の声を揃えるみたいにして、言ってくれるのだ。
「――愛してる」
ちょっと重たくて、切なくて、しんどいそんな王様の声は僕の心をキュンキュンとさせてくれて、愛されている気持ちでいっぱいにしてくれる。
だから僕も、一生懸命に全身で彼にしがみつく。
「好き」
初々しかった、カジャのお兄さんだった、あなたが。
「好き……」
僕を心配させた、あなたが。
「好き……っ」
暴君になってしまった、あなたが。
「――大好き!」
お兄さんな恋人になってくれたあなたが。
「僕、……あなたの全部を、愛してる!」
このお兄さんで王様な僕の伴侶は繊細で不安定なところがあって、人生四回分の愛情はすごく深くて重いから。
僕は負けないように何度も何度も繰り返し繰り返し、うんざりされて「もういい」と言われるまで愛を唱えようと思うのだった。
――HAPPY END!
***
物語にお付き合いくださり、ありがとうございました。
以上でこのお話は完結となります。
※もしかしたら、気が向いたら番外編などを書くこともあるかもしれません。
途中更新に詰まりそうになったときもありましたが、読んでくださる方がいたからこそ、続けてこれました。
本当に心から感謝申し上げます。
ありがとうございました…!!
2023/1/19 杯明杖祈
歴史に残る名前は細かく時代ごとに変わっていて、それは王家の交代を告げることが多い。
たまたまこの時代、王家と呼ばれる家柄に生まれただけの青年は、太陽でもないのに太陽と呼ばれる自分に慣れていた。
青空の下で大衆の視線を一身に集めて、それを当たり前と思う感性を培っていた。
堂々とした気配をのぼらせて見渡す彼の王国は、過去に三回、滅んでいる。
自分を王と讃えた民が絶望し涙する光景を。
歓びの笑顔を哀しみに変えた親子の涙を。
国のために戦い、息絶えた兵士の血を。
失われる愛しい体温と生命の息吹を。
緑豊かな大地が洪水に飲まれて、青空が狂乱の妖精に覆われて、空から槍が降り注ぎ、家々は破壊され、世界が終わる。
そんな光景を、三回見た青年は、現在の美しい王国をじっと見つめた。
現在の歴史には、暴君の肩書を負った父王はいなかった。
そこにはもう狂気に歪んだ元勇者はいなかった。
自分を三回にわたって支えてくれた弟王子もいなかった。
自分に望まぬ性交を迫る不遜な魔術師も、いなかった。
青空の中を、絵師が楽しく筆を遊ばせて描いたような白い雲が風と戯れ、流れていく。
地上には人の香りが充ちていて、花びらがヒラヒラと舞っていた。
人々が舞わせる花は、めでたい時間を演出するために用意されたのだ。
大勢の視線が熱心に注がれる先には、彼らの王様がいるのだ――ノウファムが、王様なのだ。過去と同様に、今またその肩書を背負うのだ。
「王国の太陽に栄光あれ!」
「我らが英雄、ノウファム様……!」
清潔な青年によく似合う青いマントはゆったりと翻り、時の流れを穏やかに魅せた。
長躯が膝を折る姿は絵物語の一幕のように美しく、じゃっかんそそっかしい祭司が黄金の王冠を被せようとして手を滑らせれば褐色の手がまるでそんな未来を知っていたように鷹揚に手を支えた。
端正な顔立ちに浮かぶ闊達な笑みは初々しい青年のようでもあり、老獪な暴君のようでもある。
最初の世界から続く勇者の呪いは、解けたのかどうかがよくわからないままだ。
黒絹の髪は地上の何者にも染められぬ確固とした強い色を艶めかせていて、綺麗だった。
王冠を戴いた彼が立ち上がる。
民衆を見渡す隻眼は、気負うことなく日常の延長にいるような青い色を浮かべていた。
ずっとずっとこうだったのだ。こんな時間に慣れているのだ。そんな色は、割れるような歓声の中をじっくりと巡る。
隻眼の王は、そのとき少しだけ初々しい気配を強くした。
いつか死んだ顔がいくつも笑顔を咲かせていたからだろうか。
あるいは、いつかそこで笑っていた顔がいくつか欠けていたからだろうか。
それとも、観衆の中に灰色のローブをしっかりと纏った実の弟がいることに気付いたからだろうか。
理由はわからないが、人間の王はそのとき晴れやかに優しく微笑んで、片手をあげたのだった。
青年らしいキビキビとした仕草で振られた手に、歓声が大きくなる。
何かに応えるように、何かに別れを告げるように手を振るノウファムは、このとき過去と同じ「陛下」と呼ばれる身分に戻ったのだった。
「おいで」
手招きされて、僕はたったひとりの陛下の傍に寄る。
以前の人生で手に入れられなかった特別な近さは甘美な幸福感で僕をいっぱいにしてくれる。
「ご即位、おめでとうございます……僕の陛下」
僕は初めてそう呼ばれるべき彼に、懐かしく愛しく声を捧げたのだった。
◇◇◇
太陽が君臨する時間が過ぎると、星々の輝く時間が交代でやってくる。
地上の熱を冷まして落ち着かせ疲労を癒してくれる静かな夜は、とても優しい時間だ。
分厚い布で窓を覆った室内で、四回目の人生で再び「陛下」と呼ばれる身の上になったノウファムが僕の手を取り、指輪を撫でる。
子供のときみたいにお揃いで、子供のときとは違う輝きの硬質な指輪の輝きは、僕の心をふわふわとした高揚感で満たしてくれた。
褐色の大きな手が僕を抱っこして寝台に座り、お腹のあたりを撫でている。
控えめにさわさわと撫でられる感覚が、気持ちがいい。
「体調は良さそうだが、あまり無理はさせられないから……」
「ん……?」
清廉な気配をふわふわ纏った声が、いかにも好青年といった柔らかで温厚なことを言う。
「大切な身体だから」
「?」
「今日は疲れただろう。兄さんと休もうか」
「ん?」
ごくごく自然に、家族的な温度感で「おやすみ」と微笑まれて、清潔なベッドに寝かされる。
抱き枕のように抱きかかえられて、僕はじーっと目の前の身体を見つめた。
あったかい。
どくどく心臓の音が聞こえる。ちょっと速い。
「……眠るんです?」
「ああ」
当たり前じゃないか、といった雰囲気の声が返される。
間近に僕に微笑む青年の顔は、疚しいことの何もないお兄さんな顔だ。悪い魔術師が媚薬を盛ってもロザニイルを襲わない、そんな清廉潔白な王様だ。
僕が呆れ果てるくらい襲わなかったな……僕は脚のあたりを気にしながら、いかにも清かな青年の顔に半眼を注いだ。
清楚で上品を心がける僕としては、ここは「はい、お兄様。おやすみなさい」と答えてニコッと良い子で目を閉じるべきだろう。
――でも、脚のあたりに当たっているものが気になるんだよなぁ……。当たってるんだよなぁ。
「……」
「……え、エーテル」
肩や背中を抱きしめていたノウファムの腕をすりぬけ、もそもそと全身を下にずらして潜り込むようにしていくと、僕の奇行が何を目的としているのかを察した様子のノウファムがぎくりとする。
――お甘いのです、陛下。僕は残念ながら、そんなに清楚でも上品でもないわけで……。
「ン……」
欲望を教えてくれる膨らみに手を添えて、「言い逃れできませんよ」と微笑んで脱がせると、むわりとした雄の気配が感じられる。
慌てる気配を微笑ましく思いながら手で竿を撫でてからチロりと舌を這わせれば、びくりと相手の身体が反応を返してくるのが、楽しい。
「ふふっ、陛下。かわい……」
陰嚢をゆるゆると手で愛でながら初めての口淫に熱中すれば、僕の心の中には「大好きなひとを気持ちよくさせている」という歓びが溢れてくる。
「エ、エーテル。エーテル! そのようなこと、せずともよい……っ」
裏筋を確かめるように舌で辿って、指先でくびれた部分をくすぐると先端から透明な蜜が溢れてくるのが、可愛らしい。
これ、僕が育ててる。ほら、大きくなった。
僕が気持ちよくさせている。もっともっと、悦くしてあげるんだ……。
「ん、ふ……っ」
思い切って大きく口を開けて咥えこむと、腰が揺れる。興奮する。
自分と相手とが一緒に揺れて、上あごに亀頭がこすれると驚くほど不思議な快感がぶわっと湧いた。気持ちいい。
「ん、ん――」
口の中で、質量が増す。
雄の匂いがいっぱいになって、僕しか知らない味がする。
――これ、僕の。
僕だけの、特別。誰にもあげないんだ……。
「ふ、……ふ……」
口全体を使って扱くように上下に刺激をおくり、舌で唾液を攪拌する。
はしたない水音を立てて育てるうち、呼吸が苦しくなってくる。
単純に口いっぱいに頬張っている苦しさと、興奮で乱れた呼吸の苦しさと。
それは、幸せな苦しさだ。
僕ははふはふと熱い息を詰めた。
「ふ……、ふ……っ」
自分の中がじゅわっと熱を孕む。
お腹の中に、懐かしい感覚をおぼえる。
――聖杯器官の感覚だ。
また薬を飲んで、一生懸命育てている器官だ。
欲しい、欲しいと泣いている。それが、懐かしい。
「ぷはぁ」
口を放して息を紡ぎ、酸素を貪りながら目の前の雄を見つめると、後ろがうずうずと疼いて――以前のように欲しがる衝動が強くなる。
「んん……」
「エーテル……そ、そなた――」
もぞもぞと起き上がると、僕に襲われた姿勢の王様が真っ赤になっていた。
僕はまた破廉恥なことをしでかしてしまった。
でも、もはや後悔はすまい。
「あなた、僕が強がらなくていいようにって仰いましたけど」
僕はちょっと意地悪な気分で囁いた。
「あなただって、よく強がっていらっしゃるじゃないですか。僕に分からないと思うのですか」
――僕は振り返らないぞ。前だけ見つめて進んでやるぞ。
そんな意思を籠めて、僕はノウファムに挑発的な笑みをみせた。
たぶん朴訥とした最初の世界のノウファムにトラウマを植え付けたであろう、悪い魔術師の笑顔だ。
ノウファムは僕の顔に釘付けになって目を瞬かせている。人生三回分がどこかにいったみたいな、年相応の青年の顔だ。可愛い。
「へ、い、か……」
僕、悪い魔術師だ。
そんな自覚をしながら、僕はノウファムの顎に指を滑らせた。
ぴくりと反応を返す青年の身体にニコニコして、誘うように夜着の首元を寛げる自分が悪女みたいで、楽しい。
「僕を、抱いてくださいますね」
甘えるように呟けば、僕の陛下は喉を鳴らして頷いた。そして、暴君めいて乱暴に僕をひっくり返して、獣みたいに喉元にはむっと食いついて甘噛みをした。熱い。気持ちいい。気持ちいい――ぞくぞくと背筋に快感が奔って、僕は嬉しくなってはしゃいだ声で笑った。
「ふふっ、もっとして……! 好きにして……!」
嬉しい。
楽しい。
愛しい――、
くしゃりと黒髪を乱すようにして彼の頭を抱き寄せると、興奮の吐息と共に腰が押し付けられる。
自分の抱えている渇望と衝動を教えるみたいに硬い熱さが擦りつけられると、僕の中がキュンキュンとした。
「俺の聖杯……」
泣きそうな声が囁いて、余裕のない指先が僕の後ろを探る。
初めてそこに予感を覚えたとき、僕はとても反発を覚えて、怖がったのを思い出す。
お尻は嫌だと、僕は男だからと泣いたのだった。
だけど、今は。
「っ、ふふ……僕、そんなに壊れ物でも、ヤワでもないですから」
そこが未成熟なりに渇望に応えられる潤みをしっとりと湛えているから、僕は誇らしい気持ちになった。
「僕のお兄様、僕の陛下、……」
愛しい指が僕の内側にさざ波を立てる。
誰に強制されるわけでもなく、誰に反対されることもなく、二人で望んで行為をする。
それが、できる自分たちになったのだ。
「僕のノウファム様――……、大好き!」
ぶわりと懐かしく好ましい匂いが感じられて、腰が甘く痺れて蕩けそうになる。
ああ、この匂い。
また感じることができるんだ――、
「エーテル。エーテル……俺の……」
「うん。僕、あなたのです」
現実を確かめるようにお兄さんが笑っていて、ひとつだけの青の瞳がキラキラしていた。
熱を帯びたそこに指を滑らせると、濡れた感触に僕の心がいっぱいになる。
「僕のなんだ」
「俺のなんだ」
声が重なって、楽しくなる。
きっとノウファムも楽しい気持ちでいるだろう。
ドキドキと重なる鼓動が嬉しくて、僕は必死に肌を擦り合わせた。隙間をなくすみたいに、もっともっと幸せになれるように。
手探りに互いを撫でていた手が合わさると、内側に歓びの花が生まれるようだった。
指を絡ませて唇を合わせると、舌を出し惜しみするみたいに初々しい吐息が唇の間に流れて、離れてから、いち、にの、さんで、また淋しがってちゅっとくっつく。
甘えるように唇をもぎゅもぎゅさせると、白い歯の間から赤い舌がおずおずと訪れて挨拶をしてくれた。ぬるっとして、柔らかで、優しい。愛しい。
ちゅく、ちゅくと音を立てて、まるで初めてそうするみたいに甘酸っぱい挨拶を絡めたあとは、角度を変えて思い出したように深めていく。
「ん、ん――ふ、ぅ……」
落ち着きをなくした呼吸の合間に、軽く腰をもちあげて下に枕をいれられる。僕の勃ちあがった雄の証がぷるんと震えて、ちょっと情けない気持ちになる。
「ぬ、え、てぅ」
濡れてるから――そのまま、すぐに。
口付けの合間に僕がもごもごと伝えれば、わかったと頷きながら指がぐちゅぐちゅと中をほぐすのを止めてくれない。
中から迎える愛液を懐かしむように指先で絡めとり、内壁に擦りこむみたいに指を動かされると、じんじんと中が痺れた熱を高めていって僕はふるふると腰を震わせた。
……全然、わかってくれてないじゃないですかっ。
「ん、……んふ、……んン~~っ!」
涙目でびくびくと震えていれば、ちゅぽんっと指が抜かれて持ち上がった下腹をすりすりと宥めるように撫でられる。
撫でられた皮膚の下、お腹の中がびくびくと過剰に反応を返してしまって、僕は必死にノウファムに縋りついた。
「……ふやぁ、ゃ、く」
――はやく。
「ん……」
性急な弟をあやすようにウンウンと頷いて、ノウファムが楽しそうに微笑んだ。余裕な気配が戻ってしまっている。
さっきまで僕に襲われて真っ赤になってたのに。余裕を奪ってやったと思ったのに。
僕はちょっと悔しい気持ちになりながら、褐色の肩を抱き寄せるようにしてあんぐりと口を開いて噛みついた。
「っ……!」
「んきゅっ」
やり返すみたいに腰が揺らされて、後ろに当てられるのを感じた瞬間に入り口の窄まりがきゅっと震えた。
ついでに、キューイになったみたいな変な声まで飛び出てしまった。
「……俺の聖杯は、やんちゃだな」
王様の声がそう言って、大きく硬くなった欲望の頭を僕の後孔に潜り込ませる。柔らかい部分を押されると、きゅう、と内側がひくついた。
「ん、あっ……」
「エーテルは、元気がいい」
ぬるり、ずぷりと挿入を感じて、僕の内部がぶわぶわと喜ぶ。
これが欲しかったのだと淋しがっていた部分が叫んで絡みつくみたいに内壁が震えて締まって、出迎えてもっと奥に誘うみたいに蜜が溢れた。
「んんっ、おく……おくに……っ」
「奥に俺を誘ってくれるのか」
「ん、ん……っ」
「そなたの好きなところだな」
「~~っ!」
いつかの僕を「生意気だ」と言ったときとそう変わらない声色で笑いながら、ノウファムが僕を開拓して、支配していく。
下半身がその感覚に染まり、全身が彼を受け入れるためだけに存在するみたいになって、僕は悦びに喘いだ。
導かれるままに進んで最奥が穿たれると、爪先から脳天までブワワッと快感が突き抜ける。気持ちいい。気持ちいい……!
「あ、そこ……っ」
泣きじゃくるように善がる僕の耳に吐息が触れる。熱い。溶かされてしまいそうだ。
「俺も、ここが好きだ」
「ふあ」
聖杯器官が王様の訪れに歓喜して、僕の中で震えている。
好きなのだと訴えて、感情を塗り込むように奥がぐりぐりとノックされると、全身がびくびくと活き魚みたいに跳ねた。
「あぁっ……、あっ、……あ――……」
「……元気でいてくれ、いつも。俺は、それだけでいい」
現在の僕を慈しむように甘ったるく囁かれて、柔らかく抱きしめられる。
「――……お、おたがいに」
それは絶対なのだ、と僕が必死に言い返せば、ノウファムは嬉しそうに頷いてくれた。
ゆっくりと堪能するように腰が揺らされると、快楽の波が二人いっしょに優しく包み込んで幸せの海に揺らしてくれるみたいだった。
「ふあ、あ、あっ、あ、ああっ、……ああ――」
境界がわからなくなるように深くつながると、幸せで胸がいっぱいに満たされる。
愛しさで胸がいっぱいになりながら、僕はたったひとりの王様と番ったのだった。
「エーテル、エーテル……」
僕の名を呼ぶ声は優しくて、あたたかで、四回分の人生を生きてぐちゃぐちゃになった四人の王様の自我が、全員分の声を揃えるみたいにして、言ってくれるのだ。
「――愛してる」
ちょっと重たくて、切なくて、しんどいそんな王様の声は僕の心をキュンキュンとさせてくれて、愛されている気持ちでいっぱいにしてくれる。
だから僕も、一生懸命に全身で彼にしがみつく。
「好き」
初々しかった、カジャのお兄さんだった、あなたが。
「好き……」
僕を心配させた、あなたが。
「好き……っ」
暴君になってしまった、あなたが。
「――大好き!」
お兄さんな恋人になってくれたあなたが。
「僕、……あなたの全部を、愛してる!」
このお兄さんで王様な僕の伴侶は繊細で不安定なところがあって、人生四回分の愛情はすごく深くて重いから。
僕は負けないように何度も何度も繰り返し繰り返し、うんざりされて「もういい」と言われるまで愛を唱えようと思うのだった。
――HAPPY END!
***
物語にお付き合いくださり、ありがとうございました。
以上でこのお話は完結となります。
※もしかしたら、気が向いたら番外編などを書くこともあるかもしれません。
途中更新に詰まりそうになったときもありましたが、読んでくださる方がいたからこそ、続けてこれました。
本当に心から感謝申し上げます。
ありがとうございました…!!
2023/1/19 杯明杖祈
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