魔女家の公子は暴君に「義兄と恋愛しろ」と命令されています。

浅草ゆうひ

文字の大きさ
上 下
122 / 158
六章、逆転、反転、繰り返し

121、内緒の関係(軽☆)

しおりを挟む
 ロザニイルの陰茎は聖杯化した過去の彼のモノよりも、成人男性らしく育っていた。
 僕の視線を浴びて、質量を増した怒張は脈打っていて、見ているだけでこっちまで昂ってくる。
 これからロザニイルがすることを思うと、僕はすごく興奮してしまった。
 
「あの、サイドテーブルに潤滑油が……あるよ。あの、殿下とそういうことをする時用に備えてあるみたいで」
 僕はおろおろと枕を抱く手に力を籠めて、教えた。
「サンキュ」
 とろりと潤滑油を垂らして、ロザニイルが濡れた手のひらを複雑そうな面持ちで見る。

「こういうのって、オレ苦手なんだよな。連想するから」
「あっ……そうだよね」
「でも、お前らが使うやつって考えたらちょっと興奮する。背徳感ってやつ?」
 
 ロザニイルはそう言って、濡れた手で自分の陰茎を慰め始めた。
 
「わ、わぁ……」
「おい、ドン引きしてる?」
「まさか! してない……っ、あの、他の人が自慰するのを初めて見るから」
「……オレのコレはエーテルに見られてちょっとヤる気出してるぞ」
  
 手と陰茎の境界でオイルがぬるぬるしていて、濡れた水音をくちゅりと立てる。
 カリ首のくびれに濡れた手が添えられて擦るのを見て、なぜか僕がぞくぞくと熱を高めてしまう。
 まるで自分がされているみたいに、その感覚を想像して興奮してしまう。

「……は、……はっ、……っ」
 すぐ隣に座っているロザニイルが軽く俯きがちに息を色っぽく乱していく。
 いけないものを見てしまっている――僕は激しく動揺しつつ、その表情に見惚れた。

 シャープな頬のラインが呼吸にあわせて震えていて、うっすらと汗ばむ熱を感じる。
 陽気な緑の瞳が潤みを帯びて、雄の色香を放っている。
 
「はっ……オレ、トチ狂ったこと言いそう」
 情欲に揺れる声がいつもより甘くて、聞いているこちらまで欲を高めてしまう。
「な、なあに、ロザニイル」
「んっ……、お前が隣でオレの痴態見てはぁはぁ興奮してるの、可愛い……」
「!!」

 興奮してるのがバレている!!
 僕は枕をぎゅーっと抱きしめた。

「だっ、て……」
「へへっ、オレ、意地悪してる」
 言いながらロザニイルは腰を揺らして、大きく竿を上下に扱いた。ああ、気持ちよさそう。僕は思わず一緒になって腰を揺らしそうになってしまった。 
 
「ロザニ、ル……気持ち、よさそう……」
「ん……、悪くは、ねえな……っ」
 濡れそぼる性器が扱かれる。
 鈴口がひくついていて、白蜜を溢れさせるのが視えた。
 なんて気持ちよさそうなんだ。

「ロザニイルが、気持ち良くなれてて、よかった」
 はふ、と息を継ぎながら言う本音を言うと、僕は結構つらい。
 自分も気持ちよくなりたくなっている……。

 くちゅ、くちゅという音が。
 はぁ、はぁ、という息遣いが。
 隣で揺れる身体が。
 視界に入る色っぽい感じている表情や、ひくひくと白蜜を溢れさせる鈴口や、竿を扱く手が。
 潤滑油の香りや汗や特有の愛液の匂いが。
 
 ――僕を堪らなく興奮させる……!
 
「ロザニイル……イけそう……?」
「はぁっ、……イけそう、かも……」
 
 はぁっ、と息を紡ぐロザニイルの睫毛が震えて、熱を帯びた目尻が朱に染まっている。
 
「きしょいもん見せて、ごめんな」
「きしょくない……」
  
 先走りが香油と混ざって、照明の光を浴びてぬらぬらと煌めいている。綺麗だ。
 濡れた陰茎がちゅくちゅくと水音を立てるさまが、泡をたてるさまが――淫猥だ。
 脚の間が痛いほど疼いて、僕は内股に力を入れた。
 
「あ、ふ……」
 甘い吐息に、くらくらする。もう、だめだ。

 ころん、と。
 僕の足元に枕が転がった。

 
「っ、エーテル、お前」
 ロザニイルの驚いた声がする。
 僕が下衣と下穿きを性急に降ろして自分の雄の証を取り出したからだ。
 
 その一瞬、ぎくりとロザニイルが身を硬くした。
 怖がってるんだ? 襲われたトラウマを思い出してしまった?

 ――それを感じて、僕の心は罪悪感でいっぱいになった。

「僕も、自分で自分を慰める――それ、だけ。だから……」
 怖くないよ。僕は泣きそうな声で囁いた。
「あ、ああ」

 二人揃って、ぎこちなく手を動かし始める。
 隣同士、座って自分の雄を撫でている。
 不思議な感じだ。
 
 僕は情緒が乱れて、茹った思考で「どうしてこうなったんだろう」と考えていた。

「エーテル、オレにあてられた……?」
「ん……っ」
 手の内側が熱い。
 ちゅこちゅこと可愛い音を立てて扱けば、快感の波がそこから生まれる。
 滑りがどんどんよくなって、腰が揺れる。

「ふっ、エーテルぅ、先っぽから汁溢れてる……やらし」
「んっ、そういうの、言わないで……」
「悪ぃ」
  
 精路がひくひくして、本能みたいなものが獣の欲を果たしたい、極めたいと昂って昂って、理性が蕩けていく。
 
「オ、オレ、ノウファムに会わせる顔がねえ、な……っ」 
「……っ、い、言わないで」
 
 気にしていたんだ。
 心の隅に「だめじゃないかな」って気持ちがあるんだ。

 ……ロザニイルも、「だめじゃないかな」って思うんだ。
 僕たち、そういうことをしてる……かもしれない。

「友達どうし、だから……っ」
「あ、ああ……っ、友達どうし、だもんなっ……」
 
 両手で夢中になって、射精感を高めていく。
 僕の腰が戦慄わななく。
 
「はぁっ、……んっ」
「ふぅ……、ふ……」
  
 甘く苦しい快感が、身体を重ねていない僕たちの内側で一緒にさざなみを立てている。
 
「きもち、いい」
「ん、ん……」

「僕たち、おんなじ……だね……?」
「……そぅ、だな……っ、は、ぁ……」

 吐精したい。
 欲求が高まって、我慢できなくなる。
 荒い息遣いで、はしたなく僕は首を振った。
 ああ、いきたい。いきたい。

「僕、もう……いきたいっ……」
「オレがイくまで、待っ……て」

 ロザニイルがくれた発情を抑止する薬を飲んでいてよかった。
 薬を飲んでいても、身体の深いところがすごくうずうずしていて、後ろがひくひくして、濡れてしまっている。

「あぅ……は、はぁっ、……僕、げんかいっ」
「は、は……っ、いい、ぜ」

 ――許しが出た。 
 足のつま先がぎゅうっと丸まる。
 ガチガチの陰茎の鈴口を指で広げると、ロザニイルのと同じような白蜜が溢れる。嬉しくて泣いているみたいだ。そのまま洩らしてしまいそう。

「ん、い、くっ……!」
「オレも……っ! 出すぞ……っ!」 

 隣で極まる声と気配に高揚が全身を巡る。
 は、は、とはしゃぐみたいに急いで扱きあげると、どんどんゴールが近くなる。
 もう出る。
 もう出せる。

 溢れ出た欲が、高ぶりが。
 外に出たくて仕方ないよって暴れていた精が。
 勢いよく刺激に導かれるように精路をかけて。

「~~~っ……!!」
 
 びゅるるっと勢いよく放った瞬間、頭の芯が灼ききれそうな気持ち良さに僕はびくびくと身悶えした。
 
「はぁっ! はぁっ、……はあ」

 隣を見ると、ロザニイルも感極まったような顔で白濁に下肢を濡らしていた。おびただしい量の精液を見て、僕は溜めこんでいたんだなと思った。

「……気持ちよかったね、ロザニイル……?」 
 抑えた声色で返事が返ってくる。
 
 淫らなことをしてしまった。
 少し時間を置いてから、僕たちは一緒になって賢者モードを迎えて「このことはノウファムには内緒にしておこう」と密約を交わしたのだった。
  
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

異世界転移で、俺と僕とのほっこり溺愛スローライフ~間に挟まる・もふもふ神の言うこと聞いて珍道中~

兎森りんこ
BL
主人公のアユムは料理や家事が好きな、地味な平凡男子だ。 そんな彼が突然、半年前に異世界に転移した。 そこで出逢った美青年エイシオに助けられ、同居生活をしている。 あまりにモテすぎ、トラブルばかりで、人間不信になっていたエイシオ。 自分に自信が全く無くて、自己肯定感の低いアユム。 エイシオは優しいアユムの料理や家事に癒やされ、アユムもエイシオの包容力で癒やされる。 お互いがかけがえのない存在になっていくが……ある日、エイシオが怪我をして!? 無自覚両片思いのほっこりBL。 前半~当て馬女の出現 後半~もふもふ神を連れたおもしろ珍道中とエイシオの実家話 予想できないクスッと笑える、ほっこりBLです。 サンドイッチ、じゃがいも、トマト、コーヒーなんでもでてきますので許せる方のみお読みください。 アユム視点、エイシオ視点と、交互に視点が変わります。 完結保証! このお話は、小説家になろう様、エブリスタ様でも掲載中です。 ※表紙絵はミドリ/緑虫様(@cklEIJx82utuuqd)からのいただきものです。

貢がせて、ハニー!

わこ
BL
隣の部屋のサラリーマンがしょっちゅう貢ぎにやって来る。 隣人のストレートな求愛活動に困惑する男子学生の話。 社会人×大学生の日常系年の差ラブコメ。 ※現時点で小説の公開対象範囲は全年齢となっております。しばらくはこのまま指定なしで更新を続ける予定ですが、アルファポリスさんのガイドラインに合わせて今後変更する場合があります。(2020.11.8) ■2024.03.09 2月2日にわざわざサイトの方へ誤変換のお知らせをくださった方、どうもありがとうございました。瀬名さんの名前が僧侶みたいになっていたのに全く気付いていなかったので助かりました! ■2024.03.09 195話/196話のタイトルを変更しました。 ■2020.10.25 25話目「帰り道」追加(差し込み)しました。話の流れに変更はありません。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

処理中です...