魔女家の公子は暴君に「義兄と恋愛しろ」と命令されています。

浅草ゆうひ

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六章、逆転、反転、繰り返し

117、聖夜、僕の巣、仲良し(☆)

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 ノウファムの部屋の寝台に運ばれて、抱きすくめるようにされる。
 花のような蜜のような匂いでいっぱいだ。
 これ、もっと、もっと――、

「あ……」  
「エーテル?」
 本能に突き動かされるように僕は首を振った。
「僕、つくる……」
 ぼんやりと呟いてノウファムの肩をくいくいと押すと、不思議そうな気配が返される。
「つくるとは?」
「準備……準備を」
「俺が術を使っているから、大丈夫だぞ」

 欲情した雄の匂いがする。淫らな気分が理性を溶かしていく。
「ちが、う……」

「やはり酔ってる」
 ぼんやりとした僕がふわふわと腕から離れると、ノウファムは「酒乱だったのか」とか呟きながら僕のあとをついてくる。

「僕、酒乱ではありません」
「そうか? それで、……何をしているんだ?」
 何をしてるんだろう。僕は自問自答しながら部屋の中を行き来して、衣装棚から衣類を運んでベッドに並べた。

「……」
 ノウファムがベッドを見ている。
 僕はふわふわともう一度衣装棚に赴いて、好い香りのする布を搔き集めた。

「……?」
 布がどんどん増えていく。何度か往復して、僕はぽふぽふとベッドにのぼって香りの中で転がり、近くにあった服を抱きしめて恍惚となった。

「エーテル?」
「っふふ……、ノウファム様の匂い、いっぱい」
「っ!?」

「僕のニド、ノウファム様でいっぱい……!」 
 とろりと微笑んで半身を起こして腕を広げれば、大きな身体が僕を抱きしめてくる。
「よくわからないが可愛い」
 重なった身体が、熱い。
 下腹部が硬くなっている。昂っている。僕ははしゃぐようにしてノウファムの頬にキスをした。

「仲良くしましょう、へ、い、か」
「仲良くはするが、陛下はやめてくれ」
  
 するすると服が脱がされるのに身を任せて、僕はノウファムの服に手をかけた。
 
「僕、脱がしてあげます」
「お前が?」

 頷いて、逸る心に震える指で服を解く。
 プレゼントボックスを開ける時に似た感情が早鐘のように僕の胸の鼓動を高鳴らせる。
 精強な肉体があらわになっていくと、僕は堪らなくなって肩に唇をつけた。ちゅっと吸って痕をつけようとしても、なかなかつかない。難しい。

「エーテル、俺に痕をつけてくれるのか?」
「ん……っ」
  
 優しく髪を撫でられると、身体にくすぶっていた欲望が溢れて、我慢できなくなる。
 触れたい。
 触れてほしい。
 
「僕、ちゅうしたい……」
「しよう」
 首に縋り付き、ねだるように唇をひらけば、戯れるような軽いキスが一瞬上唇に触れて離れていく。
 足りないよってアピールするみたいに舌を突き出すと、先っぽを可愛がるみたいにちゅうっと吸われて、甘い刺激がうなじのあたりをさわさわさせた。

「……んっ、……っ」 
 内部に潜り込んだ舌先が遊ぶように僕の舌先をつんつんと擽る。
 じゃれ返すように舌先を絡めると、隙間を塞ぐみたいに唇がぴったりと密着して、ぬるりと舌全体が絡め取られる。
「ン……ふふっ……」
 
 楽しい。
 大きな手が背中を撫でてくれるのが、気持ちいい。
 
「エーテル、兄さんともっと気持ちいいことをしようか?」 
 舌先が解放されると、ノウファムはよく懐いた獣みたいにすりすりと顔を擦りつけてきた。
 甘やかな蜜花の香りがほわほわしていて、酩酊感が強くなる。
「ふふっ、お兄様、甘えん坊みたい……好き……」
 楽しい。
 心地よい。
 くっついてくる頭を両手でよしよしと抱き寄せるようにすると、ノウファムは首筋に唇を寄せて可愛いリップ音をたてながらキスの雨をちゅくちゅくと降らせた。

「いつ好きになってくれたんだ? ……どの俺を好きになってくれたんだ?」
 合間に不思議そうな声が零れると、なんだか胸が切なくなった。
「んっ、ん、……はぁっ……」 
 腰の奥が甘い痺れを溜めていくみたいに熱くなる。
 
 ――いつ? どのノウファムを?
 
「僕……」
 繊細な質問だ。
 軽はずみな答えじゃなくて、ちゃんと答えなきゃだめな問いだ。僕は必死に考えた。
「……」 
「いい。答えなくて、いい」
 やんわりと遮るように言って、ノウファムの舌が僕の鎖骨を這い、情欲を煽るような褐色の手が肩を摩る。
「あ、痕……」
 ちゅ、ちゅ、と皮膚を吸われる感覚に乱れる僕の指先が褐色の肌を掻く。

「ついた」
 ぺろりと鬱血のキスマークを愛でるようにして、ノウファムの頭が胸に降りていく。
 
「っ、わかんなくなりそう……」
 もう、複雑で繊細な問題を考えることができなくなってしまう。

「わからなくていい……」
 ノウファムは柔らかい吐息を紡いで、胸の果実を優しくあやすように舌先でくすぐった。甘い快感が腰に熱を溜めていく。
「っ、ふあ」
 乳首がじっとりと昂りながら芯を持っていく。
 片手でゆるやかに身体の線を撫でられながら温かい舌に飴を転がすように乳頭をふにふにと弄ばれると、じっとしていられなくなる。

「あ、あんまりそれしたら、じんじんす、る……っ」
 ふっくらとした舌の腹が乳輪を這うと、焦れったい。
「あ、こしょばい……ンんっ」
 肩をすくめてきゅっと眉を寄せて官能に耐えて、唇を噛んで首と胸を反らしてひとりで乱れていると、ノウファムは獣みたいに喉を震わせて機嫌のよさそうな声を零した。

「エーテル、唇を噛むと傷付く」
「うぅん……」
「声を聞かせてくれ。兄さんはお前の可愛い声が好きだから」
「……っ」
  
 悪戯な舌に大きく上下して大胆に刺激を加えられて、身を捩って甘ったるい声を洩らすと、褒めるみたいにへその窪みに指を滑らされる。
 くりくりと軽く刺激されると、お腹の奥がキュンッとなる。
「ふ、あ」
 褐色の肩が楽し気に揺れて、青糸の髪の毛先が肌をさわさわとくすぐる。
 くすぐったい――そんなちょっとした感覚すら微弱すぎる快感に変わっていって、僕は眉を寄せて大きく息を継いだ。

「っはぁ、はぁ……っ、あぅっ」
 焦らすように周りを舐られてから唇で食むようにされて音を立てて吸われると、溺れかけみたいに余裕なく喘いでしまった。

 ――慣れを感じる。

 最初に肌を合わせた時よりも、僕を気持ち良くさせることに慣れてきている。

「そそられる――好い香りがする」
 ノウファムは高揚に声を華やがせ、小瓶からとろりとした液体を手のひらに垂らした。
 ぬるりとした香りは花のようで、官能的だ。

「ふぁ……?」
 二つの雄蕊ペニスがくちゅっと先っぽをくっつけたから、僕はどきりとした。
「……ちゅうしてる」
 僕の雄蕊ペニスがノウファムのそれをチュウしてる。
「ふっ……、ちゅ、ちゅう……可愛いことを言う……」
 ノウファムが唇を綻ばせて、先を重ねていた二つを一緒に包むみたいに手で握ると、僕の雄の部分が快感に震えた。

「ではこれは? エーテル」 
「ん……っ、」
 
 背比べするみたいに二つがぴったり寄り添う姿は淫猥で、触れて包まれている部分がすごく熱い。
 どくどくと鼓動が脈打つのに合わせて僕の頭がふぁーっと興奮する。 
 
「や……、く、比べちゃだめ」
「別に比べてはいないが……エーテルのここは、可愛いじゃないか」 
 ノウファムの手が二つを一緒にゆるゆると撫でると、腰が揺れてしまう。

「ふ、あ、あ……っ」
「気持ちいい、気持ちいい……」
 
 暗示でもかけるように、優しい声が繰り返す。
 ノウファムの端正な顔が目元に朱をのぼらせて上気していて、気持ちよさそうだ。
 そうか、これ、一緒に気持ちよくなるんだ。繰り返す濡れた唇にぞくぞくしながら、僕は頷いた。
 
「僕も、それ、する……っ」
 必死に手を重ねると、二人で一緒にしている感覚が強くなって、なんだか嬉しい。
「エーテル、兄さんと一緒にいこうか?」
「うん……っ、うん……っ!」
  
 先走りをくちゅくちゅと混ぜ合わせるようにして扱く音がいやらしい。
 見た目も刺激が強くて、びりびりとした強い快感が絶えず与えられる下半身はくっついた部分の境界がわからなくなってしまいそうだ。

「すごぃ、これ、すごい……っ」
「気に入ったか?」
「ん……っ」
「俺も、気に入った」 

 ちょっと大きさの違いにへこむのはあるけど、嬉しそうなノウファムを見ていると、僕は幸せになった。
 凄絶な雄の色香を漂わせた声が耳朶を濡らして、僕は必死に射精感を訴えた。

「……、僕もう、出る……、ンっ」
 噛みつくように口付けがされて熱い口腔を翻弄されると、情欲にゆだった頭がくらくらする。
「~~っ!!」 
 気付いたら僕は我慢も何もできずに精を放っていた。
 びくびくと先端から吐き出すと同時に寄りそう雄蕊が大きくひくついて達しているのがわかって、僕は不思議なほど興奮した。

「で、でき、た」
「一緒に出せたな」
 ノウファムが目を細めて唇を舐める。
 
「楽しいな、エーテル」
 甘く囁く声が楽しそうで、僕は嬉しくなってノウファムの頬にキスをした。
「楽しい……っ」


 じゃれ合うみたいに巣の中で睦あって、深い口付けを繰り返しながら、僕は聖杯器官をどんどん意識するようになった。
 お腹の中で、それが欲しがっている。
 ――発情しているのだ。
 
「ん、ん~っ……」
 むずむずしてならない腰のあたりを揺らしてむずがる僕にあてられたみたいに、ノウファムが情欲の炎を燈した片目で僕を視る。 
「ここに欲しいか? エーテル?」 
 仰向けにベッドに横たわる僕の腰が軽く持ち上げられて、枕が腰の下に入れられる。
 下半身が持ち上がって震える脚が割られ、濡れた褐色の指が尻のあわいに忍び込む。
 
 秘部を暴かれるのを感じた瞬間、僕の内部がざわりとした。
 
「あ、後ろ……」
「嫌か?」
 
 ぬぷぬぷと入り口を揉むように出入りされ、尻たぶを愛でられると僕は腰を浮かせてしまった。

「嫌じゃ、ない……っ」
「よいか?」
「ん、……っそこに、ほしい」
 
 中が疼いて、隠しきれない期待に後孔がひくひくと蠢いてしまう。

「俺も、ここを愛したい」
 甘く声を紡ぎながら、つぷりとノウファムの指が中に進んでくる。
 ほぐすようにしながら、ノウファムは探るように声を低めた。
 
「……濡れている。とろとろで、熱くて、柔らかい……」

「は、恥ずかしい……言わないで」
 僕はふるふると首を振った。

「聖杯化は半端なまま、発情症状もそれなりに診られるが……周期的な発情期はあるのか?」
「んうっ? は、発情期は」
 
 動揺が胸に湧く。
 前はあった。
 でも、今はロザニイルの薬をつい飲んでしまって。
 
「薬で抑えている?」
「は、……」
「構わないが」
 
 中からじわりと溢れる蜜と香油を混ぜるようにして、ノウファムは指ではしたない水音を奏でた。
 指が足されていく。僕は熱を持て余して肩を揺らして呼吸を繰り返した。

 息を吸うたびに大好きな香りが僕を満たしてくれる。
 濃い情交の匂いがそれに混ざって、興奮が高まっていく。
 
「んっ、あんっ、あっ」 
 まとめてグチグチと抽挿されたり、ばらばらに拡げるように動かされたり――僕がその感覚に夢中になってシーツを乱していると、耳元に囁きが吹き込まれる。

「ロザニイルは聖杯を元に戻せると言っていた。俺はお前が聖杯でなくても構わないが、お前はどうしたい?」 
 
 思いやりを感じる指の動きが弱い箇所を見つけてコリッと引っ掛かれると、強い快感が背筋を奔る。
 
「あぅ!」
 
 ビクンと大きく全身が跳ねて高い声で啼く僕に、ノウファムは執拗に刺激を繰り返した。
「あ、や、んンっ……い――今っ、……きくぅ……?」
「それもそうだな」

 ふっと笑ったノウファムは、指を抜いてシーツを乱していた僕の手を取った。

 ノウファムの胸元に当てられる。熱い。
 逞しい胸板からどくん、どくんと少し速い心臓の鼓動が伝わって、僕はドキドキした。

「今はただお前と仲良くしよう」
 耳朶がじんと熱くなる。
 受け入れて愛された感覚が中に蘇るようで、僕の胸は期待でいっぱいになった。

「して……」
 
 身体の深いところが熱くて、ずっとずっと待ち焦がれている。
 震える声がはしたないことを言ってしまう。止められない。
 
「お腹の中、欲しがってる……奥、愛してほしい……っ」
「ん……」
 甘やかすように唇を柔らかに食んで、ノウファムが隻眼に情欲の炎を揺らめかす。

 濡れそぼり、再び硬く反り返った逞しい男根が指に代わって僕の淋しいところを埋めてくれる。
 全部が中に埋まっているのだと理解した瞬間、僕は極まってしまいそうになって必死に自分を落ち着かせた。

「ふ、ふーっ、ふ、ぅ……」
「エーテル? 苦しいか?」
「ん、ちが……っ」

 眉根を寄せたノウファムの額から汗が滴って、一瞬僕は見惚れてしまった。

「ゆっくりしよう」
「ん、う……」
 
 片手でお腹を撫でられて、僕はうっとりとなった。
 鼻にかかった甘えた声を零すと、ノウファムが高揚の息を吐いて、僕のお腹がきゅんとなる。
  
「気持ち、いい……、あ……っ」
 呼吸に合わせたように腰を緩く動かされて、僕の内部に優しすぎる快楽の波が立つ。
「ゆっくり、ゆっくり……」
「あ……、ふ、ぁ……、あ、あぁっ……」

 もどかしいくらいの緩慢さで抽挿が繰り返されると、全身が弱い官能の火でじっとりと炙られて高められていくようだった。
 下半身に感覚が集中して、切なくてたまらなくなる。
 焦れったくなって、もっと激しい快感を欲しがってしまう。

「気持ちいいか? エーテル」
「ふ、ふ……っ、へ、へん……」

 ぷるぷると震えながら、僕は泣きべそをかいた。
 
「へんになっちゃう、これっ……」
「気持ちいいだろう?」
「い、い……」
 
 ぬぷり、ぬぷりと緩慢に腰が揺らされて、欲求を高めた内壁が淡い刺激に引っ張られる。
「ん、ー……っ、ふ、ふぁっ……あ――」  

 あ、だめ。
 だめだ。
 労わるような優しすぎる快楽の波が、逆になんだか辛い気がする。

 僕はうるうるとノウファムを見つめた。
「も、もっと、……っ」
「ん……、」
 ノウファムの吐息が色っぽい。
「エーテルお前、今とても煽情的な顔をしている……堪らない」
 応えるように小刻みに腰を浅く突き上げられると、うずうずしていた奥が穿たれて擦り上げられて、恥ずかしい声が止まらなくなる。

「あっ、あんっ、きもちぃ」
「悦いか」
「ああっ、いいぃ……っ」
 ほろほろと涙を流して悶えれば、ノウファムは息遣いを荒くして動きを速めた。

「エーテル、いっぱい気持ちよくなろう」
「ん、ん!」

 喘ぐ唇が塞がれて、貪るように舌を絡め合う。
 欲情を感じて、あてられる。
 僕の欲情にも、ノウファムがあてられている。
 それが嬉しくて、堪らない。
 
 二人でひとつになったみたいに一緒に腰を震わせると、僕の張り詰めた雄蕊がノウファムの腹に擦れて先走りを塗り込むみたいにしながら快感を足していく。
 気持ちいい――気持ちいい!

「奥っ……あ、あ、すごい……!」
 強い刺激の虜になって善がれば、ノウファムは獰猛に口の端を持ち上げて大きく腰を揺らし、奥を穿った。
「ふぁっ、ぁあっ、そこ、そこ」
 動きがどんどん激しくなって、ピストンが速まっていく。
 接合部からぐちゅぐちゅと濡れた音をたてて、息遣いと嬌声と一緒になって耳をも犯すよう。

「あ、つい……熱、い……っ、僕、おかしくなっちゃ、……」  
 生理的な涙が溢れて、快感に蕩けた顔をぐしゃぐしゃにしている。
「ノ……ファム、さまぁっ……、奥、きもちいい……よぅ……っ」

 あまりに鋭敏に悦ぶ自分の身体が、制御できない。

「ああっ……」
 首を反らして後頭部をシーツに擦るようにして喘げば、腰を引き寄せるようにして奥をぐりぐりと穿たれる。全身の肌に鳥肌が立つような強烈な快感がブワワッと湧いて、僕は悲鳴をあげた。
「嫌か?」
 欲に濡れた掠れた声が降る。僕は必死に声を返した。
「や、や、じゃ、ないっ」
「では好き?」
「す……っあ! あ、あ、あん……っ、あ!」

 揺れる腰を押さえつけるようにしてプレスされると、ぞわりと恐ろしいほどの快楽が脳天まで突き抜けた。
 ノウファムの背に爪を立てて、僕はのけ反りながら達した。
 
「んあぁぁっ――――……」
 
 射精の瞬間はすごく気持ち良くて、全身がおかしなくらいビクビク痙攣した。
 後ろが激しく収斂して、ノウファムを締め付けてしまう。

「……っ」
 キュウッときつく締まる内壁に息を詰めて、脈打つノウファムの男根が内部で熱を放つのが感じられる。
 聖杯器官が待ちかねた精に悦んで、僕はひいひいと善がった。達したての身体がおかしなくらい快感を感じて、目の前にちかちかと星が弾けるみたいで、なかなか絶頂から降りられない。平静に戻れない。

「はぁっ、」

 一瞬の空白に息を継いで。
 
「……あ、あっ!?」
 油断した奥を亀頭で刺激され、弛緩しかけた僕の身体がビクッと四肢を強張らせて背を震わせる。

「え、あ!?」 
 放ったはずのノウファムの男根が萎える気配なくすぐに欲を高めている。
 収まらない衝動を擦りこむように腰が揺らされて、強い刺激が繰り返される。

「あ、ノウファムさ、ま!?」  
 収まらない快楽の波に、僕は背をのけ反らせたまま悲鳴をあげた。

「ん……もう少し……」
 
 二度寝する時みたいなことを言って、ノウファムが腰を穿つ。
 接合部がぐぷぐぷと液体を溢れさせて、僕の内部がぐずぐずに蕩けて泣いている。
 
「あ、あ、いま、だめ、あ、ふあ……! 僕、ふぁ、あっ……!」
「だめじゃない」
「……っ!?」
 
 逞しい腹筋にしとどに濡れそぼった僕の雄蕊がぬるぬる擦れて、ビリビリした快感が前と後ろから僕を苛める。

「あああっ、だめ、だめっもうダメっ、ああっ、あ……」
「もう少し」
「へ……っ」
 
 がつがつと剛直が穿たれる。
 雄の色気を煮詰めたみたいに欲をぎらつかせる瞳が僕を視て、興奮している。
 
 ――欲情してる。発情してる。

「へ、い、か……っ!」
 餌をねだる雛みたいにはくはくと口を震わせれば、荒々しく唇が首筋に降りて、甘く噛みつかれる。

「ふ、あ! あぁああぁっ……――!!」
 
 
 ――目の前が白く弾けて、わけがわからなくなる。




「……」
 
「……ふ、ぁ……」
   
 
 意識が戻ると、僕はふわふわのベッドの中でノウファムに抱きかかえられていた。
 身体を清めてもらって、夜着を着せられて。
 
 周り中、とても良い香りでいっぱいだ。
 僕が衣装棚から集めた服がいっぱいある。いっぱい、いっぱい……。
 
 
「ああ、目が覚めたのか」
 ぱちりと目があったノウファムはそっとこめかみにキスを落として、とても満足そうに僕の肩を撫でさすった。
 
「少しはしゃぎすぎた。すまない……」
 僕はむむむと眉を寄せ、脚を絡めた。
 

「……大丈夫です」

 ふわふわと頬にあったかい熱が燈る。
 
「陛下、大好き……」 
「あと、俺を陛下とは呼ばないように」

 
「……」
 

 僕は一瞬夢から覚めた気分になって言い直した。

「――お兄様、大好き」

「……兄さんもエーテルが大好きだよ」

 ぎゅっと抱き寄せられた体温はあったかくて、とても安心する。
 ふわふわと満たされた気分になって、僕は幸せ気分で大好きなお兄様の抱き枕になって眠ったのだった。
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