魔女家の公子は暴君に「義兄と恋愛しろ」と命令されています。

浅草ゆうひ

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四章、隻眼の王と二つの指輪

80、これが欲しかったんだ(☆)

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 記憶が視える。
 記憶の中で、ノウファムが姿隠しの秘薬に手を伸ばしているのが観えて――、

「よそ見をしすぎだ、エーテル」
「あ、あぅ……っ」
 窘めるように言って、ノウファムが僕の中に指を進ませる。
 長い指がつぷりと埋まるのが感じられて、僕のお腹の中の器官が悦んだ。

「以前、ここは嫌だと言っていたが、もういいのか」
 僕の目尻から零れた涙にキスをして、ノウファムが囁く。
 指が柔らかい内壁を擦って、押し広げていく。奥から溢れる液体に誘われるように進んで、気紛れをおこしたみたいにゆっくり引いて――潮の満ち引きみたいに緩慢に繰り返されると、じれったくて腰を揺らしてしまう。

「だ、だって……だって……」
 抵抗感が、全くないわけじゃない。怖い気持ちだってある。
 でも、そんなこと言われても、奥が。
「お腹が、きゅうきゅうするんだ……」
 
 涙目で言えば、ノウファムは指をくぷりと追加した。
 中を広げられる感覚が強くなって、くちゅくちゅと出し入れされると変な声が出てしまいそうだ。
 
「~~ッ」
「前は嫌だったが、今はよくなったんだな」
「ん、んっ……わ、わかんない」
 
 ――だって、必死なんだ。
 僕が困っていると、ノウファムはちゅくちゅくと淫猥な音を立てながら熱っぽく囁いた。
 
「俺が好きだから、俺には特別?」
「……!!」

 な、なんだか恥ずかしい!
 僕がぎゅっと目を瞑って拘束されたままの腕を振るようにして身を捩ると、ノウファムはさらに指を追加した。
 
「あ、あっ」
 中でコリュっと何かがひっかれた瞬間、強烈な快感が跳ねる。僕の全身がビクッと反応すると、ノウファムは愛し気に息を吐いた。

「俺は、お前が特別だぞ」
「ふぁ、あ、あっ……」
 胸がふわふわする。求めるように上半身を浮かせると、ノウファムは舌を出して顔を寄せ、ぺろりと味見するみたいに腹から胸の中央を舐め上げた。
「ん、ぁ!」

 下半身を蕩けさせるみたいに、指が濡れた音を奏でながら気持ちの良いポイントを執拗に攻め立てる。
「綺麗に色づいているこの果実も、俺が愛でてよいのか?」
 腰を揺らして、胸の果実が柔らかに食まれると、軽く達してしまいそうだった。
 
 指が深いところに進んでくる。
 関節が中で動いているのがわかる。内側が擦られて、おかしな感覚が意識を支配していく。
 
「あ、ぅんっ、あ、だめ、だめ……っ」
 全身が性感帯みたいに、どこを弄られても善がってしまう。
 
 下のほうからは、ひっきりなしにクプクプといやらしい音が響いている。
 自分が溢れさせている液体が奏でる音だと意識すると、たまらない気分になった。
  
「僕、もう欲しい……で、出ちゃいそう……っ」
「出したいときに出していい。俺はエーテルが気持ちよさそうにしていると嬉しい」
 ノウファムはふわふわと脳を蕩けさせるような声で言って、ぬぷぬぷと指を抽挿して僕に嬌声をあげさせた。

 思いやりを感じる動きは、じれったくもある。 
「挿れて、もう。もう、挿れてぇ……っ」
 泣きながら言えば、ノウファムは欲望を眼差しに漲らせた。露わになった渇望の色は、それだけで僕に幸せな気分をくれた。

「挿れるぞ」
「んっ……」 
 後ろにあてがわれるのを感じて、腰が震える。ちゃんと、挿いるだろうか。僕、受け入れられるのだろうか。
 あんなに大きいのに。あんなに、あんなに――

「――んン、アっ!」
 溢れる蜜液に導かれるように、とぷりと雄が挿いってくる。
 凄まじい圧迫感。指とは比べ物にならない存在感――僕の息が詰まって、全身が戦慄いた。

「ッ、エーテル……」
 切なそうに名前を呼ばれると、僕の身体はおかしなくらい反応してしまった。
 ぐ、と進まれた瞬間に、挿入されているのを実感して、お腹がの中がきゅうっとなって、ビクンと全身が跳ねて――、
「ア、アッ!?」 
 四肢を強張らせて、僕は下肢を白濁でぷしゃっと汚してしまった。
「う、うそ、あ」
  
 あ、あ。
 ――すごい。
 
 達してビクビクする隘路あいろをかきわけ、進んでくる。

「ぼ、僕、イッ」
 白濁を吐きだした雄蕊が震える。
「あ、あ、……っ!?」 

 熱い。大きい。中で、また怒張が存在感を増した。
「くぅッ……」
 その質量に、意識が集中する。呼吸するだけでいっぱいいっぱいになって、口の端から唾液を零してしまう。

 ――ああ、すごい……っ!
 
 胎がきゅうきゅうする。
 圧倒されて、何も考えられなくなる。

 これが欲しかったんだ。
 僕のお腹の中は、ずっとこれを受け入れたかったんだ――ああ、奥から何かが溢れて、止まらない。
 
 ――聖杯器官が、泣いている。
 
「あ、ああんっ、ノウファムぅ」
 怖い――満たされる予感に溺れてしまいそう。

「っ、ふ……っ」
 ノウファムが何かに堪えるような息を繰り返して、熱い手で僕の腰を掴む。

 中が、いっぱいいっぱいだ。限界まで拡げられている感じがする。
 僕の中はこんなに受け入れられるんだ。僕、こんなに柔らかい生き物だっただろうか――そう戸惑ってしまうみたいに、深く、深く、受け入れていく。
 
 ぐい、と亀頭が内壁を押し広げて、中を拓く――拓かれる。未知の領域に届いて、ぞわっとした快感を奔らせる。
 
「んア! あ、あっ、挿ってる、ぅ……っ」
 自分の中に、埋まっている。
 いつの間にか、いっぱい。あんなに大きいのに。
「僕の中、いっぱい。ぎゅうぎゅう……っ」
 
「……お前は、可愛すぎだ……」
 ノウファムがぐっと腰を引くのが、すごくゆっくりだ。
 
 緩慢に齎される刺激がもどかしい。
 ゆっくりすぎて、切なくなる。

 濡れた音を立てて、ずぷりと引き抜かれて、ずぱんっとまた押し込まれる。
 内壁がぬるぬる擦れて、すごく気持ちいい。おかしくなりそうだ。

「い、いい。いいっ……」 
「っ……、俺もだ」
 ノウファムの息遣いが荒い。
 いつもの余裕がどこかに行ったみたいに、荒い吐息で貪るように僕に口付けをしてくる。嬉しい。
 
「僕の中、気持ちいい……っ?」
「ああ……っ」
 
 繋がった個所が蕩けそうなほど熱い。
 達したばかりの股間が、また昂っている。

「あ、あ、あ、あっ」   
 ゆっくりと確かめるように腰を揺らされると、洩らしてしまいそうになる。
 どこかに縋らないとどうにかなってしまいそうで、けれど拘束されていて、それもできない。
 
「ここが悦いか? こうされるのが好いか?」 
 ずちゅ、ずちゅ、と淫猥な音をたてながら、リズミカルにピストンされる。
「あ、ああっ、あんっ、ふ、ふぁ……っ♡」 
 顔がとろとろに蕩けて、突かれても引かれても高く啼いて反応を返してしまう。乱れてしまう。
 声が我慢できない。
 えっちな声で、恥ずかしい顔で腰を揺らして悦んでしまう。

「あ、あ、善すぎて、こ、こわ、い。ああ、また」

「怖い?」
 泣きじゃくるように首を振って、僕はひくひくと後ろを痙攣させた。
「あ、あ、またクるっ、またきちゃう!」
 お腹が熱い。全身がすごく、熱い。
「僕、おかしいっ、おかしい――っ」
 
 ぐじゅぐじゅだ。
 後ろがあったかい蜜を溢れさせて、前も。
 
「発情してるんだ……お前も、俺も」
 低く掠れたような声がして激しく動かれると、悲鳴と同時にびゅびゅっと精を放ってしまう。
 後ろが大きく収斂する中、ノウファムは獣めいて腰を激しく揺らした。
  
 ぱちゅ、ぱちゅと腰を揺さぶられて奥を突かれると、上擦った声ではしたなく泣いてしまう。
「あっ~~ッ、んあ、あっ」

 中に熱い迸りが弾けるのを感じると、ぞわぞわと全身が総毛だった。
 腰を逃がさないように掴まれて、どぷどぷと奥に勢いよく注がれる感覚が、すごい。

 僕のお腹の中で、聖杯器官がそれを浴びて、嬉しい嬉しいって泣いている。
 幸せなかんじが溢れて、乱れて、止まらない。
 
「あ、イってる、イッ、と、とまらなッ……」
 背中を大きく弓なりに反らせて、僕は眼を見開いてぽろぽろと泣いた。
 気持ちいい。すごい、おさまらない。

「こ、腰がとまんない、ノウファム、これ、とまんないぃ」
 中に挿入されて射精した陰茎が、またすぐに膨れ上がるのが感じる。
 吐いた精液を内壁になじませるみたいにぬりぬりと中を擦られて、ぶわぶわと快感の波が立って、攫われてしまいそう。
 
「エーテル、……気持ちいいな」 
 恍惚とした声に、涙が止まらない。
「きもち、いぃっ、い、……っ」
 
 速まっていく抽挿に、嬌声が止まらない。
 一緒になって息を乱して、快楽に耽るみたいに必死に腰を擦り合わせてしまう。

「ん、ん、あ、あ、も、もう……っ」 
 
 視界が白く染まる。
 頭がスパークする――性感が高まりすぎて、絶頂の階をかけあがって、甘い波に晒されて、追い詰められて、もう。
 
「ふ、あ、」

 ……身体が浮かぶみたいで、何も考えられない。
 
「ああぁぁああっ――!!」 
 
 
 ――多幸感に包まれて、僕は意識を手放した。
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