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三章、悪役の流儀
45、今、僕の知性は死にかけなんだ(軽☆)
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上層に移動する耳に、ノウファムが語る低い声が聞こえる。
近い距離で呼吸と発声に上下する喉ぼとけから鎖骨の肌をみていると変な気分が高まってしまうから、僕は視線を意識してそちらから外した。
「セルズ国の獣人たちは、元を辿れば旧くは妖精種の一種とされていた。しかし、今は人間により近く、近隣の森に侵略を繰り返している……森妖精の集落が先日もひとつ焼き払われている」
他国の情勢を語られても頭に全然入ってこない。
「しゅ、しゅまない。今、僕の知性は死にかけなんだ、ノウファム……」
へろへろと言葉を紡ぐと、ぎょっとしたような気配が間近に感じられた。
「今なんと? エーテル?」
一拍置いて、僕は自分の失礼に気付いて首を振った。
「し、失礼しました、お兄様……」
「いや、失礼は構わない……」
ぎこちない沈黙のまま赤絨毯の階段を上にのぼって連れて行かれた先は、上層デッキだった。
展望の良い広々とした個室に入ると、そこはプライベート空間となっていて、大きなバスタブが幾つもあった。
カンタータの温泉よりは小さいけれど、お湯は綺麗なミルク色で、お花が浮かべてある。
それに、下の方からぼこぼこと泡が幾つも上がっている――魔導具が泡を生成しているんだ。
「これはイドロマッサッジョというリラクゼーション用途の魔導具らしい」
ノウファムは眉間にしわを刻みながら僕の服に手をかけた。
「要は風呂だな。お前、風呂好きだろ。カンタータで気に入ってたじゃないか」
「あ……」
布がこすれる刺激に、息が上がる。
熱を高めた身体が過敏に反応を示して、腰が揺れてしまう。
「あ、待っ……んン!」
シャツが胸元に擦れると、強い快楽がビリビリと走る。
「あ、っう!」
肩をあげ、目の前のノウファムの腕にぎゅっと縋りついて悶えると、困ったような戸惑いに溢れた気配が肌に感じられる。ああ、困らせている――、
「こんなに勃てて……」
僕の股間の膨張にちらりと視線を向けて、ノウファムが下を脱がそうと手を滑らせる。
「あ、……っ」
たらたらと先走りの快楽の蜜を滴らせる陰茎が露出すると、身体が欲を持て余しているという事実が目に視えてしまって、もう言い訳のしようもない。
「辛いだろう」
「ん、ん……っ、つら……っ」
同情的なノウファムの声が優しくて、つらい。
「一度熱を吐くか。すぐ出せるだろう、この状態だと」
「ふぁっ……! あ、あ!」
手で握られて、僕は顔を真っ赤にした。
「達きたいだろう?」
確認するように問われる声に、腰が揺れる。揺れてしまう――まるでノウファムの手を借りて自慰してるみたいに、自分で快感をつくろうと擦ってしまう。
「あっ、あ……ぁ……」
溢れる液体が奏でる、くちくちというはしたない濡れた音が耳にこびりつくみたいに感性を淫靡に染めていく。
「はぁっ、はぁっ、あ……っ」
腰の動きに合わせるように手が動くと、僕は恍惚となってその気持ち良さに夢中になった。
「ふ、ふぁ、あ、……に、にいさ……」
「ん……気持ちいいか」
「い、……っ」
腰を震わせて白濁を放つ時、ノウファムはそこを咥えた。
「ひッ……!」
甲高い声が自分の喉からひねりだされて、おぞましい快感の波がブワッと湧く。
啜るようにされる刺激は強烈で、僕はしばらく全身をびくんびくんと震わせて気持ち良さに悶絶した。
近い距離で呼吸と発声に上下する喉ぼとけから鎖骨の肌をみていると変な気分が高まってしまうから、僕は視線を意識してそちらから外した。
「セルズ国の獣人たちは、元を辿れば旧くは妖精種の一種とされていた。しかし、今は人間により近く、近隣の森に侵略を繰り返している……森妖精の集落が先日もひとつ焼き払われている」
他国の情勢を語られても頭に全然入ってこない。
「しゅ、しゅまない。今、僕の知性は死にかけなんだ、ノウファム……」
へろへろと言葉を紡ぐと、ぎょっとしたような気配が間近に感じられた。
「今なんと? エーテル?」
一拍置いて、僕は自分の失礼に気付いて首を振った。
「し、失礼しました、お兄様……」
「いや、失礼は構わない……」
ぎこちない沈黙のまま赤絨毯の階段を上にのぼって連れて行かれた先は、上層デッキだった。
展望の良い広々とした個室に入ると、そこはプライベート空間となっていて、大きなバスタブが幾つもあった。
カンタータの温泉よりは小さいけれど、お湯は綺麗なミルク色で、お花が浮かべてある。
それに、下の方からぼこぼこと泡が幾つも上がっている――魔導具が泡を生成しているんだ。
「これはイドロマッサッジョというリラクゼーション用途の魔導具らしい」
ノウファムは眉間にしわを刻みながら僕の服に手をかけた。
「要は風呂だな。お前、風呂好きだろ。カンタータで気に入ってたじゃないか」
「あ……」
布がこすれる刺激に、息が上がる。
熱を高めた身体が過敏に反応を示して、腰が揺れてしまう。
「あ、待っ……んン!」
シャツが胸元に擦れると、強い快楽がビリビリと走る。
「あ、っう!」
肩をあげ、目の前のノウファムの腕にぎゅっと縋りついて悶えると、困ったような戸惑いに溢れた気配が肌に感じられる。ああ、困らせている――、
「こんなに勃てて……」
僕の股間の膨張にちらりと視線を向けて、ノウファムが下を脱がそうと手を滑らせる。
「あ、……っ」
たらたらと先走りの快楽の蜜を滴らせる陰茎が露出すると、身体が欲を持て余しているという事実が目に視えてしまって、もう言い訳のしようもない。
「辛いだろう」
「ん、ん……っ、つら……っ」
同情的なノウファムの声が優しくて、つらい。
「一度熱を吐くか。すぐ出せるだろう、この状態だと」
「ふぁっ……! あ、あ!」
手で握られて、僕は顔を真っ赤にした。
「達きたいだろう?」
確認するように問われる声に、腰が揺れる。揺れてしまう――まるでノウファムの手を借りて自慰してるみたいに、自分で快感をつくろうと擦ってしまう。
「あっ、あ……ぁ……」
溢れる液体が奏でる、くちくちというはしたない濡れた音が耳にこびりつくみたいに感性を淫靡に染めていく。
「はぁっ、はぁっ、あ……っ」
腰の動きに合わせるように手が動くと、僕は恍惚となってその気持ち良さに夢中になった。
「ふ、ふぁ、あ、……に、にいさ……」
「ん……気持ちいいか」
「い、……っ」
腰を震わせて白濁を放つ時、ノウファムはそこを咥えた。
「ひッ……!」
甲高い声が自分の喉からひねりだされて、おぞましい快感の波がブワッと湧く。
啜るようにされる刺激は強烈で、僕はしばらく全身をびくんびくんと震わせて気持ち良さに悶絶した。
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