魔女家の公子は暴君に「義兄と恋愛しろ」と命令されています。

浅草ゆうひ

文字の大きさ
上 下
46 / 158
三章、悪役の流儀

45、今、僕の知性は死にかけなんだ(軽☆)

しおりを挟む
 上層に移動する耳に、ノウファムが語る低い声が聞こえる。
 近い距離で呼吸と発声に上下する喉ぼとけから鎖骨の肌をみていると変な気分が高まってしまうから、僕は視線を意識してそちらから外した。
「セルズ国の獣人たちは、元を辿れば旧くは妖精種の一種とされていた。しかし、今は人間により近く、近隣の森に侵略を繰り返している……森妖精の集落が先日もひとつ焼き払われている」
 他国の情勢を語られても頭に全然入ってこない。
「しゅ、しゅまない。今、僕の知性は死にかけなんだ、ノウファム……」
 へろへろと言葉を紡ぐと、ぎょっとしたような気配が間近に感じられた。
「今なんと? エーテル?」
 一拍置いて、僕は自分の失礼に気付いて首を振った。
「し、失礼しました、お兄様……」
「いや、失礼は構わない……」
 ぎこちない沈黙のまま赤絨毯の階段を上にのぼって連れて行かれた先は、上層デッキだった。
 
 展望の良い広々とした個室に入ると、そこはプライベート空間となっていて、大きなバスタブが幾つもあった。
 カンタータの温泉よりは小さいけれど、お湯は綺麗なミルク色で、お花が浮かべてある。
 それに、下の方からぼこぼこと泡が幾つも上がっている――魔導具が泡を生成しているんだ。

「これはイドロマッサッジョというリラクゼーション用途の魔導具らしい」
 ノウファムは眉間にしわを刻みながら僕の服に手をかけた。
「要は風呂だな。お前、風呂好きだろ。カンタータで気に入ってたじゃないか」
「あ……」
 
 布がこすれる刺激に、息が上がる。
 熱を高めた身体が過敏に反応を示して、腰が揺れてしまう。

「あ、待っ……んン!」
 シャツが胸元に擦れると、強い快楽がビリビリと走る。
「あ、っう!」 
 肩をあげ、目の前のノウファムの腕にぎゅっと縋りついて悶えると、困ったような戸惑いに溢れた気配が肌に感じられる。ああ、困らせている――、
 
「こんなに勃てて……」
 僕の股間の膨張にちらりと視線を向けて、ノウファムが下を脱がそうと手を滑らせる。
「あ、……っ」

 たらたらと先走りの快楽の蜜を滴らせる陰茎が露出すると、身体が欲を持て余しているという事実が目に視えてしまって、もう言い訳のしようもない。

「辛いだろう」
「ん、ん……っ、つら……っ」 

 同情的なノウファムの声が優しくて、つらい。

「一度熱を吐くか。すぐ出せるだろう、この状態だと」
「ふぁっ……! あ、あ!」
 手で握られて、僕は顔を真っ赤にした。
きたいだろう?」
 確認するように問われる声に、腰が揺れる。揺れてしまう――まるでノウファムの手を借りて自慰してるみたいに、自分で快感をつくろうと擦ってしまう。

「あっ、あ……ぁ……」
 溢れる液体が奏でる、くちくちというはしたない濡れた音が耳にこびりつくみたいに感性を淫靡に染めていく。
「はぁっ、はぁっ、あ……っ」
 腰の動きに合わせるように手が動くと、僕は恍惚となってその気持ち良さに夢中になった。

「ふ、ふぁ、あ、……に、にいさ……」
「ん……気持ちいいか」
「い、……っ」

 腰を震わせて白濁を放つ時、ノウファムはそこを咥えた。

「ひッ……!」
 甲高い声が自分の喉からひねりだされて、おぞましい快感の波がブワッと湧く。
 啜るようにされる刺激は強烈で、僕はしばらく全身をびくんびくんと震わせて気持ち良さに悶絶した。
 
 
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

異世界転移で、俺と僕とのほっこり溺愛スローライフ~間に挟まる・もふもふ神の言うこと聞いて珍道中~

兎森りんこ
BL
主人公のアユムは料理や家事が好きな、地味な平凡男子だ。 そんな彼が突然、半年前に異世界に転移した。 そこで出逢った美青年エイシオに助けられ、同居生活をしている。 あまりにモテすぎ、トラブルばかりで、人間不信になっていたエイシオ。 自分に自信が全く無くて、自己肯定感の低いアユム。 エイシオは優しいアユムの料理や家事に癒やされ、アユムもエイシオの包容力で癒やされる。 お互いがかけがえのない存在になっていくが……ある日、エイシオが怪我をして!? 無自覚両片思いのほっこりBL。 前半~当て馬女の出現 後半~もふもふ神を連れたおもしろ珍道中とエイシオの実家話 予想できないクスッと笑える、ほっこりBLです。 サンドイッチ、じゃがいも、トマト、コーヒーなんでもでてきますので許せる方のみお読みください。 アユム視点、エイシオ視点と、交互に視点が変わります。 完結保証! このお話は、小説家になろう様、エブリスタ様でも掲載中です。 ※表紙絵はミドリ/緑虫様(@cklEIJx82utuuqd)からのいただきものです。

貢がせて、ハニー!

わこ
BL
隣の部屋のサラリーマンがしょっちゅう貢ぎにやって来る。 隣人のストレートな求愛活動に困惑する男子学生の話。 社会人×大学生の日常系年の差ラブコメ。 ※現時点で小説の公開対象範囲は全年齢となっております。しばらくはこのまま指定なしで更新を続ける予定ですが、アルファポリスさんのガイドラインに合わせて今後変更する場合があります。(2020.11.8) ■2024.03.09 2月2日にわざわざサイトの方へ誤変換のお知らせをくださった方、どうもありがとうございました。瀬名さんの名前が僧侶みたいになっていたのに全く気付いていなかったので助かりました! ■2024.03.09 195話/196話のタイトルを変更しました。 ■2020.10.25 25話目「帰り道」追加(差し込み)しました。話の流れに変更はありません。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

処理中です...