自力で始める異世界建国記

モリタシ

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第一章 建国前夜編

57話 ドラゴンの存在

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ゴブの説明によるとこの世界には6体のドラゴンが存在すると言われているらしい。

一体目は砂塵のドラゴン。
砂塵と共に現れ、砂嵐と炎で暴れ回る凶暴なドラゴン。
これが今回作った凧に似てるドラゴンだ。

二体目は烈火のドラゴン。
主に火山などの中に生息していて、怒らせると怒りと共に火山が大噴火して世界的な影響を及ぼす。
そもそもの気象も荒いが滅多に住処を出ないらしい。

三体目は悪霧アクムのドラゴン。
信じられないくらい濃い霧と共に現れるドラゴンで、その霧の中で遭遇すると魂が喰われ、廃人になってしまうらしい。

四体目は海神のドラゴン。
海の生物や亜人から神様として祀られているドラゴンで、一番存在してる可能性が高いらしい。
世界に悪い影響は特になく、優しいドラゴンとして知られているんだとか。

残りの二体は光と闇で、いくつかの古い文献に光と闇のドラゴン云々程度にしか書かれていなく、あまり詳細が分かってないことから一番存在が怪しいとゴブは思ってるらしい。

「まあ、いずれもここ千年以内の書物などでは伝説程度にしか語られていないので、実在するかどうかは全くわからないんですけどね。」

ゴブが残念そうに説明を終える。

「そうなのか。で、今回俺が作ったこの凧が砂塵のドラゴンに似てるってことか。逆にそこまで存在が疑われているなら、すぐに見破られることはないか?」

「それはないと思います。この世界に凧は存在しませんし、砂塵でこちらの状況が全く見えないでしょうから。」

なるほどな。
じゃああとはこれをどれだけ長く続けられるかだな。

俺は各部隊に細かく指示を配りながら、出来る限り長くこの状態を続けられるように動き回った。

疲労で作戦が中断しないように休憩する者と実行する者を分けることでなんとかこの状況を保つことができ、気づけば太陽が傾き始めていた。

「タケル!敵が引いたぞ!!」

斥候のため森に散開していたライが戻ってきて言う。

「何人か敵の斥候を見かけたけど、ビビったのか遠巻きに様子を見ては下がるを繰り返してたぞ!」

砂塵のドラゴンなんか存在せず、ただのハリボテを飛ばしてるだけだと知っているライは痛快だと言わんばかりに笑い倒す。

「よし!凧を下ろすぞ!サイカ!砂塵を残してまずは凧を下ろしてくれ!」

サイカは指示に頷き魔法隊に指示を出し始める。

「こんなに早く引っ込めて大丈夫なのか?」

「ああ、どのみち砂塵が止まったらすぐにでも斥候がやってきて砦が無事なことはバレるからな。」

「タケルさん、準備が整いました。いつでも大丈夫です。」

不思議そうにしてるライに答えていると、ゴブが戻ってきた。
ゴブの言葉にライはますます不思議そうな顔をする。

「準備ってなんだ?攻めに転じるのか?」

「こんな時間から攻めたってろくな結果にならないだろ。砦を引き払うんだよ。」

「はあ!?」

不敵に笑う俺にライは驚く。
まあ、無理はない。

「さっきも言ったように砂塵が止んだら斥候が来て、砂塵のドラゴンなんて現れていないんじゃないかってなるだろ?もしそうなったら、戦闘もしないで遠巻きに様子を見てただけの敵はどう出ると思う?」

「どうって…、相当悔しがるだろうな。」

「まあ、それも一理ある。そして、十中八九夜襲を仕掛けてくるだろうな。元気が余ってて、悔しさが爆発すると。」

「確かに…」

ライに説明してる間にサイカが凧の回収を終えたので、砂塵を発生させている部隊を残して俺たちは砦から撤収を始めた。

昼のうちにゴブと話し、無駄な消耗戦を避け撤収することを決めていた。

この砦で稼げばいい時間は2日だと割り切って、次の砦での対応に全力を割いた方がいいと判断したからだ。

「ライ、残存部隊の撤収の後、敵の動向を探るために小隊を散開させて指揮をとってくれ。」

「わかった!また後で会おう!」

ライを見送って俺たちは砦を後にした。
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