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第一章 建国前夜編
51話 敵将
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太陽が高く上り、空は青く澄んでいる。
この状況に似つかわしくない天気だ。
敵は今朝の突撃で思わぬ攻撃を受けたことから、射程外まで下がり、こちらの様子を伺っているようだった。
「手配を急いでください!」
ゴブが珍しく大きな声を出している。
今朝は使用しなかった大型連弩、切り札としてギリギリまで使わないと言っていたのだが、敵が一度距離を取ってから焦るように準備を始めさせた。
「ゴブ、今朝言っていたのはいったい誰のことなんだ?」
「噂にしか聞いたことがないんですが、少国家連合で英雄と称される者がいるんです。その男は全身を真紅の鎧で包み、身長は2メートルを超える大男と伝わっています。その風貌に似た男が後方に控えてるのが見えました。」
「英雄…?たかが一人の人間にそこまで警戒する必要があるのか?」
「私が見た記録では15年前少国家連合から三つの城塞小国家が姿を消しました。その理由は盟主であるリアンテール城塞国への叛逆。それを1週間で鎮圧どころか国ごと消滅させたのが英雄アルロイとその近衛兵団300人だとその記録には書かれていました。」
「たった300人で三つの国を滅ぼしたのか!?」
「ええ、おそらくこの国でまともに相手になるとしたら漆黒の天使カナだけではないかと言われています…。」
それはまずい。
今参戦してるメンバーで、カナレベルのやつは当然いない。
アルロイ一人だけでも十分やばいのに、300人の近衛兵も恐らく相当手強いはずだ…。
当然今回も近衛兵は参加してると思った方がいいだろう。
「今朝の突撃に参加していなかったのを考えると、恐らくアルロイは帝国南部攻略の主力だと思います。なので流石にすぐには動いてこないとは思いますが、被害が拡大すれば必ず動き出すと思います。」
いざアルロイが動き出してから準備しても手遅れだ。
だからゴブは急いでいるんだろう。
敵は正面からの攻撃は不利と悟ったのか、森の中から聞こえてくる音がだんだんと激しくなっていく。
正面の敵は微動だにせず、ひたすら森の突破を待っているようだ。
今朝の戦闘で1000人くらいは倒してるはず…
森の中でも数百人は倒してるはずだが、まだまだ戦力差は大きいな…。
「伝令です!」
バタバタとドラグーンの男が俺のところへとやってきた。
「南の森に強敵が投入され苦戦しています!このままだと突破されるのも時間の問題かと…!」
「強敵とはどのようなものですか?」
ゴブが落ち着いた態度で伝令に聞いた。
「真紅の鎧を纏った大男です!」
アルロイだ、しばらく動かないと思ったが、膠着状態を良しとせず動き出したようだ。
「ゴブ、ここの指揮を任せてもいいか?俺が行く。」
今の砦の戦力だと俺が行く以外考えられない。
「…。わかりました、ただし無理はしないようにお願いします。それと、ゴライズンを連れて行ってください。」
ゴブリンキングのゴライズンと俺。
第一の砦の最高戦力を投入することになった。
早速ゴライズンに声をかけて砦の裏口から南の森へと入る。
南側は確かライが指揮を取っているはずだ。
俺とゴライズンとライの三人で挑めばなんとかなるかもしれない。
突破される前に急がなければ。
俺とゴライズンは木々をかき分けながら森の中を疾走した。
この状況に似つかわしくない天気だ。
敵は今朝の突撃で思わぬ攻撃を受けたことから、射程外まで下がり、こちらの様子を伺っているようだった。
「手配を急いでください!」
ゴブが珍しく大きな声を出している。
今朝は使用しなかった大型連弩、切り札としてギリギリまで使わないと言っていたのだが、敵が一度距離を取ってから焦るように準備を始めさせた。
「ゴブ、今朝言っていたのはいったい誰のことなんだ?」
「噂にしか聞いたことがないんですが、少国家連合で英雄と称される者がいるんです。その男は全身を真紅の鎧で包み、身長は2メートルを超える大男と伝わっています。その風貌に似た男が後方に控えてるのが見えました。」
「英雄…?たかが一人の人間にそこまで警戒する必要があるのか?」
「私が見た記録では15年前少国家連合から三つの城塞小国家が姿を消しました。その理由は盟主であるリアンテール城塞国への叛逆。それを1週間で鎮圧どころか国ごと消滅させたのが英雄アルロイとその近衛兵団300人だとその記録には書かれていました。」
「たった300人で三つの国を滅ぼしたのか!?」
「ええ、おそらくこの国でまともに相手になるとしたら漆黒の天使カナだけではないかと言われています…。」
それはまずい。
今参戦してるメンバーで、カナレベルのやつは当然いない。
アルロイ一人だけでも十分やばいのに、300人の近衛兵も恐らく相当手強いはずだ…。
当然今回も近衛兵は参加してると思った方がいいだろう。
「今朝の突撃に参加していなかったのを考えると、恐らくアルロイは帝国南部攻略の主力だと思います。なので流石にすぐには動いてこないとは思いますが、被害が拡大すれば必ず動き出すと思います。」
いざアルロイが動き出してから準備しても手遅れだ。
だからゴブは急いでいるんだろう。
敵は正面からの攻撃は不利と悟ったのか、森の中から聞こえてくる音がだんだんと激しくなっていく。
正面の敵は微動だにせず、ひたすら森の突破を待っているようだ。
今朝の戦闘で1000人くらいは倒してるはず…
森の中でも数百人は倒してるはずだが、まだまだ戦力差は大きいな…。
「伝令です!」
バタバタとドラグーンの男が俺のところへとやってきた。
「南の森に強敵が投入され苦戦しています!このままだと突破されるのも時間の問題かと…!」
「強敵とはどのようなものですか?」
ゴブが落ち着いた態度で伝令に聞いた。
「真紅の鎧を纏った大男です!」
アルロイだ、しばらく動かないと思ったが、膠着状態を良しとせず動き出したようだ。
「ゴブ、ここの指揮を任せてもいいか?俺が行く。」
今の砦の戦力だと俺が行く以外考えられない。
「…。わかりました、ただし無理はしないようにお願いします。それと、ゴライズンを連れて行ってください。」
ゴブリンキングのゴライズンと俺。
第一の砦の最高戦力を投入することになった。
早速ゴライズンに声をかけて砦の裏口から南の森へと入る。
南側は確かライが指揮を取っているはずだ。
俺とゴライズンとライの三人で挑めばなんとかなるかもしれない。
突破される前に急がなければ。
俺とゴライズンは木々をかき分けながら森の中を疾走した。
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