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第一章 建国前夜編
44話 再会
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各街へと知らせを飛ばし、残ったものは早速砦の建設を始めた。
ある程度時間を稼ぐ必要があるので、それなりの砦を作らなければいけない。
キックオーズの街の人たちにも手伝ってもらうことになった。
そして俺も知らせを飛ばすと同時にある場所に向かっていた。
鬱蒼とした木々をかき分けて森を進む。
「懐かしいな…。」
転移して初めて目が覚めた小川にたどり着いた。
ここから西へ半日ほど歩けばゴブたちの集落がある。
俺は今回の戦いにゴブたちも増援を出してくれないかお願いしにゴブの集落を訪ねようとしていた。
ゴブたちからするとなんのメリットもない話だが、南部の人たちのためにも、できることは全部すると決めた以上、ダメ元でお願いしに来た。
あれから半年ほど経つが、ゴブは俺のことを覚えてくれているだろうか。
森をしばらく歩き、ゴブの集落が見えて来た。
集落の入り口には人だかりがあるように見える。
何かあったんだろうか。
少し早足で近づいていくと、人だかりの中心にバースが見えた。
入り口の人だかりは何かを待ってるようだ。
「タケル様!!ようこそお越しくださいました!」
バースが俺に声をかける。
「バース、久しぶりだな、元気そうでよかった!何かあったのか?」
「タケル様をお待ちしていたんです、ゴブ様がそろそろ来るはずだと仰っていたので。」
なんでだ?
俺はゴブに知らせを出したりもしていないが。
前から賢いやつだとは思ってたけど、流石に予想なんてできないと思うんだが。
「さあ、ゴブ様がお待ちです。こちらへどうぞ。」
集落の中をバースが案内し、前に宴会を開いた建物へと入った。
「タケル様、お待ちしていました。あの時は命を助けていただきありがとうございます。」
「ゴッ、ゴブなのか?」
そこには俺の知らない上位種のゴブリンが待っていた。
少しもゴブの面影がなく、見事に上位種に進化していた。
「見違えたな!ゴブ!」
思わず笑顔でゴブに駆け寄った。
「あれから割とすぐに上位種に変化したんですよ。」
ゴブはニッコリと微笑む。
この笑顔は当時のゴブに近いものがあるな。
「なんで俺が来るってわかったんだ?」
「実は何日か前にカインさんがこの集落に来たんです、その時に最悪の事態になった場合はタケルさんがここを訪ねる可能性があるからその時は話を聞いてくれと。」
確かにアーナで傭兵を集めて出発する時カインは野暮用で少し遅れていくと言って後で合流した。
その時にここに来ていたのか。
会議の時も俺以外の傭兵はこの事態を少しは予想してた感じだったもんな…。
「ゴブは今の状況をどこまで知ってるんだ?」
「我々の部族のものは各地にいます。奴隷に扮して諜報活動をしているものも多くいるので、一通りの情報はつかんでますよ。」
そうか、じゃあ俺がなんでここに来たのか、賢いゴブなら悟ってるだろうな。
自分たちになんのメリットもない話だし、ゴブたちからしたら人間たちのことなんて正直どうでもいいだろう。
短い時間だったけど、あの時に生まれた俺とゴブの友情は確かなものだとは思うけど、こんな身勝手な依頼をしたら流石に幻滅するか…?
でも後悔はしたくない…。
「言いにくいんだが…、今回の南部防衛戦にゴブの部族で参戦してくれないか?見返りとしてできることは何もないから、無茶言ってるのはわかってるんだが……」
「いいですよ。」
流石にダメだよなと思いながら俯きがちに話す俺にゴブは食い気味でいいですよと言う。
俺は思わず顔を上げ、ゴブの顔を見た。
そこには変わらないゴブの笑顔があった。
「私はタケル様に命を救われた身です、あの時に失っていたかもしれない命、タケル様のために使えるなら何も迷いはないですよ」
「…すまない、本当にありがとう。」
友情に感動したのか、緊張が緩んだからなのか、涙が出そうになって堪えた。
そんな俺をゴブはニッコリ笑って見つめている。
ある程度時間を稼ぐ必要があるので、それなりの砦を作らなければいけない。
キックオーズの街の人たちにも手伝ってもらうことになった。
そして俺も知らせを飛ばすと同時にある場所に向かっていた。
鬱蒼とした木々をかき分けて森を進む。
「懐かしいな…。」
転移して初めて目が覚めた小川にたどり着いた。
ここから西へ半日ほど歩けばゴブたちの集落がある。
俺は今回の戦いにゴブたちも増援を出してくれないかお願いしにゴブの集落を訪ねようとしていた。
ゴブたちからするとなんのメリットもない話だが、南部の人たちのためにも、できることは全部すると決めた以上、ダメ元でお願いしに来た。
あれから半年ほど経つが、ゴブは俺のことを覚えてくれているだろうか。
森をしばらく歩き、ゴブの集落が見えて来た。
集落の入り口には人だかりがあるように見える。
何かあったんだろうか。
少し早足で近づいていくと、人だかりの中心にバースが見えた。
入り口の人だかりは何かを待ってるようだ。
「タケル様!!ようこそお越しくださいました!」
バースが俺に声をかける。
「バース、久しぶりだな、元気そうでよかった!何かあったのか?」
「タケル様をお待ちしていたんです、ゴブ様がそろそろ来るはずだと仰っていたので。」
なんでだ?
俺はゴブに知らせを出したりもしていないが。
前から賢いやつだとは思ってたけど、流石に予想なんてできないと思うんだが。
「さあ、ゴブ様がお待ちです。こちらへどうぞ。」
集落の中をバースが案内し、前に宴会を開いた建物へと入った。
「タケル様、お待ちしていました。あの時は命を助けていただきありがとうございます。」
「ゴッ、ゴブなのか?」
そこには俺の知らない上位種のゴブリンが待っていた。
少しもゴブの面影がなく、見事に上位種に進化していた。
「見違えたな!ゴブ!」
思わず笑顔でゴブに駆け寄った。
「あれから割とすぐに上位種に変化したんですよ。」
ゴブはニッコリと微笑む。
この笑顔は当時のゴブに近いものがあるな。
「なんで俺が来るってわかったんだ?」
「実は何日か前にカインさんがこの集落に来たんです、その時に最悪の事態になった場合はタケルさんがここを訪ねる可能性があるからその時は話を聞いてくれと。」
確かにアーナで傭兵を集めて出発する時カインは野暮用で少し遅れていくと言って後で合流した。
その時にここに来ていたのか。
会議の時も俺以外の傭兵はこの事態を少しは予想してた感じだったもんな…。
「ゴブは今の状況をどこまで知ってるんだ?」
「我々の部族のものは各地にいます。奴隷に扮して諜報活動をしているものも多くいるので、一通りの情報はつかんでますよ。」
そうか、じゃあ俺がなんでここに来たのか、賢いゴブなら悟ってるだろうな。
自分たちになんのメリットもない話だし、ゴブたちからしたら人間たちのことなんて正直どうでもいいだろう。
短い時間だったけど、あの時に生まれた俺とゴブの友情は確かなものだとは思うけど、こんな身勝手な依頼をしたら流石に幻滅するか…?
でも後悔はしたくない…。
「言いにくいんだが…、今回の南部防衛戦にゴブの部族で参戦してくれないか?見返りとしてできることは何もないから、無茶言ってるのはわかってるんだが……」
「いいですよ。」
流石にダメだよなと思いながら俯きがちに話す俺にゴブは食い気味でいいですよと言う。
俺は思わず顔を上げ、ゴブの顔を見た。
そこには変わらないゴブの笑顔があった。
「私はタケル様に命を救われた身です、あの時に失っていたかもしれない命、タケル様のために使えるなら何も迷いはないですよ」
「…すまない、本当にありがとう。」
友情に感動したのか、緊張が緩んだからなのか、涙が出そうになって堪えた。
そんな俺をゴブはニッコリ笑って見つめている。
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