自力で始める異世界建国記

モリタシ

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第一章 建国前夜編

13話 友の近い

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「タケル様はこれからどこに行かれるんですか?」

食事をしながらスベリアが問いかけてきた。

さっき地図を見たところだと、ここから東へそう遠くないところに人間の街があるようだったのでそこに行こうと思っていた。

「アーナの街に行こうと思っています。」

こっちに来てから人に会ってないから、人間の街に行きたいって言うのもある。

にしても、スベリアさんはさすが族長代理というべきか、そのオーラから思わず敬語を使ってしまうな。
他のゴブリンには平気なのに。

「アーナの街に行かれるなら、一番小さな宿ですが、琥珀亭と言う宿をお尋ねください。そこを根城にしている傭兵のカインというものは我が村と深い関わりがあるので、私の紹介といえば良くしてくれると思います。」

そう言うスベリアさんにお礼を言って、琥珀亭とカインの名前をしっかり記憶する。

アーナの街についてスベリアと雑談していると、その隣のゴブが何か言いたげな表情で俺の目をみてることに気づいた。

「どうした、ゴブ。なんか言いたいことでもあるのか?」

「ギギ、ギー!-----」

喋り出したゴブの通訳をテーブルの近くで立っていたバースが通訳してくれる。

「本当は一緒に旅に出たいけど、通常種の自分だとお荷物になってしまう。それに立場だってあるからタケル様の助けとなることがほとんどできないのが悲しい。」

ゴブは悲しそうな顔でそう言った。

「いや、今朝のアイテムもそうだし、昨日も俺の知らないことを色々教えてもらったし、たった1日の付き合いだけど、かなり助けになった。ゴブには感謝してるよ。」

俺は笑いながら、ゴブに気を遣わせまいとそう伝えた。

ゴブは真剣な顔になって言葉を続ける。

「今は力になれないけど、一人前の部族長になったら、いつか必ずタケル様の力になります。我が部族のことを忘れることなく、何かあれば必ず頼ってください。」

「ああ、分かったよ。そのかわりゴブももし困った時は、俺を頼ってくれ。この世界のどこかで必ず生き抜いてるはずだから。」

そう言ってゴブに手を差し伸べて握手を求めた。
その手をゴブは万遍の笑みで握り返して固い握手を交わした。

------。

「じゃあゴブ、元気でな。皆さんもありがとうございました!」

朝食を食べ終え、道中の注意点などの説明を受け、村の出入り口までゴブたちに送ってもらった。

入り口の周りには来た時と同じように大量のゴブリンがいて、盛大に見送ってくれている。

みんなに挨拶を済ませ、ゴブと再度握手を交わし、来た時の森に向かって歩き始めた。

ゴブリン…、俺のイメージの何倍もいい奴らだったな。
ゴブたちがたまたま人間と共生できるような部族だったんだろうか。

文化レベルは高くなかったが、清潔に保たれた集落で、治安も悪いように感じなかったし、この世界は地球で得たイメージや偏見をある程度忘れた上で生きてみたほうがいいのかもな。

まあ、またいつか会ったときには今度は俺が盛大にお礼をしよう。

とにかく今はアーナの街へ!
この世界の人間の文化レベルや、街並みがどんなものなのか今から楽しみだ!
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