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こんにちわ銀世界

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真っ白い地面を踏みしめ、見慣れた山を左手に住宅街を抜けて田んぼ道を行く。

十字路にさしかかれば左手には急な坂がありそこを突き進めば坂の上には山を背景にした坂之上高校がある。




その日は、雪が降っている日でした。






私が空を見つめると、雲はどんよりと黒く

いつもの学校の玄関先で佇んでいました。

片道40分もの帰路を考えるとはぁ、とため息が出て空を見上げたものです。

仕方なく足を伸ばして立ち上がると、私はマフラーに顔を疼くめて歩きだしました。



見慣れた坂道を下り、十字路を今度は右に曲がれば、田舎道に足を入れて雪景色を踏みしめて歩きました。



しかし抗うかのように突如風が私を押し、雪が降りかかるではありませんか。

明日は休校になればいいのに、等と考えて下を向きながら歩いているとふと足元にかかる雪に違和感を感じ顔をあげました。



『あれ・・・?』



見渡す限り一面、真っ白なのです。

確かに雪景色には変わりないのですが、

いつも通っているはずの道が雪に埋め尽くされていてなくなっているのです。



『そんなばかな・・・吹雪と言えどこの程度じゃ流石に歩く道が見えなくなるほどは・・・』



と、後ろを振り返ってみると

やはり無いのです。

通って来た道すらも。




私は内心焦りながら、いつも通っている道なのだし家の方角を目指せば大丈夫だろうと意を決して雪に足を入れました。

1歩1歩雪が深くないか慎重に確かめて進んで行きます。



けれども、進んでも進んでも

道どころか、木の1本すら見えて来ないのです。



『可笑しい。』



ここは田舎で、山に囲まれた地帯のはずなのに吹雪の中目を凝らしてもその山すら見えない。

全てが白い・・・

ここまで考えて異質な風景にぞっとした瞬間





「 ワオオォーーーーン 」




何かの鳴き声が聞こえ、私は肩を震わせました。

ゆっくりと音の正体を確かめようと首を動かすと、キラキラと落ちる雪の合間から遠くに犬の様な者が見え、

私はそれ等が消えて無くなるまでじっと見つめていました。




はっと気付くと身体の力が抜け、1歩足が踏み出します。



「おわっ・・・とと・・・」



前のめりになった身体を必死に保ち体制を整えました。

今まで身体が強ばっていたのを気付くと同時に、雪の合間から片足だけ踏み込んだ領域を見て私はほっとしました。



「道だ・・・・・・」
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